自業自得記録地獄

主にACミランとセリエAに関する備忘録。

22-23セリエA第34節 vs ラツィオ(H) お得意様

 

 7連戦の3試合目は6ポイント差をつけられている2位ラツィオサン・シーロで迎え撃つ。今節はCL出場権争いライバルたちがそれぞれ直接対決。

 

 ラツィオとは昨季も34節で戦い、逆転スクデットへ向けたラストスパートに火を点ける劇的な逆転勝利を飾った。ここから始まるミランの反撃。

 

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 ラツィオは19勝7分7敗、52得点24失点で2位。連続無失点が続いていたら急に連敗したり、好不調の波が激しいシーズン。失点が少なく、4-3-3ゾーンプレスの練度は高いが、ピンチが少ないわけではない。

  • アウェイゲーム9勝4分3敗、25得点10失点。
  • 得点数5位。セットプレーから4点。シュート決定率14%。最初と最後の15分に最多の11点ずつ
  • ザッカーニとインモービレが10点でチームトップ。フェリペ・アンデルソンが9点、セルゲイが6点、ルイス・アルベルトが5点、ペドロが4点。その他のスコアラーは6人。
  • セルゲイが8アシストでリーグ2位タイ。ザッカーニが6アシスト、ルイス・アルベルトが5アシスト。
  • シュート数15位、枠内シュート数9位。セットプレーからのシュート最少
  • 枠内シュート数、枠外シュート数ともにチームトップはインモービレ
  • 枠に当てた回数11回で6位タイ。セルゲイが3回、インモービレが2回。
  • クロス成功数最少。CK数13位。
  • オフサイド数16位タイ。インモービレが8位タイ。
  • PK獲得回数7回、献上回数1回は最少
  • 失点数2位無失点試合は19回で最多。セットプレーから7失点。前半は6失点のみで最初の15分は無失点。75~90分に最多の8失点。
  • セーブ数10位タイ。オープンプレーの被シュート数14位。プロヴェデルは枠内被シュートの失点期待値よりも実際の失点数が最も少ない
  • リカバリー数13位。チームトップ3はマルシッチ、カタルディ、セルゲイ。
  • インターセプト数14位。タックル成功数13位。クリア数15位。PPDA(プレス強度指数)19位
  • 1試合平均走行距離リーグ最長スプリント距離最長セルゲイは走行距離リーグ最長スプリント6位にフェリペ・アンデルソン
  • ポゼッションタイム6位。パス成功数2位。成功率85%。ファイナルサードのパス数6位。ロングボール成功数7位。1回の攻撃でパスを10本以上繋いだ回数2位
  • キーパス数17位。16位タイにルイス・アルベルトとフェリペ・アンデルソン
  • ドリブル数12位。被ファウル数リーグ最多がザッカーニ3位にセルゲイ
  • セリエA過去10シーズンの対戦成績はミランの10勝5分6敗。ラツィオは連勝がなく、勝利した6試合のうち5試合が3得点以上を奪っており、全てオリンピコでの試合。サン・シーロに限るとミランの7勝2分1敗。
  • ピオーリはラツィオ戦通算7勝4分11敗。サッリはミラン戦通算7勝6分5敗。ピオーリvsサッリは7勝3分7敗。

 

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クレモネーゼ戦後の2日間

 特になし。

 

先発&フォーメーション

 ミランはポベガが復帰。フロレンツィとイブラが負傷欠場。デストとバスケスが招集外。カルル、ケアー、チャウ、ポベガ、レビッチが累積リーチ。

 ラツィオはベシーノとカタルディが負傷欠場。

 

スタッツ&控え

MILAN VS LAZIO

 

ハイライト


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流れ

 

 ラツィオは4-1-4-1で高い位置からプレス。ミランはクルニッチをアンカーに置く4-1-2-3でビルドアップ。インモービレとIHでCBにプレスをかけるが、メニャンがバックラインとクルニッチのパス回しに参加して数的優位を作り、アンカー脇のトナーリとベナセルへのパスや、WGの裏抜けを狙う。

 ミランは4-2-3-1で中盤をマンツーマンで噛み合わせてプレス。ジルーがCBにCBの間からプレスに行き、WGはSBとCBとIHの中間ポジションを取り、中盤からジルーが寄せていないCBやプロヴェデルへのバックパスが出ると反応してプレス。ラツィオはWGも内側に、インモービレも降りて、中央3レーンに顔を出し、縦パスと落としを受ける3人目を使って前進を図る。降りるインモービレにはケアーが付いていく。

 

 10分、レオンが右腿の内転筋に違和感を感じて交代。サレマがそのままLWGに入る。

 16分、メシアスのサイドチェンジを内側で受けてテオが大外のサレマに預けて内側を上がり、サレマからのパスをワンタッチで折り返し、ジルーがボレーシュートを撃つが枠の上に外れてゴールキック。ジルーがカザーレに寄せ、マルコス・アントニオへのパスをべナセルがカット。こぼれ球をジルーが落とし、べナセルがボレーで叩きつけてネットを揺らしミランが先制。1-0

 28分、ザッカーニから誰もいないゴール前へのクロスをメニャンがキャッチしてすぐにテオにパス。テオが運んでセルゲイをかわして中央に入っていき、PA手前から左足を振り抜くと右上隅に決まってミランが追加点を奪う。2-0

