自業自得記録地獄

主にACミランとセリエAに関する備忘録。

22-23セリエA第32節 vs ローマ(A) 低質身体決闘

 

 連戦が一旦終わり、4位に浮上して迎える7連戦の初戦は、勝ち点で並ぶ5位ローマとの直接対決。1月の悪夢のきっかけとなった前回対戦の雪辱を果たしたい。

 

 ローマは17勝5分9敗、43得点29失点で5位。前節まではセリエA無失点3連勝中だったが、前節はELで120分戦ったコンディションや中心選手の負傷、ミスが影響してアタランタに3-1で敗れ、アタランタを4位争いから蹴落とすことにも失敗した。もしミランに敗れると、セリエAに限れば今季初の連敗となる。

  • ホームゲーム10勝1分4敗、23得点9失点。ホームではインテルと並んで最少失点。アウェイでは得失点差が0。
  • 得点数7位。セットプレーから11点はリーグ3位。シュート決定率10%。最後の15分に最多の12点。
  • ディバラがリーグ7位タイの11点(PK4)。エイブラハムが7点、ペッレグリーニとエル・シャーラウィが4点、スモーリングとイバニェスが3点。
  • ディバラがリーグ5位タイの6アシスト。ペッレグリーニが5アシスト、スピナッツォーラが4アシスト、エイブラハムが3アシスト。
  • シュート数8位、枠内シュート数8位。枠内シュート数チームトップはエイブラハム。枠外シュート数チームトップはエイブラハムとディバラ。
  • 枠に当てた回数16回で最多。ディバラが3回、ペッレグリーニとエイブラハムが2回。
  • クロス成功数9位。CK数9位。
  • オフサイド数10位タイ。
  • PK獲得回数9回で最多、献上回数3回。
  • 失点数4位無失点試合は13回で4位。セットプレーから5失点。前半に失点が多く、15~30分、75~90分の7失点が最多。最少は45~60分の2失点。
  • セーブ数18位。オープンプレーの被シュート数2位失点期待値最少枠内シュート被ゴール期待値に対する失点数の多さの3位にルイ・パトリシオ
  • リカバリー数11位。リーグ7位にイバニェス、11位タイにクリスタンテ
  • インターセプト数4位。タックル成功数13位。クリア数15位。
  • 敵陣でボールを奪った回数19位、シュートで終わった回数最少
  • 1試合平均走行距離リーグ13位。ジョグ距離最長。スプリント距離16位。個人リーグ4位にクリスタンテ、19位にペッレグリーニ。
  • ポゼッションタイム11位タイ。パス成功数11位。ファイナルサードのパス数17位。ロングボール成功数8位。
  • キーパス数10位。5位にペッレグリーニ、9位タイにディバラ
  • ドリブル数13位。被ファウル数10位タイにディバラ、12位タイにペッレグリーニ、16位タイにエイブラハムとイバニェス。
  • セリエA過去10シーズンの対戦成績は7勝7分7敗。しかし、直近10試合に限るとミランの6勝3分1敗。スタディオ・オリンピコではローマの4勝3分3敗。
  • ピオーリはローマ戦通算7勝9分12敗。モウリーニョミラン戦通算4勝2分4敗。ピオーリvsモウリーニョはピオーリの2勝1分。

 

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レッチェ戦後の5日間

 特になし。

 

先発&フォーメーション

 ミランはポベガとイブラが負傷欠場。デストとバスケスが招集外。トモリ、カルル、ケアー、チャウ、ポベガ、レビッチが累積リーチ。

 ローマはスモーリング、ワイナルドゥム、ジョレンテ、カルスドルプが負傷欠場。

 

スタッツ&控え 

ROMA VS MILAN

 

ハイライト


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流れ

 

 ローマはミドルゾーンに5-3-2でセット。ミランは2CBと2DHの2-2、テオを加えた3-2、ボランチの片方がCBの間に降りて、残った方がアンカーになる3-1でビルドアップ。右はカラブリア、左はレオンが幅を取り、ライン間にベナセル、ブラヒム。テオは低い位置からスタートして間に入っていく。ローマはゼキ・チェリクがサイドに張るレオンを、イバニェスはライン間のブラヒムをマンツーマン気味に監視。クリスタンテは低い位置のテオへのプレスと中央のカバー。マティッチがトナーリに出ていくと、マンチーニがベナセルを迎撃しに行く。

