自業自得記録地獄

主にACミランとセリエAに関する備忘録。

22-23セリエA第16節 vs サレルニターナ(A) オチョアさん

 

 ワールドカップ中断明け、2023年最初の試合。首位を独走するナポリを8ポイント差で追いかける2位のミラン。中断期間を経て負傷者が減るかと思いきや、カラブリアとサレマーケルスが復帰した以外はメニャンの回復が遅れ、オリギ、クルニッチ、レビッチ、バロ=トゥーレが負傷し、メシアスはコンディション不良が続く状態。ワールドカップ組を決勝まで主力として戦ったテオとジルーの状態も慎重に判断しなければならない。

 

 サレルニターナは4勝5分6敗、19得点24失点の12位。フィオレンティーナモンツァに連敗して中断期間に入り、トルコのチームとの練習試合2試合も敗れている。セペが負傷したGKにビッグセーバーとして名高いメキシコ代表オチョアを補強。カンドレーヴァの出場停止とアッズーリに招集される程の活躍を前半戦で見せていたマッゾッキの負傷欠場が重なる今節はWBの代役のパフォーマンスが鍵を握る。

  • ホームゲーム3勝2分2敗、12得点8失点。
  • 得点数9位。セットプレーが2点、PKが1点、OGが1点。後半の方が多く、45~60分に最多の5点、最後の15分に4点。シュート決定率11%。
  • ディアが6点でチームトップ。ピョンテクが3点、カンドレーヴァとマッゾッキが2点、1点が5人。
  • ディアとマッゾッキが2アシストでチームトップ。
  • シュート数17位。枠内シュートチームトップはディア、枠外シュート数チームトップはボナッツォーリ。
  • CK数最少タイ
  • オフサイド数4位タイ。
  • 失点数15位。無失点試合3。前後半ともに最初と最後の15分に失点が集中。間の15分は1失点のみ。
  • PK献上回数5回で最多
  • セーブ数4位(多)。
  • リカバリー数14位。16位タイにマッゾッキ、18位タイにラサナ・クリバリ。
  • 1試合平均走行距離リーグ6位。チームトップはラサナ・クリバリ。スプリント距離はリーグ18位で、個人ではカンドレーヴァが1位。
  • ポゼッションタイム14位。パス成功数13位。ファイナルサードのパス数14位。
  • キーパス数16位。リーグ11位にマッゾッキ、12位タイにカンドレーヴァ
  • ドリブル数8位タイ。ボールロスト数4位タイにディア。
  • ファウル数リーグ5位タイにラサナ・クリバリ。
  • 23年ぶりの対戦となった昨季はミランがホームで勝利し、アウェイでは引き分け。ピオーリとダヴィデ・ニコラの通算対戦成績は3勝2分3敗の五分。

 

PSV戦後の3日間

 メニャンの離脱期間が不透明かつ、来季はタタルシャヌとミランテが契約満了になる2nd、3rdGK枠としてパラグアイグアラニーというクラブからデビス・バスケスというコロンビア人を2026年6月までの契約で獲得。報道によると移籍金は€0.4~5m。

 

先発&フォーメーション

 ミランはイブラ、フロレンツィ、メニャン、バロ=トゥーレ、オリギ、レビッチ、メシアス、クルニッチが負傷欠場。ケアーはコンディション調整で欠場。ナヴァとボッツォランがベンチ入り。

 サレルニターナカンドレーヴァが出場停止。マッゾッキ、マッジョーレ、セペが負傷欠場。ギョンベールが招集外。

 

スタッツ&控え

SALERNITANA VS MILAN | Statistiche

 

ハイライト


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流れ

 

 ミランのビルドアップはベナセルがアンカー、IHにトナーリとブラヒムの4-1-2-3。サレルニターナはクリバリがトナーリにマンツーマンで付き、2トップはCBにプレスに行かずボヒネンと前後でベナセルを挟み、ベナセルの行動エリアを狭めようとする。テオにはサンビア、カラブリアにはヴィリェナがプレスに行き、ボールサイドではレオンにロヴァート、ブラヒムにファシオがマンツーマン気味に対応する。押し込まれるとサンビアも下がって5-3-2のブロックを組む。

