22-23セリエA第19節 vs ラツィオ(A) ミラノにも寒波
スーペルコッパ・イタリアーナでインテルに惨敗を喫し、4試合未勝利で迎える前半戦最後の試合はナポリに食い下がるためにも、再び立ち上がるきっかけを掴むためにも正念場となる。
ラツィオは10勝4分4敗、31得点15失点で5位だったがユヴェントスの勝ち点15剥奪により4位になっている。中断前にユヴェントスに完敗を喫し、中断明け初戦はレッチェに逆転負け。エンポリにも2点リードを追いつかれて引き分けるなど悪い流れだったが、前節のサッスオーロ戦は4戦ぶりの無失点で勝利し、ミッドウィークのコッパ・イタリアも無失点で連勝を飾った。
- ホームゲーム5勝2分2敗、16得点9失点。
- 得点数5位。セットプレーが3点、PKが2点、OGが1点。後半最後の15分に8点、前半最初の15分に7点。シュート決定率15%。途中出場の選手の得点6はリーグ4位タイ。
- インモービレとザッカーニがリーグ7位タイの7点。フェリペ・アンデルソンが5点、セルゲイとルイス・アルベルトが3点。
- セルゲイがリーグ最多の8アシスト。ザッカーニとインモービレが3アシスト、フェリペ・アンデルソン、ルイス・アルベルト、ペドロが2アシスト。
- シュート数17位。枠内シュート数9位。
- ビッグチャンスを作った回数11位に対してビッグチャンスを逃した回数が19位(少)。
- 枠に当てた回数8回で4位タイ。
- クロス成功数最少。
- オフサイド数17位タイ。
- 失点数3位。無失点試合10で2位。前半30分までは失点0。最後の15分に5失点。
- セーブ数14位タイ。
- リカバリー数16位。チームトップはカタルディ。
- ファウル数19位(少)。
- 1試合平均走行距離リーグ1位。ジョグがリーグ最短でランとスプリントが最長。全体の2位にセルゲイ。スプリントの4位にフェリペ・アンデルソン。
- ポゼッションタイム5位。パス成功数2位。ファイナルサードのパス数8位。
- キーパス数18位。チームトップはフェリペ・アンデルソン。
- ドリブル数8位。ザッカーニが被ファウル数最多。3位タイにセルゲイ。
- 過去10シーズンのセリエAの対戦成績はミランが10勝5分5敗。オリンピコに限るとラツィオの4勝3分3敗。ピオーリvsサッリはピオーリの7勝3分6敗。
インテル戦後の5日間
特になし。
先発&フォーメーション
ミランはイブラ、フロレンツィ、メニャン、バロ=トゥーレが負傷欠場。テオが筋肉疲労で大事を取って招集外。クルニッチが復帰。ボッツォランがベンチ入り。
スタッツ&控え
ハイライト
流れ
3分、4バックと中盤でボールを動かすラツィオ。セルゲイとルイス・アルベルトが高い位置を取り、ロマニョーリからボランチの間を降りてきたフェリペ・アンデルソンに縦パス。フェリペ・アンデルソンがカルルを釣り出し、左のザッカーニにパス。ザッカーニがサイドからライン間にパスを出すと、ルイス・アルベルトとフェリペ・アンデルソンがスルーし、トモリとデストの間でフリーのセルゲイが左足で流し込んでラツィオが先制。1-0
ミランのビルドアップはデストを上げる3-2-4-1。ラツィオは4-5-1ゾーンプレス。レオンサイドにはLSBを務めることが多かったマルシッチを当てる。ミランはボランチが降りて数的優位を確保しつつ相手の中盤を引き出し、サイドや前線にミドル、ロングパスで展開していく。
ラツィオは4バックと中盤でショートパスを少ないタッチ数で繋ぎ、相手を引き出して前線にスペースを作ると一気に攻め込む。ミランはジルーがCBの間に立ってボールを持った方に寄せるか、レオンがカザーレに外切りプレスか、ブラヒムがカタルディのマークからスライドする、何れかの形でプレスをかけていく。
6分、後方から繋ぎ、トナーリがカルルとカラブリアの間に降りて受ける。ルイス・アルベルトがプレスに行き、ザッカーニが中を締めたことでメシアスへのパスが通り、メシアスがヒサイをかわしてカットインからシュートを撃つがDFがブロック。
23分、トモリが負傷しケアーと交代。カルルが左に移る。
35分、マルシッチからのパスをセルゲイとカタルディがスルーし、降りてきたペドロがザッカーニに展開する。カラブリアがカットするがザッカーニが奪い返し、ルイス・アルベルトからパスを受けたペドロがドリブルでPA内に侵入しゴール前に折り返すがフェリペ・アンデルソンに合わない。
37分、左サイドのルイス・アルベルトからバックパスを受けたカザーレにレオンが外切りプレスをかけるが、カザーレから後ろ向きで受けたカタルディがワンタッチでフリーのマルシッチに繋ぎ、マルシッチはペドロに預けてオーバーラップでデストの背後を取ると、ペドロからスルーパスが通りシュートを撃つ。タタルシャヌが触り左ポストに当たったこぼれ球にザッカーニが詰めてラツィオが追加点を奪う。2-0
44分、CKからカウンターを仕掛けようとするミランだが、左サイドをカラブリアが持ち上がり前線にパスを出すがマルシッチがカット。中央のルイス・アルベルトに繋ぎ、カラブリアの代わりにRSBの位置をカバーしていたベナセルの背後を取ったザッカーニにスルーパス。ザッカーニのシュートはケアーがなんとか戻ってブロック。
2-0で前半終了。
ミランは後半からトナーリの位置を上げて全体的に縦に速く動くようになる。
