自業自得記録地獄

主にACミランとセリエAに関する備忘録。

22-23 セリエA総括 ~選手編~

 シーズンを通しての活躍、チームにおける重要性を重視して選出したベストイレブンと、ベストイレブンに漏れたがそれだけの価値があるプレーを見せた選手、個人的に感じるものがあった選手を選びました。

 ミランの選手の評が気になる方は以下の記事からチェックしてみてください。

incursore.hatenablog.com

 チーム編もあります。

incursore.hatenablog.com

 

参照データ:Player Statistics | Lega Serie A 

Italian Serie A 2022-23 Season Stats | The Analyst

 

個人的ベストイレブン

触れておきたい選手と監督

 

 

 

GK

 Ivan Provedel (LAZ)

 今季スペツィアから移籍。開幕節はベンチスタートだったが、マキシミアーノが前半早々に退場して緊急デビューを果たすと、DFライン裏のカバーとビッグセーブでサッリの信頼を勝ち取ってその後の全試合で先発した。

 38試合30失点。失点期待値41.87クリーンシート21回(1位)セーブ率76.7%(1位)。PKセーブ1/2。

 ラツィオは上位陣のなかでは被シュート数が多かったが、失点期待値を大幅に下回る失点数、最多クリーンシート、最高セーブ率と、プロヴェデルが多くのピンチを防いで勝ち点獲得に貢献していたことがわかる。

 

その他

 Alex Meret (NAP)

 今季は競争相手だったオスピナの退団により正守護神を任されると、自分の仕事に集中したのか、昨季までの不安定さは見られなくなり、責任を背負ってプレーしているように感じられ、絶好調のチームを最後尾から支えて33年ぶりのスクデット獲得に貢献した。

 34試合24失点。失点期待値27.43。クリーンシート16回(2位)セーブ率74.2%(2位)。PKセーブ1/2。

 

 André Onana (INT)

 アヤックスからフリーで加入すると、序盤戦はセリエAハンダノヴィッチ、CLはオナナと使い分けられていたが、チームの不調もあり、9節からセリエAでも出場し始めると、11人目のフィールドプレイヤーとしてビルドアップに積極的に参加してプレス回避のキーマンとなり、鋭い反射神経とアクロバティックなセービングで攻守のクオリティアップに貢献した。

 24試合24失点。失点期待値21.89。クリーンシート8回。セーブ率72.1%(4位)。PKセーブ0/2。

 

 Vanja Milinković-Savić (TOR)

 202cmの巨体を活かしたシュートストップとハイボール処理、圧倒的な飛距離を誇るキックでロングボールから押し込むトリノのチーム戦術をキャリア初のフルタイム出場で支えた。

 38試合41失点。失点期待値40.48。クリーンシート11回(5位)。セーブ率70.1%(10位)。PKセーブ1/6。

 

 Michele Di Gregorio (MON)

 インテルプリマヴェーラ出身で2年ローンの2年目だった昨季にモンツァの昇格に貢献すると、今季から完全移籍で加入。クラーニョという実績抜群のライバルの加入があったが、ストロッパにもパッラディーノにもクラーニョにはないビルドアップ能力を買われて初のセリエAでも力を発揮した。セービングもシーズンが進み、チームの安定性と同様に高まっていった。

 37試合49失点。失点期待値49.58。クリーンシート10回(6位タイ)。セーブ率71.2%(6位)。PKセーブ0/3。90分あたりのセーブ数3.3(6位)。

 

 Guglielmo Vicario (EMP)

 セリエAが誇る神セーブ連発マシーン。今季も止めまくって被シュートの多いエンポリを残留に導いた。来季はトッテナムへの移籍が決定している。プレミアリーグでも無双すればアッズーリのレギュラー獲得も夢ではない。

 31試合39失点。失点期待値49.65。クリーンシート7回。セーブ率71.3%(5位)。PKセーブ2/6。

 

 Guillermo Ochoa (SAL)

