自業自得記録地獄

主にACミランとセリエAに関する備忘録。

21-22セリエA第38節 vs サッスオーロ(A) 強度 速攻 勝利 歓喜

 

 今季最終戦。カンピオナート15試合無敗、5連勝中のミランミランは引き分け以上で優勝。負けてもインテルが引き分け以下なら優勝が決まる。11年ぶり19回目のスクデットを信じる18,000人のミラニスタがマペイ・スタジアムを占拠する。

 

 サッスオーロは13勝11分13敗で11位。今季はミランインテルユヴェントスラツィオアタランタフィオレンティーナから勝ち点3を奪っており、スペースを与えてくれる上位相手に好成績を収めている。バンディエラであるマニャネッリのラストゲームに勝利して引退に華を添えると同時に、トップハーフフィニッシュを狙う。

  • 今季ホームゲーム6勝6分6敗、27得点27失点。見事にプラマイゼロ。
  • 64得点はリーグ6位。セットプレーから4点、PKが7点、FKが1点、OGが4点。ヘディングゴール数7。15-30分、60-75分に得点が多い。
  • スカマッカがリーグ4位タイの16(ヘディング3)点。ベラルディが15(PK6)点、ラスパドーリが10点、ハメド・トラオレが7点、フラッテージが4点。
  • ベラルディがリーグ最多の13アシスト。チーム2位はキリアコプーロスの5アシスト。ラスパドーリが4、フラッテージが3、デフレルが2アシスト。
  • シュート数6位。枠内シュート数2位。ベラルディがリーグ4位、スカマッカが15位、ラスパドーリが18位、フラッテージが25位タイ。
  • 枠に当てた回数17回で5位タイ。スカマッカが4回、フラッテージとハメド・トラオレが3回ずつ。
  • 63失点は15位。無失点は3試合。75-90分、30-45分に失点が多く、全体の50%以上を占める。逆に、得点が多い15-30分、60-75分は失点が少ないので要注意。
  • 枠に助けられた回数14回。
  • 1試合平均リカバリー数18位。ジャン・マルコ・フェラーリが13位。
  • セーブ数9位。個人ではコンシーリが5位。
  • ドリブル数2位。
  • クロス成功数19位。失敗数3位(少)。
  • CK数4位タイ。
  • オフサイド数18位タイ(少)。
  • PK獲得数7回。献上回数9回。
  • 1試合平均走行距離18位。105.1㎞。個人ではマクシム・ロペスがリーグ8位。
  • アクチュアルプレイングタイム5位。
  • ポゼッションタイム5位。自陣3位。敵陣7位。
  • パス成功数5位。成功率85%。キーパス数6位。ファイナルサードのパス数8位。
  • キーパス数リーグ5位に67本のベラルディ。16位に47本のマクシム・ロペス。ラスパドーリが37本、ハメド・トラオレが34本。
  • 被ファウル数リーグ6位タイにベラルディ。フラッテージが22位タイ。チーム3位はCBのジャン・マルコ・フェラーリ
  • サッスオーロセリエAに初昇格した13-14シーズン以降のセリエAでの対戦成績はミランの9勝2分6敗、29得点25失点。16-17シーズンから9試合無敗だったが、昨季のホームゲームから連敗中。
  • マペイ・スタジアムでは5勝3敗。最初の3試合で3連敗したが、現在は5連勝中。
  • ピオーリ就任後は2勝1分2敗。
  • ベラルディはセリエAミラン戦15試合で10G4A。ホームで8G1A。

 

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アタランタ戦後の1週間

 トナーリが4月のリーグ月間MVPを受賞。

 メニャンが21-22シーズン最優秀GKを受賞。

 

先発&フォーメーションf:id:incursore:20220523130403j:image

 ミランは3試合連続同じ先発メンバー。ケアーが負傷欠場。カスティジェホ、ダニエル・マルディーニ、ラゼティッチがベンチ外。

 サッスオーロは勝利した前回対戦と同じ先発メンバー。トリャン、ハルイ、ロマーニャが負傷欠場。オビアングは心臓疾患で欠場。

 

スタッツ&控え

Match Report | 2021-22 | 38ª Match Day | Lega Serie A

 

ハイライト


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流れ

 

 足を滑らせる選手が多いピッチコンディション。

 ミランのビルドアップの形はケシエがトモリの左に降りる3-4-2-1。サッスオーロはコンパクトな4-3-3でセットしてCBから中盤へのパスのインターセプトを狙う。ミランは後方でパスを廻しプレスを引き出してからジルーへのロングボールを中心にボールを前進させ、左サイドの突破やライン間のサレマーケルスへの縦パスで仕掛ける。

