自業自得記録地獄

主にACミランとセリエAに関する備忘録。

22-23セリエA第1節 vs ウディネーゼ(H) 2人の再起が生み出す変幻自在の右サイド

 

 11年ぶりのスクデットを獲得した昨季からの継続とさらなる成長を志して臨む22-23シーズンの開幕戦。

 

 昨季のウディネーゼは11勝14分13敗で12位。ゴッティの後を継いでコーチから昇格し好成績を残したチョッフィと契約延長できず、セリエBアスコリからクラブOBのソッティルが就任。ミランが昨季勝てなかったのはユヴェントスウディネーゼだけ。

 

ペルゴレッテーゼ戦後の1週間

 トモリが26-27シーズンまで契約延長。全く揉めることなくあっさり延長。

 

先発&フォーメーション


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 ミランはイブラとトナーリが負傷欠場。イブラはポニーテール、トナーリはメガネで観戦。

 ウディネーゼはアルスラン、ヤヤロ、ブタが負傷欠場。ウドジェはメディカルチェックを控えるため大事を取って欠場。

 

スタッツ&控え

Match Report | 2022-23 | 1ª Match Day | Lega Serie A

 

ハイライト


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流れ

 

 キックオフからウディネーゼが左奥にロングボールを入れてセカンドボールを保持し右サイドにボールを動かす。RWBソッピーの外を右インサイドバックのベカンがオーバーラップするが、対面のレオンが戻らないのでウディネーゼはクルニッチ、テオ、トモリに対してデウロフェウ、ロベルト・ペレイラ、ソッピー、ベカンで数的優位を作り、ファーにクロスを上げるがマジーナの前に戻ったメシアスがクリアしてCK。デウロフェウがインスイングのボールをゾーンで守るミランのニアに蹴り込むと、レビッチの前に入ったベカンが頭で合わせてウディネーゼが1分30秒で先制。

 ミランのビルドアップはどちらかのSBがインサイドに入り、ベナセルがアンカーでクルニッチとブラヒムがIHかトップ下気味になる3-2(1)-4(5)-1。ウディネーゼはコンパクトな5-3-2でセットしてIBがボールを持つとIHが中盤からプレスに行く。ミランはメシアスがWBを押し込んで広げた手前のスペースにブラヒムが降りてボールを引き出す。

 6分、レビッチが右サイド奥に流れてメシアスからスルーパスを受けてスローインを得る。メシアスからリターンを受けたカラブリアが左足でレビッチに縦パスを入れると、ワンタッチの落としを受けたブラヒムが前に持ち出して強引にシュートを撃つ。シルヴェストリが弾いたボールに反応したカラブリアはボールに乗ってしまいシュートを撃てないが、ブロックに来たソッピーと接触があり倒れる。VARが介入しPK判定になると、テオが決めてミランが同点にする。

 14分、カラブリアが右サイドに流れたレビッチにスルーパスを送る。ネウエン・ペレスに突かれるが、こぼれ球をカラブリアが拾い、ブラヒムが右サイドをオーバーラップしたカラブリアにパス。カラブリアが1タッチでライン間に平行クロスを入れると、遅れて入ってきたレビッチがボレーで流し込んでミランが逆転。

 ミランの守備は配置通りに人を捕まえてハイプレス。ウディネーゼは左サイドからボールを前進させようと、マジーナでカラブリアを釣りだして裏にマケンゴかサクセスが走り込んでボールを引き出して起点を作ろうとする。強いプレスを受けたときはシンプルにサクセスにロングボール。起点を作ることができればデウロフェウとロベルト・ペレイラに預けたり、大きなサイドチェンジで揺さぶって攻撃。

 逆転後のミランはビルドアップ時のSBの攻撃参加を抑えてバランスを取る。

 27分、クルニッチからレビッチへのスルーパスをベカンがカットし、こぼれ球を拾ったソッピーがトモリの裏に抜け出したデウロフェウにロングスルーパス。デウロフェウがPAまで侵入するが、カルルが1vs2の局面でサクセスへのコースを切りながらデウロフェウのタッチミスを逃さずに寄せてボールを奪う。

 45+3分、ウディネーゼが左サイドでマケンゴが開けたスペースに降りたサクセスのポストプレーから前進し、右サイドに展開。右サイドのスローインを受けたサクセスがキープし、サイドライン際のロベルト・ペレイラにパス。ロベルト・ペレイラの外をベカンがオーバーラップしてクルニッチをどかすと、ロベルト・ペレイラのふんわりクロスをファーでマジーナが頭から飛び込んでウディネーゼが同点にする。