 サレルニターナはWBがミランのSBを釣りだして、SBの背後のスペースに2トップの片割れかIHを流れさせて基点を作り、WB、IH、CFが近い距離感のパスワークでサイドを突破してクロスから得点を狙う。ミランは人を捕まえて、ボールサイドではないボランチはCBがサイドに釣り出された時にカバーできる位置を取る。

 

 5分、自陣PA手前でトナーリがボールを奪い、ジルーにパス。ジルーの落としを受けたブラヒムが中央から裏に抜け出したレオンにスルーパス。レオンはロヴァートをかわしてオチョアの股抜きを狙うがオチョアが足でセーブ。

 9分、テオからベナセルが中央から左に流れながらパスを受け、左サイドに開いたトナーリにパス。トナーリは中央でロヴァートとラドヴァノヴィッチの間を抜け出したレオンにワンタッチでスルーパス。レオンが飛び出したオチョアをかわし左足で流し込んでミランが先制。0-1

 14分、左サイドでパスを受けたレオンがラドヴァノヴィッチをかわしてクロスを上げる。クリバリのクリアミスをトナーリが拾ってミドルシュートを撃つ。オチョアが弾いたこぼれ球にブラヒムがいち早く反応し、トナーリに落とすと、トナーリがゴールに蹴り込みミランが追加点を奪う。0-2

 22分、センターサークルでクリバリが前を向き、ライン間のヴィリェナにパス。ディアからサンビアに繋ぎ、サンビアがPA内で浮いたヴィリェナにパス。ディアが3人目の動きでサレマを置き去りにしてヴィリェナからパスを受けるが、ディアのシュートをトモリがブロック。

 27分、テオからアタッキングサード中央へのパスはミスになり、テオの背後のスペースにディアが流れてボールを受けるが、ベナセルがトモリと前後で挟みボールを奪い返す。べナセルから受けたカラブリアがジルーに縦パスを入れ、ジルーがレオンに展開。レオンからPAに入ったジルーにパスが通り、落としを受けたブラヒムがシュートを撃つがブラダリッチがブロック。こぼれ球をトナーリが拾い、ブラヒムが再びシュートを撃つが枠の左に外れる。

 31分、トモリからパスを受けたレオンがロヴァートに引っ張られてプレーを止めるが、ベナセルがこぼれ球をブラヒムにパス。ジルーがラドヴァノヴィッチを釣りだして空けた中央のスペースにレオンが走り込んでブラヒムからパスを受ける。トラップが右に流れるが、ヒールでジルーに繋ぎ、ジルーがシュートを撃つがオチョアがセーブ。

 0-2で前半終了。

 後半からサレルニターナは3-4-1-2でシステムを噛み合わせ、ヴィリェナがベナセル、ボヒネンがブラヒムに付き、カラブリアにはブラダリッチがプレスに出る。

 47分、カラブリアからジルーにロングボール。ジルーが競り勝ち、サレマがこぼれ球を拾う。ジルーがゴールに向かい、サレマからのパスをワンタッチで流し込もうとするがオチョアがセーブ。

 48分、自陣PAでボールを奪い、トナーリから左サイド裏に抜け出したレオンにスルーパス。レオンが中央でフリーのジルーに繋ぎ、ジルーがシュートを撃つがオチョアの正面。

 50分、カラブリアが持ち出してサレマにパスを出すがブラダリッチに引っかかり、こぼれ球をディアが拾いカウンター。カルルの裏にピョンテクが斜めに走ってスルーパスを受けてPA内に持ち運ぶが、トモリが身体を寄せてシュートを撃たせない。

 57分、左サイドからベナセルがFKを蹴ると、ゴール前でこぼれたボールをトモリがシュート。ネットを揺らすが、戻りオフサイドのブラヒムがオチョアの前で足を出しプレーに関与してゴールは取り消し。

 63分、サレルニターナはディアがトップ下に入る。

 71分、ミランはガッビア投入で非保持は3-4-1-2のようになる。

 縦パスを受けたボナッツォーリにガッビアが寄せてボールを奪い、ジルーからファシオの背後に抜け出したデ・ケテラーレにスルーパス。フリーでPA内に持ち運ぶがゴール前で減速しボールロスト。

