自業自得記録地獄

主にACミランとセリエAに関する備忘録。

22-23セリエA第28節 vs ナポリ(A) 🫲😛🫱

 

 25節から27節の3試合で勝ち点1しか獲得できなかったものの、2位争いのライバルが同様に取りこぼし続けているため4位以内に留まっているミラン。しかし、ユヴェントスの勝ち点剥奪が取り消されそうな様相を呈しているため、上位陣や残留争い組との難しい対戦が多く残されている11試合で勝点を稼いでCL出場権を獲得しなければならない。その初戦かつ、来週と再来週のCL準々決勝で3週連続対戦となるのが、23ポイントも離されている首位のナポリ

 

 ナポリは23勝2分2敗、64得点16失点で、2位に19ポイント差をつけて首位を独走中。2位以下の取りこぼしが多く、安定して勝点を稼ぐチームが他にいなかったとはいえ、オシムヘン、クヴァラツヘリア、キム・ミンジェの個の破壊力、ロボトカ、ディ・ロレンツォ、マリオ・ルイらのインテリジェンス、途中出場でも結果を残すシメオネやエルマスら、チームと個が高次元で融合した、近年のセリエAで最もハイレベルなチームをスパレッティ監督、ジュントーリSD、デ・ラウレンティス会長が作り上げた。

  • ホームゲーム11勝1分1敗、33得点9失点。
  • 得点数最多。セットプレーから14点、PKが6点、OGが1点。セットプレーからの得点数2位。シュート決定率14%。30~45分、75~90分に最多の14点。途中出場選手の得点数13で最多
  • オシムヘンが得点ランキングトップの21点クヴァラツヘリアが12点で3位タイ。エルマスが6点、シメオネ、ジエリンスキ、ロサーノ、ポリターノが3点、ザンボ・アンギサ、キム・ミンジェ、ラフマニが2点、1点が6人。
  • クヴァラツヘリアがリーグ最多の10アシスト。ジエリンスキが7アシストで4位。マリオ・ルイが6アシスト、オシムヘン、ザンボ・アンギサ、ディ・ロレンツォが4アシスト。
  • シュート数、枠内シュート数最多オシムヘンは枠内シュート数最多タイ、枠外シュート数2位タイ。
  • 枠に当てた回数13回で最多タイオシムヘンが3回。
  • クロス成功数7位。CK数2位。
  • オフサイド数5位タイ。オシムヘンがリーグ最多。
  • PK獲得回数7回で2位タイ、献上回数2回。
  • 失点数最少。無失点試合は14回で3位。セットプレーからの失点は1点のみ。30~45分、45~60分に4失点ずつ。
  • オープンプレーからの被シュート数最少。セーブ数19位。
  • 敵陣でボールを奪った回数、シュートまで繋げた回数、ゴールを決めた数、いずれもリーグ最多
  • リカバリー数10位。リーグ3位にロボトカ、6位にキム・ミンジェ、13位にザンボ・アンギサ。
  • インターセプト数18位。タックル成功数17位。クリア数18位。
  • 1試合平均走行距離リーグ17位。スプリント距離7位。チームトップ3はディ・ロレンツォ、ザンボ・アンギサ、ロボトカ。
  • ポゼッションタイム最長パス成功数最多ファイナルサードのパス数最多。ロングボール成功数10位。
  • キーパス数2位。4位にジエリンスキ、11位にマリオ・ルイ。
  • ドリブル数2位。被ファウル数10位タイにロボトカ。
  • ディ・ロレンツォはFP出場時間リーグ最長。7位にキム・ミンジェ、9位にロボトカ。
  • セリエA過去10シーズンの対戦成績はナポリの11勝7分3敗。ピオーリ就任後はミランが3勝2分2敗で勝ち越している。ナポリホームでの試合に限るとナポリの5勝3分2敗だが、最近3試合はミランが2勝1分で無敗が続いている。
  • ピオーリはナポリ戦通算11勝9分12敗スパレッティミラン戦通算18勝7分12敗。ピオーリvsスパレッティスパレッティの9勝3分1敗。

 

incursore.hatenablog.com

 

ウディネーゼ戦後の2週間

 

 小麦粉とセモリナを生産するイタリアの会社Molino Casilloとパートナーシップを締結。レッチェ戦からサン・シーロにベーカリーがオープンする予定。

 

 新しい通信パートナーとして、電気通信およびデジタル化サービスの大手プロバイダーであるAfinnaOneとの新しいパートナーシップを発表。

 

