自業自得記録地獄

主にACミランとセリエAに関する備忘録。

22-23セリエA第38節 vs エラス・ヴェローナ(H) 一定の積み上げ

 

 前節の勝利でCL出場権を得られる4位以内を確定させたミラン。4位が確定しており完全な消化試合だが、試合後にイブラの退団セレモニーが行われるため、イブラを気持ちよく送り出せる試合をしたい。

 今季のホームゲームの平均入場者数が7万1千人を超えた。

 

 エラス・ヴェローナは7勝10分20敗、30得点56失点で18位。チョッフィの後を受けたボッケッティがマンツーマンプレスに戻して内容は良化したが、退場などでプランを維持できない試合が続き6連敗。12月に下部リーグを主戦場としていたザッファローニが就任し、ボッケッティがアシスタントに回ると、今節までの22試合で6勝8分8敗を記録し、同期間内に限った獲得勝ち点は13位。シーズンを通して主力の負傷離脱に苦しんでいたが、最終節は崩しのキーマンのラゾヴィッチがなんとか間に合ってベンチに入った。残留圏の17位スペツィアとは同勝点で、勝ち点が並んで終わった場合はプレーオフが行われる。

  • アウェイゲーム1勝7分10敗、10得点24失点で19位。
  • 得点数18位タイ。セットプレーから7点。シュート決定率7%。前半のほうが得点が多く、30~45分に最多の7点。
  • ヴェルディが5点、ラゾヴィッチが4点、ンゴンジュが3点、ガイチ、デパオリ、チェッケリーニ、ドイグ、トマ・アンリが2点。1点が6人。
  • ラゾヴィッチが4アシスト、ドイグとファラオーニが3アシスト、デパオリとラザーニャが2アシスト。
  • シュート数16位。枠内シュート数18位
  • 枠内シュート数チームトップはラゾヴィッチ。枠外シュート数13位タイにラザーニャ。
  • 枠に当てた回数16回で2位。ラゾヴィッチとトマ・アンリが3回、ガイチが2回。
  • クロス成功数7位。CK数11位。
  • オフサイド数3位。
  • PK獲得回数1回献上回数1回。どちらも最少。
  • 失点数15位。無失点試合は6回で16位タイ。
  • オープンプレーの被シュート数は15位だが、失点数は最多セットプレーから6失点は4位タイ
  • 前半も後半も最後の15分に失点が多く、30~45分に13失点、75~90分に最多の14失点。
  • セーブ数4位
  • リカバリー数2位6位にヒエン、14位にタメゼ
  • インターセプト数6位。タックル成功数9位。クリア数5位。
  • PPDA(プレス強度指数)16位。
  • ファウル数2位(多)イエローカード数2位(多)
  • 1試合平均走行距離リーグ13位。スプリント距離13位。チームトップはタメゼとドゥダ。スプリント5位にデパオリ
  • ポゼッションタイム19位パス成功数最少。成功率71%。ファイナルサードのパス数最少。ロングボール成功数12位。
  • キーパス数14位。チームトップはラゾヴィッチ。
  • ドリブル数13位。被ファウル数チームトップはデパオリ。
  • セリエA過去10シーズンの対戦成績はミランの8勝4分3敗。現在はミランが8試合無敗で4連勝中。どちらかが無得点だったのは3試合だけで、ミランは全試合で得点。サン・シーロではミランの3勝4分。
  • ピオーリはエラス・ヴェローナ戦通算10勝7分3敗。ザッファローニはミランともピオーリとも初対戦。

 

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ユヴェントス戦後の6日間

 

 来季のファーストユニフォームを発表。今節着用する。

 

 レオンが28年6月まで契約延長したことを発表。報道によると、年俸は€5m+ボーナスで最大€7m。€175mのバイアウト条項がある模様。厄介な問題だったスポルティングへの賠償金はリールが払ったという記者も、ミランが払ったという記者もおり、リールが売却益の一部を受け取るという記者もいる。

 

先発&フォーメーション

 ミランはベナセルとイブラが負傷欠場。レビッチ、デスト、バスケスが招集外。カルル、ケアー、ポベガ、レビッチが累積リーチ。

 エラス・ヴェローナはラザーニャ、ドゥダ、トマ・アンリが負傷欠場。

 

