自業自得記録地獄

主にACミランとセリエAに関する備忘録。

21-22セリエA第36節 vs エラス・ヴェローナ(A) 希望とは高鳴る胸

 

 残り3試合で2位と2ポイント差の単独首位に立つ、カンピオナート13試合無敗のミラン。先に行われた2位インテルは逆転勝利でミランにプレッシャーをかけることに成功。アウェイながらスタジアムの半分を埋め尽くすミラニスタのサポートを受けて試合に臨む。

 

 エラス・ヴェローナは14勝10分11敗で9位。4節から就任したトゥードルの下で昨季までの得点も失点も少ないスタイルから撃ち合い上等スタイルに変貌。2022年のみの成績では6位につける。

 以下の順位はすべて暫定。

  • 今季ホームゲーム9勝3分5敗、33得点21失点。
  • 61得点はリーグ5位。セットプレーから3点、PKが7点、OGが2点。ヘディングゴール数9でリーグ5位タイ。前半序盤に13点、後半終盤に12点。
  • シメオネが16点でリーグ4位。しかし、後半戦はトリプレッタ1回を含む4点のみ。固め取りが多い。
  • カプラーリが12点、バラクが11点。タメゼが4点、ファラオーニが3点、1点が7人。
  • 途中出場選手の得点数最少タイ。
  • カプラーリがリーグ9位タイの7アシスト。ファラオーニが5、シメオネとラゾヴィッチが4、バラク、イリッチ、ヴェローゾ、ラザーニャが3アシスト。
  • シュート数12位。枠内シュート数12位。シメオネ、カプラーリ、バラクがチームトップ3。次ぐのがラゾヴィッチ。
  • 枠に当てた回数13回。カプラーリ、シメオネ、ファラオーニが2回ずつ。
  • 52失点は10位。無失点は4試合。前半45分間が19失点に対して、75-90分の間に18失点。
  • 枠に助けられた回数16回でリーグ4位。
  • 1試合平均リカバリー数1位。ギュンターが4位、カザーレが15位、チェッケリーニが18位、タメゼが30位。
  • セーブ数13位。個人ではモンティポが10位タイ。
  • ドリブル数9位。
  • クロス成功数14位。失敗数15位(多)。
  • CK数14位タイ。
  • オフサイド数1位。
  • PK獲得数8回。献上回数4回。
  • レッドカード数7枚で3位タイ。
  • 1試合平均走行距離5位。105.1㎞。個人ではバラクがリーグ7位。
  • アクチュアルプレイングタイム最短。
  • ポゼッションタイム13位。自陣16位。敵陣12位。
  • パス成功数12位。成功率77%。キーパス数13位。ファイナルサードのパス数10位。
  • キーパス数リーグ10位タイに52本のカプラーリ。チーム2位は36本のラゾヴィッチ。
  • 被ファウル数リーグ15位にカプラーリ。21位にシメオネ
  • 11-12シーズン以降のセリエAでの対戦成績はミランの6勝4分3敗。マルカントニオ・ベンテゴーディでは3勝3敗。
  • ミランがシーズンダブルを達成したのは01-02シーズンが最後。
  • ピオーリ就任後は2勝2分。2連勝中。

 

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フィオレンティーナ戦後の1週間

 イタリアサッカー選手協会が選出する4月の月間MVPをメニャンが受賞。

 

先発&フォーメーション

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 ミランはフロレンツィが復帰。ケアーが負傷欠場。カスティジェホがベンチ外。ダニエル・マルディーニ、ラゼティッチが招集外。トモリ、カルル、ブラヒム、ロマニョーリは累積リーチ。

 エラス・ヴェローナダヴィドヴィツ、コッポラ、パンドゥールが負傷欠場。

 

スタッツ&控え

Match Report | 2021-22 | 36ª Match Day | Lega Serie A

 

ハイライト


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流れ

 

 ヴェローナのプレスはシメオネがトモリ、カプラーリがカルル、ラゾヴィッチがカラブリア、バラクがケシエを見るが、強いプレスはかけずに中央3レーンの縦パスを防ぐ位置を取る。逆に後方はマンツーマンでピッタリとマークに付く。押し込まれたときは前線3人も下がる。

 ミランのビルドアップ時の基本的な立ち位置は4バックで、ケシエがアンカー、レオンとサレマーケルスが大外、トナーリとクルニッチがシャドー、ジルーが最前線の4-1-5。中盤省略気味に、4バックからの配球にジルーがポストプレーを試みる一方で、トナーリとクルニッチは積極的に裏へのランニングを行い、テオは内側に入ってファラオーニを釣り出し、レオンにカザーレと勝負をするスペースを与える。トナーリとサレマ、クルニッチとレオンがポジションチェンジを行うなど、とにかく相手のマンツーマンを剥がそうという狙いが見られる。