 サレルニターナはプレッシングを強める。

 78分、テオとトナーリのパス交換をサンビアとクリバリで奪い、ボナッツォーリからのパスをピョンテクがワンタッチでテオが空けたスペースに走り込むサンビアにパス。サンビアがシュートを撃つが枠の左に外れる。

 81分、中央からトナーリのFKを左に流れたジルーがボレーシュートを撃つがオチョアが弾く。こぼれ球をデ・ケテラーレが撃つがオチョアが足でブロック。

 82分、ピョンテクからパスを受けたクリバリが右ハーフスペースを持ち上がってファーにクロスを上げると、ボナッツォーリが左足で押し込んでサレルニターナが1点を返す。1-2

 84分、ミランはデ・ケテラーレとレオンが2トップの5-3-2に変更。

 89分、ヴランクスが左サイドからインスイングのクロスを上げると、フリーで入ってきたデストが右足ヒールで合わせるがオチョアの正面。

 90+7分、タタルシャヌのロングボールをデ・ケテラーレが頭で後ろにそらし、レオンが拾い、デ・ケテラーレがシュートを撃つがオチョアがセーブ。

 1-2で試合終了。

 

ミラン

 

 相手GKがオチョアじゃなければ快勝の内容で、中断明け、新年最初の試合を制した。一方で首位のナポリは今季初黒星を喫し、勝ち点差が5に縮まった。

 勝因は保持において前半は2CBとベナセルがフリーだったこと、相手のマンツーマン守備に対して連動してスペースメイクと飛び出しを行ったこと、2CBとベナセルの予防的マーキングの強度と前線のカウンタープレスの精度が前半は特に高かったこと。

 38分、カラブリアがボールを持つと、ブラヒムにファシオが迎撃準備。→ジルーがファシオの裏に走りロングボールを受ける。→ブラヒムがジルーに釣り出されたラドヴァノヴィッチが空けたスペースに走る。ジルーの落としが繋がらなかったが良い連携。45分にも似たような場面があった。

 PSV戦に敗れた翌日、ピオーリがオフを返上して練習日にしたのは、PSV戦で散々だったチームのアイデンティティたる部分の徹底だと思っている。それがトランジション部分であることはこの試合のパフォーマンスを見れば感じられるし、選手たちも危機感を感じて練習に取り組んだのは想像に難くない。

 22分のピンチはカルルとトモリの間で元のポジションに戻るのか、ついていくのかでマークの受け渡しが曖昧になったのが続いた。起点となったクリバリのターンと最後のディアの動き出しは上手かった。失点場面はボナッツォーリを大外の背中に置いてしまったのと、クリバリのクロスが完璧だった。

 

 トナーリが12.2kmを走り1G1Aで攻守トランジション全局面に関与した。早めに3点目を取れていればポベガと交代で休養させたかった。

 レオンが新年最初の試合で3年連続ゴール。ドリブルだけでなく、スペースへ飛び出す動きの質と量も素晴らしかったうえに、ワールドカップで先発出場がなかったことで(?)守備意識に改善が見受けられる。ピオーリも激賞するパフォーマンスだった。

 得点は奪えなかったがジルーとブラヒムも効果的な動きで勝利に貢献した。デ・ケテラーレは身体がキレていて動きが良く、3点ほど取れそうなチャンスがあったがオチョアのスーパーセーブに阻まれるツキの無さ。

 

 次は中3日で日曜日にホームでローマ戦。復帰する選手はいない模様なので完全に同じメンバーで戦うことになりそう。

 

サレルニターナ

 

 ベナセルを抑えるつもりで準備した守備が機能しなかった。

 オチョアは驚異的な集中力、反射神経、身のこなしで9本のセーブを記録した。普通ならマン・オブ・ザ・マッチ級のセーブ数。流石すぎる。

 ラサナ・クリバリは来季は国外含めて年俸を上げてステップアップしそう。

 まだ22歳とはいえ、ロヴァートは伸び悩み感が否めない。

 

主審 Francesco Fourneau VAR Maurizio Mariani

 

 ブラダリッチにレッドカードを出したのに驚いたし、すぐにOFRに行って、すぐ取り消したのもおもしろかった。