2020年の勢いに陰りが見られる2位ミランと今季はスクデットが至上命題の首位インテルによる今季3度目のミラノダービー。ミランはEL明けで中2日なのに対して、インテルは1週間の準備期間。
インテルはここまで15勝5分2敗54得点24失点。前節の勝利で、ミランと勝ち点1差の首位に躍り出た。
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先発&フォーメーション
ミランはべナセル、マンジュキッチ、ダニエル・マルディーニが負傷欠場。ブラヒムが復帰。
ドンナルンマが史上最速でセリエA通算200試合出場達成。
200 - Gianluigi Donnarumma becomes today the youngest player to cross the milestone of 200 appearances in #SerieA in the era of three points for a win: with 21 years and 361 days he beats the previous record set by Gianluigi Buffon (24 y, 83 d). Golden.#MilanInter
— OptaPaolo (@OptaPaolo) 2021年2月21日
レビッチが公式戦50試合出場達成。
Achievement unlocked: Ante Rebić 5️⃣0️⃣ appearances ❤️🖤#MilanInter #SempreMilan pic.twitter.com/K1S5YwdmZP
— AC Milan (@acmilan) 2021年2月21日
インテルはセンシが負傷欠場。
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スタッツ&控え
Match Report | 2020-21 | 23ª Match Day | Lega Serie A
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ハイライト
Milan 0-3 Inter | Inter Go Four Points Clear! | Serie A TIM
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流れ
インテルのGKからの繋ぎに対して、ミランはWGが中切でプレス。これにはインテルはCFがSBの裏に抜ける動きで対抗。
インテルの5-3-2ゾーンのミドルプレスにはカラブリアが3バック気味に立ってビルドアップ。サレマーケルスが幅を取りペリシッチを留めて、カラブリアがエリクセンを引き出してズレを作ろうという算段。
4分、シュクリニアルから外のハキミ。ハキミが縦に流し込んでルカクがロマニョーリを置き去りに。ラウタロへのラストパスはケアーがカットするが、こぼれ球をルカクがクロス。ケアー時カラブリアの間でフリーのラウタロが頭で押し込んでインテルが先制。
14分、左のチャルハノールからレビッチ、ケシエ、カラブリアと繋ぎサイドチェンジ。カラブリアがファーのイブラへアーリークロス。こぼれ球をテオが折り返し、インテルDFのクリアミスをイブラがヒールで狙うがハンダノヴィッチの守備範囲内。
32分、ケシエからのアーリークロスをバストーニがクリアミス。テオが拾い右足でシュートを撃つが枠の左に外れる。
35分、ハキミから開いたバレッラへ。バレッラから受けたルカクがペリシッチへサイドチェンジ。ペリシッチがカットインし右足を振り抜くがドンナルンマがセーブ。こぼれ球をラウタロが詰めるが決められない。
43分、サレマーケルスがエリクセンのパスがズレたバストーニにプレス。バストーニが前線へ蹴るがサレマーケルスがブロック。こぼれ球をイブラが拾い、中央のチャルハノールへ。チャルハノールからレビッチへのラストパスのタイミングが合わず。
46分、右サイドからインテルのFK。エリクセンのボールをファーでシュクリニアルがヘディングシュート。僅かに枠の上に外れる。
前半は0-1で終了。中盤まではインテルペースだったが、終盤は徐々にミランが盛り返してきた。
46分、ミランのCK。チャルハノールのボールをケシエがデ・フライを抑えてフリーになったイブラがヘディングシュート。しかし、ハンダノヴィッチが弾き出す。更にスローインからサレマーケルスのクロスをファーでハキミの上から叩くが、これもハンダノヴィッチが弾き出す。このあとも押し込み続け、チャルハノールのミドルシュートのこぼれ球をトナーリがミドルシュート。しかし、三度ハンダノヴィッチがスーパーセーブ。
54分、ケアーから2トップ間で受けたケシエがターンしてチャルハノールへ。チャルハノールからシュクリニアルの背後を取ったイブラへパス。イブラの頭での折り返しにケシエが飛び込むがバストーニがブロック。