 1月にセペの負傷を受けてサレルニターナに加入すると、37歳でのセリエAデビューにもかかわらず、2試合で16セーブを記録する大活躍を見せる。その後もメキシコ代表として国際大会で見せてきたように、尋常ではない反射神経でボールをゴールから掻き出し続けてサレルニターナの残留に貢献した。

 20試合33失点。失点期待値34.68。クリーンシート4回。セーブ率71.2%(6位)。PKセーブ1/4。90分あたりのセーブ数3.7(2位)

 

 Wladimiro Falcone (LEC)

 昨季はサンプドリアで10試合に出場して印象的な活躍を見せ、今季はローンで昇格組のレッチェに加入すると、フルタイム出場で期待通りにビッグセーブを連発し、堅守を売りとしたレッチェの最後の砦として立ちはだかった。

 38試合46失点。失点期待値42.86。クリーンシート6回。セーブ率71.1%(7位)。PKセーブ1/6。

 

 Marco Carnesecchi (CRE)

 昨季はクレモネーゼセリエB優勝に貢献し、負傷で出遅れたが今季もアタランタからローンで加入。降格は免れなかったが、被シュートが多いので活躍機会も多かったとはいえ、セリエAデビューシーズンの22歳GKとしてはインパクトのある活躍で勝ち点獲得に貢献した。

 27試合47失点。失点期待値45.63。クリーンシート4回。セーブ率69.5%(11位)。PKセーブ0/2。90分あたりのセーブ数4.0(1位)

 

CB

 Min-jae Kim (NAP)

 クリバリの後釜という重責を背負って加入すると、すぐにナポリの戦術にフィットして不可欠な戦力になり33年ぶりのスクデットに貢献した。身体能力と予測能力の高さを活かしたデュエル、カバー、インターセプトで前後左右を制圧する守備力だけでなく、パス供給は安定し、クリバリのようにドリブルで持ち上がることもでき、セットプレーから得点も奪う。

 35試合2G2A。リカバリー数14位。90分あたりのパス成功数75.1本(1位)。パス成功率91%。FP出場時間11位。

 

 Chris Smalling (ROM)

 33歳になりローマでの4シーズン目を迎えたが、今季も3バックの中央で安定感抜群の守備を見せた。ローマが攻め込まれても大崩れしない保証であり、スモーリングが出し抜かれた時は失点を覚悟しなければいけない。

 32試合3G1A。90分あたりのインターセプト数28位、クリア数16位、ブロック数5位

 

その他

 Alessio Romagnoli (LAZ)

 昨季まではミランでカピターノを務め、今季からはファンであるラツィオにフリートランスファーで加入すると、ミランでは広いエリアのカバーとマンツーでのデュエルでライバルに遅れを取ったが、サッリのゾーンディフェンスが自身の特徴と相性抜群で、DFの柱として3季ぶりに30試合以上に出場し、PA内でクロスを跳ね返し続けた。

 34試合2G。FP出場時間チーム3位。

 

 Francesco Acerbi (INT)

 シモーネ・インザーギの戦術を熟知する存在として、いざこざがあったラツィオからローンで加入し、35歳ながら、7節以降は1試合を除いて全試合に出場した。攻守にアグレッシブで、前への守備と積極的な攻撃参加は健在。

 31試合2A。90分あたりのインターセプト数21位。

 

 Malick Thiaw (MIL)

 

 Giorgio Scalvini (ATA)

 日本では高卒1年目にあたる19歳ながら、194cmでCB以外にボランチとWBにも対応し、アタランタを攻守で支える天才選手。主に左インサイドバックで出場し、4-1-2-3の相手には縦にスライドしてインサイドハーフを捕まえる指令がよく出されている。保持時は積極的に左サイドのパス回しに参加する。

 32試合2G2A。90分あたりのインターセプト数2位。ファウル数5位。

 

 Danilo (JUV)