 サッスオーロのビルドアップに対して、ミランはジルーとクルニッチで2CBとマクシム・ロペスを監視し、他は1人を余らせてマッチアップする相手を捕まえるのが基本。サッスオーロが自陣から繋ぐ際は左サイドから。マテウス・エンヒキがトナーリを釣り出してスカマッカへのパスコースを作り、スカマッカが少し降りてキリアコプーロスやフェラーリやラスパドーリからパスを受けて右サイドにサイドチェンジをし、ミュルデュルでレオンの裏を突こうとする。ミドルゾーンで保持ができるとWGはライン間に入ってSBが高い位置を取る。

 

 6分、メニャンのフィードを受けたテオが左から右に横断してファウルを受ける。サレマーケルスが柔らかいボールを入れ、ジルーが頭で合わせるがコンシーリがセーブ。

 7分、サッスオーロのビルドアップにミランがプレス。降りて受けたマテウス・エンヒキにトナーリが付いていき、PA手前でボール奪取。フリーのレオンに渡し、レオンがシュートを撃つがフェラーリがスライディングでブロックしてCKに。テオのアウトスイングのボールがトモリに当たって枠内に飛ぶがマクシム・ロペスがゴールライン上でブロック。一旦、メニャンまで下がるが、左サイドに降りて受けたトナーリが右からダイアゴナルランで裏に抜け出したサレマーケルスにアウトサイドライナーパス。サレマーケルスが左足でシュートを撃つがコンシーリがセーブ。

 16分、スカマッカのポストプレーとサイドチェンジでプレス回避しミドルゾーンで保持をするサッスオーロ。センターサークルでマクシム・ロペスからパスを受けたカーン・アイハンにクルニッチがプレス。逃げようと横に運んだところをレオンが奪いカウンター。レオンが運んでゴール前のジルーにパス。ジルーがワンタッチでシュートを撃つとブロックに来たフェラーリとコンシーリの股を抜きゴールに吸い込まれミランが先制。

 21分、カーン・アイハンのクリアボールをスカマッカが受けるが滑ってボールロスト。拾ったカルルが中央のサレマーケルスに縦パス。サレマーケルスはターンをして密集をかわしトナーリにパス。トナーリのダイレクトミドルシュートはコンシーリがセーブしCK。テオのアウトスイングのボールがファーに流れたところをサレマーケルスがダイレクトボレーシュート。コンシーリが弾いたボールをテオが拾いゴール前に速いボールを送ると、トモリが触るがコンシーリが弾き出す。

 25分、クーリングブレイク。

 31分、ミランゴールキック。メニャンのロングボールをジルーとカーン・アイハンが競ったこぼれ球をトナーリが拾い右サイドのカラブリアに展開しようとするが、精度を欠いたボールをマテウス・エンヒキが奪いキリアコプーロスに下げる。カラブリアがそのままプレスに行くとキリアコプーロスの持ち出しを引っ掛ける。PA内にこぼれたボールをフェラーリが拾うが、レオンが寄せ、フェラーリの運ぶ道を読んでボールを奪う。レオンはフェラーリをものともせず、後ろ向きの状態からかわしてマイナスに折り返すと、フリーのジルーがワンタッチで押し込んでミランが追加点を挙げる。

 35分、サッスオーロのFKをジルーが頭で弾き返し、サレマーケルスがプレスをかけてボールを下げさせる。更にジルーがコンシーリまでプレスをかける。コンシーリから受けたマクシム・ロペスにクルニッチが寄せると、マクシム・ロペスはボールに乗って転んでしまう。クルニッチがボールを拾うと、すぐに右サイドを追い越したレオンにスルーパス。レオンのマイナスの折り返しを走り込んだケシエが左足で丁寧に合わせてミランが3点目を奪う。

 38分、ミランが右サイドのスローインからカラブリアがサレマーケルスとのワンツーで深い位置を取る。カラブリアがサレマーケルスに下げると、サレマーケルスがワンタッチでクロスを上げ、ジルーが頭で合わせるがコンシーリがセーブ。

 39分、キリアコプーロスからのパスをマクシム・ロペスがトラップ失敗。流れたボールをジルーが拾い、クルニッチに落とす。クルニッチは後ろからのフラッテージの寄せをブロックして運び、中央に入ってきたレオンにパス。レオンがシュートを撃つがコンシーリがセーブ。

 42分、レオンがフラッテージを倒して、サッスオーロが右サイドライン際からのFKを得る。ベラルディのインスイングのボールをニアでフラッテージがバックヘッドで合わせるがメニャンが右腕で弾き出す。こぼれ球はジルーが頭でPAの外に出すが、拾ったマクシム・ロペスが放り込む。トモリとフェラーリが競ったこぼれ球を拾ったスカマッカが強烈なボレーシュートを撃つがクルニッチが頭でブロック。

 0-3で前半終了。

 後半からサッスオーロはミスが多く、安定感を欠いたマクシム・ロペスに替えてラストゲームのマニャネッリを投入。ミランイエローカードを貰ったトナーリに替えてべナセルを投入。

