自業自得記録地獄

主にACミランとセリエAに関する備忘録。

22-23 CL 準決勝 2nd leg vs インテル(A) 夢から覚めて現実と向き合う

 

 7連戦の6試合目。週末はインテルは3-0から2点を返される嫌な流れだったがルカクが完全復調を印象付ける2ゴールで公式戦7連勝と絶好調を維持した一方、ミランは降格圏のスペツィアに完敗を喫して緊急合宿を敢行。共闘するクルヴァの激励を受けたミランは1stレグの2点差をひっくり返すことができるのか。

 

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スペツィア戦後の2日間

 

 ベナセルが右膝の軟骨損傷で関節鏡手術を受けて少なくとも全治6ヶ月の見込み。

 

先発&フォーメーション

 ミランはベナセルが負傷欠場。イブラ、デスト、ヴランクス、アドリ、バカヨコ、タタルシャヌ、バスケスが登録外。ナヴァがベンチ入り。

 インテルはシュクリニアルが負傷欠場。

 

スタッツ&控え&ハイライト

Inter-Milan | UEFA Champions League 2022/23 | UEFA.com

 

流れ

 

 ミランは中盤と2トップにマンツーマン気味に対応し、WGがWBを気にしながらIBにプレス。インテルは前回同様オナナで数的優位を作り、アチェルビが右に開いてドゥンフリースを高い位置に押し出したり、アチェルビが一列上がったりしながら、WBがSBを引き付け、2トップがSBの背後のスペースに流れたり、IHがミランボランチを動かしてIBやWBから中央の2トップに斜めの楔を入れる。

 ミランのビルドアップはクルニッチがアンカー、トナーリとブラヒムがIHの4-1-2-3。インテルはミドルプレスとブロックを中心に2トップがサイドに追い込み、SBにはIHが出ていき、WGは基本的にはWBがマークして、IHにはIBが前に出て対応する。ハイプレス時はボールサイドのWBがSBまで行き、中盤をマンツーで捕まえ、逆サイドのWBは残ってDFラインを一人余らせる。ミランカラブリアが3バック気味の立ち位置を取ってムヒタリアンを釣り出し、テオかレオンが内側に入ってレオンかテオへのパスコースを作る。

 

 4分、FKを横のテオに渡し、テオがミドルシュートを撃つが僅かに枠の上に外れる。

 6分、メニャンのクリアボールをジルーとアチェルビが競り、こぼれ球を拾ったチャルハノールがムヒタリアンに繋ぐ。ムヒタリアンが運び、中央でフリーのバレッラにパス。バレッラがミドルシュートを撃つが枠の上に外れる。

 10分、ミランのCKのセカンドボール争いでトナーリが左サイドでムヒタリアンからボールを奪い、深い位置まで抉って折り返し、フリーのブラヒムが合わせるが、オナナがコースを読んで動いてキャッチ。

 12分、ディマルコから左サイドの裏に流れたジェコにスルーパス。ジェコが内側に持ち出し右サイドのドゥンフリースに展開。ドゥンフリースのラストパスをトナーリが滑ってフリーになったバレッラが撃つがメニャンがセーブ。ジェコの抜け出しがオフサイド

 22分、ミドルゾーン手前でトナーリからチャルハノールとバレッラでボールを奪い、バレッラが運んでカウンター。クルニッチがバレッラに釣り出され、フリーになったムヒタリアンがシュート。こぼれ球をバレッラが拾い、低いクロスをジェコが落としムヒタリアンが撃つが枠の上に外れる。

 24分、ドゥンフリースの横パス、バレッラの縦パス、ジェコの落とし、走り込むドゥンフリースで右サイドを突破し、ゴール前でラウタロに折り返すがチャウがクリア。

 37分、トナーリのクリアボールをレオンがダルミアンと競りながら収めてPA内に運び、アチェルビを縦にかわして左足で撃つが枠の右に外れる。

 38分、チャルハノールのFKをジェコが頭で逸らすがメニャンが弾き出す。

 40分、インテルの左CK。ジルーのクリアボールをバレッラが拾い、ラウタロが左足で撃つが枠の上に外れる。

 45+3分、0-0で前半終了。

 