スタッツ&控え

MILAN VS HELLAS VERONA

 

ハイライト


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流れ

 

 ミランはクルニッチがアンカー、トナーリとブラヒムがIHの4-1-2-3で保持。ヴェローナの被保持は5-3-2ブロックでマンツーマン要素は少なく、ミランのCBが常にフリー。トナーリが降りて受けたり、右サイドに流れたり、行動範囲が広く、降りたらクルニッチが前に出て受けたり、レオンが中、テオが外に動いたり、右サイドはカラブリア、メシアス、ブラヒムの3人にトナーリが4人目として登場し人数をかけて崩しに行く。

 ヴェローナの保持はロングボールからセカンドボールを回収し、サイドの裏にンゴンジュが流れたり、デパオリが走ったりしてクロスを上げられる状況を作ろうとする。ミランは4-2-1-3で人を捕まえてプレスに行く。

 

 5分、トナーリが右サイドに顔を出してカラブリアとパス交換。チャウが右ハーフスペース裏に流れたブラヒムに縦パス。中央でメシアスとジルーがパス。ジルーがクルニッチに落とし、クルニッチがワンタッチで左ハーフスペースのレオンにパス。レオンがDFの間からコントロールシュートを狙うが、DFに当たって枠の上に外れる。

 39分、テオがジルーとのワンツーで左ハーフスペースを突破して折り返すが合わずに流れる。

 43分、CKの流れからこぼれ浮き球に反応したブラヒムがンゴンジュに蹴られてブラヒムが倒れる。OFRでミランがPKを獲得。

 45+1分、ジルーが左に決めてミランが先制。1-0

 45+4分、失点後にヴェローナがプレスを強め始めたが、1-0で前半終了。

 

 ヴェローナは前半終盤同様プレスを強めて後半に突入し、2トップがCBにプレスをかけ、後ろもマンツーマン気味に付き始める。ミランはメニャンを使いながら、フリーの選手を作って運んでいき、SBが内側で受けようとする動きが多い。

 50分、中盤でセカンドボールを拾ったテオがカラブリアに繋ぎ、カラブリアがワンタッチで中央のレオンに縦パス。レオンが横のテオにワンタッチで繋ぎ、テオがPA内に運んでジルーにラストパスを出すがスレマナが戻ってクリア。

 55分、チャウからジルーに縦パス。ジルーの落としをクルニッチが受けられず、こぼれ球を拾ったデパオリからCBの間を抜け出したンゴンジュにスルーパスが出るが、メニャンが飛び出して対応。

 59分、ヴェルディがクルニッチにマンツーマンで付き、ラゾヴィッチがIHのような位置からチャウにプレスに行く。スレマナがアンカー。

 62分、中央でスレマナがブラヒムからボールを奪い、タメゼが右に開いたンゴンジュにパス。ンゴンジュがトモリをかわして右足で撃つがサイドネット。

 63分、ヴェローナがマンツーハイプレス。メニャンからテオにロブパス。テオがヘディングで降りてきたジルーに繋ぎ、ファラオーニの背後を取ってリターンを受け、敵陣中央にドリブル。PA手前でゴール前でフリーのブラヒムに出すが合わない。

 71分、選手交代直後のスローイン。ラゾヴィッチがカラブリアの背後を取って受け、ゴールライン際からファーに緩いボールを入れるとファラオーニが頭で合わせてヴェローナが同点にする。1-1

 ミランはポベガが左、トナーリが右のボランチに。ヴェローナはプレスラインを下げるが、デパオリはカラブリア、カバルはメシアスにマンツーで行くのは変わらない。

 74分、カラブリアスローインPA内でデ・ケテラーレが胸でジルーに落とし、カバルが掻き出したこぼれ球をレオンがヘディングで撃つがファラオーニがブロックしミランのCK。

 75分、トナーリのインスイングのボールにジルーが頭で合わせるがモンティポがキャッチ。

 84分、レオンがトモリからの縦パスを受けて前を向き中央に運び、左隅にゴロのミドルシュートを流し込んでミランが勝ち越し。2-1

 

 89分、ヴェローナがセットプレーで押し込んだが、レオンが運んでカウンター。タメゼがレオンを止めるが、こぼれ球を拾ったトナーリからパスを受けたデ・ケテラーレが左足を振り抜くが僅かに枠の右に外れる。