 ミランは配置どおりにマンツーマン気味にハメてプレス。ローマはWBでミランのSBを釣りだして、CBとSBの間に2トップやペッレグリーニが流れたり、ペッレグリーニに付いていくクルニッチをサイドに釣りだしてCFへの縦パスで基点を作る。

 

 6分、ゼキ・チェリクからテオの裏に流れたエイブラハムにパス。エイブラハムの折り返しをベロッティが落として、PA手前のペッレグリーニがワンタッチで撃つが枠の上に外れる。

 14分、ジルーとの衝突でクンブラが負傷交代し、クリスタンテがCB、ボーヴェがRIHに入る。

 17分、レオンが内側で受け始める。ブラヒムはペッレグリーニの脇に逃げる。

 19分、ミランのビルドアップにローマがプレス。クルニッチが右に開いて降りてきたブラヒムにパス。ワンタッチの落としをカラブリアがワンタッチでジルーにロブパス。ジルーが触れずに流れたボールをベナセルが回収し、ブラヒムが右サイドから上げたクロスにクルニッチが頭で合わせるが枠の左に外れる。

 25分、テオがレオンとのワンツーで左サイドを突破し、中央へのパスをレオンが拾い、レオンが右でフリーのカラブリアに渡し、カラブリアが折り返すがブラヒムと合わない。

 32分、ミランがカウンターでレオンを走らせるがマンチーニがカバー。ローマがビルドアップ。ペッレグリーニが空けたスペースにジルーのマークを外して前進したマティッチがスピナッツォーラからパスを受け、マティッチからパスを受けたベロッティが左ハーフスペースからシュートを狙うがトモリがブロック。左サイドでこぼれ球を拾ったベロッティから内側を抜け出したスピナッツォーラにパス。左ハーフスペース深い位置を取ったスピナッツォーラの折り返しをニアに走り込んだペッレグリーニが撃つが、エイブラハムに当たってしまう。

 44分、ミランがミドルゾーンで保持。右と中央で細かくパスを回し、中央のクルニッチから左ハーフスペースに上がったテオにパス。テオのアーリークロスをクリスタンテが触ったこぼれ球をカラブリアが撃つが枠の左に外れる。

 45+4分、メニャンのロングボールからCKを得て、トナーリのアウトスイングのボールにトモリが右足で合わせるが枠の左に外れる。

 45+6分、0-0で前半終了。

 

 後半からミランは太腿を痛めたトモリに替えてチャウ、ローマはベロッティに替えてエル・シャーラウィを投入する。

 56分、ミランのCKのこぼれ球をサレマがミドルシュート。イバニェスがブロックしスピナッツォーラがこぼれ球をサレマに競り勝って運んでカウンター。エル・シャーラウィにループパスを出すが、トラップが流れてメニャンがキャッチ。

 59分、トナーリからのロングボールをジルーが競ってレオンがこぼれ球を拾う。レオンがPA内に入って左足でクロスを上げるとフリーのサレマーケルスがボレーで合わせるが枠の上に外れる。

 オープンな展開の終盤。

 90分、イバニェスとペッレグリーニでサレマからボールを奪い、エル・シャーラウィが左サイドから中央に運び、右サイドを駆け上がったゼキ・チェリクにパス。ゼキ・チェリクが運んでライン間への折り返しをマディ・カマラが左足で合わせるが枠の左に外れる。

 90+2分、デ・ケテラーレが中央から左に動きながらテオからのパスをワンタッチで左に開いていたトナーリにパスを出すが、ゼキ・チェリクがインターセプト。そのまま持ち上がり、ゴール前でエイブラハムにパスを出し、カラブリアが中途半端に触ったボールをエイブラハムがワンタッチで左隅に流し込んでローマが先制。1-0

