自業自得記録地獄

主にACミランとセリエAに関する備忘録。

23-24セリエA第10節 vs ナポリ(A) 今季も傷だらけ

 

 中断明けはユヴェントスとPSGに無得点で連敗を喫したミラン。3連敗を避けたい強敵3連戦の最後は中3日でナポリとのアウェイゲーム。

 

 スクデットに導いたスパレッティからリュディ・ガルシアに監督が変わったナポリは5勝2分2敗、20得点10失点、ミランとは4ポイント差の4位。最近はカウンターからの得点が目立つ一方で、DFはかなり中央に密集して守る傾向があり、サイド攻撃を簡単に許して、中盤が戻りきれずにマイナスの折り返しから決定機を作られている。オシムヘンとザンボ・アンギサの欠場は痛いが、ラスパドーリが開幕から好調でクワラツヘリアとポリターノも状態が良いので攻撃は怖い。

  • シュート数、枠内シュート数、オープンプレーゴール期待値1位。
  • 途中出場選手の得点数6点(1位)。
  • PK獲得数6回(1位)。CK数1位。
  • オフサイド数最多。
  • パス成功数、キーパス数、ファイナルサードのパス数1位。ジエリンスキがキーパス数リーグ最多。
  • オープンプレー被シュート数最少
  • PPDA1位。敵陣でボールを奪った回数、敵陣でボールを奪ってシュートで終わった回数1位。
  • 過去10シーズンのセリエAの対戦成績はナポリの11勝5分4敗。ミランは10-11シーズンのシーズンダブルから連勝がない。ナポリのホームに限ると、ナポリの5勝2分3敗だがミランが3連勝中。
  • ピオーリはナポリ戦通算13勝10分12敗。リュディ・ガルシアはミラン戦通算1勝3分1敗。ピオーリvsリュディ・ガルシアはリュディ・ガルシアの3勝1分0敗。ピオーリはローマダービー3回で1勝もできなかった。

 

PSG戦後の3日間

 

 ゲータレードとパートナーシップを延長。

 

先発&フォーメーション

 ミランはチャウが出場停止。ベナセル、ロフタス=チーク、ケアー、チュクウェゼ、スポルティエッロ、カルダーラが負傷欠場。ナヴァ、バルテザーギがベンチ入り。

 ナポリオシムヘン、ファン・ジェズスが負傷欠場。ザンボ・アンギサが復帰してベンチ入り。

 

スタッツ&控え

NAPOLI VS MILAN

 

ハイライト


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流れ

 

 1分、クワラツヘリアのカットインをムサが止めてカウンターから押し込むミラン。内側のカラブリアの縦パスを受けたムサがミドルシュート。ナタンに当たったこぼれ球をジルーが撃つがラフマニがブロック。

 4分、ミランビルドアップ。ジエリンスキがカルルにプレス。カラブリアが受けるとムサが右に開いて空けた内側にジルーが降り、カラブリアのパスをジルーがムサに落として前進。

 5分、ナポリビルドアップ。ミランはレオンがディ・ロレンツォ、ラインデルスがロボトカ、クルニッチがエルマスをマーク。ラフマニからエルマスが縦パスを受け、レオンの背後を取ったディ・ロレンツォが落としを受けてラスパドーリにパス。ラスパドーリが左サイドのクワラツヘリアに展開。オーバーラップしたマリオ・ルイの折り返しはクワラツヘリアに僅かに合わない。

 7分、ナポリハイプレス。中盤がマンツーで付き、カルルにラスパドーリが寄せる。出しどころがなくメニャンに戻し、トモリにポリターノが外切りでプレス。トモリから中央のムサへのパスにジエリンスキが寄せて奪う。

 9・10分、メレトからディ・ロレンツォへのロブパスでプレス回避。

 18分、カルルが左太腿を痛めて交代。トモリがRCBに回り、ペッレグリーノがデビュー。

 19分、ナポリが左サイドからショートパスを繋いでサイドチェンジ。フリーで上がってきたディ・ロレンツォのアーリークロスにラスパドーリが飛び込むが僅かに届かない。ラスパドーリはオフサイドポジション

 21分、足元がおぼつかないペッレグリーノ。個でプレスを剥がすテオとムサ。

 ラインデルスがプリシッチにパス。カラブリアが内側を上がりPAに入る。プリシッチが左足インスイングクロスを上げると、ラフマニの背後を取ったジルーが頭で合わせてミランが先制。0-1

 26分、謎の中断明け。右サイドでスローインを受けたジルーがラフマニにボールを奪われ、ラスパドーリが左サイドのクワラツヘリアに展開。クワラツヘリアが縦に運んでGKとDFの間に折り返し、大外でポリターノが合わせるが枠を捉えられない。