先発&フォーメーション

 ミランはイブラ、カルル、メシアスが負傷欠場。デストとバスケスが招集外。カラブリア、ケアー、レビッチが累積リーチ。

 ナポリオシムヘンとベレシンスキが負傷欠場。

 

スタッツ&控え 

NAPOLI VS MILAN | Statistiche

 

ハイライト 


www.youtube.com

 

流れ

 

 ナポリはジエリンスキが前に出てハイプレス。ザンボ・アンギサがロングボール対応のためにバランスを取る。ミランはメニャン、ケアー、トモリ、クルニッチ、トナーリでビルドアップ。ブラヒムが内側に入り、カラブリアが高い位置を取る。レオンは大外にステイし、テオはトナーリがCBの間に降りた時は中央に入ってパスコースを作る。クヴァラはカラブリアに付いていくわけではなくケアーからのパスコースを切るように立つ。ライン間に入ってからはスローダウンせずに一気にゴールまで畳み掛ける。

 ミランゴールキックやバックパス、カウンタープレス時以外はハイプレスを控えて、全体をミドルゾーンに収める意識。ナポリはWGが幅を取り、2CBとロボトカでボールを動かし、降りるIHと上がるSBで前進。レオンはラフマニとディ・ロレンツォの中間でディ・ロレンツォに背後を使われると戻る。中盤の3人は基本的にはマンツーマンだが、トナーリはレオンのカバーでディ・ロレンツォにスライドし、クルニッチは中盤全域をカバー、ベナセルはロボトカをマークしながら中盤のカバーにも入れる位置を取る。

 

 2分、ラフマ二から受けたザンボ・アンギサがレオンの背後を取ったディ・ロレンツォに繋ぎ、ディ・ロレンツォがポリターノとのワンツーで深い位置を取ってクロスを上げると、トモリの前に飛び込んだシメオネが左足で合わせるが枠の右に外れる。

 ゴールキックをメニャンがテオにディストリビューション。テオがレオンとのワンツーで左サイドを突破し、グラウンダーの折り返しにブラヒムが左足で合わせるがメレトがキャッチ。

 6分、マリオ・ルイからシメオネが縦パスを受けて右サイドのディ・ロレンツォに展開。ポリターノのクロスはカラブリアがクリアするがナポリが拾って2次攻撃。ジエリンスキのグラウンダークロスにシメオネが左足ボレーで合わせるが枠の上に外れる。

 15分、キム・ミンジェからクヴァラへのパスがずれてミランがボールを奪う。カラブリアから右サイド際でパスを受けたブラヒムが見事なダブルタッチでマリオ・ルイとロボトカをかわし、ラフマニの背後を取ったレオンにスルーパス。レオンがチップショットでゴールに流し込みミランが先制。0-1

 24分、中盤大外で受けたレオンがカットインでナポリの中盤を切り裂き、ジルーとのワンツーから左に流れたベナセルにパス。ベナセルのクロスをブラヒムが腿で収めて、右足で切り返し、左足で撃つとキム・ミンジェに当たってゴールに吸い込まれミランが追加点を奪う。0-2

 44分、ミランナポリ陣内のスローインにハイプレスをかけるが、キム・ミンジェからの縦パスをシメオネが落とし、ザンボ・アンギサが運び、上がってきたディ・ロレンツォをテオが倒してFK。マリオ・ルイのインスイングのボールはジルーに当たって枠の左に外れる。

 45+2分、ナポリがカウンターからジエリンスキが左足でミドルシュートを撃つがメニャンが弾き出す。

 45+4分、0-2で前半終了。

 後半からミランはハイプレス時はテオがディ・ロレンツォ、トモリがポリターノにスライドする。ミドルゾーンセット時は4-4-1-1でレオンも下がり目でディ・ロレンツォを見る。

 ナポリはハイプレス時の人への意識を強める。

 49分、ポリターノがテオをかわして右足でクロスを上げるがミスキックをクルニッチがクリア。ディ・ロレンツォがトラップミスで流れたボールをレオンが奪いカウンター。レオンがアタッキングサードまで運び、ベナセルから中央でパスを受けたジルーが左に動きながらシュートを撃つが枠の右に外れる。

 55分、ジエリンスキからライン間に潜ったマリオ・ルイにパス。ザンボ・アンギサに落とし、大外のクヴァラへ展開。クヴァラがカラブリアとブラヒムの間を通してチャンネルに入り込むマリオ・ルイにパス。マリオ・ルイがワンタッチでシュートを撃つがメニャンが顔面セーブ。

 57分、ポリターノがテオをかわして右足でクロス。ファーでクヴァラが収めて、落としをマリオ・ルイがワンタッチでクロスを上げると、ディ・ロレンツォが頭で合わせるがトナーリに当たってラインを割る。

