自業自得記録地獄

主にACミランとセリエAに関する備忘録。

22-23セリエA第15節 vs フィオレンティーナ(H) 是が非でも欲しかった勝利

 

 ワールドカップ中断前、2022年最後の試合。前政権の負債の返済や現代的なデジタルコンテンツの開発に多大な貢献を果たしたガジディスCEOのラストゲームに勝利を届けたい。

 

 フィオレンティーナは5勝4分5敗、17得点18失点の10位。昨冬のヴラホヴィッチ退団以降得点力の低下が改善されない。ECLとの二足の草鞋を履く今季はニコラス・ゴンサレスと序盤戦好調だったソッティルの負傷やイゴールの不調で苦しんだが、最近はイコネのフィットや中盤の組み合わせの最適解が見つかった感もあり、格下相手とはいえ公式戦5連勝中。クアメがWGでずーっと頑張っている。

  • アウェイゲーム2勝2分3敗、6得点6失点。
  • 得点数9位タイ。セットプレーが4点、PKが1点。75~90分に最多の5点で前後半立ち上がりの15分には4点ずつ。シュート決定率7%。
  • ボナベントゥーラとヨヴィッチが3点、クアメ、イコネ、カブラウ、ミレンコヴィッチが2点、1点が3人。
  • ビラーギ、クアメ、ソッティル、サポナーラが2アシスト。
  • シュート数3位。枠内シュート数5位。枠内シュートチームトップはクアメとヨヴィッチ。
  • クロス成功数最多CK数最多
  • オフサイド数17位。
  • 失点数10位。無失点試合4。前半最初の15分が最多の4失点で時間帯による差が少ない。
  • セーブ数18位(少)。
  • リカバリー数6位タイにマルティネス・クアルタ。
  • 1試合平均走行距離リーグ14位。スプリント距離は17位。ビラーギが12位。
  • ポゼッションタイム2位。パス成功数5位。ロングボール成功数最多。
  • キーパス数リーグ2位にビラーギ。チーム2位はクアメ。
  • 被ファウル数リーグ2位にクアメ。
  • セリエAの過去20試合はミランの8勝5分7敗。サン・シーロでは5勝1分4敗。ピオーリvsイタリアーノは2勝2敗。

 

クレモネーゼ戦後の4日間

 ガジディスCEOが12月5日付で退任することを発表。

 その後任にミラノ出身のフルラーニが就くことも発表された。

 

 カルルが27年6月まで契約延長。

 

 ミランから7人がワールドカップメンバー入り。メニャンは間に合わず。サレマは予備登録メンバーに入った。

 

 

 レオンが10月の月間MVPを受賞。

 

先発&フォーメーション

 ミランはイブラ、フロレンツィ、カラブリア、サレマーケルス、メニャンが負傷欠場。デストが復帰したが、メシアスが筋肉の張り、ガッビアが膝蓋腱炎で欠場。ラゼティッチは招集外。

 フィオレンティーナはニコラス・ゴンサレス、ソッティル、カストロヴィッリが負傷欠場。ボナベントゥーラがウォーミングアップで負傷し、先発がバラクに変更。ジュルコフスキとベナッシが招集外。

 

スタッツ&控え

MILAN VS FIORENTINA

 

ハイライト


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流れ

 

 1分、ミランミドルゾーン保持。トナーリがCB間に降り、トモリがセンターサークルから左に運びながらボランチの間に顔を出したジルーにパス。ミレンコヴィッチがインターセプトを狙うが届かず、イゴールを背負って受けたジルーが近くのレオンにワンタッチで繋ぐと、CBがいない中央をレオンが独走しゴール右隅に流し込んでミランが先制。

 3分、フィオレンティーナキックオフ。アムラバトの左への展開からビラーギがクロスを上げるがチャウがクリア。マンドラゴラが拾い、ビラーギから内側を抜け出したサポナーラにパス。サポナーラはさらに内側のマンドラゴラに繋ぎ、折り返しにカブラウが合わせるがタタルシャヌの足に当たる。

 4分、カブラウがロングボールを収めてドドにパス。ドドが内側から右サイドに走ったイコネにパス。チャウが出ていきスローインにする。スローインから中央でマンドラゴラが中に入ってきたサポナーラに縦パス。サポナーラはカブラウの動きで開いたチャウとテオの間に抜け出したバラクにパスを出すがズレてしまう。

