自業自得記録地獄

主にACミランとセリエAに関する備忘録。

21-22セリエA第18節 vs ナポリ(H) 現状の限界

 僅か1試合で首位の座から陥落した2位ミラン。2021年ラスト2試合は4位ナポリ戦と、そのナポリに前節勝利した8位エンポリ戦で、ちょうどキリよく1周目の対戦も終わることになる。どちらも非常に厳しい試合になると思われるが、絶好調のインテルに離されないためにも敗戦は避けなければならない。

 

 今季のナポリはここまで11勝3分3敗の4位。開幕8連勝と最高のスタートダッシュに成功したものの、ミラン同様に負傷者続出に苦しみ、前前節に首位陥落。ただ、ミランより試合内容は良い。

  • 今季アウェイゲーム5勝2分1敗、17得点7失点。1敗はサン・シーロでのインテル戦。
  • 34得点はリーグ4位。セットプレーから7点。どの時間でも4点以上奪っているが、顕著なのは後半序盤の9得点。メルテンスオシムヘン、ジエリンスキ、ファビアン・ルイスが5点でチームトップ。インシーニェは4点。ラフマニがヘディングで2点。
  • 13失点はリーグ1位。無失点試合は9試合でリーグ最多。後半序盤は無失点。失点が目立つのは後半の中盤で6失点。
  • シュート数3位。枠内シュート数2位。インシーニェがリーグ2位タイ、オシムヘンが16位。チーム3位はロサーノ。メルテンスは14本中枠内5本で5得点。
  • クロス成功数17位。失敗数19位(少)。
  • 枠に当てた回数8回で3位タイ。
  • イエローカード数最少タイ。
  • 1試合平均走行距離16位。個人ではザンボ・アンギサが8位、ロボトカが10位、ファビアン・ルイスが11位。
  • ポゼッションタイム4位。自陣7位。敵陣1位。1試合平均パス成功率、数ともにリーグ1位。
  • インシーニェとジエリンスキが4アシストでリーグ7位タイ。
  • キーパスはインシーニェがリーグ7位タイ、ジエリンスキが14位タイ、マリオ・ルイが17位タイ。
  • 被ファウル数リーグ7位にマリオ・ルイで、チーム2位がディ・ロレンツォ。
  • リカバリー数チームトップはディ・ロレンツォ。2位がクリバリで3位がザンボ・アンギサ。
  • ディ・ロレンツォがフルタイム出場で全FP中出場時間最長。マリオ・ルイも全FP中6位。
  • 過去10シーズンでミランはカンピオナートでナポリに2勝しかできていない。直近10試合のカンピオナートでの対戦成績はナポリの5勝4分1敗。サン・シーロに限ってもナポリの4勝5分1敗。

 

ウディネーゼ戦後の1週間

 ブラヒムがアディダスの日本向けオンラインイベントに参加。

 ミランがクラブ創設122年を迎えた。

 コッパ・イタリアラウンド16の組み合わせが決定。

 

先発&フォーメーション

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 ミランはジルーが復帰したものの、テオが発熱で欠場。ケアー、カラブリア、レビッチ、レオン、ペッレグリ、プリッツァーリが負傷欠場。

 ナポリはクリバリ、オシムヘン、ファビアン・ルイス、インシーニェ、マリオ・ルイが負傷欠場。前節の交代時の様子が心配されたジエリンスキは気管支炎で大事に至らず。

 マノラスはオリンピアコスに移籍。

 

スタッツ&控え

Match Report | 2021-22 | 18ª Match Day | Lega Serie A

 

ハイライト


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流れ

 ナポリはCB、SB、WG、CFの7角形の中でデンメ、ザンボ・アンギサ、ジエリンスキがショートパスを繋いで前進するイメージ。ミランのハイプレスの基本形はイブラがラフマニに付き、ファン・ジェズスが持ったところにブラヒムがプレスをかけ、ボランチにはボランチ、降りるジエリンスキにもCBが付いていき、クルニッチは中央のカバーを意識した位置を取る。

 ミランはフロレンツィ残し、バロ=トゥーレ上げの3-2-5で攻撃。ナポリは序盤はトモリにペターニャが付き、ロマニョーリにはロサーノが出ていたが、マルキュイがバロ=トゥーレにスライドできないので、ペターニャがどちらかのCBに付き、ジエリンスキがボランチを見ながらCBも見るようになる。ミランは最近の失点の原因になっている中央でボランチを経由させるやり方よりも、イブラやクルニッチにメニャンと後ろの3人からロングボールを入れて、ボランチでセカンドボールを拾い、サイドに展開してクロスという狙い。

 

 4分、ナポリの右CK。ジエリンスキがニアにアウトスイングのボールを入れると、ニアポストでトナーリの前に入っていたエルマスがゴールから離れながらヘディングシュート。メニャンは反応しきれずナポリが先制。