56分、インテルのゴールキック。ハンダノヴィッチ、デ・フライ、シュクリニアル、バレッラを経由しルカクへ繋がる。ルカクがキープするとハキミが内側を駆け上がりルカクとスイッチ。抜け出したハキミが中央のエリクセンに繋ぐと、ペリシッチの折り返しをラウタロが仕留めてインテルに追加点。
62分、ハンダノヴィッチからのロングボールをケアーが弾き返すが、セカンドボールをラウタロが拾い、バレッラからCB間を抜け出したルカクへスルーパス。ルカクがケアーを滑らせてシュートを撃つがドンナルンマが弾き出す。
64分、シュクリニアルからペリシッチへサイドチェンジ。バストーニ、デ・フライとボールは下がるが、デ・フライからのパスをペリシッチがワンタッチで前線へ蹴りこむ。これをルカクが収めると、前を向きロマニョーリなど居ないも同然のように運びゴール左隅を射止める。インテルが3点目。
88分、レビッチがミドルシュートを撃つがハンダノヴィッチが弾き出す。
0-3でインテルが勝利し首位固め。ミランの後半最初の猛攻を抑え、追加点と3点目を奪い勝負あり。
不安通りの敗戦で、3試合連続複数失点で勝利なしということになった。だが、後半最初の決定機のどれかが決まっていれば流れがミランに来ていたかもしれないと思うと悔しい。
GKから繋ぎ、前線にスペースを創るインテルに対して、ハイプレスがハマらない。中央を一気に通されるのを嫌ってサイドに誘導しても、テオがハキミにアプローチしきれない、またはコースの限定が甘く、結局ルカクにもバレッラにもボールが入ってしまう。ルカクvsロマニョーリの分が悪いのはわかりきっていたことなのでもっと効果的な対策を持っていてほしかった。インテルのサイドでどちらが怖いかと言えば、確実に右なので、左に誘導する。バストーニに入れさせて、チャルハノールがブロゾヴィッチを消しながらアプローチ、サレマがペリシッチ、トナーリがエリクセン、ラウタロにケアーがついていくがカラブリアがカバー。このようなチャルハノール起点のプレスはこの試合ではなかったと思うので見てみたかった。
これまでプランAハイプレスの1本槍でほとんどの試合を戦い勝ってきたが、強度の低下が否めない最近の試合から守備プランBの必要性が急騰している。「3バックには3バックで対抗」、「ミドルゾーンでブロックを組む」など選択肢がほしい。完全に対策されるチームになった故、試合毎でも、試合中でも、プランB、Cに変更できる柔軟性が求められている。
攻撃は見返してみると良い場面が何度かあった。2トップ脇、3CH脇を使うことは共通認識として持っており、実際に2点目を取られるまでは有効的に使えていたと思う。カラブリアがエリクセンを釣り出した後に、トナーリやチャルハノールがエリクセンが空けたスペースに入ってパスを受けたり、そのスペースを埋めようと前に出てくるバストーニの裏を取ったり決して悪くなかった。16分のサレマ、イブラ、トナーリで崩したがレビッチへの折り返しをバレッラにカットされた場面はラストパス次第では決定機になっていた。37分もトナーリがサイドからエリクセン脇を斜めにパスを刺してサレマのフリックでチャルハノールが抜け出してあと1歩のところまでは行っている。
インテルが3点目を奪ってからは完全に撤退したため、攻略法を見つけられなかった。イブラが交替したことで放り込みによるワンチャンの可能性は皆無。何故こういうときに限ってマンジュキッチもいないんだ。引かれるとレオンのスピードを生かすスペースもなく、ミドルシュートやセットプレーでワンチャンを狙うしかなかった。
遂にカピターノロマニョーリをレギュラーから外す時が来たのかもしれない。私は以前にトモリが必須になると書いたが、ロマニョーリを外せとは書けなかった。なぜならミランのキャプテンとしての責任、重みを度々口にしていたから。だが、個の力が高い相手を前にすると無力になるのがいつまで経っても変わらない。これまではロマニョーリに比肩するCBがいなかったから出続けていたが、今はトモリがいる。あとはピオーリ次第だ。
次は中3日でEL2ndレグ、中2日でアウェイローマ戦。ズルズルいかないように、誰か起爆剤になってくれ。
チームとしての完成度、個の質で大きな差を見せつけられた。
特に自陣でのプレス回避による擬似カウンターはコンテ就任時からやり続けているだけあって、ハンダノヴィッチもシュクリニアルも冷静で上手い。右サイドで前進すると、逆サイドを上がってくるペリシッチも非常に厄介だった。
ヴィダルからポジションを奪った感のあるエリクセン。良さが全く異なるので使い分けしやすそう。引いてくる相手ならエリクセン、保持したがる相手にはヴィダル。
ルカクの3点目のシュートはエグい。
ハンダノ神。
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主審 Daniele Doveri
VARはマリアーニ。
特になし。