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主にACミランとセリエAに関する備忘録。

21-22 セリエA総括 ~チーム編~

 最終節までスクデット争いも残留争いも縺れた21-22シーズンのセリエA各チームをスタッツや大まかなメンバー、開幕前の予想順位とともに簡潔に振り返ります。

 

Teams Statistics | Lega Serie A

 

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各クラブを振り返る

トップ4

 

優勝 ミラン 86P 26W8D4L 69G31C (予想2位)

 

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 リーグ最少失点タイ。ホーム最少失点。アウェイ最多勝ち点&得点。シュート数4位、枠外シュート数2位。無失点が最多の18試合。1試合平均タックル成功数1位。平均走行距離106.5㎞(13位)。ボール保持時間7位。

 

2位 インテル 84P 25W9D4L 84G32C (予想4位)

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 ☆MVP:ブロゾヴィッチ ★MIP:ドゥンフリース

 財政難から優勝の立役者だったルカク、ハキミを売却し、コンテも退任。シモーネ・インザーギを後任に据え、ジェコ、チャルハノール、ホアキン・コレアとセリエAで実績を残す選手を安価で獲得。ハキミに替わる右の槍にはドゥンフリースを獲得した。

 2トップのポストプレー起点によるWBの裏抜けといった縦に速いコンテ式を継続しながら、中盤の3人が頻繁にポジションチェンジを繰り返してポゼッションを安定させ、バストーニやディマルコの攻撃参加でアクセントを付ける。

 他の上位陣と比較するとシーズンを通して離脱者が少なかった一方で、疲労からか決定力不足が目立った2月と3月はミラノダービーで優勢から逆転負けを喫すると、ナポリ戦、CLリヴァプール戦と立て続けに行われたビッグゲームで勝ち点を落とし、中盤の要であるブロゾヴィッチが負傷離脱。サッスオーロに敗れ、最下位ジェノアに引き分けるなど、カンピオナートは1勝しかできなかった。スクデット争いに於いて、34節と35節の間に行われたボローニャとの延期試合の敗戦が痛恨だったのは言うまでもない。

 リーグ連覇は逃したが、スーペルコッパとコッパ・イタリアの2冠を達成。来季はペリシッチの退団が決定し、今季に続いて主力の現金化の可能性がある。補強はルカクの復帰やディバラの獲得を狙う一方で、中盤の質と量を強化する堅実な動きも見られる。冬加入でペリシッチの陰に隠れたゴセンスに来季は注目。

 ホーム獲得勝ち点1位。最多得点。失点3位。シュート数、枠内シュート数1位。クロス成功数1位。CK数1位。ヘディングゴール数1位。レッドカード数最少。平均走行距離111.2km(3位)。ポゼッションタイム3位。

 

3位 ナポリ 79P 24W7D7L 74G31C (予想6位)f:id:incursore:20220608172934j:image

 ☆MVP:ディ・ロレンツォ ★MIP:エルマス

 ガットゥーゾからスパレッティに監督が交代したものの、実質的な補強はザンボ・アンギサのみで、序盤戦はメルテンスとデンメを負傷で欠き、1月のアフリカネーションズカップでクリバリ、オシムヘン、ザンボ・アンギサを欠くことから苦戦が予想された。

 しかし、蓋を開けてみるとDFラインとザンボ・アンギサとファビアン・ルイスによる後方のポゼッション、オシムヘンを中心とした速攻が機能して開幕8連勝を飾る。一方で、負傷者が後を絶えず、ディ・ロレンツォとエルマスが複数ポジションをこなし、3バックを採用するなど万策を駆使するが、12月に3敗を喫する。懸念された1月は好成績で乗り切り、2月末に再び首位に返り咲くが、直後のミランとの直接対決に敗れると、4月の2敗でスクデット争いから脱落した。

 とにかく離脱者の多さに苦しんだが、主力メンバーが一定数揃っていた時の内容と結果はスクデットに値する出来で、個人的には名勝負製造機としても楽しませてもらった。インテル程ではないが、ナポリもまた財政難で、来季はインシーニェが退団し、クリバリとファビアン・ルイスの契約延長が難航しているのが気掛かりだ。