 30分、ミランビルドアップ。カラブリアが運び、プリシッチが中央のラインデルスに逃がす。ラインデルスが右に開いたムサに展開。マリオ・ルイが突いたボールをカラブリアがワンタッチでクロスを上げると、ジルーがラフマニに競り勝って頭で合わせて追加点を奪う。0-2

 35分、ミランのCKからナポリのカウンター。クワラツヘリアから中央に走り込むラスパドーリへのパスをカラブリアがカットしてピンチを防ぐ。

 40分、ミランミドルゾーン保持。ナポリは4-5-1からジエリンスキが前に出る。トモリから右サイドのプリシッチにパス。プリシッチ、ジルー、ラインデルスがジエリンスキが空けたスペースでパスを回し、プリシッチがクルニッチとのワンツーからシュート。こぼれ球をレオンが中央で拾い、テオの折り返しにラインデルスが合わせるが枠の上に外れる。

 44分、ジエリンスキが右サイドでディ・ロレンツォとのワンツーから折り返し、ラスパドーリが合わせるが枠の上に外れる。ジエリンスキがオフサイドポジション

 45+3分、ミランミドルゾーンビルドアップ。クルニッチがラスパドーリを引き付けてトモリにパス。ジエリンスキが出てきて、クルニッチがトモリから受けてムサへ。ムサにクワラツヘリアが寄せると、クルニッチに落としてカラブリアに繋ぎ、カラブリアが運ぶ。カラブリアがプリシッチとのワンツーで右サイド深い位置から折り返しジルーがシュート。

 45+4分、ミランビルドアップ。流れのなかでムサが左に。メニャン、クルニッチ、ペッレグリーノと繋ぐ。ナポリはロボトカがクルニッチからペッレグリーノへ2度追い。ペッレグリーノが内側のテオに縦パス。テオがサイドから内側に入ったレオンとのワンツーで左サイドを突破。テオが運び、ラインデルスから受けたプリシッチのシュートはナタンがブロック。こぼれ球をムサが拾い、テオとのパス交換からニアにシュートを撃つがメレトがセーブ。

 45+5分、0-2で前半終了。

 

 後半からナポリは3枚替え。シメオネを投入して4-4-2に変更。シメオネが積極的にメニャンまでプレスをかけに行く。

 ミランはプリシッチが筋肉の違和感で大事を取って交代。ナポリの変更により、ロングボールが増える。プレスはクルニッチが余って、降りるラスパドーリを捕まえたり、フリーで上がってくるディ・ロレンツォのカバーや、クワラツヘリアのドリブルのカバーに回ったりする。

 49分、左から中央に運んだロボトカから右サイドで受けたポリターノが内側を上がるディ・ロレンツォにパス。ディ・ロレンツォが深い位置でキープし、ポリターノがワンツーでテオをかわしてPAに侵入。カバーに来たペッレグリーノをかわし左足で豪快にネットを揺らして1点を返す。1-2

 56分、ポリターノのドリブルをテオが止めてカウンター。ラインデルス経由でレオンが左サイドを突破して折り返す。テオがミートできず、こぼれ球を拾ったルカ・ロメロも撃てず。

 57分、押し込むナポリエスティゴーから右サイドで受けたポリターノがハーフスペースでレオンの背後を取ったディ・ロレンツォにパス。抜け出したディ・ロレンツォの折り返しはメニャンがブロック。

 59分、ミランにロングボールを蹴らせて回収したエスティゴーからポリターノへ。内側を上がったディ・ロレンツォの折り返しをメニャンがキャッチミス。こぼれ球をクワラツヘリアが拾って撃つがトモリがブロック。

 62分、猛攻を見せるナポリPA手前中央で得たFKをラスパドーリが直接決めて同点。2-2

 同点になってナポリのプレスは弱まる。ミランはクルニッチとムサがビルドアップに参加してナポリの中盤を引き出す。低い位置ではWGにプレスを受けるだけのSBは上げて、WGを内側に入れてラインデルスとともにボランチの脇、間、背後で受けさせる。

 66分、ミランがミドルゾーンで保持。レオンがムサとのワンツーでカットインしミドルシュートを撃つがメレトがセーブ。

 82分、ナポリは攻撃参加が目立つテオ対策でザノーリをRWGに投入。

 84分、ペッレグリーノからライン間のオカフォーに鋭い縦パスが入るが落としが繋がらない。

 86分、足を痛めたペッレグリーノに替えてフロレンツィを投入。テオがCB、フロレンツィがLSB。

 88分、カラブリアが高い位置で受けてオリベラを釣り出し、トモリからオリベラとナタンの間に走り込んだルカ・ロメロにパス。ルカ・ロメロがナタンに倒され、ナタンが2枚目のイエローカードで退場。

