自業自得記録地獄

主にACミランとセリエAに関する備忘録。

22-23スーペルコッパ・イタリアーナ vs インテル @リヤド 丸裸

 

 昨季のセリエAチャンピオンのミランコッパ・イタリアウィナーのインテルサウジアラビアのリヤドで王座統一戦を行う。

 ミランは11勝5分2敗、35得点20失点で2位。新戦力が未だにフィットしないだけでなく、負傷者の増減が激しいためにコンディションが整わず、年始の中断明けから不甲斐ない結果が続いている。コッパ・イタリアは敗退し、首位ナポリとの差が9ポイントに開いたタイミングで、今季のターニングポイントになりうるビッグマッチを迎える。

 インテルは12勝1分5敗、38得点24失点で4位。中断明け初戦でナポリに今季初黒星を付けたが、次のモンツァ戦はATにドゥンフリースのオウンゴールで勝ち点3を逃してしまう。コッパ・イタリアは延長でセリエBパルマに辛勝、土曜日のヴェローナ戦は開始早々の先制点を守りきって勝利。充実の内容とは言えないが、ミランと比較すれば断然良い状態でリヤドに乗り込んだ。

 シモーネ・インザーギスーペルコッパ・イタリアーナに滅法強く、ラツィオで2回、インテルで1回戦い、全てユヴェントス相手に3戦全勝。

 

レッチェ戦後の3日間

 特になし。

 

先発&フォーメーション

 ミランはイブラ、フロレンツィ、メニャン、バロ=トゥーレ、クルニッチが負傷欠場。レビッチが復帰。ボッツォランがベンチ入り。

 メシアスがミランでの公式戦50試合出場。

 インテルは欠場者なし。

 

スタッツ&控え

MILAN VS INTER | Statistiche

 

ハイライト


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流れ

 

 序盤はお互いにハイプレスに出る。

 ミランはボールサイドにマンツーマンで逆サイドのWGが近いIHを見て、ミランのダブルボランチの一人を余らせる。インテルのビルドアップはオナナ、アチェルビ、バストーニ、チャルハノールで中央にひし形を作り、1-4-1-3-2のような形で2トップが縦関係を作りながらロングパスを収めて2列目がサポートと追い越しを掛ける。

 インテルはボールサイドのWBが前に出て、逆サイドのWBが下がって4バックになり、CBを一人余らせる。ミランのビルドアップはベナセルがアンカー、IHにトナーリとブラヒムの4-1-2-3なので、インテルはチャルハノールがベナセルを捕まえに出ていく。トナーリがべナセルの脇に降りる動きにも中盤の3人で対応しフリーにさせない。

 

 9分、左サイドのインテルスローインが流れて、シュクリニアルがフリーのダルミアンにパス。ダルミアンから斜めの楔を中央のジェコがワンタッチでテオとトモリの間のスペースに抜け出したバレッラにスルーパスオフサイドギリギリで抜け出したバレッラの折り返しをディマルコが蹴り込んでインテルが先制。0-1

 16分、テオのスローインをレオンがジルーに、ジルーがブラヒムにフリックし、ブラヒムが左サイド裏に抜け出したレオンにスルーパス。レオンがPA内に持ち込んでシュートを撃つがオナナがセーブ。

 20分、ハーフウェイライン付近でインテルのFK。ラウタロが引いてケアーを釣りだした背後のスペースに抜け出したジェコにバストーニがスルーパスを出し、ジェコが切り返しでトナーリをかわしてシュートを流し込み追加点。0-2

 27分、インテルのCK。ディマルコのアウトスイングのボールをジェコが左足で合わせるがタタルシャヌがセーブ。

 ミランはトナーリが降りてダブルボランチ気味になる時間が増え、インテルはダルミアンがレオンをマークし、テオにバレッラがプレスし、シュクリニアルが機を見て前に出てフリーの選手を潰しに行く形も見られるようになる。

 41分、ケアーがカラブリアとのワンツーでプレスをかわし、メシアス、ベナセル、レオンと中央3レーンでボールを動かす。もう一度ベナセルを経由してメシアスに戻り、カラブリアが大外を追い越す。カラブリアからディマルコの背後に位置取ったトナーリにパスが通り、トナーリがバストーニをかわしシュートを撃つがチャルハノールがブロック。こぼれ球をトモリが拾い左足で撃つが枠の右に外れる。