 アウェイ最少失点。得点3位。失点最少タイ。シュート数5位、枠内シュート数3位。枠に当てた回数21回(最多)。PK獲得数14回(最多)。PK献上回数1回(最少)。イエローカード数最少。平均走行距離105.8㎞(15位)。ポゼッションタイム4位。

 

4位 ユヴェントス 70P 20W10D8L 57G37C (予想1位)f:id:incursore:20220608172917j:image

 ☆MVP:デ・リフト ★MIP:ルガーニ

 抜擢したピルロを1年で切り、アッレグリを2年ぶりに再招聘。ロナウドが退団し、キエーザの活躍とディバラの復活に期待がかかったが、60年ぶりの開幕4試合未勝利で18位に沈む最悪のスタートを切った。

 攻撃を構築できず、離脱者が多いなかでも、デ・リフトを中心に中央を固める守備をベースに15節から16試合無敗を記録するなどして24節から4位を維持した。1月にキエーザが膝の大怪我を負い、半年間定まっていなかったエースストライカーとしてヴラホヴィッチを獲得すると、ヴラホヴィッチがデビューした24節から4位が確実となった35節までの期間内成績は2位。

 昨季に続いて今季も一度も首位に立てず、スーペルコッパもコッパ・イタリア決勝もインテルに敗れて10-11シーズン以来の無冠に終わった。来季はディバラだけでなく、精神的支柱でもあったキエッリーニが退団して新たなサイクルに突入するか。

 ホーム獲得勝ち点7位。得点11位。失点4位。ヘディングゴール数2位タイ。クリア数10位。平均走行距離108km(8位)。ポゼッションタイム8位。

 

EL組

 

5位 ラツィオ 64P 18W10D10L 77G58C (予想5位)ビンゴf:id:incursore:20220608172855j:image

 ☆MVP:ミリンコヴィッチ=サヴィッチ ★MIP:ザッカーニ
 契約延長寸前だったシモーネ・インザーギインテルに奪われた後任にサッリを招聘。既存戦力の残留に加えて、教え子のペドロとヒサイを獲得し、フェリペ・アンデルソンが3年ぶりに復帰。開幕2試合で9得点を奪い、移籍市場終盤にザッカーニも獲得して注目度の高いチームに仕上がった。

 しかし、その後は守備の不安定さと拙いカウンター対応から勝ち点を失い、10節にようやく無失点試合を記録。連敗は1度だけだが、3連勝が1度もなく、上位勢との対戦成績も悪かった。ザッカーニが先発に定着した16節以降は縦に出し入れするビルドアップと4-5-1ゾーンプレスの練度の向上も相まって、攻守ともに成績が改善された。

 アチェルビ、ルイス・フェリペ、ルーカス・レイヴァと後方の入れ替えが多そうな来季は補強次第で上にも下にも振れそう。

 得点2位。失点10位タイ。シュート数13位、枠内シュート数5位。ヘディングゴール数2位タイ。オフサイド数18位。平均走行距離112.3km(1位)。ポゼッションタイム2位。パス成功数1位。アクチュアルプレイングタイム最長。

 

6位 ローマ 63P 18W9D11L 59G43C (予想7位)

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 ☆MVP:クリスタンテ ★MIP:セルジオオリヴェイラ

 ロマニスタに人気がなかったフォンセカの後任にモウリーニョを招聘し、パウ・ロペスに替わる守護神としてルイ・パトリシオ、ジェコに替わるストライカーとしてエイブラハムを獲得する一方で、中盤と最終ラインの選手層に一抹の不安を抱えながらの開幕となった。

 4-2-3-1を基本システムとし開幕3連勝で首位に立つが、ECLとの連戦、アウェイゲームや上位勢との対戦に苦しみ、12節でCL圏外に脱落。以降は3バックに変更し、セルジオオリヴェイラがデビューした22節からは12試合無敗を記録したが、最後の5試合は1勝しかできず6位で終えた。それでも、初代ECL王者に輝き、クラブとしては07-08シーズン以来となるタイトルを獲得した。