 ディ・ロレンツォがCB、ザノーリがRSB、ラスパドーリがRSHの4-4-1。

 90分、ラインデルスが左サイドから放り込む。中央でヨヴィッチが頭でフリックし、ファーにカラブリアが詰めて頭で合わせるが枠を捉えられない。

 90+4分、オカフォーの頭でのクリアをロボトカが拾い、中央のラスパドーリからカラブリアと1vs1のクワラツヘリアにパス。クワラツヘリアが斜めに動かして左足で撃つがメニャンが足でセーブ。

 90+4分、2-2で試合終了。

 

ミラン

 

 ナポリがいつものようにジエリンスキを出して4-4-2でハイプレスに来るかと思いきや、中盤をマンツーで見てきたのが意外だった。カルルが持たされ気味で、トモリがポリターノの外切りプレスに苦しみ、ペッレグリーノはバタついていた。

 ミランのプレスは中盤マンツーでジルーがCBの間に立つ形だが、レオンの曖昧な位置取りとマーキングの甘さで簡単にフリーになるディ・ロレンツォを使ってプレス回避される。ラスパドーリのポストプレーも安定感があり、サイドチェンジを許してしまった。そこからSBの上がってくるタイミングも良く、合わなかったのでシュートにカウントされないが被シュート数以上に危ない場面が少なくなかった。

 決して良い流れではなかったが、テオとムサが個でプレスを剥がして前進した流れから、個人的にナポリの弱点と見ていたサイド攻撃で先制する。ナタンが前に入ってきたカラブリアに引っ張られ、ナタンとラフマニの間にムサ、ラフマニとディ・ロレンツォの間にジルー、ディ・ロレンツォの背後にレオンとDF3人に対して4人がPA内に入ったことが功を奏した。

 ミランはミドルゾーンではジエリンスキが前に出てくることを把握すると、トモリやムサがプレスを引き出し、ラインデルス、プリシッチ、ジルーがジエリンスキの背後のスペースをフリースペースとして共有し始める。ナポリの守備の特徴としてCBがアンカー脇のスペースに迎撃に来ないという点も共有されていたかもしれない。2点目はプリシッチが外から中に運んでプレスをいなしたところからで、その後も相手のプレスを引き出してチャンスを作った。結果的には3点目を取って前半を終えたかった。

 後半はナポリがプレス強度を上げたことで落ち着いて繋ぐことができずにロングボールを蹴らされて回収されてしまう。早々にテオの甘いワンツーの対応とペッレグリーノのカバーミスから1点を返され、その後もナポリの勢いを押し返せずに、波状攻撃からFKを直接決められて追いつかれる。シュートスピードもコースも最高なうえに、メニャンは全くボールの出処が見えてなさそうでノーチャンスだった。

 このままだと逆転される流れだったが、ナポリがプレスを控えたことでミランは落ち着きを取り戻し、保持の立ち位置の修正にも成功し、ナポリにプレスの的を絞らせずにボール保持の時間を作った。しかし、ナタンの退場場面などSH-DH-CB-SBの間にボールが入っても決定機を作るまでには至らず。最後は互いに急造のDFラインになり、互いに決定機を迎えたが決めきれずに痛み分け。

 

 カラブリアが攻守で素晴らしかった。前半は機を見計らった思い切りの良い攻撃参加で2得点に関与、後半は高い位置を取ってルカ・ロメロを解放した。終盤の決定機を決めていればヒーローだった。クワラツヘリアとのデュエルもムサらのヘルプを受けて最低限に抑え込んだ。ナイスファイト。

 レオンは戻ってこないのは困るが、戻ってきて甘い守備をされるくらいなら、戻ってこない方がマシなのかもしれない。

 ペッレグリーノにとってデビュー戦が緊急出場のナポリ戦というのは酷だった。しかも踵骨の骨折で1ヶ月以上の離脱になりそう。しかし、ペッレグリーノにしろ、テオにしろ左利きのCBがいると、サイドへのパスをフリにして間に良い縦パスが入る。

 今節でカルルとペッレグリーノが長期離脱。いくら補強しようが、毎年負傷者だらけでは難しい。

 

 次は土曜日にホームのウディネーゼ戦。今度の3連戦は3連勝したい。

 

ナポリ

 

 ザンボ・アンギサの負傷でRIHに困っているが戻ってきたのが朗報。

 本当になんでプレスをやめてしまったのか。体力よりも流れを大事にしたほうが良かったと思う。0-2から逆転すれば精神的にも優位になり、肉体的疲労は軽減されそう。結果的にプレスをやめたことで失ったペースを取り戻せなかった。

 ポリターノ絶好調。ラスパドーリはまだ今季2点目なのが信じられないくらい良いコンディションを維持し続けている。

 

主審 Daniele Orsato VAR Valerio Marini

 

 70分のレオンとロボトカの競り合いはノーファウルでしょ。小さいもん勝ちになっちゃうよ。