自業自得記録地獄

主にACミランとセリエAに関する備忘録。

20-21セリエA第22節 vs スペツィア(A)

 連敗後は下位相手に連勝中の首位ミラン。今節は初めてのセリエAで健闘を見せる16位スペツィアとのアウェイゲーム。

 スペツィアはここまで5勝6分10敗28得点38失点。戦力を考えれば素晴らしい内容と結果を残している。しかし、ホームでの戦績は最下位。1勝しか挙げられていない。

 逆に、ミランはアウェイゲーム9勝1分無敗。ホームに弱いスペツィアvsアウェイに強いミラン

 

  • 先発&フォーメーション

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 ミランカラブリアが出場停止。ブラヒムが負傷欠場。レビッチが打撲で急遽ベンチ外。ダニエル・マルディーニが招集外。ケアー、トナーリ、べナセルが復帰。

 スペツィアはテルツィ、エンゾラ、ファリアス、ピッコリフェレールが負傷欠場。

 

  • スタッツ&控えメンバー    

Match Report | 2020-21 | 22ª Match Day | Lega Serie A

 

  • ハイライト


Spezia 2-0 Milan | Incredible Win As Spezia Take Victory Over AC Milan | Serie A TIM

 

  • 流れ

 ミランはCBとDHでビルドアップ。SBが高い位置、チャルハノールがリンクマン。対して、スペツィアはWGがSBに対応するために下がり、アグデロと中盤の3人で積極的にプレスをかけていく。チャルハノールにもCBが潰しに出ていく強気な守備で序盤からペースを掴む。

 スペツィアのビルドアップはGK、CB、アンカーの4枚にエステヴェスがサポートに入る形。WGは幅を取り、ボールサイドの逆のSBはインサイドに絞り、マッジョーレとアグデロが2トップ気味に。ミランはレオンが外切りでCBにアプローチするやり方で始めたが、上手くかわされたため、チャルハノールがアンカーを消してCBにアプローチするやり方に変更。

 10分、イスマイリが持ち上がりギャシへ縦パス。ギャシがスルーしたボールをヴィニャーリ、アグデロ、マッジョーレ、ギャシと繋ぎ、最後はアグデロがゴールに近づくがケアーがカバー。

 12分、スペツィアのCKはテオがクリアするが、拾ったサポナーラがべナセルをかわしてシュート。しかし、ドンナルンマがビッグセーブ。

 29分、テオからの縦パスをイブラがサレマーケルスへ展開しカウンター。レオンのクロスが防がれてCK。チャルハノールのボールにロマニョーリがニアで合わせるが枠に飛ばない。

 37分、敵陣深くからのテオのクロスは繋がらずスペツィアのカウンター。バストーニからアグデロへロングパス。追い越したエステヴェスがシュートを撃つがロマニョーリがブロック。

 前半はスペツィアが主導権を握りながらも0-0で終了。後半もスペツィアペースで再開。

 55分、エステヴェスのパスをインターセプトしたテオがそのまま持ち出していくがアグデロがプレスバックして奪い、べナセルをかわしてギャシに繋ぐ。ゴール前でリターンを受けると、中央を駆け上がってきたリッチに繋ぐ。リッチがドンナルンマと1vs1になったがロマニョーリがボールを突く。こぼれ球をマッジョーレが押し込んでスペツィアが先制。

 64分、良くなる気配がないミランはレオン、べナセル、ケアーに替えてマンジュキッチ、メイテ、トモリを投入。左にチャルハノールでマンジュキッチイブラヒモヴィッチの2トップ。

 66分、ダロトがバストーニのスローインで抜け出したサポナーラをPKギリギリのエリアで倒してFK。エステヴェスが斜め後ろに下げたボールをバストーニがゴールに突き刺しスペツィアが2-0とする。

 90分、カスティジェホのFKにファーでマンジュキッチが頭で合わせるが枠に飛ばない。

 92分、メイテからハウゲへのパスをヴィニャーリがインターセプトして持ち上がりギャシへ。ギャシから大外へのクロスをダロトがクリアするが、拾ったアカンポラがミドルシュート。右上の角に直撃。