 今季はあくまで土地を耕し、種を蒔く1年だったので、来季は戦力の整備に成功すればCL出場権獲得も現実的な目標になる。

 得点9位タイ。失点6位。シュート数3位。枠に当てた回数2位タイ。CK数2位。平均走行距離107.9km(9位)。ポゼッションタイム9位。イエローカード数99枚(2位)、レッドカード数8枚(2位タイ)。

 

ECL

 

7位 フィオレンティーナ 62P 19W5D14L 59G51C (予想8位)

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 ☆MVP:トレイラ ★MIP:イゴール

 スペツィアで魅力的なカルチョを披露したイタリアーノを引き抜き、肝となるアンカーにセリエAでの実績があるトレイラを、ヴラホヴィッチのサポートアタッカーとしてアルゼンチン代表のニコラス・ゴンサレスを獲得。

 前半戦はヴラホヴィッチを中心とした攻撃的で入れ替わりの激しいオープンな試合が多かったが、ヴラホヴィッチ移籍後はCFが定まらず、23節以降と延期分のウディネーゼ戦を合わせて17試合で19得点と得点力が大きく低下。それでも、チームとして粘り強い戦いを見せ、最終節で因縁の相手ユヴェントスを破り、6季ぶりの欧州コンペティション出場権を掴み取った。

 来季はカブラウやイコネといった冬加入の選手たちが真価を発揮することに期待したいが、トレイラの買取を渋っているというのが心配。

 ホーム獲得勝ち点2位。アウェイ獲得勝ち点13位。得点9位タイ。失点8位。クロス成功数2位、失敗数最多。PK獲得数2位。インターセプト数最少。クリア数最少。セーブ数最少。平均走行距離105.1km(18位)。ポゼッションタイム1位、敵陣8位。ロングボール成功数1位。レッドカード数8枚(2位タイ)。

 

欧州逃し

 

8位 アタランタ 59P 16W11D11L 65G48C (予想3位)

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 ☆MVP:パシャリッチ ★MIP:スカルヴィーニ

 3季連続3位に導いたガスペリーニの6季目。トッテナムに移籍したロメロとゴッリーニの後釜にデミラル、ロヴァート、ムッソを獲得して穴を埋めるだけでなく、レギュラーが固定されている中盤とWBにコープマイネルスとザッパコスタを獲得し選手層の底上げを図った。

 前半戦はデ・ローンの出場停止やハテブールとゴセンスを負傷で欠きながらも23節までは4位以内を維持したが、牽引してきたサパタとDFリーダーのトロイが離脱を繰り返し、全体的にコンディションが落ち込んだ24節以降は延期分も含めると4W4D8L(期間内成績14位)で8位まで転落してしまった。

 新戦力のザッパコスタとコープマイネルスが複数ポジションで健闘した一方で、ムッソはチームスタイルの変化に対応できずに評価を落とした。1月はサパタが離脱したにも係わらずポストプレイヤーの補強をせずに、ドリブラーのボガとアタッカーのミハイラを獲得したのが失敗に終わった。

 上層部に怒り心頭のガスペリーニは来季の続投が未定。

 ホーム獲得勝ち点14位。アウェイ獲得勝ち点4位。得点5位タイ。失点7位。シュート数2位、枠内シュート数9位。CK数3位。インターセプト数3位。平均走行距離110.8km(4位)。ポゼッションタイム5位、敵陣1位。

 

中位

 

9位 エラス・ヴェローナ 53P 14G11D13L 65G59C (予想12位)f:id:incursore:20220608172741j:image

 ☆MVP:カプラーリ ★MIP:タメゼ

 今季はザッカーニ、ディマルコ、ロヴァート、シルヴェストリといった主力選手だけでなく、2季連続でトップハーフに導いたユリッチ監督まで引き抜かれてしまう。後任にはディ・フランチェスコを招聘するが、開幕3連敗でスピード解任。

