自業自得記録地獄

主にACミランとセリエAに関する備忘録。

20-21EL Round32 1st leg vs FKツルヴェナ・ズヴェズダ(A)

 まさかの惨敗と首位陥落から中4日、ベオグラードで再起を図りつつ、中2日で迎えるダービーへの調整もしなければいけないミラン。無観客のため熱狂的なレッドスターサポーターの雰囲気に呑まれる心配はなさそう。

 レッドスターセルビアリーグ5連覇中。今季も19勝2分55得点8失点という圧倒的な成績。今季の公式戦の敗戦は10月23日のホッフェンハイム戦のみ。監督はあのスタンコヴィッチ。ファルチネッリ、ファルコというセリエA経験のあるイタリア人も在籍。

 

  • 先発&フォーメーション

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 ミランはブラヒムとダニエル・マルディーニが負傷欠場。ハウゲがEL登録外。マンジュキッチが初先発。

 ツルヴェナ・ズヴェズダはカタイとニコリッチが負傷欠場。 

 

  • スタッツ&控えメンバー

Crvena zvezda-Milan | Line-ups | UEFA Europa League | UEFA.com

 

  • ハイライト


Crvena zvezda - Milan 2:2, highlights

 

  • 流れ

 レッドスターは5-3-2のミドルプレスでミランのCBとDHに圧力をかけていく。しかし、ミランも時間を得たGKを起点に開いて受けるトモリや、WBから離れたSBから前線の4枚に供給していく。前進されるとベンが下がって5-4-1で構えるが、ミランが押し込んで攻撃する時間はほとんどなかった。

 ミランは噛み合うシステムのままハイプレス。レッドスターはハイプレスに対して繋ぐ意識は高くなく、2トップへのロングボールからCBの裏に抜け出す選手を使うシンプルな形を狙う。メイテが来ない位置に降りてゲームメイクをするカンガを中心にミドルゾーンで保持できた際は、WBでSBを釣り出し、SBとCB、2CBの間を抜け出す意識を持っていた。

 5分、レッドスターのFKのこぼれ球からミランのカウンター。べナセルが粘って、クルニッチがレビッチに繋ぎ、リターンを受けたクルニッチから斜めに抜け出したカスティジェホへスルーパス。カスティジェホがゴールに流し込むがオフサイドの判定。

 8分、カルルがインターセプトし、べナセル、メイテ、クルニッチとテンポ良く繋ぎ、レビッチへ。レビッチがシュートを撃つがボージャンがセーブ。

 11分、テオからサムカスへ斜めに差し込む。オーバーラップしたカルルのクロスをマンジュキッチが折り返すとテオが押し込んでミランが先制したかと思われたが、テオのハンドがとられノーゴール。

 18分、カンガのパスをテオがインターセプト。レビッチ、マンジュキッチ、クルニッチ、サムカスと繋ぎ、最後はクルニッチがミドルシュートを撃つがボージャンがセーブ。

 19分、トモリからレビッチへクリア気味のパスが通るが、ゴベリッチがボールを突き、ベン、ファルチネッリ、ベンと繋ぎ、カルルとトモリの間を抜け出したイヴァニッチがスルーパスを受けシュートを撃つがドンナルンマがセーブ。

 21分、トモリからマンジュキッチの裏に潜ったクルニッチへロングパス。クルニッチが収めて、レビッチへラストパス。レビッチのシュートは右上に外れてしまう。

 24分、テオの苦し紛れのクリアを拾ったカンガから横パスを受けたイヴァニッチがべナセルをかわしてミドルシュート。しかし、ドンナルンマがセーブ。

 33分、イヴァニッチが左サイドに開いて受け、SB−CB間を抜け出したロディッチへスルーパス。クロスは流れるが、ゴベリッチの折り返しをファルチネッリがヘディングで合わせるがトモリに当たりCK。

 38分、右ハムストリングを痛めたべナセルに替わってトナーリが投入される。

 41分、ボージャンからベンへのロングボールをロマニョーリがテオに繋ぐ。テオからクルニッチへのパスはズレたがレビッチが拾いサムカスへ。サムカスは縦に仕掛けて折り返すとパンコフがオウンゴールミランが先制。

