自業自得記録地獄

主にACミランとセリエAに関する備忘録。

21-22セリエA第28節 vs ナポリ(A) 勝負はここから

 

 先々週に暫定首位に立ってからは2週続けて不甲斐ないパフォーマンスを見せ、ナポリに暫定首位の座を奪われた。ミッドウィークのダービーではポジティブな兆候が垣間見えたので復調に期待したい。

 

 ナポリは17勝6分4敗でミランと同じ勝敗数ながらも直接対戦成績により暫定首位に立っている。ELプレーオフバルセロナに敗れてセリエA1本にコンペティションは絞られ、負傷者もほとんど戻ってきた。

 以下の順位はすべて暫定。

  • 今季ホームゲーム8勝2分3敗、23得点9失点。
  • 49得点はリーグ6位。セットプレーから10点、PKが7点。後半開始15分に最多の13得点。
  • オシムヘン(ヘディング3)、メルテンス、インシーニェ(PK6)が7点でチームトップ。ファビアン・ルイスが6点、ジエリンスキが5点、ロサーノが4点。CBのラフマニが3(ヘディング2)点、クリバリが2点。
  • インシーニェとジエリンスキがリーグ10位タイの5アシスト。エルマスが4アシストで、ファビアン・ルイス、ロサーノ、ポリターノ、マリオ・ルイが3アシストで並ぶ。
  • シュート数3位。インシーニェがリーグ7位、オシムヘンが16位タイで、ロサーノとジエリンスキが続く。
  • 枠に当てた回数17回で最多。オシムヘンが4回、ファビアン・ルイス、エルマス、ペターニャが2回。
  • 19失点はリーグ最少。無失点も最多の13試合。後半15-30分に最多の6失点。
  • セーブ数9位タイ。
  • CK数4位。
  • PK獲得数最多。献上回数1回。
  • イエローカード数最少。
  • 1試合平均走行距離9位。個人では、ザンボ・アンギサ、ロボトカ、ファビアン・ルイスボランチ勢が上位。
  • ポゼッションタイム1位。自陣6位。敵陣1位。
  • キーパス数リーグ7位タイにジエリンスキ、10位タイにインシーニェ、30位にマリオ・ルイ。
  • 被ファウル数チームトップはマリオ・ルイ。チーム2位がディ・ロレンツォ。
  • リカバリー数チームトップはディ・ロレンツォ。
  • この対戦カードは現在アウェイチームが3連勝中。
  • ピオーリはスパレッティに勝ったことがない。

 

インテル戦後の4日間

 特になし。

 

先発&フォーメーション

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 ミランはイブラが復帰。ケアー、ロマニョーリ、バカヨコが負傷欠場。ラゼティッチが招集外。テオ、ブラヒム、ロマニョーリは累積リーチ。

 ナポリはザンボ・アンギサとロサーノが復帰。マルキュイとトゥアンぜべが負傷欠場。

 

スタッツ&控え

Match Report | 2021-22 | 28ª Match Day | Lega Serie A

 

ハイライト


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流れ

 

 ミランのプレッシングはジルーがCBの片方、中盤とサイドはマンツーマンでマークをし、CBがボールを持つとインサイドハーフボランチをカバーシャドーで消しながらプレス。ミドルゾーン以下ではCBを余らせて、片方のCBがハーフスペースのカバーをしてもオシムヘンを片方でマーク。対するナポリオスピナを含めて数的優位を作り、ボランチがCB間や脇に降りることで前進の道を作る。左はインシーニェが内側に顔を出し、マリオ・ルイが高い位置を取り、右はポリターノがテオをピン留めし、ディ・ロレンツォがレオンの背後を狙い、テオに対して数的優位を作ろうとする。オシムヘンはカルル寄りに立ち、アンカー脇で受けようとする選手を潰そうと前に出るトモリの裏を斜めに狙う。

 ミランのビルドアップは1-2-3-2-3。ナポリのハイプレスはファビアンがトナーリをマークする4-1-3-2。ミランはロボトカの脇にインサイドハーフ2枚を立たせて数的優位を作り、レオンはディ・ロレンツォとラフマニの中間ポジションで相手を迷わせる。ナポリはミドルゾーン以下では4-4-1-1でジエリンスキがトナーリをマークする。

 