 17分、ナポリのビルドアップにハイプレスをかけるミラン。前線へのパスをトモリがカットしたボールをラフマニが頭で弾き返す。セカンドボールをメシアス、ケシエ、トナーリと繋ぐ。ケシエが左に運び、ハーフスペースのクルニッチに入れ、クルニッチはサイドを上がってきたバロ=トゥーレにパス。バロ=トゥーレがワンタッチでクロスを入れると、ラフマニの後ろから前に入ったイブラが頭で合わせるが僅かに枠の右に外れる。

 33分、右サイドでミランのFK。トナーリが入れたボールはファン・ジェズスが頭で弾き返すが、こぼれ球をフロレンツィが左足でミドルシュート。僅かに枠の右に外れる。

 41分、クルニッチが自陣左サイドボールを奪い、メニャンがイブラにロングボールを蹴る。メシアスに落とすが、ファン・ジェズスが奪う。ファン・ジェズスが右サイドのロサーノにロングパスを蹴ると、ロサーノがバロ=トゥーレと入れ替わり運んでシュートを撃つがロマニョーリとトモリが連続でブロック。

 0-1で前半終了。

 48分、ジエリンスキがトモリをかわすがフロレンツィが内側へのカバーでボール奪う。トモリが右サイドのメシアスに渡すと、ブラヒムが右に流れて中央にスペースを作る。メシアスは中央を上がってきたケシエにパス。ケシエは運んで左に膨らんだクルニッチにパス。クルニッチがワンタッチで裏に抜け出したイブラにパス。イブラが左足でシュートを撃つがオスピナが弾き出す。

 50分、オスピナが右サイド奥にロングボールを蹴り込む。バロ=トゥーレの中途半端なヘディングを拾ったロサーノが裏に抜け出したペターニャにスルーパス。ペターニャが左足に持ち替えるところでトモリがスライディングでボールを掻き出す。

 67分、ジエリンスキからペターニャへのパスをロマニョーリがカット。サレマがジルーに縦パスを入れ、落としをサレマがトナーリに繋ぎ、トナーリが右のメシアスに展開。メシアスがカットインして中央で左足を振り抜くが枠の左上に外れる。

 76分、オスピナからのロングボールをペターニャがロマニョーリと競る。こぼれ球をロサーノが拾うと追い越したマルキュイにパス。マルキュイのマイナスの折り返しをペターニャがトラップをしてからシュートを撃つが枠を捉えられない。

 78分、メニャンから前線へロングボール。マルキュイの中途半端なヘディングをイブラが拾い、ジルーとワンツーでDFを突破しかけるが、ラフマニがカバー。

 85分、ナポリはグラム投入でマルキュイ、ディ・ロレンツォ、ラフマニ、ファン・ジェズス、グラムの5バックに。

 89分、イブラとジルーへの放り込みで押し込むミラン。バロ=トゥーレがジルーに放り込むと、ファン・ジェズスに競り勝ったジルーが落としたボールにカルルが突っ込み、ファン・ジェズスが触ってこぼれたボールをサムカスがシュート。グラムがブロックするが、中央にこぼれたボールをケシエがゴールに蹴り込みミランが同点にした。かと思われたが、VARの進言とOFRの結果、ジルーのオフサイドでゴールは取り消し。

 0-1で試合終了。

 

ミラン

 全然ボールを奪えないし、運べないというような最悪の内容ではないが、現状はこうするしかないという現実を突きつけられる格好の試合になった。

 プレスは同数で積極的に行く姿勢が見られた。これまではトップ下でジエリンスキのように降りて行く選手に付ききれない試合があったが、この試合はスペースを空けても構わず付いていく気概を感じた。

 ナポリのようなコンパクトな守備組織を敷く相手に対して、ボランチを経由せずにロングボールを選択したのは、最近の安い失点のリスクを回避するという面で効果的だった。そのような戦い方にも関わらずブラヒムが起用されたのは、イブラの近くにアタッキングサードで輝くクオリティがある選手を置きたかったという理由だと思われるが、そもそも前線ではほとんどボールに絡めなかった。イブラとジルーのツインタワー放り込み作戦は効果的だった。

 

 次のエンポリは4-3-1-2で中央はコンパクトだし全員でハードワークしてプレスをかけてくるのでサイドバックがキーマン。テオのコンディション次第ではべナセルLSBという奇策も見てみたい気がする。

 

ナポリ

 今季のエルマスはサッリ期末のジエリンスキみたいになってきた。

 鉄人ディ・ロレンツォ。最近は試合途中でボランチに入ったりしていたが、この試合はLSBで先発。ファン・ジェズスの状態次第ではCBの可能性もあったらしい。

 ファン・ジェズスがクリバリに見える瞬間があった。覚醒したらおもしろい。

 

主審 Davide Massa VAR Aleandro Di Paolo

 最初からカードをコントロールしようという意志を感じたのは良かったが、最後に難問が。ジルーの足がボールに反応して動いているとは思うが、カルルが突っ込んで来たときにファン・ジェズスがあれ以外にできることはなかったからプレーに影響しているとは思えない。そもそも明白な間違いだったのか。