 4バック時は主に両SB、3バック時はインサイドバックとして、どのような戦術でも不可欠な存在だった。ワールドカップも3試合に出場したがコンディションを落とさず、腕章を巻く機会も多く、振る舞いも素晴らしく、チームリーダーとして難しいシーズンを見事に走りきった。貴重な得点への関与も多かった印象。

 37試合3G3A。リカバリー数22位。90分あたりのタックル成功数10位。FP出場時間4位

 

 Perr Schuurs (TOR)

 ユヴェントスに移籍した昨季のセリエA最優秀DFブレーメルの後釜として、アヤックスから加入した。23歳で始めてのセリエAだったが、ユリッチのマンツーマン戦術に素早くフィットし、高いマーキング能力で堅守に貢献するだけでなく、保持では運ぶ能力が高く、中盤と入れ替わるような動きでビルドアップに変化を加えた。

 30試合2A。ドリブル成功数10、成功率77%。

 

 Alessandro Buongiorno (TOR)

 トリノ育ちの左利きCBがキャリアハイのシーズンを過ごした。キエッリーニを彷彿とさせる激しいマーキングに、左サイドのローテーションに入って積極的な攻撃参加も見せると、遂に6月のオランダ戦でアッズーリデビューを果たした。

 34試合1G2A。90分あたりのインターセプト数7位ファウル数最多イエローカード8枚。レッドカード0枚。

 

 Armando Izzo (MON)

 トリノからローンで加入すると初先発した6節で開幕5連敗を止め、パッラディーノの就任で息を吹き返したチームにおいて激しく熱い守備で強度の高さを示し続けた。負傷と出場停止で欠場した4試合が全敗だったことからも重要性を伺い知れる。

 30試合1G。90分あたりのタックル成功数9位インターセプト数15位。イエローカード10枚

 

 Federico Baschirotto (LEC)

 4部から一段ずつステップアップし、遂に今季セリエAまで到達した胸板が厚すぎるDF。RSBもやってきたキャリアだが、今季はほとんどをCBでプレーし、ヒュルマン、ウンティティ、ファルコーネとともに堅いセンターラインを構築した。上半身が重そうだが機動力を損なっておらず、当たりはもちろん強く、セットプレーから得点を奪うこともできる。アッズーリの候補メンバーにも入り続けており、来季中のデビューも夢ではない。

 37試合3G。リカバリー数16位。90分あたりのクリア数4位、ブロック数18位。FP出場時間最長

 

 Samuel Umtiti (LEC)

 バルセロナから昇格組のレッチェにローンで移籍すると、これまで負傷に悩まされていたのが嘘のように、状況判断力からなるマーキング、危機察知力からなるブロックと、本来持っているポテンシャルを存分に発揮し、負傷欠場は1試合のみの25試合に出場して残留に貢献した。2000分以上プレーしたのは17-18シーズン以来で、ピッチ上で戦えることを楽しんでいるように見えた。来季はどうなるのか。

 

 Isak Hien (VER)

 スウェーデンのユールゴーデンというクラブからヴェローナに移籍すると、セリエA初挑戦でチームは不調のなかでも3バックの中央で高い守備能力を発揮し続けた。わかりやすく強くて、速い。1月からトリノが興味を示している噂があったが、来季はアタランタに移籍しそう。

 32試合。リカバリー数6位イエローカード10枚

 

RSB/RWB

 Giovanni Di Lorenzo(NAP)

 今季も鉄人ぶりを発揮し、保持時のポジショニング、周りとの絡みの質が高く、守備もソツがない。今季からカピターノに就任し、記念すべき33年ぶりのスクデットを掲げることになった。

 37試合3G4A。FP出場時間2位

 

その他

 Dodô (FIO)

 今季シャフタール・ドネツクから加入。166cmと小柄ながら粘り強い対人守備、内外自在のポジショニング、積極的な追い越しとドリブルで攻撃に厚みを加え、昨季のフィオレンティーナの課題だったRSBにすっぽりと収まった。

 33試合1G3A。ドリブル成功数34、成功率62%。

 