 90+1分、ヴェローナのFKをテオが跳ね返し、レオンが拾ってカウンター。PA手前でサレマとワンツーでPAに侵入し、アビルゴーとモンティポをかわして無人のゴールに流し込みミランが3点目を奪い、とどめを刺す。3-1

 90+5分、トナーリからレオンへのロブパスのこぼれ球をジルーが拾い、デ・ケテラーレ、ポベガ、左のサレマへと繋ぎ、サレマがコントロールシュートを狙うが僅かに枠の上に外れる。

 90+6分、3-1で試合終了。

 

ミラン

 

 前半と後半で全く異なる試合になったが、どちらにもそれなりに対応し、PKが大きかったとはいえ、気を抜いた失点場面以外は完勝といえる内容だった。

 前半は5-3-2のブロックをどのように崩すかという課題に対して、右サイドはトナーリが加勢して人数をかけ、LIBの背後にスペースを作り、ブラヒム、トナーリ、カラブリアが飛び出す形が見受けられた。結果には繋がらなかったが、同じ5-3-2ブロックに苦しんだインテル戦、スペツィア戦でやってほしかった同サイドに人数をかけて崩しに行く形にトライできたのは良かった。左サイドにボールがある時はカラブリアが上がらずに3バック気味になり、トモリ、テオ、レオン、トナーリ、クルニッチらでパスを回して縦に突破するか、左に寄せたことでスペースができる右ハーフスペースにカラブリアが上がって展開をする形が見受けられた。

 後半はヴェローナがプレスに出てきたことでビルドアップの力が求められたが、メニャンで数的優位を得て、2CBとクルニッチとのひし形でプレスをかわし、レオンがファラオーニをピン留めし、テオとトナーリがタメゼに対して2vs1になる状況を作り出し、スペースのある中盤を越えてアタッキングサードに侵入していった。テオはマンツーマン濃度が濃くなっていったヴェローナの守備を乱すように頻繁に中央に入ってプレーをした。

 8割が保持だったため、被保持の時間は非常に少なかったが、ロングボールに簡単に競り負けなかったことが大きかった。前半はカウンターで危ない場面が1度あったが被シュート0本。後半は6本で危険だったのは中盤でのボールロストからのカウンターだった。

 

 契約延長祝いかつ、師匠イブラのラストマッチでレオンはスーペルなドッピエッタ。今季もなんだかんだキャリアハイの15点を記録した。

 チャウはこの試合でも縦パスが目立ち、DFラインの背後に落とすようなフィードも狙っていた。

 ミランテさんがミランデビュー。

 ワールドカップを挟んでの52試合お疲れ様でした。

 

 試合後にイブラの退団セレモニーが行われ、記者会見で現役引退を電撃表明した。


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 私がイブラを認知したのは海外サッカーに本格的に触れ始めたEURO2004のイタリアvsスウェーデンでの理解不能なヒールシュート。それからCL決勝やクラブワールドカップなどを経て私はミラニスタになり、インテルのイブラを恐れつつもサッカー選手としての圧倒的な個性に惹かれていた。バルセロナを経由してミランに加入すると、すぐに攻撃の中心を担ってスクデットに導いてくれた。そして、2020年のミラン復帰から昨季のスクデット獲得でミラニスタにとって正真正銘の神になった。イブラがいなければ、スクデットはおろか、ピオーリは解任され、レオンがMVPを取るような選手になっていなかったと言っても過言ではない。どこで現役を続けていても応援し続けたが、ミランで引退する決断をしてくれたことが嬉しいし、自分の身体に鞭を打ち、有言実行でミランを復活させてくれたことに対する尊敬と感謝の念を強く持っている。お疲れ様でした。ありがとうございました。

 

エラス・ヴェローナ

 

 前半に失点しなかったら、いつまでブロックを組んだままだったのか気になる。

 スペツィアとの残留プレーオフの配信はあるのだろうか。

 

主審 Paolo Vareli VAR Maurizio Mariani

 

 ヴェローナの置かれている状況を鑑みて、ミランの選手は倒れている人がいると、ヴェローナの人たちが荒れないようにすぐに外に出していた。ミランが消化試合ではなくCL出場権が懸かっていたら荒れていたかもしれない。