自業自得記録地獄

主にACミランとセリエAに関する備忘録。

21-22セリエA第24節 vs インテル(A) フランスしか勝たん

 例年にはない1月の小休止の間に、南米やアジアの代表選手がいないミランはほとんどの選手がミラネッロでの調整に充てることができたと同時に、最悪の状態だったサン・シーロの芝の貼り替えも行われた。

 移籍市場は夏に動くための我慢の冬となった。CLを敗退しているので選手が増えすぎるのは良くないが、常に複数の離脱者がいる1年半の現状を踏まえると、スクデットは愚か、4位以内に踏みとどまれるか不安を覚える人がいても不思議ではない。そんな不安を吹き飛ばし、今後に弾みをつける勝利をこのダービーで期待したい。

 

 首位インテルはここまで16勝5分1敗で、2位ナポリ、3位ミランより1試合消化が少ないが4ポイント差をつけている。選手層が厚いうえに、離脱者も少ないのが他の上位陣との大きな差を生んでいる。

 以下の順位はすべて暫定。

  • 今季ホームゲーム9勝2分、29得点8失点。セリエAは7連勝中で、公式戦は10連勝中。
  • 53得点はリーグ1位。セットプレーから10点、PKが6点、FKが1点。時間帯のバラツキが全くない。
  • 新加入のゴセンスとカイセドを除いても16人もスコアラーがいる。ラウタロが11点でリーグ4位、ジェコが9点でリーグ8位タイ。チャルハノールが6点、ペリシッチとコレアが4点、シュクリニアルとドゥンフリースが3点。
  • ヘディングゴール数リーグ1位。ジェコが4点でリーグ2位。シュクリニアルは3点全てヘディング。
  • 17失点はリーグ2位。無失点は10試合。15-30分と75-90に失点が多く、総失点の60%を占める。
  • シュート数2位。枠内シュート数1位。ラウタロがリーグ7位タイ。ジェコが13位。ミランでは撃ちまくっていたチャルハノールが30位タイ。
  • クロス成功数1位。失敗数10位。
  • CK数2位。
  • PK獲得数1位タイ。
  • セーブ数9位。ハンダノヴィッチがリーグ6位。
  • 1試合平均走行距離2位。ブロゾヴィッチがリーグ2位。
  • アクチュアルプレイングタイム3位。
  • ポゼッションタイム2位。自陣4位。敵陣3位。
  • バレッラとチャルハノールが7アシストでリーグ2位タイ。ドゥンフリースとジェコが3アシスト。
  • キーパス数リーグ2位タイにチャルハノール。レギュラーというわけではないディマルコがチーム2位。
  • 被ファウル数チームトップはバレッラでリーグ36位タイ。
  • リカバリー数チームトップはシュクリニアル。
  • セリエAのダービー直近10試合はインテルの6勝3分1敗。

 

ユヴェントス戦後の2週間

 ペッレグリがローン打ち切りで、モナコからトリノへ移籍。

 ツルヴェナ・ズヴェズダからラゼティッチを獲得。契約は2026年6月まで。移籍金は€5mで、転売利益の一部も支払われる。

 プリッツァーリが今季末までのローンでレッチェに移籍。

 プリマヴェーラのLSBケルケスがオランダのAZに完全移籍。報道によると、移籍金は€2m。

 ガッビアが2026年6月まで契約延長。

 

先発&フォーメーション

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 ミランはケシエがアフリカネーションズカップから復帰。トモリは先発復帰までは間に合わず。ケアー、イブラ、レビッチが負傷欠場。バロ=トゥーレがアフリカネーションズカップで離脱中。

 インテルホアキン・コレア、新加入のゴセンスとカイセドが負傷欠場。

 

スタッツ&控え

Match Report | 2021-22 | 24ª Match Day | Lega Serie A

 

ハイライト


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流れ

 ミランカラブリアが下がればテオが中盤に入り、逆にテオが下がればカラブリアが中盤に入る1-3-3-3-1でビルドアップ。2トップの中間にべナセルかトナーリを置き、後方と中盤で数的優位の状況を作り、保持を安定させる。インテルは5-3-2でミドルゾーンから2トップが外に誘導させてインサイドハーフがプレス。

 インテルはブロゾヴィッチがデ・フライとバストーニの間に降りたり、チャルハノールが中央に降りたり、サイドに開いたり、ジェコが中盤のスペースに下がったりしてビルドアップをサポート。アタッキングサードではWBがSBの裏を積極的に狙い、ジェコはサイドに流れる。ミランは基本的にマンツーマンでハイプレス。ただ、完全に中盤に降りるジェコにはついていかない。

 

 9分、インテルが左サイドでスローインラウタロが受けるがカラブリアに寄せられてボールロストも、こぼれ球をケシエが突くとチャルハノールが拾う。チャルハノールの外を回ったペリシッチが高いクロスをあげると、ドゥンフリースがテオの上から頭で叩き込みインテルが先制。しかし、ペリシッチオフサイド

 25分、ミランのカウンターが未遂に終わり、バストーニから右サイドのバレッラに展開。バレッラが内側に運び、外のドゥンフリースにパス。ジェコが右に流れてパスを受けてゴール前のラウタロにパス。ラウタロの落としをバレッラがワンタッチで撃つが僅かに枠の左に外れる。

 27分、ミランが右サイドから前進し、サレマが中央のべナセルにパスを出すが、ジェコが戻ってインターセプト。バレッラが運び、右に流れたラウタロにパス。ラウタロはぽっかり空いた中央に侵入したドゥンフリースにパス。ドゥンフリースが決定機を迎えるがシュートはメニャンがセーブ。