 Stefan Posch (BOL)

 今季ホッフェンハイムからローンで加入。序盤は3バックの一角で起用されていたが、チアゴ・モッタの就任で4バックに変更されるとRSBが定位置になった。3バックへの可変ビルドアップやオルソリーニのサポート役をこなし、相手WGを力で抑え込む守備を見せたが、特に驚かされたのが得点力の高さで、空中戦に滅法強く、ミドルシュートでもネットを揺らした。

 30試合6G2A5得点が決勝点

 

 Valentin Gendrey (LEC)

 昨季からレッチェでプレーしている23歳のフランス人。攻守にアグレッシブなチームスタイルを体現し、被保持では果敢にボールを奪いに行き、保持時はIH、WGと連携してするすると高い位置に侵入してチャンスに絡む。現在はU-21EUROにも参加しているのでステップアップの可能性も大いにある。

 37試合2A。リカバリー数21位。90分あたりのタックル成功数17位。PK獲得回数2回。FP出場時間7位

 

 Emil Holm (SPE)

 今季デンマークのソナーリュースケから加入した23歳のスウェーデン人。191cmの長身、推進力抜群、両サイドでプレー可能、SBよりもWB向き、チームが降格と、完全に昨季のベッラノーヴァと被る。序盤戦は質不足の印象だったが徐々に改善され、ゴリゴリと突破して脅威を与える存在になっていただけに、負傷により23節以降全試合欠場になってしまったのはスペツィアにとってあまりにも痛かった。

 20試合1G1A。5m以上ドリブルで運んだ際の平均移動距離最長

 

LSB/LWB

 Carlos Augusto (MON)

 モンツァで3季目、セリエA初挑戦のシーズンで大ブレイクを遂げた24歳のブラジル人。ビルドアップでボールが進むとともに前進し、大外から死角に入ったり、シャドー、インサイドバック、ボランチとの流動的なポジションチェンジからゴール前に出没するハンターとしてキャリアハイの6得点を記録した。インテルが興味を示しているが、モンツァの要求額が高く、残留の可能性も小さくなさそう。

 35試合6G5AFP出場時間8位

 

その他

 Mario Rui(NAP)

 昨季からスパレッティとの相性の良さが見受けられており、今季はゲームメイカー兼チャンスメイカーとして、クヴァラツヘリア、ジエリンスキと強力なユニットを形成してスクデット獲得に貢献した。フィジカルの強いオリベラとターンオーバーされ、出場停止と負傷で8試合欠場したので出場時間は短め。

 22試合6A。90分あたりのパス成功数8位、ロングボール成功数3位。

 

 Federico Dimarco (INT)

 ペリシッチが移籍した今季はゴセンスを抑えてレギュラーを掴み、クロッサーとしてもレシーバーとしても有能で、右のチャルハノールと並んでセットプレーでも相手に脅威を与えた。アッズーリでも欠かせない存在になろうとしている。

 33試合4G3A。アシスト期待値5.5(11位)。チャンスメイク数59(10位)。ビッグチャンスを作った回数12回(5位タイ)

 

 Andrea Cambiaso (BOL)

 ジェノアからユヴェントスが買い取り、今季はボローニャにローンで移籍。ボールに関わる意識が高く、偽SBのように振る舞うことも、WGのように突破していくこともできるうえに、左利きだが右足も使える希少種なため、RSBもこなした。今季はセリエAではキャリアハイの出場数を記録し、来季はユヴェントスでプレーすることが濃厚。

 32試合3A。

 

 Rogério (SAS)

 サッスオーロでの6シーズン目を迎えた今季は絶対的なレギュラーの座を掴んで34試合に先発した。ボールに絡む機会が多く、ドリブルで運んで密集を抜け出したり、オーバーラップでロリアンテを援護したり、サッスオーロの強力なサイドアタックを支えた。

 36試合3A。FP出場時間14位。

 

 Josh Doig (VER)