 4分、ミランゴールキック。メニャンはロボトカとポリターノの間のケシエに浮き球を蹴る。ケシエが競り勝ち、こぼれ球をジルーがテオに落とす。テオが少しドリブルをし、中央のジルーにパス。ジルーがワンタッチでケシエに落とし、ケシエがインシーニェが戻りきれていない右ハーフスペースのべナセルにパス。べナセルがワンタッチでジルーに入れ、ジルーもワンタッチでリターンしべナセルがPA内でクリバリと接触し倒れるがノーファウル。

 5分、ファビアンがCB間に入りケシエを引きつけてフリーになったラフマニから右ハーフスペースに移動したインシーニェに縦パス。インシーニェがワンタッチでレオンの背後を取ったディ・ロレンツォにパス。ディ・ロレンツォが運んでクロスを上げるが精度を欠き、カルルがクリア。

 9分、右サイドでスローインを受けたメシアスからロボトカがボールを奪い、インシーニェが中央のライン間に入っていたポリターノへすぐさま縦パス。ポリターノが運んでミドルシュートを撃つがトモリが身体を投げ出してブロック。

 12分、ケシエとレオンに対して、ラフマニ、ディ・ロレンツォ、ファビアンでプレスを剥がし、ファビアンからトモリの裏に抜け出したオシムヘンにパス。オシムヘンが右サイドから抉っていこうとするがトモリとカルルで凌ぐ。

 19分、ファビアンがケシエを中央に釣り出し、オスピナがフリーのラフマニにパス。ラフマニが右ハーフスペースに降りたジエリンスキに繋ぎ、ファビアンがレイオフで受ける。ファビアンからレオンの背後を取ってハーフスペースに入ったディ・ロレンツォが受け、左から斜めにトモリの裏に抜け出したオシムヘンにパス。オシムヘンがワンタッチでシュートを撃つが枠の右に外れる。

 25分、ジルーの治療中にピオーリがケシエと話しハイプレスを修正。後ろの準備が出来ていれば、ケシエかべナセルがCB、トナーリがファビアンかロボトカ、トモリがジエリンスキというように人を余らせない、状況に応じたマンツーマンプレスに変更。

 43分、レオンがラフマニに外切りプレス。ラフマニがオスピナに下げ、オスピナからディ・ロレンツォにパス。ディ・ロレンツォにテオが寄せるが、ロボトカが降りながら受けて左ハーフスペースのインシーニェにパス。インシーニェがオシムヘンにフリックし、オシムヘンがスルーしたボールをべナセルの背後を取ったファビアンが受けるがジエリンスキへのパスがズレてしまう。

 46分、ミドルゾーンで保持するナポリ。ジエリンスキからバックパスを受けたラフマニにケシエがファビアンへのパスコースを切りながら前に出る。ラフマニはケシエの横に降りたジエリンスキに繋ぎ、ジエリンスキがワンタッチで中央でフリーのファビアンにパス。ファビアンが運び、左ハーフスペースのマリオ・ルイとワンツーでPA内に侵入しようとするがトラップミス。

 ミランのビルドアップ。トモリがジエリンスキの寄せを待って前に持ち出して中央のジルーに縦パス。ジルーのフリックを中央に入っていたレオンがべナセルに繋ぎ、べナセルから右のメシアスにパス。メシアスからPA内ののレオンへのパスはズレてしまう。

 48分、ミランゴールキックからのビルドアップでトモリの縦パスが前線と合わずラフマニがカット。そのまま、ロボトカ、ファビアンと縦パスが繋がり、中央に入っていたインシーニェから右ハーフスペースのジエリンスキにパスが通るが、ジエリンスキからオシムヘンへのパスは精度を欠き、カラブリアがクリア。

 0-0で前半終了。

 48分、ミランのFK。トナーリが入れたボールは密集の手前でオシムヘンに当たり、こぼれ球をケシエがシュートを撃つがメシアスに当たる。こぼれ球に反応したカラブリアがシュートを撃つと中央にいたジルーがコースを変える。これが決まってミランが先制。

 50分、中央のロボトカからハーフスペースに降りたインシーニェにパス。インシーニェは外のマリオ・ルイへ。マリオ・ルイが中央のオシムヘンに斜めの楔。カルルを背負って収め、中央に上がってきたディ・ロレンツォとワンツーからシュートを撃つがメニャンの正面。