 34分、ロマニョーリから左に開いたレオンにパス。レオンは中央のサレマにパスを出すが上手くいかずに下げたボールをべナセルが再びレオンにパス。レオンはカットインを試みるが諦めて下げる。下げたボールをトナーリがダイレクトミドルシュートを撃つと、ハンダノヴィッチがダイビングセーブ。こぼれ球をテオが折り返し、レオンが触るがペリシッチがブロック。

 37分、テオからゴール前のレオンへのパスをバストーニがインターセプト。バストーニが運んでブロゾヴィッチにリレー。ブロゾヴィッチも運んで左に流れたラウタロにパス。ラウタロがカットインからミドルシュートを撃つがメニャンが弾き出しCK。チャルハノールのアウトスイングのボールが中央の混戦の上空を超えるとフリーのペリシッチが左足インサイドで丁寧に合わせてインテルが先制。

 1-0で前半終了。

 57分、ミランはケシエに替えてブラヒムを投入。

 73分、ミランは敵陣右サイド深くでボールを失うがすぐにプレスをかける。ディマルコからジェコに収まるが、カルルとべナセルで挟む。こぼれ球をリカバリーされてもプレスバックをし、センターサークルでジルーがサンチェスからボール奪取。トナーリが拾って運び、PA手前でブラヒムに横パス。ブラヒムがシュートを撃つと、バストーニがブロックしたボールをジルーが押し込んでミランが同点にする。

 77分、ヴィダルからサンチェスへのスルーパスをカルルがインターセプト。べナセルが降りてきたブラヒムにパス。ブラヒムはハーフスペースのカラブリアに横パス。カラブリアはバストーニが出てきたスペースに動いたジルーに縦パス。ジルーはデ・フライを背負いながら上手く反転して左足でシュートを撃つと、ハンダノヴィッチの手を弾いてネットを揺らしミランが逆転。

 95分、ドゥンフリースのカウンターを後ろからスライディングで止めたテオにレッドカード。バカヨコが交代準備をするが、FKに間に合わず。

 1-2で試合終了。

 

ミラン

 保持はできてもアタッキングサードでは効果的なプレーができずにボールを失いカウンターを受けるという展開がこの試合の大半を占めており、勝利をイメージするのが難しい試合だったが、ブラヒムの投入で活気を取り戻したのとインテルの間延びが重なり見事に逆転勝利。これでインテルとは暫定で1ポイント差に。ダービーでの逆転勝利はスクデットを獲得したシーズンである2004年の2月以来。

 

 ケシエのトップ下起用はブロゾヴィッチのマークという面では悪くなかったが、攻撃面では全く上手くいかなかった。攻撃でケシエが前にいるメリットは運動量を活かして数的優位の局面を作ることと、強靭な身体を活かしたキープで時間を作ることだと思うが、そのような場面はほとんど見受けられず、ボールを引き出す動きが少なかったので、ピオーリが重視する流動性が全く生まれなかった。それもあってか、前半はインテルにパスコースをほとんど読まれているように感じた。

 ブラヒムが良かったのは、インテルの中盤の間でボールを受けるだけではなく、前を向いて運ぼうとすることでインテルの中盤3人の意識を中央に集めさせたこと。そして、その脇を活かしたのがSBの2人。逆転弾はバレッラが中央のカバーを意識したために空いたスペースでカラブリアが受け、バストーニが出てきて空けたスペースをジルーが見逃さなかった。この時にテオも内側を上がってきてPA内にいたことでシュクリニアルがシュートブロックに行くのを躊躇させたのも隠れたファインプレーだと思う。

 

 地味ながら注目すべきはチーム走行距離が今季の平均より約6kmも多いことで、同点弾に繋がる高い強度のカウンタープレスとプレスバックを一般的にキツいと言われる70分すぎに行えた気持ちの強さに拍手。

 

 サン・シーロ男ジルー。初ダービーで殊勲のドッピエッタ。献身的なプレスも光っていた。逆転弾はPSMを含めても初めての2タッチでのゴール。これまで全てワンタッチシュートだった。

 メニャンも初めてのダービーでスーパーセーブを連発し1失点に抑える大活躍。ユヴェントス戦の密着映像で味方のFKに最後方から指示を出していて驚いた。


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 カルルはラウタロを密着マークで自由にさせず、ボールを持った時の落ち着きも見事だった。ロマニョーリはカードを貰っても前へのチャレンジを止めずにやりきった。トナーリはいつもどおり最高。べナセルはユヴェントス戦で感じたキレを維持してハードワークを見せた。

 

 次は中3日でコッパ・イタリア準々決勝のラツィオ戦。トモリとレビッチの復帰や、好調ながら出番がなかったローマ人フロレンツィ、デビューの可能性もあり得るラゼティッチに期待。

 

インテル

 トランジションが抜群で前半で試合を決することができる内容だったが、決定機を活かせず、交代と同点弾で狂ったリズムを元に戻せなかった。

 ラウタロは南米予選明け、ジェコは動きが多く疲弊していたと思うので、コレアとカイセドの欠場でFWの控えがサンチェスだけだったのは痛かったと思う。

 中盤に関しては選手層が厚そうに見えるが、実際はレギュラーの3人とそれ以外の差が大きいというシモーネのラツィオ時代と同じ課題があるように感じる。ラツィオよりは全然マシだが。

 

主審 Marco Guida VAR Paolo Silvio Mazzoleni

 ボディコンタクトはほとんどファウルを取らず、手や足を使ったものはファウルを取るという基準はブレなかった。