 45分、CKのセカンドボールからカンガのクロスをファルチネッリが反らしてミルノヴィッチがシュートも枠の上に外れる。

 0-1で前半終了。

 ミランは後半からレビッチに替えてレオンを投入。

 47分、カルルからマンジュキッチへのパスを競り勝ったミルノヴィッチからファルチネッリへのパス。イヴァニッチが前向きのサポートで一気にDFラインを破る。ベンがシュートまで持ち込むが角度が厳しくドンナルンマがセーブ。

 50分、デゲネクからピッチ中央のカンガへパス。カンガからSB−CBのスペースを突いたイヴァニッチへロングパス。イヴァニッチがトナーリをかわし、2CB間を抜け出したファルチネッリへスルーパス。ファルチネッリのシュートがロマニョーリの腕に当たりPKの判定。これをカンガが決めて同点。

 56分、カンガのクロスをドンナルンマが捕球してすぐにトナーリに繋ぎカウンター。トナーリがゴベリッチをかわして運びテオへスルーパス。テオがパンコフに倒されてPK。これをテオが自ら決めて勝ち越し。

 66分、マンジュキッチがプレスバックでインターセプト。メイテから左サイドで受けたレオンがパンコフをちぎってサムカスへ折り返し。ミルノヴィッチに当たったボールをサムカスが撃つがボージャンがセーブ。

 76分、トナーリのロングパスに抜け出そうとしたカルルをロディッチが倒して2枚目のイエローカードで退場。レッドスターはデゲネクをLSBの4-4-1に変更。

 81分、チャルハノールのFKにニアでメイテがヘディングで合わせるがボージャンがセーブ。

 92分、カンガのCKをメイテの前に入ったパヴコフが頭で合わせるとボールは綺麗な弧を描きファーサイドのネットを揺らす。土壇場で10人のレッドスターが同点に追いつく。

 2-2で1stレグが終了。

 

 内容も結果も良くはなく、流れと後味は最悪。ポジティブなのはケアー、ケシエ、イブラを温存し、AGを2つ奪って帰れることか。

 ミラン対策として定着しているDH潰し。これに加えてSBも潰されると蹴るしかなくなるが、全体的な守備強度がそれほど高くなく、カルルとテオには比較的余裕があり、サムカスが上手くアンカー脇のスペースでボールを引き出した。カウンター局面でのクルニッチ、レビッチ、マンジュキッチらの連携も良く、前半はカウンター中心に良い攻撃が見られた。後半は強度を上げてきた相手に対して前半ほど繋げられないうえに、レオンがレビッチのように絡めず。

 ハイプレスは蹴らせて奪うことはできたが、最大の目的は高い位置で奪ってショートカウンターなので狙い通りというわけではない。ミドルプレスは3バックvs4バックの構造的なズレを教科書通りに使われた。前線のプレスに対する連動性も低かったように感じた。チャンネルはDHがカバーする約束でずっとやってきているので、今更守り方を変えないだろうし、そんな時間も無いと思うが、今後はよりハイクオリティな3バックの相手が続くだけに心配。マンジュキッチの献身的な守備は流石だった。

 

 子供の頃はレッドスターファンだったというクルニッチが攻撃で存在感を発揮。ic組の連携が良さげ。

 テオは攻撃の起点からPA内への走り込みまで効果的なプレーをしていた。PKも上手い。

 カルルはまた評価を上げるプレー。奪う、繋ぐ、走る。どれも良い。

 べナセルのハム再発は予想通りすぎて何も言えねえ…

 

 次は中2日で天王山のミラノダービー。日程は厳しすぎるが勝つしかねえので。

 

 通常の基本システムは4-2-3-1だと思うが5バックを採用。アンカー周りのスペース管理が甘かったのか。プレスを強めるのか、退くのか。追う展開になった後半はSBへのアプローチを強めてきた感はあった。

 ファルコ投入後は保持時の3-4-2-1感が強まった。

 左ハーフスペースの主、4番イヴァニッチ。インテリジェンスを感じるポジショニングと動き、周りを生かせる技術。良い選手。

 1G1Aかつポゼッションの中心、8番カンガ。

 

  • 主審 Tasos Sidiropoulos (GRE

 VAR Bastian Dankert (GER)

 特になし。GREとGERって紛らわしい。