 90+6分、チャウを前線に上げて、メニャンがロングボール。マンチーニのクリアを左サイドでレオンが拾い、ファーサイドにふんわりクロスを上げると、チャウの背後に入り込んだサレマーケルスが右足で合わせてミランが同点にする。1-1

 90+9分、1-1で試合終了。

 

ミラン

 

 ゴール前の場面が極めて少ない試合というわけではなかったが、終盤まで互いにミスが多く、アタッキングサードでの質を欠いて枠内シュート0本。競り合いで倒れる選手も多く、実質50分の凡戦となった。結果的にミランが勝ち点1を拾った形になったが、どちらが勝っても負けても不思議はない試合だったので妥当な引き分けか。一応、公式戦7試合連続無敗。今節の結果によりインテルが得失点差で4位に浮上。アタランタが勝ち、ラツィオが敗れたため2位から7位までが6ポイント差の大混戦に。

 

 前節ほどボールを持たされた感覚はないが、保持率64%、自陣の割合が64%、シュート11本、枠内1本とスタッツを見ると持たされたように感じる。テオでクリスタンテ、クルニッチでペッレグリーニ、トナーリでマティッチを釣りだし、ローマの中盤の周辺にスペースを作って、前線でオープンな5vs5の状況を作ろうという狙いがあったと思うが、ローマはコンパクトな陣形をキープし、マンチーニ、イバニェス、WBの寄せも速く、ゴールに迫る形を作るのが難しかった。19分のプレス回避からの速攻は良かったが、ローマの戻りも速かった。後半は最終的に得点にも繋がったように、ジルーへのロングボールのこぼれ球から、シンプルにジルーや大外を狙ったクロスが増えた。そのほとんどが精度を欠いていたが、最後の最後にレオンがファーのチャウを目掛けて上げたクロスを、チャウを囮にフリーで入っていったサレマが合わせて同点にすることができた。得点が欲しい終盤はオリギやデ・ケテラーレではなく、パワープレーでチャウを投入してメニャンがロングボールを蹴っ飛ばす方が効きそう。

 被保持は4バック回帰後初の3バックとの対戦で、配置の噛み合わせ的に1vs1の状況が増え、ローマの狙い通りにSB、ボランチ、CBが釣り出される場面は少なくなかった。ただ、ケアーとチャウは潰しきる守備ができており、クルニッチの集中したカバーリングが際立ち、ベナセルのプレスバックも助けになった。ただ、エイブラハムとベロッティが特に器用なわけではないこと、ボールの預けどころになりゴールを演出するディバラやドリブラーザレフスキの欠場、シャドーやWBではなく2トップにエル・シャーラウィがいたことなど、ローマ側の台所事情が厳しかったことにも助けられた。復調したスピナッツォーラへのサイドチェンジも少なかった。

 ローマが今回5-3-2で挑んでくれたことはインテル戦に繋がってくると思う。復調気味のインテル相手に、WBにSB、2トップに2CBで対応するのが難しいと考えるなら、ブラヒムを外し、RWGにサレマかメシアスを起用して被保持は5-3-2ミドルプレスでCBを余らせ、保持はWGが幅を取る4-1-2-3で戦うこともあり得る。

 

 次は中3日で水曜日にホームで19位クレモネーゼ戦。ラツィオインテルと続くホーム3連戦の初戦。気持ちよく勝とう。

 

ローマ

 

 エースディバラ、DFリーダースモーリングを始め、負傷者が多く、試合中にもアクシデントがあったので勝ち点1は悪くない結果だが、終盤に先制できたぶん、勝ち点2を失った感覚だろう。ディバラ不在の中で頼みのペッレグリーニもミスが多かった。

 マティッチは懐深くフィジカル強すぎ。ブラヒムとベナセルが子供に見えた。

 リール時代の同僚レオン対策でフル出場したゼキ・チェリクは抜かれることもあったが攻守に貢献した。ザレフスキが出場しなかったのも頷ける。

 

主審 Daniele Orsato VAR Aleandro Di Paolo

 

 フィジカルコンタクトに寛容なオルサートらしいジャッジではあった。70分のサレマに対するイバニェスのタックルはレッドカードでもおかしくなかった。