61分、サレマーケルスがパスミスでボールを失うが、セルゲイにしつこく寄せてミスを誘う。デ・ケテラーレがルーズボールを拾い、中央に入ってきたレオンにパス。レオンはバランスを崩しながらヒールで左サイドのスペースにボールを送り、拾ったサレマーケルスが溜めてクロスを入れる。ヒサイの前にレオンが飛び込むがミートできず枠外へ。
64分、ケアーからサレマーケルスへのパスをヒサイがカットしてそのままカラブリアの背後に蹴ると、タタルシャヌが出れずにスプリントしたフェリペ・アンデルソンが拾う。フェリペ・アンデルソンがゴール前に折り返すと、カルルの前に走り込んだペドロがクリアしようとしたカルルに蹴られてPK。
66分、ノープレッシャーのルイス・アルベルトが中央上に決める。3-0
70分、右サイドのスローインからベナセルのパスをデ・ケテラーレがPA内で受けてシュートを撃つがセルゲイがブロック。
74分、カラブリアからオリギへのロングボールが合わずにカザーレが頭でカタルディに繋ぐ。ヒサイからパスを受けたルイス・アルベルトがカラブリアの背後に走ったザッカーニにスルーパス。ザッカーニがカラブリアをかわしてケアーのカバーを釣り出しマイナスのルイス・アルベルトにパス。ルイス・アルベルトはカルルを釣り出しゴール前のフェリペ・アンデルソンに繋ぎ、フェリペ・アンデルソンが前を向いて冷静に流し込みトドメの4点目。4-0
92分、バシッチに蹴られたカラブリアが続行不可でピッチを去る。
4-0で試合終了。
ミラン
インテル戦に続く勝ち筋が見えない惨敗で公式戦5試合勝利なし。首位ナポリとは5ポイント差から3試合で一気に12ポイント差に開き、6位アタランタには遂に3ポイント差まで迫られている。まだ2位なのが救いだが、一体感も熱意も冷静さも欠いているチームが自力で立ち直ることができるのか。
4-1ではなく3-2ビルドアップを選択し、ボランチの移動で数的優位と相手の中盤をプレスに引き出すことはできており、序盤はWGへのパスが通り、その後は中盤の間に顔を出すブラヒムにもパスが通るようになったが、今に始まったことではないアタッキングサードでの質、練度、アイデアの不足が影響し、ボールはラツィオの守備陣の間に埋もれた。ロングボールの精度も低く、セカンドボールを拾えなかった。
プレスは行ききれないし、ボールの移動が速いのでハメきれない。ジルーは勢いがなく、レオンの外切りには周りが連動できず、MFとDFはアプローチが遅れ、デュエルに勝てない。これも今季何度目の現象だろうか。個人的には後半からジルーに替えてレビッチを入れてほしかった。
前半の2失点は守備の問題が露呈されている。先制点はフェリペ・アンデルソンにポストプレーを許したカルルが前に釣り出され、高い位置を取ったルイス・アルベルトをベナセルがマークできていないのでカラブリアはザッカーニに寄せられず、DFが足りていないPA内へのラストパスを出された形。出し手に制限をかけられず、マンツーマンでもコンパクトなゾーンでもない中途半端な守備。2点目はインテル戦の1点目と根本の問題は同じでレオンの外切りプレスをカタルディにいとも簡単に外され、トナーリとデストの中途半端な対応をペドロとマルシッチに突かれた形。3点目はボールの奪われ方とタタルシャヌの守備範囲、4点目は崩壊の象徴。無得点で4失点以上したのはあのアタランタ戦以来。
中断前から微かに感じていた「ピオーリの策が尽きているのではないか」という疑念が増大するような内容が続く。中断期間にワールドカップや負傷で全員が揃っていなかったとはいえ、練習試合では何か新しいチャレンジをすることはなく力不足でボロ負けを喫した。そこで喝が入りサレルニターナ戦とローマ戦の終盤までは悪くない試合をしたが、トリノにはホームで数的優位を得ながら負け、レッチェには弱点を突かれて引き分け。良さを消してくる相手ではなく真っ向勝負となるインテル戦と今節でも完敗。現在の戦いは産みの苦しみではなく、死体蹴りをされているような感覚で、もはや経営陣も強化部も現場も理想を言っていられる状況ではなくなっている。ピオーリはラツィオでもインテルでも好調から落ち込むと再浮上できずに解任された経験があるが、今度こそ持ち直して4位以内は死守してほしい。
次は中4日で日曜日のランチタイムにカンピオナート8試合未勝利のサッスオーロと絶不調対決。その後はミラノダービー、今季2敗しているトリノ、CLトッテナムと厳しい相手が続くため、早く泥沼から脱出しなければいけない。
ラツィオ
サッリボールを体現して完勝を収め、インテルを抜いて3位に浮上。先発全員がハイパフォーマンス。ビルドアップにおいて致命傷となる技術的なミスがなく、サポートの角度とタイミングが抜群だった。
今季はインモービレ不在時にCFの役割を完遂しているフェリペ・アンデルソン。パスを受けに来るタイミングが良く、捌いた後にしっかりゴール前に入っていく。プレスでも足が止まらない。
マルシッチは攻守に最高。
やっぱりスルーパスが上手すぎるルイス・アルベルト。完全復活となると非常に厄介。
幅を取って相手を広げ、ドリブルだけでなくSB裏への走りでも脅威を与えるザッカーニ。
主審 Marco Di Bello VAR Gianluca Aureliano
特になし。