自業自得記録地獄

主にACミランとセリエAに関する備忘録。

22-23セリエA第10節 vs エラス・ヴェローナ(A) 中盤全員トナーリ化計画

 

 5連戦の最後。

 

 エラス・ヴェローナは1勝2分6敗、8得点17失点の18位。1勝は最下位のサンプドリア戦。現在は4連敗中でチョッフィを解任し、昨季はトゥードルのアシスタントコーチ、今季はプリマヴェーラを率いていたボッケッティが今節から指揮を執る。主力に負傷者が多いのも厳しい状況。

  • 得点数12位タイ。セットプレーから1点、OGが1点。
  • トマ・アンリ(頭のみ)とドイグが2点、ラザーニャ、デパオリ、ヤヤ・カロンが1点。
  • シュート数15位。枠内シュート数19位。ラザーニャが19位タイの20本だが枠内は3本のみ。
  • 枠に当てた回数6回で最多タイ。トマ・アンリが最多タイの3回。
  • クロス成功数8位。失敗数2位(多)。CK数2位。
  • オフサイド数最多
  • 失点数17位タイ。無失点試合なし。
  • セーブ数2位タイ。
  • リカバリー数最多。イリッチがリーグ10位タイ。
  • ファウル数最多。イエローカード数2位(多)の29枚。
  • 1試合平均走行距離リーグ10位。個人ではイリッチが15位。
  • プレイングタイム2位(長)。アクチュアルプレイングタイム最短。
  • ポゼッションタイム18位、自陣17位、敵陣14位。パス成功数最少、成功率最低ファイナルサードのパス数16位。
  • キーパス数13位タイ。イリッチが14本で16位タイ。
  • ドリブル数12位タイ。被ファウル数チームトップはトマ・アンリ。次点はデパオリ。
  • 12-13シーズン以降のセリエA過去14試合はミランの7勝4分3敗。現在はミランが7試合連続無敗。アウェイでは4勝3敗。

 

チェルシー戦後の4日間

 MLBニューヨーク・ヤンキースとコラボレーション。ヤンキースのグッズをミランのオフィシャルショップで、ミランのグッズをヤンキー・スタジアムで販売する。コラボグッズも展開される模様。

 

先発&フォーメーション

 ミランはイブラ、フロレンツィ、カラブリア、サレマーケルス、メニャン、ケアー、デ・ケテラーレが負傷欠場。ラゼティッチは招集外。

 ピオーリがミランでの公式戦150試合目の指揮。

 エラス・ヴェローナはドイグ、イリッチ、ラゾヴィッチ、ラザーニャ、ダヴィドヴィツ、コッポラが負傷欠場。チェッケリーニが出場停止。

 

スタッツ&控え 

Match Report | 2022-23 | 10ª Match Day | Lega Serie A

 

ハイライト


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流れ

 

 ミランのビルドアップはテオ上げの3-1-5-1。クルニッチがアンカーでテオやアドリが中央に降りてくる。ミランはポジションチェンジを大胆に行うがヴェローナは完全にマンツーマンで前線から捕まえる。アンリがトモリ、ヴェルディがガッビア、デパオリがカルル、フルスティッチがクルニッチ、ヴェローゾがトナーリ、タメゼがアドリ、ファラオーニがテオ、ギュンターがブラヒム、マニャーニがジルー、ヒエンがレオン。前線が1vs1なのでミランはロングボールと質でゴリ押し狙い。

 ヴェローナのビルドアップは左サイドからデパオリが低い位置を取ったり、ヴェローゾが左に降りてギュンターを押し出してズレを作ってアンリやヴェルディにパスを通し基点を作ろうとする。ミランはアドリがボールサイドのボランチを捕まえて、逆サイドのボランチはWGが絞って見ておき、デパオリが低い位置を取ればトナーリがプレス、高い位置を取ればカルルが対応し、ヴェルディをトナーリがマーク。クルニッチを中央の保険にする。ヴェローナは次第にほとんどロングボールになっていく。

 

