自業自得記録地獄

主にACミランとセリエAに関する備忘録。

21-22CLGS第1節 vs リヴァプール(A) 糧になる負け

 ミランが8年ぶりに出場するUEFAチャンピオンズリーグ。その復帰戦の相手は、2度決勝で戦った因縁があるリヴァプールアンフィールドでの対戦は初めて。

 リヴァプールは3勝1分でプレミアリーグ3位。失点は僅か1。3勝の相手は17位、18位、20位。

 リヴァプールから素敵な動画。

 

ラツィオ戦後の2日間

 ラツィオ戦でバカヨコに対してラツィアーレから人種差別的なチャントがあったかどうか解明するため、ミランは連邦検察庁に訴えかけることを発表。

 ラツィオ戦後、イブラがアキレス腱の違和感を訴えたためリヴァプール戦を回避。ユヴェントス戦に準備。

 

先発&フォーメーション

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 ミランはイブラ、クルニッチ、バカヨコ、メシアスが欠場。トナーリは体調不良明けでベンチスタート。プリッツァーリが招集外でユングダルがベンチ入り。ペッレグリ、サムカス、コンティは登録外。

 リヴァプールはフィルミーノ、エリオット、ネコ・ウィリアムズが負傷欠場。

 

スタッツ&控え

Liverpool-Milan | Stats | UEFA Champions League | UEFA.com

 

ハイライト


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 ピッチレベルの映像と音声。興奮する。


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流れ

 ミランはCBが開き、DHが相手3トップの間に立ち、ブラヒムがフリーマン。リヴァプールミランのCBが持つとオリギがCB同士のパスコースを切る。IHは縦パスのコースを切りながらDHへのプレスも準備。ボールサイドのWGはSB切り、逆サイドのWGはCBに戻った時のプレスの準備。ファビーニョが前後左右全てをサポート。

 ミランの人重視のプレッシングに対して、リヴァプールのビルドアップはSB、IH、WGによるローテーションでスペースとフリーの選手を作り前進していく。

 2分、オリギがメニャンにプレスをかけて蹴らせてマティプが回収。ケイタがサイドに流れべナセルを釣り出したスペースにジョタが降り、ロバートソンからパスを受ける。フリーのジョタが運び、左サイドを駆け上がったロバートソンへパス。ロバートソンのワンタッチクロスをオリギが合わせるが上手くミートできず。

 4分、ミランのビルドアップにプレスをかけ、ケシエからカラブリアへのパスをロバートソンがインターセプトPA内で受けたジョタがシュートを撃つがトモリが身体を投げ出しブロック。

 5分、ミランが相手CKのセカンドボールを拾い中盤でキープ。右から左へ展開。CB2人の間から裏を狙うレビッチにテオからスルーパスが出るもオフサイド

 8分、トモリのクリアをリヴァプールが回収。マティプから受けたアレクサンダー=アーノルドは外に張ったサラーへパス。ヘンダーソンが空けたハーフスペースに入ったアレクサンダー=アーノルドがリターンを受け、PA内まで持ち込み折り返すと、トモリがブロックしたボールがゴールに吸い込まれてリヴァプールが勢いのままに先制。

 11分、リヴァプールが中盤からアリソンまで下げてやり直し。ジョー・ゴメス脇に降りたナビ・ケイタから中盤に降りたジョタへ。ジョタが運びCB2人を引きつけてサラーへ。サラーがテオを切り返しでかわし右足を振り抜くがトモリが爆速で戻りブロック。

 12分、リヴァプールのCKをクリアするがジョー・ゴメスが回収し、パスを受けたロバートソンがファビーニョとのワンツーでPA内に侵入しシュートを撃つとべナセルの腕に当たりPKの判定。しかし、サラーのシュートはメニャンがセーブ。こぼれ球に突っ込んだジョタのヘディングもメニャンが防ぐ。

 29分、ブラヒムのボールロストからカウンターを受けるが、オリギからサラーへのパスはケシエがカットし外に蹴り出す。しかし、すぐにロバートソンがスローインで再開。ナビ・ケイタからケシエのポジション移動間に合わなかったスペースのヘンダーソンに繋ぎ、最後はサラーがミドルシュートもメニャンが防ぐ。