 51分、ミュルデュルが右サイドの裏に流れたスカマッカにスルーパス。スカマッカがマイナスに折り返すがラスパドーリの前でカラブリアがクリア。クリアボールをレオンが受けるがカーン・アイハンが奪い、マニャネッリから中央でパスを受けたマテウス・エンヒキが左サイドのキリアコプーロスに展開。キリアコプーロスの平行クロスをベラルディがバイシクルで合わせようとするがミートできない。

 57分、サッスオーロはフラッテージに替えてハメド・トラオレを投入し、4-2-3-1に変更。ミランはべナセルがラスパドーリ、ケシエがマテウス・エンヒキ、クルニッチがマニャネッリを担当。

 70分、クーリングブレイク。

 77分、自陣中央のべナセルから左サイドの裏に抜け出したレオンにロングパス。レオンの折り返しをイブラが頭で合わせてネットを揺らすがレオンがオフサイド

 82分、ビルドアップでケシエが降りなくなる。スクデットを確信したピオーリがクルヴァに向かって踊り出す。

 85分、カーン・アイハンから中央に入ってきたハメド・トラオレにパス。トラオレがスカマッカにフリック、スカマッカはデフレルに落とし、デフレルがカルルを股抜きでかわしたところをトラオレがミドルシュートを撃つと左ポストに直撃。

 88分、ラスパドーリから裏へのパスをロマニョーリがカット。ケシエが受けて中央に運びブラヒムにパス。ケシエが前でもう一度受けて、右サイドを上がってきたカラブリアにパス。カラブリアが持ち上がってファーのイブラにクロスを上げるが流れる。しかし、レオンが拾ってミュルデュルをかわしてゴール前に折り返す。カラブリアが合わせるがサタリーノがファインセーブ。

 0-3で試合終了。

 

ミラン

 

 序盤から高い強度で猛攻を仕掛け、コンシーリに何度も阻まれながらも16分で先制することに成功。その後も勢いでサッスオーロを飲み込み前半で3点のリードを奪い、後半は試合を落ち着かせて余裕を持って勝利。11年ぶり19回目のスクデットを獲得した。

 タイトル自体は2016年12月のイタリア・スーパー・カップ以来、1976日ぶり。

 勝ち点3ポイント制以降、スクデットを獲得したなかで最も若いチーム。平均年齢26歳97日。

 最後まで優勝を争ったライバルインテルからの祝福。

 メニャン、レオン、ケアー、バロ=トゥーレをリールが祝福。これからもよろしくお願いします。

 

 優勝決定試合がプレスからのカウンター3発。ピオーリ・ミランを象徴する試合になった。

 ビルドアップはロングボールがジルーに収まり、セカンドボールも拾えることで相手の中盤を簡単に超えることができたのが大きかった。前回対戦ではビルドアップのミスで失点していたので同じミスは繰り返さなかった。

 守っては今季18試合目のクリーンシート。この6連勝における球際の集中力、マークの受け渡しや担当のマーカーを捨ててカバーに行く判断の精度は凄まじく高かった。シュートは15本撃たれたが、PA内で撃たれたのは4本だけで3本がセットプレーなので崩された場面がなかった。

 大外ではなく内側でプレーしたサレマは今季最高クラスの動きだったと思う。食いついてきた相手をいなすドリブルは本当に上手い。

 

 11年。長かったが短かったような気もする。常にミランが好きで、文句ばかりの時期も、文句すら言えず弱さを受け入れる時期も、それはそれで楽しんでいた。しかし、今回の優勝は忘れていた感情を思い出させたのではなく初めての感情を与えた。前回スクデットを獲得した当時の自分はBS12のACミランチャンネルが頼りでリアルタイムで試合を観ることがなかったからか、こんなにビッグタイトルが遠いものになるとは思っていなかったからか、プリンスのダンスくらいしか優勝の記憶が残っていない。そのため、今季の歓喜ミランの勝利がもたらす興奮と幸福を最大限感じることができたし、一生忘れないであろう瞬間になった。本当にありがとう。そして、おめでとう。

 しかし、今回の勝利とトロフィーはあくまで新たな歴史の序章に過ぎない。ミランには戻らなければいけない場所がある。この11年を待つことができた我々なら何も怖くない。ビッグイヤーは待っている。

 

サッスオーロ

 

 前半途中からスカマッカを右サイドに流れさせたり、ハメド・トラオレを入れて並びを変えても奏功しなかった。

 インテルが欲しがるスカマッカは本当にインテルに合いそう。

 マニャネッリとペルーゾはお疲れ様でした。ディ・フランチェスコ時代のマニャネッリはアッズーリに招集されてもおかしくない程のレジスタで、サイド攻撃を重視するチームに於いてマニャネッリの正確なサイドチェンジは不可欠だった。

 

主審 Daniele Doveri VAR Gianlica Aureliano

 

 トナーリのカードが少し厳しい気がした以外は特になし。