 ヴェローナのビルドアップはカラブリアのスライドに時間がかかるような低い位置を取るラゾヴィッチを起点に、カプラーリかシメオネに斜めのパスを送る形か、バラクへのロングボール。前線3人が自由に動いて時間とスペースを作り、ラゾヴィッチのドリブル、タメゼとファラオーニのフリーラン、CBの攻撃参加を用いて攻撃。

 ミランのプレスはサレマがチェッケリーニに縦切りでプレス。ラゾヴィッチにカラブリア、カプラーリにカルルがスライド。シメオネにトモリ、バラクにケシエ、イリッチにトナーリ、タメゼにクルニッチがマンツーマン。

 

 13分、CKのこぼれ球を繋いで、サレマの右サイドからのクロスをクルニッチが頭で合わせるがモンティポがセーブ。

 14分、ミドルゾーン手前まで持ち上がったメニャンが最前線のトナーリへロングボールを蹴る。PA内でイリッチと競り合ってこぼれたボールをトナーリが奪いそのままシュートを決めるが、メニャンが蹴ったタイミングでトナーリがオフサイド

 18分、ジルーが左サイドでボールを奪い、ケシエ経由でカラブリアが受ける。カラブリアが右ハーフスペースを持ち上がり、トナーリとのワンツーでチェッケリーニをかわしてPAに侵入しシュートを撃つがモンティポが足でセーブ。

 22分、カザーレがレオンからボール奪取。シメオネ、バラクで時間を作り、カザーレが右サイドでパスを受け、裏に抜け出したファラオーニにパス。ファラオーニの折り返しをシメオネがニアに作ったスペースにカプラーリが入ってボレーで合わせるが枠の左に外れる。

 24分、ミランのクロスを弾き返し、バラク、カプラーリ、シメオネで時間を作り、ファラオーニがチェッケリーニへ展開。チェッケリーニが持ち上がりカプラーリへパス。落としを受けたラゾヴィッチが中央のタメゼにパス。タメゼが右から中央に入ってきたシメオネに縦パス。シメオネが左足でシュートを撃つがメニャンの正面。

 26分、メニャンからスローイングを受けたテオが中央へ運ぶがファイナルサード手前でロスト。ヴェローナは左のカプラーリからカウンターを狙うが、カラブリアが奪い返し、こぼれ球を拾ったサレマからパスを受けたクルニッチが右ハーフスペースからシュートを撃つが左上に外れる。

 34分、カルルからジルーへのロングパスをジルーが頭でクルニッチに繋ごうとするがタメゼがインターセプト。タメゼがバラクに繋ぎ、バラクが右のスペースに流れたシメオネにスルーパスシメオネがワンタッチでシュートを撃つがサイドネットに外れる。

 37分、ジルーからクルニッチへのパスがズレてヴェローナが右サイドでボールを奪う。タメゼからDFラインに降りたイリッチが受けてライン間のカプラーリにパス。カプラーリが前を向き、カラブリアを引き付けて背後を取ったラゾヴィッチにパス。ラゾヴィッチの折り返しに右からファラオーニが頭で合わせてヴェローナが先制。

 47分、下がったカプラーリからタメゼへのパスが流れると、トモリがワンタッチでレオンにパス。パスはタッチライン際に流れるが、レオンが左サイドからカザーレを抜き去り、ゴール前に折り返すとトナーリが押し込んでミランが同点にする。

 1-1で前半終了。

 後半からヴェローナはハイプレスを仕掛けるようになる。

 48分、ヴェローナの左CKのこぼれ球をサレマが拾って運び、追い越したレオンにパス。レオンが追走するバラクを置き去りにしてPA内に運びゴール前に折り返すと、ジルーが潰れた奥で再びトナーリが押し込んでミランが逆転。

 63分、レオンから右ハーフスペースのケシエにパス。カラブリアが追い越して受けて大外のメシアスにパス。メシアスが中央のレオンに戻し、レオンがワンタッチでレビッチに縦パス。レビッチからクルニッチへのパスはタメゼがカットするが、レビッチがこぼれ球を左に開いたレオンにワンタッチでパス。PA内でファラオーニと対峙したレオンが股抜きシュートをニアに撃つがモンティポがセーブ。

 74分、ヴェローナがカウンター返しで左サイドをラゾヴィッチが突破。クロスはカルルがクリアするが、チェッケリーニがセカンドボールを拾い、ラゾヴィッチが今度はインスイングのクロスを上げるとカルルの前に入ったラザーニャがバックヘッドでゴールを狙うが枠の上に外れる。