 4節から就任したトゥードルはユリッチのプレーモデルを引き継ぎながら、前線のタレントを生かして昨季までには見られなかった得点力を発揮するが、守備の強度はユリッチ時代よりも落ちて守り切れずに失点を重ねる。それでも、23節以降は常にトップハーフを維持して9位でフィニッシュ。

 来季は的確な補強で3季連続のトップハーフフィニッシュに多大な貢献を果たしたダミーコSDが退任するだけでなく、トゥードルも退任し、バラクやイリッチ、カザーレら主力の引き抜きの噂は絶えず、シメオネはレンタル。厳しい状況に陥りそうだ。

 得点5位タイ。失点12位。シュート数12位。オフサイド数最多。クリア数3位。ファウル数4位。イエローカード数4位タイ。レッドカード数4位タイ。平均走行距離109.9km(5位)。アクチュアルプレイングタイム最短。ポゼッションタイム13位、自陣17位。

 

10位 トリノ 50P 13W11D14L 46G41C (予想10位) ビンゴ

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 ☆MVP:ブレーメル ★MIP:ヴォイヴォダ

 16位、17位とギリギリの残留が続いた過去2季の停滞を打破すべくユリッチを招聘。ブレカロ、プラート、ポベガらの獲得に加えて、カピターノのベロッティも残留し、期待できる戦力が揃った。

 ブレーメルが最終ラインで壁となり、左サイドにコンバートされたヴォイヴォダが右のシンゴとともに存在感を示し、多士済々な中盤が攻守に働き、ブレカロがドリブルでアクセントを付ける。左サイドのリカルド・ロドリゲス、ヴォイヴォダ、ブレカロはユリッチのチームらしい流動性があった。ベロッティとサナブリアがシーズンを通して好調であれば、一つ上の集団に割って入ることも可能だったはず。

 来季はベロッティが遂に契約満了で退団。ブレーメルも移籍が確実。ブレカロは買い取れず、ポベガはドライローンなのでミランに帰る。これは大変です。

 得点13位タイ。失点5位。シュート数11位。枠に当てた回数4位タイ。クロス成功数3位。オフサイド数2位。セーブ数19位。インターセプト数4位。ファウル数最多。PK献上回数11回(3位)。平均走行距離106.4km(14位)。アクチュアルプレイングタイム19位。ポゼッションタイム11位、敵陣5位。

 

11位 サッスオーロ 50P 13W11D14L 64G66C (予想9位)f:id:incursore:20220608172713j:image

 ☆MVP:マクシム・ロペス ★MIP:ハメド・トラオレ
 2季連続8位でシャフタール・ドネツクへステップアップしたデ・ゼルビ監督の後任としてエンポリセリエB優勝に導いたディオニージを招聘。ロカテッリ、カプート、マルロンが移籍したが、スカマッカとフラッテージが武者修行を終えて復帰した。

 ディオニージはデ・ゼルビのスタイルを継続しつつも、ショートパスに固執していた感のあったデ・ゼルビよりもスカマッカへのロングボールを活用し縦への速さも取り入れる。

 マクシム・ロペスがロカテッリに替わる司令塔としてボールを動かす傍らで、フラッテージがボックストゥボックスで走る。ベラルディが持てばSBとフラッテージが追い越し、スカマッカとラスパドーリがゴールに向かう。1月に移籍したボガに替わってハメド・トラオレがドリブラーとしての才能が開花し、独力でチャンスを創出する存在に化けた。

 ミランインテルユヴェントスに勝利する一方で、持たされる展開に持ち込まれると苦戦し、得点の多さよりも失点の多さが8位以上に1度も立てなかった原因になった。カバーエリアが広く、対人守備に強いCBを獲れれば来季もおもしろそう。

 得点7位。失点15位。シュート数6位、枠内シュート数2位。枠に当てた回数4位タイ。クロス成功数19位。オフサイド数19位。タックル成功数最少。平均走行距離104.9km(19位)。ポゼッションタイム6位、自陣3位。

