自業自得記録地獄

主にACミランとセリエAに関する備忘録。

21-22セリエA第3節 vs ラツィオ(H) 自信を胸に、いざ、アンフィールドへ

 欧州では3試合も組まれたIMW明け、ハードな7連戦の初戦は首位ラツィオと連勝同士の対決。チケット37,000枚は完売。

 ラツィオエンポリ、スペツィア相手にリーグトップの計9点を奪い連勝スタート。DAZNで配信がなかったので詳しいことはわからないが、サッリ監督の戦術が早くも浸透しているようだ。ホアキン・コレアとカイセドが退団したが、フェリペ・アンデルソンが17-18シーズン以来の復帰。サッリの愛弟子ヒサイ、チェルシーで共闘したペドロに加えて、市場最終日にエラス・ヴェローナの10番ザッカーニも獲得。スクデット争いも可能なポテンシャルを感じるスカッドが完成した。

 ミランはホームでのラツィオ戦は過去31戦19勝11分1敗。1敗は19-20シーズン。ピオーリ就任4試合目だった。

 ミランは4月のラツィオ戦の敗戦以降公式戦負けなし。

 

カリアリ戦後の2週間

 チェルシーからバカヨコを一定条件で義務に切り替わる買取オプション付き2年ローンで獲得。報道によると買取金額は€15m。

 クロトーネからジュニオール・メシアスを買取オプション付き有償ローンで獲得。報道によると€2.6mの有償ローンに買取金額は€5.6m+ボーナス€1m。

 ボルドーからヤシン・アドリを獲得。同時に今季はボルドーにドライローンで残留。報道によると移籍金はボーナス込みで€10m。

 ドバイ万博とパートナーシップを締結。中国だけでなくアラブにもビジネスの触手を伸ばしていく。

 ジルーが連休明けの練習前の自宅での検査でCovid-19陽性反応。

 UCL登録メンバーが決定。コンティ、サムカス、ペッレグリが外れた。自国育成選手8人、クラブ内育成選手4人を満たせず23人しかAリストに登録できず。ダニマルやプリッツァーリらはBリスト。

Champions League group stage squads confirmed | UEFA Champions League | UEFA.com

 ジルーが陰性に。

 

先発&フォーメーション

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 ミランは自宅隔離明けのジルー、コンディション不良のメシアス、代表でふくらはぎを痛めたクルニッチが欠場。コンティとプリッツァーリも招集外。

 ラツィオはルカ・ロメロ、アンドレアンデルソン、ヴァヴロが招集外。アデカニェが負傷欠場。

 

スタッツ&控え

Match Report | 2021-22 | 3ª Match Day | Lega Serie A

 

ハイライト


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流れ

 ミランはレビッチとブラヒムで2CBとルーカスをケア、インモービレには2CBで対応する以外はマッチアップが明確な状態をミドルプレスで採用。レビッチがアチェルビ寄りに立ち、フリーのルイス・フェリペからビルドアップを開始させ、ブラヒムがルーカスへのコースを切りながら寄せていく。これに連動してトナーリがルーカスにもルイス・アルベルトにも寄せられる位置へ、フロレンツィも中央へスライド。ラツィオはミリサビ、ルイス・アルベルトインモービレへ縦パスを入れるが、準備万端なミラン守備陣に徹底的に潰されてカウンターを受けるので、ルイス・フェリペの持ち上がり、ヒサイやフェリペ・アンデルソンへのロングパス、ペドロがフリーになれるエリアまで降りて受けるプレーでボールを運ぶ。

 ミランのビルドアップはレオンとカラブリアが幅を取り、ブラヒムとフロレンツィがシャドー気味という配置の場面が多かった。テオを後方に置いておくことはレオンとマルシッチの1on1を作り出すための狙い。論理的に前線中央は3vs3になるが、ミランの3人それぞれが間にいるのでラツィオの2CBが動きづらいという有利な状況を作った。前進の1歩目としてはショートパスを繋ぐよりも、DFライン裏へのロングパスで相手を押し下げ、セカンドボール狙いやカウンタープレスで奪い返して安定したポゼッションに繋げるのがメイン。ラツィオは北川さん情報によるとメニャンからの繋ぎに対するハイプレスを練習してきたらしいが、そのような場面は全く出せずに、ミドルゾーンで中央寄りの4-5-1ゾーンで構える場面が多くなった。しかし、プレスの練度不足は明らかだった。

 16分、ルイス・フェリペからペドロが中盤に降りマークがズレたことでフリーになったヒサイへパス。ヒサイのアーリークロスをミリサビがヘディングシュートもメニャンがキャッチ。

 23分、敵陣左サイドでスローイン。ケシエが降りてきたブラヒムに投げる。ブラヒムは前を向き、ルーカスとルイス・アルベルトの間を通してフロレンツィへパス。フロレンツィはレビッチへフリックし、レビッチは右サイドを駆け上がってきたカラブリアへパス。カラブリアがワンタッチでシュートを撃つが枠を捉えられない。

 ラツィオゴールキックで再開。ルイス・フェリペからミリサビへのパスをケシエが潰し、こぼれ球をレビッチが拾う。判断を迷う間にアチェルビに掻き出されるが、フロレンツィが拾い、レビッチへパス。レビッチはブラヒムへフリックするが、ルーカスが掻き出す。しかし、今度はトナーリがこぼれ球をワンタッチで大外のレオンへクロスを入れるが、レオンのヘディングシュートは枠の左に外れる。

 35分、ルーカスの横に来てフリーになったペドロがボール受けて中央をドリブルで運びフェリペ・アンデルソンへパス。フェリペ・アンデルソンが縦に仕掛けて折り返すがロマニョーリインモービレにシュートを撃たせない。