 58分、ピッチ中央でジエリンスキからトナーリがボールを奪い、アウトサイドでレオンにスルーパスを出す。レオンがラフマニに仕掛けて左足で強烈なシュートを撃ち込んでミランが3点目を奪う。0-3

 64分、ミランのビルドアップ。右に降りたクルニッチから斜めのパスで、トナーリに付いていったザンボ・アンギサとサレマに付いていったロボトカが空けた中央のスペースに入ってきたテオへ。テオが中央を運び、右のサレマがパスを受けてキム・ミンジェとディ・ロレンツォの間のジルーにラストパスを送り、ジルーがシュートを撃つが正面のメレトに当ててしまう。旗が上がってオフサイドになったが際どい。

 65分、マリオ・ルイからシメオネへのパスをケアーが脇から足を出してカット。こぼれ球をベナセルがキープしてミランが保持。ケアーが高い位置を取ったカラブリアにパス。カラブリアがマリオ・ルイを引き出してから内側のサレマに繋ぐと、サレマがゴールに向かってドリブルを始めてキム・ミンジェをかわしてPA内に侵入し、ラフマニに寄せられながらもメレトの股抜きシュートを決めてミランが4点目を奪う。0-4

 67分、ナポリはザンボ・アンギサがアンカーに入る。

 69分、メニャンからパスを受けたケアーがクヴァラのプレスをかわし、カラブリアはサレマに預けてすぐに前に行きリターンを受けて右サイドのプレスを突破。ジルー、ベナセル、レオンとライン間で横パスを繋ぎ、レオンからジルーにクロスが入るが合わせきれない。奥のカラブリアに届けば超決定機。

 72分、カウンターからサレマが巧みなドリブルで運んで強烈なミドルシュートを撃つがメレトが弾き出す。

 83分、ミランのCKのクリアボールがバカヨコのコントロールミスで流れ、クヴァラがワンタッチでラスパドーリにスルーパス。ラスパドーリがPA内に持ち込んでシュートを撃つが枠の左に外れる。

 90+2分、0-4で試合終了。

 

ミラン

 

 ゲームプラン、配置、クオリティ、集中力。全てがハマってミラニスタも驚くポーケルでの完勝で3位に浮上。クルニッチがアンカーでベナセルがIHという形は予想していたが、保持も非保持もベナセルがトップ下というのは予想外だった。

 首位キラーのピオーリ。

 

 ビルドアップはケアーとメニャンの存在が大きいのか、焦らずに落ち着いてパスを回していた。5分の場面のように右に降りたクルニッチがクヴァラを引き付けるなどして、マリオ・ルイにブラヒムとカラブリアで2vs1を作る形をメインにして、ロボトカをベナセルやトナーリが前に釣り出し、ジルーがCB2人をピン留めしてブラヒムが動きやすい状況を作った。ナポリがゾーン寄りのプレスだったことも機能した要因の一つで、ブラヒムの動きはおそらくCLフランクフルト戦の鎌田大地を参考にしたはず。

 14分50秒のビルドアップ。右サイドで前進し、内側のテオから大外のレオンへ。これが頻繁にできるようになると今後も楽しみ。

 1点目はカラブリアが右サイドを縦に走ってキム・ミンジェをサイドに釣りだしたことでDF間の距離を広げてスルーパスを通りやすくした。2点目はマリオ・ルイの判断ミスとジエリンスキの戻りが早かったらシュートを撃てなかったかもしれない。3点目はジエリンスキからディ・ロレンツォにパスを出されたらピンチになりそうな場面だったが、奪いきったトナーリとレオンのステップからのシュートが何れもスーパー。レオンを前残りにさせる理由を証明した。4点目はハイプレスから良い形でサレマに繋いだとはいえ、サレマがあんなことをするなんて予測不可能で今後見られる可能性も低そうなスーパーゴール。

 

 被保持はプレス時のレオンの戦術的(?)サボリを全員でカバーする集中力と、本職のトップ下にはないボール奪取能力と危機察知能力を持つベナセルのトップ下起用を含めた中盤3人のカバーエリアと強度が素晴らしかった。失点の可能性も少なくなかったが、ナポリのシュートミスもあり、結果的に枠内に飛んできたシュートはメニャンにとっては全く問題のないものだった。個人的にはオシムヘンとロサーノがいないのでもう少しDFラインを上げても良さそうに感じた。