 今季ハイバーニアンから加入した21歳のスコットランド人。負傷で7試合欠場し、ラゾヴィッチ、デパオリとライバルがいたため出場時間は多くなかったが、189cmの長身でボールを運んでいく推進力やPA外からでも狙えるシュート力を有している魅力的な選手。

 22(先発15)試合2G3A。5m以上ドリブルで運んだ際の平均移動距離2位

 

DM

 Stanislav Lobotka(NAP)

 昨季のスパレッティ就任からチームでの存在感が増していき、在籍4季目となった今季はボール循環、ボール回収において不可欠なアンカーとして地位を確立した。軽い身のこなし、急激な方向転換や強いコンタクトにも耐えうるボディバランス、安定した足元の技術で相手のプレスのベクトルの逆を取り、前を向き、正確なパスを供給し、被保持ではこぼれ球の予測、反応の速さ、位置取りでボールを回収し続けた。

 38試合1G1A。リカバリー数2位90分あたりのパス成功数5位、成功率94.2%FP出場時間6位

 

 Hakan Calhanoglu(INT)

 1季目からIHのレギュラーをがっちり掴み、若いアスラニが埋めきれなかったブロゾヴィッチ離脱の穴を見事に埋めきった今季の活躍はインテルの好成績の影の立役者と呼ぶに相応しい。チャルハノールがアンカーに収まらなかったら4位以内もCL決勝進出も難しかったと思う。そして、終盤戦で復活したブロゾヴィッチはやっぱりすごかった。

 33試合3G6A。リカバリー数23位。チャンスメイク数3位

 

その他

 Samuele Ricci (TOR)

 昨季の冬にエンポリからトリノに移籍し、昨季は12試合724分の出場だったが、今季は開幕からダブルボランチのレギュラーを掴む。ビルドアップ時の位置取りで相手を動かし、味方に攻略ルートを提示できるインテリジェンスは天才的。オフ・ザ・ボールでの運動量も増えて、3列目から不意打ちで前線のスペースに走り込むことも多くなった。まだ21歳なので、ボール奪取能力が少しでも高まれば新たなステージに立てる。

 28試合2G1A。被ファウル数9位。1試合平均走行距離15位。

 

 Walace (UDI)

 出場停止の1試合以外全試合に先発したウディネーゼ船の錨。まさにアンカー。3バック中央のビヨルとポジションチェンジをしてマークを撹乱することもあるが、基本的には中央でどっしり構えてバランスをとり、シンプルな繋ぎに徹し、バイタルエリアを警備する。現代的とは言えないが、中位、下位のチームにとっては安全を保証する存在。

 37試合1A。リカバリー数1位(2位と43回差)FP出場時間3位

 

 Morten Hjulmand (LEC)

 昨季はレッチェセリエB優勝に導き、3季目の今季は23歳の外国籍ながらカピターノを任された。初のセリエAでもチームスタイルを象徴する果敢なボール奪取とロングパスの展開力を発揮して見事に残留に導いた。ピッチ中央からボールが入ってくる場所を予測してインターセプトする技術はリーグ屈指。ミランは絶対に獲ってほしい…

 35試合4A。リカバリー数3位。90分あたりのタックル成功数23位、インターセプト数1位。1試合平均走行距離12位。

 

 Soualiho Meïté (CRE)

 夏の移籍市場終盤にベンフィカからローンで加入し、2シーズンぶりにセリエAの舞台に復帰すると、持ち前のフィジカルとテクニックを活かしたボールキープで、中盤でボールを落ち着かせる場所として唯一無二の存在となった。チームは降格したが、来季もセリエAのクラブへローン移籍というのは十分に考えられる。

 28試合2A。リカバリー数40位。

 

CM

 Adrien Rabiot (JUV)