 

12位 ウディネーゼ 47P 11W14D13L 61G58C (予想14位)f:id:incursore:20220608172703j:image

 ☆MVP:デウロフェウ ★MIP:ベト
 ゴッティの3季目は攻撃の全権を担った10番のデ・パウルと最後の砦だった守護神のムッソを引き抜かれたことで難しいシーズンになることが予想され、10番を受け継いだデウロフェウが昨季の負傷から復活できるかが注目された。

 開幕3試合は2勝1分の好スタートを切ったが、その後は8試合連続未勝利など13試合で1勝しかできず16節でゴッティを解任し、アシスタントコーチだったチョッフィが暫定監督に就任する。チョッフィはゴッティが構築した5-3-2をベースに戦い15位から13位を行き来する。終盤戦は下位相手に勝ち点と得点を稼いで12位で終えることに成功。チョッフィ就任後の22試合は期間内成績9位で40得点を記録した。

 来季はチョッフィは契約を更新せずにエラス・ヴェローナに行くようで、後任としてアスコリからソッティルを引き抜いた。デウロフェウはナポリ、ナウエル・モリーナはユヴェントスなどに狙われており、パブロ・マリやネウエン・ペレスらレンタル組の去就も未定。ベトとウドジェは買い取ったが転売の可能性もあり、一から作り直しになるかもしれない。

 得点8位。失点10位タイ。シュート数9位。PK獲得回数4回(最少タイ)。クロス成功数18位、失敗数最少。タックル成功数5位。イエローカード数4位タイ。平均走行距離103.7km(20位)。ポゼッションタイム19位。ロングボール成功数最少。

 

13位 ボローニャ 46P 12W10D16L 44G55C (予想16位)f:id:incursore:20220608172644j:image

 ☆MVP:アルナウトヴィッチ ★MIP:テアテ
 ミハイロヴィッチの4季目。パラシオとダニーロという攻守のリーダーであり、若手の模範になるベテランが契約満了で退団し、新エースとしてアルナウトヴィッチを獲得。過去2季の12位からトップハーフ入りを目指す。

 昨季までの4-2-3-1で開幕するが、大敗が続いたことで3バックを取り入れる。自陣にブロックを組んで守備をする機会も昨季までと比較すると大きく増加。その甲斐あって失点数は過去2季の65から減少したが、得点数が50に届かず、消化不良の13位で終えた。後半戦だけの成績にいたっては16位。

 冨安、シャウテン、ヒッキーら挙げれば枚挙にいとまがないほど優秀な人材を発掘してきたビゴンSDがクビを切られ、来季はアタランタからサルトーリが就任。来季はハイプレスとリトリートのどちらに重きを置くのか。

 得点15位。失点9位。シュート数14位。枠に当てた回数2位タイ。セーブ数5位。タックル成功数19位。ファウル数19位。レッドカード数4位タイ。平均走行距離105.2km(17位)。ポゼッションタイム10位。

 

14位 エンポリ 41P 10W11D17L 50G70C (予想18位)f:id:incursore:20220608172628j:image

 ☆MVP:ヴィカーリオ ★MIP:パリージ
 セリエB優勝を果たしたが、ディオニージ監督を引き抜かれ、アンドレアッツォーリが通算3度目の指揮を執る。前線にピナモンティ、クトローネというミラノ育ちのCFを補強して残留を狙う。

 2節にアウェイでユヴェントスに勝利するなど、ハードワークを厭わない前線からの守備とリッチを中心としたポゼッションに両SBが積極的に攻撃参加するアグレッシブな戦いで序盤から安定して勝ち点を積み重ね、9位で前半戦を終える。しかし、後半戦は16試合未勝利もあり14ポイントしか奪えず、期間内成績は19位。前半戦の貯金で残留争いに巻き込まれずに済んだ。後半戦の2勝はナポリアタランタアンドレアッツォーリはスパレッティの下でアシスタントコーチを務めていたが、そのスパレッティ率いるナポリにはシーズンダブルを達成した。