 0-2で前半終了。

 48分、ダルミアンを裏に走らせたパスをトモリが奪い、インテルがカウンタープレスをかけに来るがトナーリが前を向き、降りてきたレオンにパス。レオンがベナセルに落とし、べナセルがムヒタリアンの背後を取ったブラヒムにパス。ブラヒムからパスを受けたレオンがカットインからシュートを撃つが枠の上に外れる。

 53分、センターサークルのFKから、ダルミアンがチャルハノールとのワンツーでテオの背後を取り、ゴール前に折り返す。ラウタロがケアーの前に入ってシュートを撃つがケアーがブロック。

 64分、ミランはオリギがRWG、デ・ケテラーレがトップ下の4-2-3-1。

 76分、インテル自陣右サイドのFK。シュクリニアルのロングパスにトモリを出し抜いたラウタロが左足アウトサイドトラップから右足アウトサイドシュートをゴール左隅に流し込んでトドメの3点目を奪う。0-3

 78分、ミランはレビッチがRWG、オリギがCF。

 0-3で試合終了。

 

ミラン

 

 キックオフ前にチーム全員でエンジンを組み、気合充分かと思いきや、2トップへの対応に後手を踏み、ロングボールのミスでボールを奪っても攻撃の構築も上手くいかない序盤。完璧に崩されて失点すると、パス1本、フェイント1つで追加点を許す。後半の立ち上がりは相手を見て、空いている場所に立つことで距離感が改善され、パス回しのテンポが速くなったことで攻撃機会が増えたが、途中投入されたデ・ケテラーレは全くボールに絡めず、オリギのサイド起用に意図は感じられずにリセットされると、再びパス1本で得点を許し絶望。最後はデストとレビッチの前への意識の高さにより僅かに持ち直したが、一矢報いることもできない完敗。

 あまりにもあっさりとした3失点。二日酔いの内臓に染みます。オルニチンは入っていないんですね、軽すぎてしじみだと思っていました。

 ロングボールでハイプレスを空転させられるおなじみの試合展開。もうボランチにショートパスをつけてくれる相手はいないのでは?余裕を持ってロングボールを蹴られるより、プレス強度を上げて苦し紛れのロングボールを蹴らせて少しでも回収率を高めたい。ミドルゾーンでボールを持たれる時間が少なかったのは、インテルが中盤でのボールロストからカウンターを受けること恐れていた証明になり、ミランが苦手とする横の揺さぶりよりも縦に速い攻撃を優先して結果に結びつけた。特にポジティブトランジションミランのネガティブトランジションを完全に上回っていた。ボールを収めて決定的なパスも出せるハリー・ケインがいて、コンテが監督のスパーズ戦が怖い。

 攻撃面は最近の試合同様にミスが多く、18分、19分、42分とインテルが行き過ぎたプレスをかわして運んでもアタッキングサードで技術的なミスや判断ミスによりボールを失ってしまった。ベナセルとトナーリは最後まで努力したし、ブラヒムも怖がらずにボールを受けたが、前線とのリンクは不十分で連動性に欠けた。

 シュートは14本撃ったが、PA内で撃ったのは3本のみで、レオン以外のアタッカーはシュート0本。相手DFラインに対して仕掛けるアクションは少なく、足元でのプレーばかりだと対処しやすい。インテルの得点は基本原則として参考になるはず。

 

 次は火曜日にアウェイでラツィオ戦。2位ミランから7位ローマまで4ポイント差に詰まっており、ここで勝てないと逆転スクデットはおろか、CL出場権を得られる4位以内すら危うくなってくる。

 改善しないといけない部分はピッチ外も含めた全て。負傷者の減少、控え組の成長、ビルドアップ、チャンスメイク、トランジション、守備全体の見直し。特に守備の弱点は最近に限らず、中断前からも突かれていたように攻略法は知れ渡っており、戦術遂行能力とクオリティを伴った相手には苦しんできた。まさに正念場を迎えている。

 

インテル

 

 完勝。全員がハイパフォーマンス。ジェコとダルミアンがMVP。

 クヴァラを抑えたシュクリニアルがレオンも抑える。ダルミアンとのコンビは手堅い。

 ムヒタリアンは地味だが、オンでもオフでもミスが少ないし走れるので頼りになる。

 

主審 Fabio Maresca VAR Aleandro Di Paolo

 

 序盤から選手が熱くなっていても落ち着いて対処し、ファウルとカードの基準もブレない良いジャッジだった。