 2-2で前半終了。

 後半からミランはクルニッチをベナセルの横に留め、前進に成功するとテオがWG、レオンがシャドーになる3-2-4-1気味の前線に変更。開始早々、ブラヒムが右に動いてワラセを中央からどかし、カラブリアからレビッチに縦パスが入る。落としをクルニッチが左のテオに展開。テオがファーサイドにクロスを上げるとマジーナがクリアミス。こぼれ球にいち早く反応したブラヒムが押し込み33秒で勝ち越しに成功。

 ウディネーゼは右に降りるブラヒムをマジーナが捕まえに行くようになる。

 52分、カラブリアから中央で裏抜けを狙ったメシアスへのパスは流れてシルヴェストリがキャッチ。すぐにロベルト・ペレイラに渡し、ロベルト・ペレイラが運んでカウンター。クルニッチをかわし、サクセスにパス。サクセスはデウロフェウに繋ぎ、デウロフェウがロベルト・ペレイラにラストパスを出すがミス。

 58分、カラブリアからブラヒムへのパスがずれてウディネーゼボールに。マケンゴがメシアスのプレスバックを受けるが、キープして左に来たロベルト・ペレイラにパス。ロベルト・ペレイラが少し運び、パスを受けたマジーナのファーへのクロスにデウロフェウが遅れて入ってくるがコントロールミス。

 66分、ウディネーゼはマジーナがLIB、エボッセがLWBに入る。

 67分、ワラセからエボッセへのパスをカットしたメシアスが右外に向かったブラヒムに繋ぎ、ブラヒムはCB-LIB間に抜け出したメシアスにパス。ロベルト・ペレイラがカバーするがメシアスが追いかける。ロベルト・ペレイラがメシアスに気を取られているうちにブラヒムが内側からボールを奪いゴール前に折り返すと、レビッチが押し込んでミランがリードを広げる。

 74分、流れで右にいたトモリが中央から右ハーフスペースに抜け出したレオンにパス。レオンが前を向きカットインから左足で強烈なシュートを撃つが僅かに枠の上に外れる。

 75分、ウディネーゼはロベルト・ペレイラがアンカー、RIHにサマルジッチ、LIHにロヴリッチが入る。プレスを強めるが、ミランはメニャンとロングボールを使ってプレスをいなす。

 80分、ソッピーからPA手前中央のベトにパス。ベトはカルルとベナセルに挟まれ、クルニッチがこぼれ球を拾い、CDKに繋ぐ。CDKはすぐに前線に走るジルーの足元に正確なパス。ジルーはレオンを囮に自らシュートを撃つがナイティンクがブロック。

 82分、ウディネーゼはエボセレがRWB、ソッピーがLWB、エボッセがLIBに入る。

 85分、トモリからジルーへのロングボールはナイティンクが頭で弾き返すが、こぼれ球をべナセルが拾うと、前のCDKに渡して、左前に出てリターンを受ける。ベナセルが大外からPAに入ってきたサレマーケルスにロングパスを送ると、サレマーケルスがボレーで合わせるが枠を捉えられない。

 87分、敵陣右サイド奥でジルーがボールロスト。ロヴリッチからパスを受けたサマルジッチが自陣から持ち運び、ボディフェイクでポベガを外してミドルシュートを撃つがメニャンがセーブ。

 88分、メニャンの左足ロングパスをジルーがエボッセを背負いながら天才トラップで収めてサレマへ。サレマがゴール前のオリギにクロスを入れ、こぼれ球を後ろから入ってきたCDKが右足でゴールに流し込むがオリギがオフサイド

 95分、ロベルト・ペレイラとワンツーからデウロフェウがファーにふんわりクロスを上げるとソッピーがサレマーケルスの上からヘディングするがメニャンがセーブ。

 4-2で試合終了。19-20シーズンの開幕戦同様にベカンに先制点を許したが、すぐに攻勢を示して簡単に逆転。前半終了間際に追いつかれても、後半開始早々に勝ち越してウディネーゼに勢いを与えない。クルニッチの立ち位置の修正でトランジションが安定し、プレッシングから4点目を奪うと、新戦力をお披露目する余裕を見せて上々のスタートを切った。

 

ミラン

 

 レオンがサボらなければ最初のCKは与えずに済んだのか。

 5分、低い位置から持ち上がったテオがべナセルに預けた後に上がっていったプレーは非常にリスキー。カラブリアも上がっていたのでベナセルがミスをしたら2vs4のカウンターを受けていた。

 2点目はレビッチが起点を作った後、カラブリアが奪い返してすぐにメシアスがゴールに向かい、クルニッチとメシアスでベカンとナイティンクを留めてレビッチがフリーで入ってこれる状況を作り出したのも良かった。