 アンドレアッツォーリは解任(?)され、来季はヴェネツィアを率いていたザネッティが就任する。ローンで加入しているピナモンティ、ヴィカーリオ、ジュルコフスキはどうなるか。

 ホーム獲得勝ち点17位、アウェイ獲得勝ち点9位。得点12位。失点18位。PK献上回数10回(4位タイ)。シュート数10位。クロス成功数4位。ヘディングゴール数最少。オフサイド数3位。セーブ数2位。枠に助けられた回数21回(2位タイ)。オフサイド数5位タイ。平均走行距離111.3km(2位)。アクチュアルプレイングタイム2位。ポゼッションタイム12位、自陣7位。ロングボール成功数19位。

 

下位 

 

15位 サンプドリア 36P 10W6D22L 46G63C (予想11位)

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 ☆MVP:カンドレーヴァ ★MIP:ファルコーネ
 安定した戦いで9位でフィニッシュさせたラニエリの後任としてダヴェルサが就任すると、ラニエリの守備組織をベースに、前線にカプートを獲得し得点力の強化を図る。

 強豪との対戦が続いた序盤戦は積極的なプレスで相手を苦しませることに成功するが、善戦するだけで勝ち点は伸ばせない。その後はダムスゴーとガッビアディーニの長期離脱の影響や強度の低下が隠せずに連敗を繰り返すと、22節でダヴェルサを解任し、ジャンパオロが18-19シーズン以来の復帰を果たす。センシ、リンコン、コンティらを補強したが、大きく好転することはなく、後ろの足音が気になりながらも残留を果たした。

 来季は謎。

 得点13位タイ。失点14位。シュート数18位。PK獲得回数4回(最少タイ)。クロス成功数11位、失敗数2位(多)。CK数18位タイ。インターセプト数2位。平均走行距離105.7km(16位)。ポゼッションタイム14位。イエローカード数3位。

 

16位 スペツィア 36P 10W6D22L 41G71C (予想19位)

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 ☆MVP:プロヴェデル ★MIP:アミアン

 クラブ史上初の昇格と残留の立役者であるイタリアーノ監督を引き抜かれた後任に、トップチームでの実績がないチアゴ・モッタを招聘。おまけに開幕前にクラスターの発生し十分な練習ができず、未成年の移籍に関する規則違反で1月から2年間の補強禁止処分が科されるなど前途多難なスタートになった。

 イタリアーノの基盤をもとに3バックと4バックを併用し、新加入選手のポテンシャルを確認しながら戦った。降格圏に入ったのはシーズンを通して2度だけだが、残留ラインの17位になんとか踏みとどまっていた12月には監督解任の可能性が高まっていた。しかし、ナポリに奇跡的に勝利してクビを免れると、1月はジェノアミランサンプドリアに3連勝を飾り14位まで順位を上げた。後半戦だけの成績は13位で得点が微増し、失点も減少。降格した3チームに勝ち点3を1度も与えなかったことが残留に繋がった。

 補強禁止処分が軽減されて1月のみで済むことになり、補強ができるようになるが、同時にマッジョーレやバストーニの引き抜きに遭う可能性があり、DFリーダーのエルリッチがサッスオーロに戻ることも濃厚となっているためセンターラインの再構築を余儀なくされるかもしれない。

 得点16位。失点19位。シュート数19位。クロス成功数最少。ヘディングゴール数4(19位)。セーブ数4位。PK献上回数13回(最多)。枠に助けられた回数25回(最多)。平均走行距離106.9km(12位)。ポゼッションタイム15位。

 

17位 サレルニターナ 31P 7W10D21L 33G78C (予想20位)