 6分、ヴェローナが敵陣左サイド深い位置でスローイン。アンリがキープし、ヴェルディのマイナスの折り返しをペナルティアークでファラオーニが左足で撃つがタタルシャヌがセーブ。

 8分、ヴェローナが右サイドでスローインスローインを受けたフルスティッチのバックパスがジルーへのパスになり、ジルーがレオンに預け、レオンがマニャーニを縦に抜いて折り返すと、ボールがヴェローゾの腹部に当たりゴールに吸い込まれミランが先制。

 10分、ファラオーニが中央に来てヴェローゾとパス交換を狙うが、ブラヒムがヴェローゾの背後から忍び寄りボール奪取。ジルーが運び、ブラヒムとのワンツーでモンティポと1vs1になるがシュートは右に外れる。

 18分、テオのコントロールミスから中盤でボールを奪ったヴェローナがカウンター。やりきれず右サイドコーナーフラッグでアンリがクルニッチを背負ってキープ。下げてタメゼが中央を少し運びデパオリに縦パス。デパオリがヒールで大外でフリーのギュンターにパス。ギュンターのワンタッチシュートがガッビアに当たりゴールに吸い込まれヴェローナが追いつく。

 44分、ヴェローナの右CK。ショートコーナーからフルスティッチがインスイングのボールをファーに蹴り、ギュンターが頭で合わせるが枠に入らず誰も触れず。

 1-1で前半終了。

 後半からミランは保持時は4-1-4-1で右にトナーリが出ていき、アドリ、レビッチ、オリギが中央で降りたりロングボールのターゲットになったり。

 46分、ミランがロングボールから攻め込むがカルルが中途半端にボールを失いカウンター。ギュンターからパスを受けたヴェルディが運びフルスティッチにパス。フルスティッチがコントロールシュートを撃つが枠の左に外れる。

 48分、トナーリがセンターサークルでボールを奪いカウンター。オリギの折り返しはクリアされるが、カルル、クルニッチ、テオと繋ぎ、テオがDFラインのギャップを突いたレビッチにスルーパス。レビッチの左足シュートは飛び出したモンティポがセーブ。

 53分、ヴェローナはフルスティッチの負傷でピッコリが入り、ピッコリがガッビア、ヴェルディがクルニッチをマーク。

 55分、クルニッチからオリギへのパスをマニャーニがカット。アンリがキープして、マニャーニが左のタメゼにパス。タメゼは大外を上がったギュンターにパス。ギュンターから受けたデパオリはワンタッチでチャンネルに走り込んだヴェローゾにパス。ヴェローゾの折り返しをピッコリが頭で合わせるがバーに弾かれ、中途半端なクリアをギュンターがボレーシュートを撃つが僅かに枠の上に外れる。

 70分、ギュンターが中央、カバルがLIBに入る。

 75分、トナーリのアーリークロスにレビッチが頭で合わせるがモンティポが正面で弾く。

 80分、ハーフウェイラインからヴェローナのFK。ヴェローゾがロングボールを蹴り込むがテオが頭で弾き返す。トナーリが頭でレオンに繋ぎ、レオンが中央から右のレビッチにパス。レビッチがワンタッチでゴール前に流し込むと、走り込んだトナーリが左足で流し込んでミランが勝ち越し。

 82分、ミランは空中戦対策でチャウをRIBに入れて5-3-2。

 86分、ヴェローゾアーリークロスをジュリッチとトモリが競り、こぼれ球に反応したデパオリがシュートを撃つがチャウがブロック。

 89分、ヴェローナの右CK。ヴェローゾのボールはガッビアが弾き返すが、拾ったヴェローゾがインスイングのクロスを入れる。ファラオーニのヘディングが飛び出したタタルシャヌに当たりこぼれたボールにジュリッチが反応して押し込もうとするがチャウがブロック。こぼれ球をジュリッチが折り返そうとするがポベガがブロックしクリア。

 90+4分、人数をかけてロングボールを放り込むヴェローナ。ベナセルのボール奪取からミランがカウンター。トナーリがシュートを撃つがモンティポがセーブ。

 1-2で試合終了。

 

ミラン

 