 

 ミランのビルドアップはトナーリかベナセルがCB間に降りる3-4-2-1。フィオレンティーナはイコネがトモリ、カブラウがチャウ、ドドがテオ、サポナーラがカルルなどマンツーマンでプレス。

 フィオレンティーナのビルドアップはアンカー気味になるアムラバトを起点にし、右はイコネとドドがレーンをシェア、左はビラーギ、マンドラゴラ、サポナーラがローテーションしながら、バラク、カブラウと中央にポジションチェンジを交えて密集を作る。ミランはレオンがミレンコヴィッチにプレスに行く4-4-2でクルニッチがドド、トナーリがアムラバトにマンツーマン気味。ビラーギ、マンドラゴラ、サポナーラのポジションチェンジにはブラヒム、ベナセル、カルルがマークを受け渡しながら対応する。バラクにはトモリが積極的に前に出ていく。

 

 7分、アムラバトが右から中央に運びバラクに縦パス。バラクは横から来たベナセルと後ろから来たトモリの間をワントラップでかわして前進。バラクが運び、上がってきたビラーギがシュートを撃つが左ポスト直撃。

 27分、フィオレンティーナが中盤左サイドのFKから素早く右サイドに展開し、イコネを追い越したヴェヌーティの折り返しはカルルのクリアミスでPA内のイコネが拾う。イコネがバラクに繋ぎ、バラクが強引に反転シュートを撃つと、密集を抜けてチャウの足に当たりコースが変わってゴールに吸い込まれてフィオレンティーナが同点にする。

 42分、トナーリがアムラバトに後ろから寄せてボールを奪うと3vs2のカウンターになるが、ゴール前でレオンからトナーリへのパスがバウンドしトナーリはシュートが撃てない。

 44分、タタルシャヌのロングボールをサポナーラがヘディングし、ビラーギからアムラバトにパス。アムラバトに後ろからベナセルが寄せてボールを奪い、ジルーにパス。ジルーがイゴールとサポナーラに挟まれてこぼれたボールを後ろからブラヒムが掻っ攫いシュートを撃つと、前に飛び出したテラッチャーノに当たったボールはゴールライン手前でヴェヌーティがクリア。

 1-1で前半終了。

 49分、タタルシャヌから中央のブラヒムにロブパス。ブラヒムが収めて右サイドを駆け上がるカルルにパス。カルルのクロスにジルーが左足アウトで合わせるがテラッチャーノが正面でセーブ。

 51分、右ハーフスペースで受けたレオンが左のテオに展開。テオが内側に運びレオンにパス。PA手前からのレオンのシュートは枠の右に外れる。

 55分、ミランはRSBにデスト、RSHにクルニッチ、LSHにレオン、オリギとジルーの2トップに変更。

 58分、トモリから裏を狙ったオリギへのロングボールはミレンコヴィッチがヘディング。右サイドでこぼれ球を拾ったヴェヌーティがカブラウにロングボールを蹴る。カルルが突いたボールをバラクが拾い、前方のスペースに走ったイコネにパス。イコネがPA内に持ち込むがトモリがスライディングでボールを掻き出す。

 68分、テラッチャーノのロングボールをテオがヘディング。こぼれ球をダンカンが拾い、アムラバトからビラーギに展開し、運んだビラーギから中央のヨヴィッチへ斜めのパス。ヨヴィッチがスルーし、バラクが受けてヨヴィッチにラストパスを出す。ヨヴィッチのトラップが流れたところをカルルが突いたボールがゴールに向かうがタタルシャヌが腕を伸ばして防ぐ。

 71分、デストが中に運んでトナーリとのワンツーで中央を前進し左のレオンに展開。レオンがヴェヌーティを縦に突破しクロスを上げるとファーでジルーがバイシクルで合わせようとするがミートできない。

 77分、デストがドリブルでプレスをかわし運んで左のレオンに展開。レオンがヴェヌーティをかわしてマイナスの折り返しにトナーリがミドルシュート。ブロックされたボールをテオが拾いアーリークロス。ミレンコヴィッチがクリアしたボールをトモリが頭でデストに繋ぎ、デストが中央に持ち出してオリギにループパス。ビラーギが突いたボールがレオンに渡り、レオンがシュートを撃つが枠の上に外れる。