 44分、中央でミリサビとインモービレがパス交換を連続させるが、トモリがインターセプトしすかさずブラヒムへパス。ブラヒムが横のレオンに渡し、テオもオーバーラップでカウンター開始。レオンがドリブルでルーカスをかわしPA前まで運びレビッチへパス。レビッチはワンタッチで冷静にレオンへ戻し、レオンも冷静にゴール左隅に流し込みミランが先制。

 47分、ショートコーナーからテオが入れたクロスをケシエが触ると上手い具合にインモービレと入れ替わる形になり、PA内ででインモービレがケシエのふくらはぎを蹴り上げてしまう。VARの結果PKに。しかし、ケシエがバーに当ててしまいミランは追加点の絶好のチャンスを逃す。

 1-0で前半終了。

 61分、ロマニョーリからマルシッチの裏に内側から抜けるテオへロングパス。テオが追いつき左から右へ切り返したボールをイブラが拾ってシュートもアチェルビがブロック。

 65分、ラツィオがカウンターを仕掛けるがルイス・アルベルトからザッカーニへのパスをカラブリアが防ぐ。こぼれ球をバカヨコ、サレマと繋ぎ、トナーリがワンタッチで左サイドに残っていたレビッチへスルーパス。レビッチが運びゴール前に折り返すと、ルイス・フェリペの股を通ったボールをアチェルビの背中を取ってフリーになったイブラが押し込んでミランが追加点を挙げる。

 81分、カラブリアからべナセルのパスをバシッチが狙い、べナセルのバックパスがインモービレへ。インモービレが左足を振り抜くがメニャンが弾き、こぼれ球も抑える。

 2-0で試合終了。

 

ミラン

 完全に試合を支配して勝利。つまり、完勝。ミラン史上初の2季連続開幕3連勝。

 まずプレッシングが良かった。レビッチとブラヒムで制限をかけて、相手のキーマンたちを徹底的に潰す。ルイス・アルベルトをトナーリ、ミリサビをケシエ、WGをSB、CFをCBが全く仕事をさせなかった。開始40秒で見られたレビッチのルーカスへのプレスバックで手応えを掴めたと思う。

 そして、チームの武器とも言えるトランジションで圧倒。チーム全体のトランジションに対する反応が素晴らしい。得点はどちらもカウンター。レオンのドリブルとトナーリのロングスルーパスで一気に裏返した。

 26分のネガティブトランジションは、トナーリがすかさずルイス・アルベルトにプレスをかけて前に繋がせず、下げたボールにもプレスをかけて逃げのロングボールを蹴らせて回収。

 ケシエとバカヨコの差はあったにせよ、イブラが入ってもそれらの質が下がらなかったのも良かった。

 

 トナーリはミスが全くなかったわけではないが、それでもプレス、トランジション、パス、ドリブルで圧巻のパフォーマンス。昨季の総括で個人的に期待したプレーを本当に全部やってくれている。苦悩の1年を経てさらなる成長曲線を描き始めた。べナセルはうかうかしてられない。熾烈なレギュラー争いと切磋琢磨を期待。

 レオンはキレキレ。守備も頑張った。レビッチは冷静な判断による2アシストは見事だったし、プレスやCBとの駆け引きなど地味な仕事を完遂してくれた。ブラヒムはもはやボールテクニックに長けた選手というだけでなく、攻守のキーマンと呼べる存在。

 イブラは流石としか言いようがない。得点はもちろんだが、それまでの試合の流れを汲んだプレッシングとネガティブトランジションもやっていた。自身の得点は自身のネガトラで奪った一連の流れだった。

 契約延長問題で揺れるケシエはピッチではやはり不動の存在だった。PKは失敗したが、ボールは奪われず、ミリサビには全く仕事をさせずチームを安定させるパフォーマンスだった。フリーでは出さんぞ。

 今季初出場のロマニョーリはPSMの好調ぶりをキープ。動きが軽快でトモリとともにインモービレを潰しまくった。ブラヒムへの縦パスも良かった。代表での疲労があるケアーを温存できたことも大きい。

 本職よりも1列前に入ったバロ=トゥーレは難なく試合に入り、抜群のスピードでボールを追いかけ、スッと伸びる足で先にボールを触り試合のクローズに貢献。逃げ切りのオプションの1つにできそうだ。

 バカヨコは相変わらずバカヨコだった。現状のパフォーマンスだとボランチの5番手とはいえ、怪我が重かったりするのは困る。

 

 水曜日は8年ぶりのCL。相手はかつてファイナルでやりあったリヴァプール。これまでの試合とは異次元の舞台と相手だが、緊張よりも興奮の方が遥かに上回る。今のチームは何も怖れる必要はない。全力でぶつかろう。

 

ラツィオ

 スタートは左ペドロ、右フェリペ・アンデルソンだったが、20分で入れ替え。ペドロはローマの時もそうだったが、試合状況から自分の判断でポジションを調整するのが非常に厄介。サッカーIQ高すぎ。

 自陣でのポゼッションが66%。ヒートマップで緑のエリアがアタッキングサードにない。

 シモーネの頃は2トップで相手のビルドアップに制限をかけ、限定したところを後ろが連動して奪いに行くスタイルだった。今の4-5-1で構える守備にインモービレも中盤の選手も取り敢えずコンパクトにセットはするがプレスの行き方に悩んでいるように感じた。

 

主審 Daniele Chiffi VAR Paolo Silvio Mazzoleni

 ファウルの基準が曖昧で両チームを混乱させる場面が多々あった。バカヨコのアチェルビ踏みは故意じゃないとはいえレッドカードレビューがなくて助かった。