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 ☆MVP:ジュリッチ ★MIP:エデルソン

 23年ぶりの昇格を果たしたが、ラツィオとのオーナー被り問題が発生し、セリエAへの登録すら危ぶまれた。

 開幕8試合で4ポイントしか奪えなかったカストーリを解任し、コラントゥオーノが就任するが、15試合で9ポイントしか奪えず。冬の移籍市場では1月中旬にテクニカルダイレクターに就任したサバティーニが迅速に動き、ヴェルディ、ファシオ、ラドヴァノヴィッチ、セペらセリエA経験豊富な選手を中心に10人以上も補強し、26節から残留請負人ダヴィデ・ニコラを招聘する。初戦からジュリッチの高さを活かすロングボールやハイクロスを用い、チームに熱を持たせてハードワークできるチームに変貌させると、延期分2試合を含めた4月以降の10試合を4勝3分3敗で切り抜け、17位に滑り込んだ。二コラはジェノアトリノと3季連続で途中就任から残留に導いた。スペツィア同様、降格した3チームに勝ち点3を与えなかった。

 来季は二コラが続投するが、もう一人の立役者であるサバティーニTDが会長との意見の相違で退団。主力にローンの選手が多いため、サバティーニの退団は大きな痛手になりそうだ。

 得点19位。失点最多。無失点試合2(最少)。シュート数15位。クロス成功数6位。オフサイド数最少。セーブ数3位。クリア数2位。平均走行距離107.1km(11位)。アクチュアルプレイングタイム18位。ポゼッションタイム最短、敵陣17位。パス本数最少。

 

降格組

 

18位 カリアリ 30P 6W12D20L 34G68C (予想13位)

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 ☆MVP:ジョアン・ペドロ ★MIP:ベッラノーヴァ

 昨季途中就任で残留に導いたセンプリチが続投。ストロートマン、カセレス、ケイタ・バルデら実力者を補強し、移籍の噂があったナンデスとマリンも残留。苦しまずに残留できそうな戦力が揃った。

 しかし、開幕3試合でセンプリチを解任し、マッザーリを招聘するが、前半戦は1勝しかできず最下位で年を跨ぐ。1月、2月は絶好調で8試合で4勝3分1敗で17位に浮上するが、その後に5連敗とサレルニターナの猛追を受けて降格圏に落ちると、残り3試合でマッザーリを解任し、プリマヴェーラで好成績を収めていたアゴスティーニをトップチームの監督に引き上げさせる。それでも、サレルニターナヴェネツィアとの残留争い直接対決に勝てず18位で降格が決まった。

 来季はリヴェラーニの就任が決定しているが、ジョアン・ペドロとクラーニョの去就次第で大きく未来が変わりそう。

 得点17位タイ。失点16位。シュート数16位。PK獲得回数4回(最少タイ)。クロス失敗数3位。CK数18位タイ。PK献上回数10回(4位タイ)。ファウル数5位。イエローカード数4位タイ。インターセプト数5位。タックル成功数17位。平均走行距離107.5km(10位)。ポゼッションタイム16位、敵陣19位。ロングボール成功数6位。

 

19位 ジェノア 28P 4W16D18L 27G60C (予想15位)

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 ☆MVP:バデリ ★MIP:カンビアーゾ

 昨季は19位の時点で就任し、11位で余裕の残留に導いたバッラルディーニが続投。ペリン、ザッパコスタ、ショムロドフ、スカマッカが退団したものの、シリグ、カイセド、エルナニを獲得し、残留には十分な戦力が揃った。

 しかし、12節で1勝6分5敗の9ポイント。引き分けが多く、敗戦のうち4試合が1点差と接戦をものにできなかった。13節から就任したシェフチェンコは5バックを採用するが、9試合で3分6敗。3得点しか奪えずに解任。1試合暫定監督を務めたコンコは6失点の大敗。

 スリーセブンパートナーズのクラブ買収によるレッドブル化を進めるべく招聘されたブレッシンは強度の高いプレッシングで堅守を築き、就任後7試合連続引き分け(スコアレスドローが5試合)を経て初勝利を挙げる。勢いが出て残留まで突き進むかと思われたが、直後に3連敗を喫し、カリアリ戦とユヴェントス戦の勝利でも波に乗れず19位に終わった。16試合15失点の守備力でブレッシンの期間内成績は15位だが、7得点の致命的な得点力不足が解消されなかった。