 83分、クアメがカルルと競り、こぼれ球をテルジッチが拾ってフィオレンティーナカウンター。テルジッチの右足シュートは弱々しくタタルシャヌがキャッチ。

 88分、ミランのクロスが流れてイコネが拾い、アムラバトがキープしてテルジッチに展開。テルジッチのクロスをファーで受けたイコネがシュートを撃つがゴールカバーに入ったトモリがクリア。

 90分、ヴランクスがふんわりアーリークロスを入れると、飛び出したテラッチャーノがレビッチと被って触れずに流れたボールをミレンコヴィッチがクリアしきれずにオウンゴールミランが勝ち越し。

 2-1で試合終了。

 

ミラン

 

 開始早々にフィオレンティーナの守備の穴を突く形で先制したが、その後はビルドアップもプレスも全く上手くいかず、奪えない、繋げない、運べない。前半の終盤に守備からの攻撃でチャンスを作ったが決めきれない。後半の入りは個々の前へのアクションが増えて中盤にスペースを作ることができ始め、55分の交代を機にデストの個でのプレス回避から展開し、レオンがサイドからドリブルで打開していく場面が増えていくが、全ての要素において精度を欠き、多くのピンチにも見舞われた。それでも、途中出場のデスト、ヴランクス、レビッチが絡み、テラッチャーノとミレンコヴィッチのミスが生じる幸運で決勝点が決まった。

 前半のビルドアップは最近見せていたようなIHがサイドに開くなどのポジションチェンジがないので、マンツーマンプレスにそれぞれが捕まり、パスコースも遮断され、有効な前進ルートを確立できなかった。後半は裏へのアクション、ドリブル、ロングボールが組み合わされて改善した。右サイドを本職とする攻撃的な選手が負傷明けのデストしかいない(前節まではメシアス1人)のは非常に難しかった。

 プレッシングはハイプレスは悪くなかったが、ミドルプレスは苦しかった。ただ、そうなった原因はビルドアップとトランジションをスムーズに行えなかったことだと思う。ボールを奪ってもフィオレンティーナのネガティブトランジションの方が強度が高くパスが繋がらないので、陣形が崩れた状態で再びプレスを行わないといけないという状態が繰り返され、アムラバトの展開を抑えられず、左右に揺さぶられた。トナーリはアムラバトにまでプレスに行く担当だが、ライン間のバラクの存在が気にならないとは思えず、ベナセルもクルニッチも中央をプロテクトするかマーカーを見るのか迷いが見られた。バラクにはトモリが潰しに出てはいたが遅れる場面が散見された。

 チャウからデストへの交代でカルルがCBに回ることでビルドアップがスムーズになり、それによりチーム全体が攻守で高い位置でプレーできるようになった。チャウはボールを持った時に何をすれば良いのかわからない様子だった。

 地味に3試合連続で出番がないポベガ。謎。

 

 首位と8ポイント差の2位で前半戦を終えた。3ヶ月間で21試合の過密日程、主力の長期離脱、期待の新戦力が苦戦、相手の対策も進み、苦しい試合が多かったなかでも昨季より2ポイント少ないだけというのは悪くない成績だと思う。まだシーズンは半分も終わっていないし、中断期間でナポリ対策が進むと思われる一方で、ミランはイブラ、メニャン、カラブリア、サレマ、フロレンツィの復帰、さらにデ・ケテラーレとオリギが覚醒すれば大きな上積みが計算できる。再開初戦は1月4日にアウェイのサレルニターナ戦。ひとまず皆様お疲れさまでした。ワールドカップメンバーは頑張れ。私はデンマーク🇩🇰を応援します。

 

 試合後にピオーリの義兄が亡くなったことが報告された。心よりご冥福をお祈りします。

 かつて率いたインテルからも哀悼のメッセージが送られた。

 

フィオレンティーナ

 

 勝っても不思議ではない試合をしたが、開始早々とATでの失点で敗北。テラッチャーノは昨季に続いてミスで決勝点を献上してくれて助かる。

 IHでは微妙な出来が続いていた印象のバラクがトップ下で結果を残したのはポジティブ。

 イコネは不可欠な存在になりつつあるが、ニコとソッティルの復帰後はどのように起用していくのか。

 

主審 Simone Sozza VAR Michael Fabbri

 

 カードが出るかなと思ったものは大体出されたし、出さなくても良さそうなものにも出た。トモリのイコネへのスライディングは人によってはファウルを取ることもあり得たグレーゾーン。