 77分、ヴェローナのビルドアップにレオン、トナーリ、レビッチでプレスをかけて蹴らせたボールをテオで回収するが、テオの雑なバックパスをカプラーリが奪い、PA内に持ち込みシュートを撃つがトモリがブロック。

 79分、シュタロからイリッチへのパスをカラブリアインターセプトし、そのままミドルシュートを撃つがモンティポがセーブ。

 81分、ヴェローナはラザーニャの裏抜けから起点を作り右CKを得る。カプラーリのアウトスイングのボールがゾーンの外のギュンターの頭にピンポイントで合うが、シュートは枠の上に外れる。

 85分、メニャンからイブラへのロングボールはギュンターが弾き返すが、こぼれ球をべナセルが拾い、イブラ、ケシエ、フロレンツィと繋ぐ。フロレンツィがハーフスペースを持ち上がり大外のメシアスとのワンツーで出てきたシュタロの裏を取りPAに侵入する。そのまま右斜め45度から放ったシュートがネットを揺らしミランが3点目を奪う。

 90分、サイドの密集でデパオリからケシエとテオで奪い、レビッチが密集を抜け出し右サイドのスペースに走るメシアスにスルーパス。メシアスが抜け出してシュートを撃つが枠の上に外れる。

 1-3で試合終了。

 

ミラン

 

 序盤からプレッシャーを感じさせない狙いを持ったプレーをし、幸先良く先制できたかと思われたがオフサイドで取り消されてしまう。その後は中盤でのボールロストから何度かチャンスを作られ、37分に先制点を許す。しかし、前半の終盤にトモリの素早い展開とレオンの個人技からトナーリが決めて前半の内に試合を振り出しに戻す。更に、後半立ち上がりにカウンターから再びレオンとトナーリでゴールを奪い逆転。選手交代で強度を保たせた終盤には1か月ぶりの復帰戦だったフロレンツィがダメ押しの3点目を決めて勝負あり。この勝利で勝ち点は昨季の79を超えて80に。そして、スクデットまで残り4ポイントとなった。

 

 ケシエをアンカー、トナーリを前に行かせる立ち位置を選択したが、それが功を奏した。逆でも良さそうだが、ケシエをバラクに、クルニッチをタメゼに当てたかったのか。左から攻める時にサレマとクルニッチがフィニッシャーになるクオリティ不足を避けたかったのか。いずれにせよ、大きな結果に繋がる選択だった。

 3分のレオンがカザーレを抜いてタメゼに倒された場面は、テオが中央でボールを受けてジルーが左のレオンに展開する狙い通りのビルドアップだった。このようなテオの立ち位置は結果には結び付かなかったが効果的な振る舞いだったと思う。

 SBが内側を使うという意味では右サイドの方が決定機を作った。18分のカラブリア、3点目のフロレンツィは左から繋がれたボールをハーフスペースで受けて対応に出てきたインサイドバックの裏をワンツーで突いてシュートに繋げた。左のレオンとテオをフリにして右で刺すことができたのは大きな収穫。

 ハイプレスは機能した。ラゾヴィッチからカプラーリにもシメオネにも繋がせなかった。そもそも、ロングボール主体のヴェローナが繋ごうとしてきたのが意外だった。

 前節同様、この試合も途中出場組がしっかりと仕事をこなした。元気なイブラとレビッチが途中から出てくるのは厄介でしかないだろう。

 

 この日が誕生日だったトナーリがドッピエッタ。逆転弾の前にラゾヴィッチにカラブリアが抜かれたところをカバーしてCKにしたのもトナーリ。ミランの選手がバースデーゴールを決めたのは、2000年のホセ・マリ、2012年のエル・シャーラウィー以来3人目。

 レオンは対面のカザーレを圧倒。レオンにしかできない2アシスト。

 ジルーは落としやフリックが味方と合わずにボールロストの原因になってしまっていたが、逆転弾の時にレオンのカウンターに付いていきゴール前に入ってトナーリをフリーにさせたことは高く評価したい。

 

 次は日曜日にホームでアタランタ戦。チケットは既に完売。勝ち点3を得て、後に行われるインテルの結果を待ちたい。

 

エラス・ヴェローナ

 

 前線3人の資質は高く、簡単にボールを奪うことができなかった。カプラーリはペスカーラレッチェでも昔から上手かったがブレイクしきれずにいて、今季ようやく数字が付いてきたのは嬉しい。

 オフサイド数1位だがこの試合ではゼロ。

 

主審 Daniele Doveri VAR Gianluca Aureliano

 

 特になし。ただ、テオとファラオーニの喧嘩の際にレオンにカードが出たのは厳しいジャッジだった。おかげでレオンは累積リーチ。