 攻撃の軸として期待されたカイセドが負傷で9試合しか出場できず、カピターノのクリーシトが負傷で後半戦は5試合しか出場できず、期待の若手であるロヴェッラとカンビアーゾも離脱が長引いた。1月に獲得したエスティゴー、フレンドルップ、アミリらは奮闘し、ポルタノーヴァが台頭したが、デストロ以外の前線のクオリティ不足が顕著(特にエクバン)だった。

 来季もレッドブル路線を継続でブレッシンが指揮を執る。すっとこどっこいながらパワフルで熱い守備を見せたエスティゴーはナポリ移籍が濃厚。

 アウェイ獲得勝ち点最少。得点最少。失点13位。シュート数17位、枠内シュート数最少。枠に当てた回数最少タイ。ファウル数2位。インターセプト数最多。タックル成功数2位。平均走行距離108.6km(7位)。ポゼッションタイム17位。パス成功数19位。ロングボール成功数18位。

 

20位 ヴェネツィア 27P 6W9D23L 34G69C (予想17位)f:id:incursore:20220608172430j:image

 ☆MVP:アンパドゥ ★MIP:クルニゴイ

 昇格プレーオフを勝ち上がり、セリエB5位から20年ぶりに昇格を果たした。ザネッティ監督が続投し、チェッカローニ、アラム、ヨンセンらの既存戦力にアンパドゥ、ブシオといった期待の若手、カルダーラ、オケレケ、アンリ、ハプスら即戦力になり得る選手を獲得。お洒落なユニフォームやボートでのスタジアム入りなどピッチ外の話題も注目を集めた。

 後方からのビルドアップを丁寧に行い、プレスを剥がして前進することを重視する戦いで前半戦は期待以上の16位で終える。しかし、14節から10試合未勝利で降格圏に落ち、1月にナニ、キュイザンス、エンサメを獲得するが、27節から8連敗で最下位に転落。残り5試合でザネッティを解任し、プリマヴェーラのソンチンを昇格させるが、2連敗で降格が確実に。最後の3試合で5ポイントを奪うが時すでに遅し。

 セリエCで無双したスッドチロルを率いたヤヴォルチッチが来季は指揮を執る。

 ホーム獲得勝ち点最少。得点17位タイ。失点17位。シュート数最少。枠に当てた回数最少タイ。CK数最少。セーブ数最多。PK献上回数12回(2位)。ファウル数6位。イエローカード数、レッドカード数最多。タックル成功数4位。クリア数最多。平均走行距離108.9km(6位)。ポゼッションタイム18位、敵陣20位。

 

総評

 まず、今季はDAZNの配信試合数が少なく、チームによるバラつきもあったため、印象に残っているチームとそうでもないチームで記憶の引き出しの量に差が出た。ボトムハーフのチームは20試合以上、アタランタラツィオですら16試合が未配信というのはこの記事を書くことすら憚られたし、ベストイレブンなんて選べるような立場にいないと感じている。選ぶけど。

 予想が的中したのは2チームのみ。監督交代が多かったので予想の時点で難易度は高かったが、注目の新監督だったサッリのラツィオとユリッチのトリノを当てられたのは嬉しい。自分の予想記事を読むと、ミラン優勝の可能性、ムッソの対応力、心機一転ジェコ、脳筋ドゥンフリースに触れていておもしろい。カリアリの降格は全く予想していなかったし、スペツィアとサレルニターナの踏ん張りには驚かされたし、残留争いのライバルに勝利することの重要性を確認できた。プレーオフ昇格チーム残留説は3季目で立証失敗したが、来季は途中就任残留から続投したチームが降格という説を推していきたい。

 ミラノ勢の復活やセリエAフリークスの人気でセリエAの需要が高まっているとするならば、プレミアリーグの放映権を失ったDAZNさんは今こそセリエAに力を入れるべきでは。いつやるの?今でしょ。来季もよろしくお願いします。