 35分に表示されたスタッツ。ポゼッション55-45。リヴァプールシュート14、CK10。ミランシュート1、CK0。

 41分、ケアーからサラーが戻れていないヘンダーソンの脇に降りたブラヒムへパス。ヘンダーソンが寄せずに下がったことでフリーになったブラヒムからファビーニョとナビ・ケイタの間に顔を出したサレマへパス。サレマが運びレビッチと交差して中央に来たレオンへ。レオンはワンタッチでフリーのレビッチに渡すとレビッチもワンタッチでゴールへ流し込みミランが同点にする。

 43分、リヴァプールのキックオフ後にミランがプレスをかけて奪うが奪い返されてカウンターを受けるものの、ジョタからナビ・ケイタへのパスがズレたところをべナセルがカットし左サイドのレオンへ繋ぐ。テオが素早くサポートに入り、レオンがテオとのワンツーで左サイドを突破。レオンは中央へ運び、中央から左に流れたレビッチへパス。レビッチはワンタッチで中央のテオに折り返し、テオがシュートを撃つがロバートソンが懸命のゴールカバー。しかし、こぼれ球をブラヒムが押し込みミランが2分で逆転。

 1-2で前半終了。

 後半はミランのキックオフで開始すると、いきなり前へ繋いでいく。ブラヒムからキックオフのボールを受けたレオンが運びCKを得る。テオがブラヒムとのショートコーナーからクロスを入れると、ヘンダーソンが空振りしたボールをファーのケアーが押し込みネットを揺らすが、テオがオフサイドでノーゴール。

 47分、マティプからレオンの裏のアレクサンダー=アーノルドへ速いパス。サラーへのパスを防ぎに行ったケシエが空けたスペースに入ったファビーニョが横パスを受けサラーへ。サラーは近距離でオリギに預け裏へ。オリギが見事なループパスを裏に送ると抜け出したサラーがきっちり決めて再び試合は振り出しに戻る。

 67分、リヴァプールのCKのセカンドボールをロバートソンが拾い、中央のジョー・ゴメスからジョタへ縦パス。ジョタの落としを受けたマティプPA内までドリブルで特攻するとカラブリアに突かれたボールがジョタに渡り、ジョタがトモリをかわして右足を振り抜くがケアーがブロック。リヴァプールのCK。ニアでべナセルが頭でクリア。しかし、このボールをペナルティアークにいたヘンダーソンがダイレクトボレー。これがゴール左隅に突き刺さりリヴァプールが逆転。

 2-0で試合終了。

 

ミラン

 いろいろな戦い方が考えられたなかでがっぷり四つで組み合い完敗。個人的には5-3-2でブロックを組むのが失点を避けながらカウンターも狙える現実的なプランだと考えていたが、ピオーリのチームは世界最高峰の相手に対して、要塞アンフィールドで自分たちの現在地を試すように真正面から戦った。結果的にリヴァプールの良さを引き出すことになり、早く速いリヴァプールのプレーリズムに面食らったが、超劣勢のなかで一時は逆転まで持っていったうえで負けた悔しさと経験は普段着のまま戦ったからこそ得られたものだ。CL出場をかけた昨季最終節アタランタ戦のように大一番ではブロックを組んで守り勝つ選択もしてきた事実もある。それでも、恐らくグループステージで最も難しいと思われるアンフィールドでのリヴァプール戦が初戦と決まった時から、特別なことはせずにありのままで戦うとピオーリは決めていたのかもしれない。重要なのは今回の敗戦で得たものを成長の糧にすること。今のチームには期待しかない。Forza Milan!!!!!!!