 6分20秒、シメオネポストプレーからディ・ロレンツォに展開されてトナーリが釣り出され、フリーになったザンボ・アンギサがハーフスペースに上がってくるがクルニッチがマークに行き、ジエリンスキをベナセルが戻ってマーク。

 15分30秒、ラフマニにレオンが行くがザンボ・アンギサ経由でフリーのディ・ロレンツォへ。ディ・ロレンツォにトナーリ、ザンボ・アンギサにベナセルがスライドし、ロボトカにはジルーが戻る。下げさせて先制点につながる。

 22分25秒、ネガトラが遅いのでレオンはディ・ロレンツォに寄せられず。ザンボ・アンギサからポリターノにパスが通り、上がってくるディ・ロレンツォにもついていけずにクルニッチがカバー。クルニッチが中央からいなくなり、ベナセルも戻りきれないのでライン間にスペースが有り、ジエリンスキがフリー。ポリターノのパスが精度を欠いて事なきを得る。

 29分20秒、ナポリが右サイドで繋ぎ、中央に降りたジエリンスキから内側を上がってライン間に侵入するマリオ・ルイにパス。ケアーが前を塞ぎ、クヴァラに渡ってもケアーがカットインコースを消し、クルニッチとトナーリが戻ってPAのスペースをカバー。

 31分、レオンがメレトまでプレスに行くが、ロボトカ経由でフリーのラフマニへ。トナーリはラフマニからディ・ロレンツォへのパスコースを切るように立つが、ジエリンスキ経由でディ・ロレンツォへ。ディ・ロレンツォにクルニッチが出ていき、空いた中央に上がってきたロボトカがパスを受けるがジルーがプレスバックで奪う。

 39分30秒、大外のクヴァラからブラヒムの背後を取ってハーフスペースに上がってきたマリオ・ルイにクルニッチがかわされるが、ブラヒムが戻ってボール奪取。

 クルニッチやRWGのサポートでクヴァラに有利な状況でドリブルをされる場面は少なかったが、クヴァラが複数人を引き付けることで周りにフリーの選手を作っており、55分のマリオ・ルイのシュートはその典型的な形なので次回対戦ではさらなる注意が必要。フロンターレ時代に見ていた三笘と重なるクヴァラの姿。

 

 試合後インタビューによると、ピオーリはカルルの負傷に関係なくナポリ戦は4バックで戦う予定だったらしい。1月の4バックは疲労による強度不足で滅多打ちにされ、2・3月は強度不足を5バックで補っていたが、WGでないとレオンが沈黙。

incursore.hatenablog.com

 この記事に書いたようにレオンの持つ「独力で試合を破壊する個性」とチームのバランスがジレンマになっていたが、今回のナポリ戦でレオンをWGに戻し、レオンの守備のサポートにハードワークできるボランチを3人配置する、昨季終盤のラストスパートで採用した最も攻守のバランスを取りやすい形がハマった。まだたった1試合だけで、相手はボールを相手に持たせる戦い方をしないチーム。今後は全く違う相手にも同じような強度と集中力でプレーし続けなければいけないので、今季見てきたチームにそれができるかわからないが、レオンがウインガーの才能を爆発させなければいけない状況は整った。

 カラブリアの復調は大きな意味がある。この試合の保持時の高いポジショニングはカラブリア向きで、過去の試合でも高い位置を取ることの意味を理解してプレーできる。守備はクヴァラ相手で試合前の不安は否めなかったが、飛び込まずに慎重に対応し、周りのサポートを待った。フロレンツィ、カルルと状況に応じて使い分けできれば良い。

 キーマンである中盤3人の体力がいつまで持つかは心配。現状は替えの効かない存在だが、ヴランクス、ポベガ、バカヨコは少しでも疲労軽減に貢献してほしい。

 偽WGとして躍動したブラヒムとサレマ。元々2人とも頑張ってくれていたが、アタッキングサードのクオリティに課題があったのでこのファンタスティックな活躍は嬉しさを驚きが上回る。

 

 次は中4日で金曜日にエンポリとのホームゲーム。集中力を維持できるか。

 

ナポリ

 

 4点差以上の敗戦は2007年以来で、ホームでは2000年以来。

 味方に指示を出しながらハイプレスを先導し、ロングボールを理不尽な身体能力で収めて攻撃の起点を作り、PA内で驚異の跳躍力からゴールを陥れる怪物オシムヘンの不在は攻守に大きな影響を及ぼした。助かった。無理しないでCLも休んでおいてくれ。

 キム・ミンジェは韓国代表でのゴタゴタや疲労も影響したのかミスが多かった。

 

主審 Antonio Rapuano VAR Aleandro Di Paolo

 

 特になし。