 17分、右サイドのローテーション。ブラヒムが降りてカラブリアが内側から外に行き、内側に入ったメシアスがブラヒムから縦パスを引き出し前を向いてレビッチとワンツーからレオンにパス。レオンの宇宙開発ミドルで終わったが、クルニッチとテオで左サイドを崩しに行くことも可能で、そうなれば分厚い攻撃ができたはず。

 18分、カウンターを遅らせるベナセルとデウロフェウを潰すクルニッチ。

 20分、中に入るメシアスと右裏に流れるレビッチがクロスしてレビッチがナイティンクからフリーになる。

 37分、ベナセルのインスイングクロスは完全にフリーになっていたクルニッチに合えば…

 40分、ウディネーゼのMF-FWライン間中央でパスを受けたベナセルからダイアゴナルランで裏に抜け出したメシアスにフライスルーパスが通るがメシアスは胸トラップで前を向けず…

 2失点目もベカンのオーバーラップにレオンが遅れてクルニッチは瞬間的に1vs2を作られてクロスを許した。ふんわりクロスだと守備側はボールを待ってしまうことがあるがメシアスはまさにそれをやってしまった。先制のCKを与えた場面はマジーナがクロスを待ち構えていたところにメシアスが戻ったが、この場面は立場が逆転した。

 48分、ブラヒムが右に降りると、べナセルが前に出ていきメシアスからボールを受ける。

 58分、中盤でフリーのベナセルだったが、タイミング良くダイアゴナルランをしたレオンにパスは出ず…

 59分、メニャンのロングパスに抜け出したメシアスだが、ニアに入るふりしてファーに行くレビッチの動きに合わせられず…

 68分、4点目を奪った後のキックオフから猛烈にプレス!

 76分、CDKはシンプルにサレマにリターンで良かった。

 86分、ベナセルのボール奪取とテクニック。

 90分、CDKの巧みなドリブルからカウンターチャンス。カラブリアがオリギの裏に走ったCDKに出せれば…

 94分、ポベガがサイドに流れて空けた中央をテオが持ち上がるがクソパス。

 

 1試合でDFに2失点したのは2014年9月14日のパルマ戦以来。

 開幕戦で4得点以上記録したのは2010年のレッチェ戦以来、21世紀で見ても2回目。

 

 PSMでも感じた右サイドの連携の進化をこの試合でも存分に発揮した。カラブリアとメシアスで作ったスペースにブラヒムが絡み、奥や裏をレビッチとメシアスが使う。フロレンツィ、サレマ、CDK、アドリ、オリギでも再現可能な形というのが、個の能力を全面に押し出す左サイドとは異なる。右から左への展開がスムーズになればさらにチャンスが増えそう。

 攻守両面でアクションもリアクションも早く、まさにチームを牽引する活躍を見せたレビッチ。なんと、公式戦の先発は1月13日のコッパ・イタリア以来だったが完全復活の狼煙を上げた。

 ブラヒムのヒートマップは完全にRIH。期待しているベルナルド・シウバ化が進んでいる。全得点に絡み、昨年の9月26日以来の得点も記録。レビッチ同様、昨季も序盤は好調だっただけに今季は継続してもらいたい。

 クルニッチは守備面においてはほぼ問題がなかったが、前半のようにボランチの一人が保持時にIH化する場合は得点力の高いポベガの起用を見てみたい。

 テオとベナセルも好調。テオは対面の相手を完全に抑えた。最多走行距離だったベナセルはフィジカルで負けた場面が何回かあったが、高い守備スタッツを残し、ポゼッションのミスがほとんどなかった。流石に終盤はバテていた。

 レオンは2失点の間接的な原因になった怠慢守備があった。左からドリブルを仕掛ける状況も作れず残念なパフォーマンス。

 CDKとオリギがデビュー。CDKは一つ一つのプレーが正確で、相手のベクトルの逆を取るのが上手い。守備でもしっかりアンカーへのマークをこなした。オリギは左に入ったがほぼ2トップのようにプレー。居てほしい場所に居たり、来たり、動きが良い。そして、想像以上に大きい。

 

 次は日曜日にアウェイのアタランタ戦。トナーリは復帰予定。

 

ウディネーゼ

 

 ベトよりもポストプレーが上手いサクセスが優先されそうな様子。

 ウドジェの欠場で昨季のレギュラー両WBが不在の状態だったのは助かった。特にナウエル・モリーナの移籍は攻撃面でソッピーが大きく見劣りするのが苦しい。

 エボッセとエボセレはややこしすぎるのでどうにかしてほしい。

 

主審 Livio Marinelli VAR Paolo Silvio Mazzoleni

 

 特になし。PKはソッピーにとってはアンラッキーだと思うが、取らざるを得ないと思う。