 後半

 68分、メシアスが内側に入り、大外に上がったカラブリアのワンタッチクロスにレオンが頭で合わせるが力なくオナナがキャッチ。

 73分、インテルスローインからゴセンス、ルカクラウタロでゴリ押してPA内に侵入し、カルルがボールに寄ってフリーになったラウタロルカクからパスを受けて左足でニアを撃ち抜いてネットを揺らしインテルが先制。1-0

 77分、ラウタロがオナナのパントキックを背中でトラップし、ループシュートを狙うがメニャンが弾き出す。

 90+1分、インテルがサレマとレオンのパスミスを奪ってカウンター。左に展開し、バストーニがクロスを上げ、流れたボールをルカクが拾い、ドゥンフリースのクロスをガリアルディーニがホアキン・コレアに落とし、コレアからパスを受けたルカクがシュートを撃つがメニャンがセーブ。こぼれ球をルカクがバストーニに繋ぎ、バストーニがPA外からボレーシュートを撃つが枠の上に外れる。

 90+3分、1-0で試合終了。2試合合計3-0でインテルが決勝進出。

 

ミラン

 

 2点差を逆転しなければいけない2ndレグもインテルの予想を裏切るようなプランやアイデアは生まれず、大部分の攻撃は簡単に対処され、トランジションから得た2回の決定機を生かせずに力負け。実力以上のベスト4に到達し、夢を見させてもらったので、現実に戻り、死にものぐるいでセリエAを3連勝で締めて4位以内に滑り込み、来季もこの大会に参加できることを願うだけ。

 

 クルニッチとトナーリの位置を通常に戻し、保持時は4-1-2-3でトナーリをゴールに近い位置に配した。右サイドはカラブリアが内側寄りの低い位置で配球役になり、ブラヒムがムヒタリアンとチャルハノールとの間に入って受ける形は序盤こそ機能したが、インテルがバストーニ、ディマルコ、ムヒタリアン、チャルハノールのマーキングと受け渡しが整理された15分ぐらいからは外に押し出された。左サイドはテオが高い位置を取り、レオンが下がって受けに来るがドゥンフリースかダルミアンが徹底マークで前を向かせてもらえない。レオンを起用することはできたが、得意の形でドリブルできる状況を作り出すことは一度もできなかった。

 9分14秒のトナーリをマークしたダルミアンの背後に入ったジルーへレオンから縦パスが入り、トナーリがジルーの落としを受ける形はやってほしいと言っていたものに近かったが、その後がうまく繋がらなかった。

 被保持は改善したところがなく、メシアスはディマルコを消しながらバストーニに寄せて、オナナにも行くが、オナナからディマルコに通されたり、ディマルコにカラブリアが寄せきれずに裏を使われて、起点を作られ、CBがサイドに釣り出される。アチェルビの列上げにもマンツーマン以外の対応策は見られず、オナナにジルーが行けば確実にアチェルビがフリーになった。

 偶発的な2回のチャンスを決めていれば、インテルがバタついて違う試合になったかもしれないのがサッカーの面白いところだが、そんな運任せでしか勝てる見込みのない試合だったということ。緊急ミニ合宿で何をやっていたのかわからないが、インテルを洗いざらい研究し、穴を見つけて3点取る方法を練り上げるものだと思っていたので、今季見せていたものから大した変化がなかったことに失望した。スタートから超攻撃的ハイプレスでインテルに圧を与えて、エンジン切れを厭わずに攻守でアクションを起こし続ける姿勢を期待していた。

 

 次は中3日で土曜日にホームで降格が決まっているサンプドリアと対戦。3連勝必須。

 

インテル

 

 文句なしの決勝進出。想像の範囲内の攻撃しかしてこないミランはやりやすかったと思う。結果が出ていない時期は呪われていると思うほどにシュートが決まらなかっただけでチャンスは作れていたので、現在公式戦8連勝となっていることを考えると、いわゆる乱数調整だったのだと思う。

 

主審 Clément Turpin (FRA) VAR Jérôme Brisard (FRA)

 

 ファウルが多かったが、前半はカードを出さずにコントロールラウタロに入れ替わられたチャウが倒して最初のイエロー。51分のアチェルビがトナーリを踏んだ場面はトナーリが爪先を踏まれているように見えるが、倒れた時に爪先を抑えておらず、あの勢いで爪先を踏まれたら非常に痛いはずなのにすぐに普通に歩いているので当たっていないと思われる。