 54分、テオからバックパスを受けたメニャンがオシムヘンを引きつけてトモリにパス。トモリはジエリンスキを引きつけて前に持ち出すフェイントを入れて中央のトナーリにパス。フリーのトナーリが運んでファビアンを引きつけてケシエにパス。ケシエは右ハーフスペースでフリーのべナセルへ。べナセルは戻ってきたインシーニェをかわし中央に上がってきたケシエにパス。ケシエからリターンを受けたべナセルがロボトカをかわしてコントロールミドルシュートを撃つがオスピナがファインセーブ。

 60分、ファビアンのミスパスを拾ったレオンが持ち運び、追い越したテオがジルーに折り返すが精度を欠き、クリバリがクリア。ポリターノが拾い、インシーニェにサイドチェンジ。インシーニェはカラブリアとメシアスに挟まれるが、マリオ・ルイに下げると、マリオ・ルイからハーフスペースを駆け上がったクリバリにパス。クリバリが前を向き、オシムヘンにパスを出すが意図が合わずトモリがクリア。

 63分、ラフマニがフリーでボールを持つと、ケシエが寄せようとするがファビアンが横に降りてケシエを牽制。ジエリンスキがトナーリとべナセルの間に降りて2人を迷わせる。トナーリがラフマニにプレスに出ると、ジエリンスキに釣られたべナセルの横でフリーのロボトカにパスが通る。ロボトカが左のインシーニェに繋ぎ、追い越したマリオ・ルイがゴール前に折り返すがカルルがクリア。

 70分、右サイドで受けたディ・ロレンツォがカルルと1vs1のオシムヘンにパス。カルルが遅らせて、オシムヘンは中央に入ってきたエルマスにパス。エルマスがワンタッチでミドルシュートを撃つが、戻ってきたクルニッチのプレッシャーを感じてミスキック。

 72分、バックパスを受けたメニャンがレビッチとレオンを走らせるロングボールを蹴る。ラフマニが戻りながらヘディングしたボールをケシエが拾い、レビッチ、レオン、レビッチ、クルニッチと繋ぎ、最後はケシエがシュートを撃つがディ・ロレンツォがブロック。

 74分、ラフマニから近くのロボトカが受けて中央のエルマスに縦パス。エルマスはジエリンスキに下げて、ジエリンスキが内側でフリーになったウナスに縦パス。ウナスが前を向き、トモリの裏に抜け出したオシムヘンにパスを出すが、カルルが突破を防ぐ。

 75分、左サイドからナポリのCK。メルテンスの入れたボールはレビッチとテオがヘディングでクリア。こぼれ球を拾ったウナスがレビッチをかわし、クルニッチをズラしてコントロールシュートを撃つが僅かに枠の左に外れる。

 81分、右サイドのウナスがメルテンスとワンツーでハーフスペースを抜け出そうとするが、メルテンスはアンギサにバックパス。アンギサは素早く右サイドのディ・ロレンツォにパス。ディ・ロレンツォからハーフスペースのウナスが受けてオシムヘンに折り返そうとするがケシエがブロックしナポリのCK。ウナスがメルテンスショートコーナーでリスタート。ウナスのクロスはレオンにブロックされ、こぼれ球を拾ったロサーノがミドルシュートを撃つが枠の左に外れる。

 83分、レビッチからサレマーケルスへのヒールパスは通らず、奪ったナポリはマリオ・ルイからオシムヘンへのロングパスを胸でロサーノに落とし、ロサーノがライン間のメルテンスにパス。メルテンスはアンギサに下げ、右のウナスへ。ウナスからハーフスペースのメルテンスに通り、オーバーラップしたディ・ロレンツォがクロスを上げるが精度を欠き、メニャンがキャッチ。

 84分、ミランゴールキックのロングボールのこぼれ球をアンギサがケシエとのデュエルに勝ちウナスにパス。ウナスからトモリの裏に抜け出したオシムヘンにスルーパスオシムヘンがカルルを振りきって角度のないところからシュートを撃つがメニャンがセーブ。

 85分、左サイドでテオがアンギサからボール奪取。こぼれ球を拾ったクルニッチが運び、左に開いたレビッチにパス。レビッチが内側を駆け上がるテオにスルーパスを出すと、テオがワンタッチでシュートを撃つがオスピナがセーブ。