 チェルシーと同じ3-4-2-1に対してミランはプレスのやり方を変更。同じやり方でクルニッチをタメゼ、アドリをヴェローゾ、トナーリをヴェルディにマンツーマンで付けるのではなく、丁寧にビルドアップを行うわけではないヴェローナに対してはロングボールへの対応でセカンドボールを拾えるようにクルニッチを中央に守備のフリーマンとして残すセーフティーな守り方を選択した。ボランチはアドリとボールサイドの逆のWGが見るようにすると、10分のジルーの決定機はブラヒムの理想通りの守備から生まれたが、ヴェローナヴェローゾを左に下ろす位置調整でアドリがプレスに強く来ないことでブラヒムに対してギュンターと2vs1で運べることを確認して敵陣での保持が安定したので、ミランが用意した守備ができたのは序盤だけだった。

 攻撃はロングボールとカウンターが中心で、後半の選手交代はレビッチとオリギで高さとスピードを増強させるものでマンツーマンの守備をゴリ押しで壊そうとし続けたが、ロングボール、動き出し、どちらも質が低かったように感じた。裏に落とすようなボールはなく、ただ人がいるところに蹴っているようにしか見えなかった。前でパス回しに絡め、ロングパスの飛距離を出せるメニャンと抜群のフィード精度を持つケアーの不在が影響していないとは言えない。

 クルニッチのアンカーや前半のテオのフリーダムなポジション取りは特筆すべきものがなかったが、クルニッチは致命的なミスをしなかったしカウンターの防波堤として仕事をした。ピオーリはレオンにボールを渡すためにテオの偽SBを用いているが、それほどレオンに良い状態でボールを渡せているとは思えないし、レオンがちゃんとサイドに張っているとも限らない。個人的には正直、テオに中盤をやらせるのは好きじゃない。LSBの位置から必要に応じてボールを受けに行く、運ぶ、抜け出すなど、ボールとともにプレーして守備組織を崩すのが得意だと思うので、中盤よりもプレッシャーが弱く、崩しの初手になりやすいうえに、スピードを持って前に絡めるLSBやLIBでプレーさせる方がハイリスクだが良いと思う。

 中盤は全員トナーリが理想。後半の保持時の謎タスクに守備も運動量を落とさずにやりきって、カウンターで走りきって冷静なシュートで決勝点を決めるトナーリ。チェルシー戦も相当きつそうだったのにフル出場で尊敬。

 初先発のアドリはこの試合が攻守に特殊すぎて評価しづらいが、マンマーク臨機応変さはなさそうに見える。押し込めることを想定した起用だったのかな?普通ならポベガが先発で試すならヴランクスやアンカーにバカヨコだったように思う。

 オリギは背負ってキープする場面が多かったがしっかり味方に繋げていたし、推進力を見せる場面もあった。

 デビュー戦となった正真正銘の巨漢ことチャウは決定的なシュートブロックを2つも見せて早速ミラニスタのハートを掴んだ。

 昇格組を除けば、欧州5大リーグで2022年アウェイ無敗のチームはミランだけらしい。

 

 次は土曜日にホームでモンツァ戦。連戦、負傷者、不安定な結果と内容でピオーリが迷走というか考えすぎているように見えるが、約1週間空き、メニャン、ケアー、デ・ケテラーレも復帰予定なので、リフレッシュして7連戦に備えてほしい。

 

エラス・ヴェローナ

 

 現役時代にガスペリーニの指導を受けたボッケッティが、同様にガスペリーニ門下生のユリッチ時代に近い守備の強度に戻し、WBとIBの積極的な攻撃参加で攻撃に迫力と厚みをもたらした。主力が復帰すればすぐに中位に上がってきそう。

 クロスは9本中8本成功。CKは多いがセットプレーから1点しか取れていない。この試合も9回あったが惜しくも決まらず。

 デパオリの左が良かったのはヴェローナにとってポジティブだが個人的にはドイグの欠場が残念だった。

 アンリとジュリッチのパワーはダルい。同時起用で放り込まれたらと想像すると怖すぎる。

 

主審 Davide Massa VAR Paolo Silvio Mazzoleni

 

 特になし。