 終始スペツィアがペースを握り2-0の完勝。

 

 何もできずに完敗。アウェイの連続得点もストップ。屈辱の枠内シュート0本。 

 

 ハイプレスを仕掛けてくるチームとGKを使ってプレス回避するチームが苦手だというのがはっきりしてきたかもしれない。シュートはスペツィアの15本に対して7本。スペツィアは1人しか選手交代を行なっていないのに走行距離も約4kmの差があった。

 ポゼッションは52%ながら、自陣でのポゼッションが79%。強度の高いプレスに対していかに前進できなかったかがよくわかる。

 べナセルもケシエもチャルハノールも常に厳しい監視下にあり、ボールの落ち着きどころがなかった印象。個人的にはサレマに替えてマンジュキッチを右サイドに置いて起点にしたいと思った。そして、そもそも先発のCFは絶対にカウンターが刺さる相手だったのでレオンが良かった。サイドの裏に流れて受けて起点になれたはず。まあ、イブラを使わないという選択も難しいか…

 序盤にイブラがサイドに流れて突破した場面や、後半のケシエがロマニョーリ脇に降りてべナセルが前で受けてプレスを剥がしてイブラにロングボールを入れた場面など良さそうなプレーも単発で終わってしまった。

 ツインタワー建設後はロングボールが増えて敵陣でプレーする時間も増加したが、本来やりたい押し込んでツインタワーにクロスを上げるという形はほぼ作れなかった。

 ハイプレスはピッチを広く使う相手の立ち位置に対応できず、プレスのズレを的確に突かれた。ビルドアップが上手いチームとの試合では機動力抜群のトモリが必須になってくる予感がある。

 得意のカウンターもカウンターになる前にスペツィアのネガティブトランジションによって潰されてしまう場面が目立った。

 

 チャルハノールが最悪のプレー。ダメすぎて驚いた。前節はキングが帰ってきたと喜んでいたら、コレ。高低差ありすぎて耳キーンのやつ。

 ダロトは攻守にカラブリアの不在を感じさせてしまうプレー。独力でのプレス回避はカラブリアでも難しそうだったが、パスの出し手としてできることがもっとあったかもしれない。

 ケアー、べナセルが帰ってきたが状態が良いとは言えなさそう。2人とも再発が心配。

 

 次は中4日でELアウェイツルヴェナ・ズヴェズダ戦、中2日でミラノダービー、中3日でELホーム、中2日でアウェイローマ戦と重要な試合が続く。今回の内容と結果で今後に不安が募るが3月下旬まで突っ走るしかない。

 

  • スペツィア

 カピターノでビルドアップが上手いテルツィ、エースのエンゾラ、ドリブラーのファリアスら主力を欠きながらも完勝。

 直近10ゴールのスコアラーがバラバラでどこからでも得点できる。

 アグレッシブなプレスもプレスバックもカウンタープレスも囲い込みの速さも全員が意識高く行なっていた。交代も負傷した様子だったマッジョーレだけで最後まで走り続けた。

 エルリッチとイスマイリが強度の高い守備と強気なラインコントロール。テルツィ不在でビルドアップ力が落ちるかと思ったが、悪い失い方がなかったうえにフリーであれば持ち上がり繋ぐのが2人ともできていた。

 攻撃性能は高いが、守備難の印象があったバストーニ。この試合は裏を狙われず。

 本職はOHかWGのアグデロが逞しいキープでCFとして起点を担っていた。

 快速WGの雰囲気を纏っているギャシだが、特徴はフィジカルを生かしたキープとインテリジェンスを感じさせるポジショニング。監督が使い続けるのがわかる。シーズンの最初の方はイメージが先行して理解できていなかった。

 ビルドアップとプレッシングでよく働いたリッチとエステヴェスが走行距離トップ2。

 サポナーラがまさかの平均スプリントスピード時速36km。意外と速い。トップ下で生きてきたキャリアだが本天職はWGだった?

 イタリアーノ監督は引く手数多だろう。ナポリがサッリ期の再現を目指して招聘したら絶対におもしろい。

 

  • 主審 Daniele Chiffi

 VARはマッツォレーニ

 特になし。