 

 31分、マルコス・アントニオが右サイドに顔を出してラツィオミランのカウンタープレスをかわし、PA手前でインモービレとケアーが対峙するがケアーが冷静かつクリーンな対応でボールを奪う。

 38分、右サイドのビルドアップミスをラツィオが奪い、ヒサイがカラブリアの裏に抜け出してマイナスのクロスを上げ、インモービレが頭に当てるが当てるのが精一杯。

 45+2分、0-0で前半終了。

 

 64分、ミランの右CK。トナーリのアウトスイングのボールにチャウが頭で合わせるが枠の上に外れる。

 80分、ラツィオはカンチェリエーリがそのままCFに入る。

 終盤のラツィオはSBがミランのWGから遠く、SBが気になる位置、IHが降りずに高い位置を取り、WGがマルコス・アントニオの近くに降りてSBからフリーになって受け手になる。

 86分、左に開いたルイス・アルベルトからトナーリの背後を取って内側を抜け出したペッレグリーニにアウトサイドでスルーパス。ペッレグリーニが角度のないところから撃つがサイドネット。

 90+4分、ルイス・アルベルトからカルルの背後を取って内側を抜け出したペドロにスルーパス。ペドロのマイナスのパスをバシッチが合わせ、ファーのカンチェリエーリが押し込めそうなボールをトモリがクリア。

 90+5分、2-0で試合終了。

 

ミラン

 

 ラツィオ戦恒例のセルゲイ対策にクルニッチとトナーリの位置を通常から入れ替えて臨み、各々がタイミングを見極めてマーカーに対して強度の高いプレスを見せ、枠内被シュートを0本に抑えて完勝。

 

 公式戦9試合連続無敗。今節はユヴェントスインテルが勝ち点3を積み上げ、ミランは3位ラツィオと3ポイント差、4位インテルと2ポイント差の5位に。残り4試合。

 

 ジルーがプレスの方向性を示し、中盤がマンツーマンで前を向かせず、WGが素早くバックパスに反応するハイプレスが機能して先制点を奪い、かわされた時のDFラインを下げる判断と、かわされた選手たちの戻りが速く、マークの受け渡しとカバーのミスが少なく、ミドルゾーンでも全体をコンパクトにして出しどころを作らせずに下げさせることができていた。交代選手もしっかり試合に入って強度を落とさず、バロ=トゥーレがフェリペ・アンデルソンのマークに少し困っていたくらいだった。ラツィオは自分たちのスタイルを明確に持っており、なおかつそれに固執する傾向があるチームで、基本的にショートパスで繋ごうとしてくれるので、準備期間がかなり短かったが対策はしやすかったはず。ナポリ戦や今回のような強度のバランスと徹底はどの試合でもやってほしいレベルだが、現実的には難しいのだろうか。

 

 保持はメニャン、ケアー、トモリ、クルニッチでラツィオのプレス隊を走らせ、自分たちの時間を作るという部分は十分にできていた。前進の部分は序盤は左サイドに入ったサレマがレオンにはない小技を生かしたシンプルな連係でテオとベナセルと良い関係を作っていた。右サイドは前半の終盤からトナーリが前目でヒサイに対してメシアスと2vs1を作るようになってから良くなり、メシアスから左サイドへの展開が何回かあったのも良かった。得点になったのはハイプレスとテオのスーパーカウンターで、保持から明確な決定機を作ったわけではないのでどこまで評価すれば良いかはわからない。ただ、サレマの左サイド起用はテオにとって攻守両面で最良のサポーターになりそうなのは確か。

 

 クルニッチはセルゲイを文字通りの完封で早期交代に追いやり、アンカーとしてミスなくボールを循環させる最高の仕事を果たした。

 メシアスはキレがあり、良いドリブルが何度も見られただけでなく、プレスとプレスバックも90分やりきった。2試合出番のなかったレビッチも状態は悪くなさそうで安心。

 後半からケアーに替わって投入されたチャウはケアー同様にインモービレを完封。長い脚を活かして脇から足を出して奪ったり、インターセプトしたり、カウンターの起点にもなった。少し厳しいカードによりインテル戦から完全ターンオーバーしたい来週の試合が出場停止になってしまったことだけが残念。

 

 次は中3日で水曜日にCL準決勝1stレグインテル戦。レオンは2ndレグでの復帰を目指す模様で不在になりそうなのは大誤算だが、レオンがいないことで得るものを活かして2ndレグに繋げよう。

 

ラツィオ

 

 先週に続きサン・シーロで完敗。セルゲイは前節のベシーノの負傷交代で思っていたように出場時間を管理できなかった影響か、動きが重く、単純なミスも多かった。

 個人的にはインモービレではなくフェリペ・アンデルソンのCFの方が好きだが、カピターノであり、絶対的エースのインモービレを健康な状態なのにビッグゲームでベンチに置くことは現実的にはできないだろうなと思う。

 

主審 Antonio Rapuano VAR Paolo Silvio Mazzoleni

 

 ファウルに関する不満はあまりないが、カードはマルシッチとカザーレだけに抑えられたと思う。