 87分、右サイドで受けたウナスからレオンの背後を取ってハーフスペースを抜け出したディ・ロレンツォにスルーパス。折り返しはトモリがブロック。トモリがレオンに怒る。

 93分、左サイドでテオがディ・ロレンツォからボール奪取。テオは一旦ケシエに預けて前に出てリターンを受ける。テオは左に開いたイブラとワンツーで左サイドを突破し、中央でフリーのサレマーケルスにラストパスを送るが、サレマーケルスのシュートはオスピナがセーブ。

 0-1で試合終了。

 

ミラン

 

 前半はお互いに決定的なシュートはなく、上手く運べてもラストパスやその手前でのミスが多い試合展開に。後半は早々にミランがセットプレー崩れから先制し、時間が経つごとにミランのプレスラインが下がるが、ゴール前は空けずに守りきった。この勝利で勝点を60に乗せ、再び暫定首位に返り咲いた。ナポリ相手にアウェイで連勝したのは1981年以来。

 

 逆3角形の中盤のプレスはビルドアップが上手いナポリにはあまり機能していなかったと思う。オスピナやラフマニが余裕があるのにロングボールを蹴った時にスパレッティが怒っていたので効果がなかったことはないが、ファビアン・ルイスやジエリンスキのサポートでプレスをいなされ、狙い通りにボールを運ばれる方が多く、失点する可能性がある場所や場面でミスをしてくれて助かったという印象。途中から同数プレスも試みたが、ナポリの巧みなポジションチェンジで長くは続かず、ハマりきらない場面が多かった。ラフマニに持たせるなら徹底して持たせて、局面が狭くなったら奪いに行けばいいのではないかと思った。

 ビルドアップではナポリのプレスや選手の個性との相性が良かった。メニャンで数的優位を作り、ケシエのフィジカルを活かして浮き球を使えるのがポイントになった。ただ、そこから決定機を多く作り出せたわけではないので評価して良いのかはわからない。

 ダブルボランチよりもインサイドハーフ向きのポベガとアドリが復帰するなら来季は4-1-2-3(語呂が良いヨンサンサンと言いたい)がメインになりそう。ブラヒムはミランのベルナルド・シウバになろう。

 

 集中力が高かったCBコンビ。トモリはジエリンスキを捕まえる判断が難しそうだったが、ゴール近くの守備は完璧にこなした。カルルはオシムヘン相手に完璧とまではいかないが大健闘。勝利の立役者だった。

 テオも集中した良いパフォーマンス。終盤のスプリントは流石。オシムヘンに喧嘩を売られたが、暴れすぎずイエローカードで済んだ(次節出場停止)。カラブリアは攻撃でのミスが多かったがインシーニェに決定的なプレーはさせなかった。

 インサイドハーフとアンカーをこなしたべナセルはミラニスタがMVPに選出。よく走ったし、右ハーフスペースで上手くボールを受けた。

 ケシエはラフマニとファビアン・ルイスへの対応に苦戦し、攻撃での関与も多くなかったが、最後の鬼キープで勝利に貢献。

 メシアスは守備はかなり頑張った。レオンはディ・ロレンツォのマークに苦戦したが、流石のドリブルは見せた。レビッチは復調の兆し?

 ジルーが遂にサン・シーロ以外でゴール。オフサイドポジションから戻り、速いボールをワンタッチでコースを変えるのは地味に難しいゴールだと思う。裂傷を負いながら、献身的にプレスバックも行った。足首を捻って交代したが問題なさそうで一安心。

 イブラが復帰。随所で巧さを見せ、CBにプレスをかけ、最後のキープで勝利に貢献。

 

 次は土曜日にホームエンポリ戦。絶不調のエンポリに負けてはいられない。

 

ナポリ

 

 十分に勝機はあった。良い崩しに持っていっても最後のクオリティが物足りなかった。ザンボ・アンギサが負傷明けじゃなければ先発で中盤の守備強度が上がったかもしれない。ロボトカとファビアンでは少しペラペラで薄い。

 ファビアン・ルイスがバカ上手い。ベストイレブンはブロゾヴィッチとバレッラとトナーリでMF4人決まっちゃうよ。

 ウナスが急所を抉るプレーを頻発。

 

主審 Daniele Orsato VAR Paolo Valeri

 

 カードが多かったがどれも妥当。序盤のべナセルとクリバリの接触も通常のフットボールコンタクトで問題ない。