 

 リヴァプールのプレスの精度と速度はセリエAのそれとは全く別物だったことで効果的なビルドアップをなかなかさせてもらえなかった。ショートパスを繋ごうとしていた序盤は特に苦しかった。それでもトモリは15分、28分、36分、38分にMFラインを破るパスを出している。トモリがCBの裏にロングボールを入れ中央にセカンドボール狙いで4人が集結した40分の場面のように、地上で繋ぐ時とロングボールを蹴る時の使い分けができれば早い時間から落ち着いて戦えたかもしれない。

 プレッシングも上手くいかなかった。ラツィオ戦と同様の狙いだったと思うが、ラツィオとは比較にならない思考スピードとオートマチックなポジションチェンジでプレスをズラされてしまった。LSHがレオンやレビッチの場合、前でボールを奪ってカウンターで生かしたいという考えが常にあるチームなので、段差ができることは今更言ったって仕方がない。昨季、チャルハノールやクルニッチが入った場合はしっかりMFラインを形成していた。

 1失点目は数的同数のエリアでアレクサンダー=アーノルドに完全に背中を取られてしまったレオンに責任があるが、2失点目は難しい問題だと思う。リヴァプールヘンダーソンマティプ脇に降り、アレクサンダー=アーノルドが幅取り、サラーがテオとトモリの間という状況。f:id:incursore:20210917152325j:image

 まず、マティプからアレクサンダー=アーノルドへのパスをレオンがカットしてほしかったが、レオンはサラーへの縦パスのコースは切れていたのでマティプのパススピードを褒めるべきか。気になったのはその後の対応。

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 レオンがアレクサンダー=アーノルドに寄せ、ケシエがサラーへのパスを切る。しかし、ファビーニョへ横パスのコースが生まれ、結局、サラーとオリギに崩されてしまった。ファビーニョにはべナセルが寄せに行ったが、そもそも距離がありプレッシャーにはならなかった。

 どうすれば防げたか考えると、まずはレオンとケシエの動きに対してブラヒムが戻ってファビーニョをケアするべきだった。まだ後半の立ち上がりで体力的に問題はなかったはず。もう一つはラストパスを出したオリギへの寄せがもう一歩行ければ防げたかもしれない。

 しかし、総合的に考えるとリヴァプールのクオリティが高かったと言わざるを得ない。マティプのパススピードが緩ければアレクサンダー=アーノルドに時間は与えられずにテオとトモリがスライドするという対応もできたかもしれない。アレクサンダー=アーノルドのトラップもまた素晴らしい。ラストパスのところもフィルミーノならわかるが、オリギがあんなアイデアを持っていたなんて聞いてない。

 一方、ミランの2得点も素晴らしかった。1点目は、まずレビッチがブラヒムがオープンになったタイミングで裏へのアクションを起こしジョー・ゴメスを押し下げたことでサレマが運ぶスペースが生まれ、レオンがレビッチとクロスすることでマティプとジョー・ゴメスの判断がバグった。2点目は得意のポジティブトランジション。テオのサポートの判断が早かった。

 

 メニャンはまた株を上げた。PKセーブがなければ前半で試合が終わっていてもおかしくなかった。

 ケアーとトモリもよく身体を張った。特にプレミアリーグ経験者のトモリは全く負けていなかった。良い縦パスも出していたし、CLで活躍すればイングランド代表復帰も大いにあり得るでしょう。

 アンカー脇でボールを引き出したブラヒムは今季初のフルタイム。90分以上出場したのは昨季のコッパ・イタリアトリノ戦以来。かなりプレータイムが増えているので怪我が怖い。メシアス何してんのー?

 レオンは2点に絡んだが、それ以外は良くなかった。

 レビッチも2点に絡み、プレスや裏抜けも頑張った。

 ケシエはかなり広範囲をカバーして頑張ったとは思うが、年俸上げたいなら1人でゲームを作るくらいやってくれ。

 べナセルは試合に良い影響を及ぼすプレーが少なかった。昨季からなかなか状態が上がらない。代わって入ったトナーリがパワフルなプレーを見せただけに残念。

 

 

 次は中3日でアウェイのユヴェントス戦。今季カンピオナート未勝利のユヴェントスはCLで勝利し相当気合いが入っているはず。ミランとしては激闘後の疲労が心配だが公式戦の連敗は避けたい。

 

リヴァプール

 プレス、パスのテンポが速い。スペースに人が動くことで連鎖的に別のスペースを創出することの徹底。世界最高レベルのチームから得られるものは大きかった。サン・シーロでの再戦が楽しみ。

 

 

主審 Marciniak VAR Kwiatkowski

 ポーランドのセット。特になし。