 中盤でボールを奪い、抜群の推進力でカウンターを牽引し、セットプレーやクロスボールのターゲットとしても機能すると、キャリアハイの得点数とゴール関与数を記録し、チーム2位の貴重な得点源となった。ワールドカップではチュアメニとボランチを組んでフル稼働していたが、その後に大きくコンディションを崩した印象もなかった。今季で契約満了だったが、1年だけ延長され、来季はフリーでセルゲイ・ミリンコヴィッチ=サヴィッチと入れ替わる計画らしい。

 32試合8G4Aリカバリー数33位。1試合平均走行距離8位、スプリント距離23位。

 

その他

 André Zambo Anguissa(NAP)

 加入1季目の昨季はフィジカル、テクニック、運動量、インテリジェンスと万能な能力を発揮して主軸を担った一方で、アタッキングサードでのクオリティには物足りなさを残したが、今季はそれすらも改善して、ダントツキャリアハイのゴール関与数を記録し、負傷欠場の2試合以外全試合に先発してスクデット獲得に大きく貢献した。右のインサイドハーフだが、左サイドでパス回しに参加し、その流れからハーフスペースを破ってチャンスを作ることも少なくなかった。

 36試合3G5Aリカバリー数7位。90分あたりのパス成功数15位。ボールロスト数50回(9位タイ)。1試合平均走行距離21位。FP出場時間10位

 

 Sergej Milinković-Savić(LAZ)

 昨季の11G11Aには及ばなかったものの、今季もMFとしては十分のゴール関与数を記録し、ビルドアップ時の中盤でのポストプレーから、ゾーンプレスの運動量、苦しい時のロングボールのターゲットまで、スーペルな活躍だった。今季がラツィオでの8季目で、来季限りで契約満了となる。移籍の噂は多いが、現段階で本格的に交渉しているチームはなさそう。

 36試合9G8A枠に当てた回数3回(6位タイ)。アシスト数2位タイ。ビッグチャンスを作った回数14回(2位タイ)被ファウル数4位ボールロスト数65回(3位)1試合平均走行距離1位イエローカード10枚。FP出場時間13位。

 

 Nicolò Barella(INT)

 今季もビルドアップ時の賢いスペースメイクで前進を手助けし、追い越していきチャンスを作る運動量でインテルを支えた。インテル加入後最高のゴール数となったが、ゴールもアシストもほとんどが中断期間前に記録したもので、後半戦は数字が伸びなかった。

 35試合6G6A。チャンスメイク数14位。1試合平均走行距離22位、スプリント距離26位。

 

 Henrikh Mkhitaryan (INT)

 34歳になるシーズンにローマからフリーで加入。チャルハノールがブロゾヴィッチの穴を埋めることに専念できたのは、この男がチャルハノールの穴を埋められたから。アタッカーの印象が強い選手だったが、ミスが少なく、とにかく気が利き、チームが助かるプレーや位置取りを選択する状況判断能力が光った。

 31試合3G2A。3得点全て決勝点リカバリー数51位。

 

 Ismaël Bennacer (MIL)

 

 Sandro Tonali (MIL)

 

 Nicolò Fagioli (JUV)

 2シーズン前に20分だけ出場があるが、クレモネーゼの昇格に貢献した昨季の活躍を受けてローンバックされ、今季がセリエA実質初挑戦となった22歳。12節のレッチェ戦に後半から出場すると、決勝点となるゴラッソを決め、一躍、右インサイドハーフのレギュラー候補に躍り出る。サッスオーロ戦では敗戦に直結するミスを犯したが、終盤戦には不可欠な戦力になり、最後の3試合をELで負った鎖骨の骨折で欠場したのはユヴェントスにとって痛手だった。ディ・マリアの自由な動きと相手を見て、ハーフスペースや大外で気が利くポジションを取り、バランスを取りながら崩しに参加するインテリジェンスとテクニックが素晴らしく、球際も闘える。

 26試合3G3A。

 

 Nicolás Domínguez (BOL)

 加入4季目で中心選手の自覚を持ち始めたのか、チアゴ・モッタの就任を機に南米らしいメンタリティのダイナモから万能戦士へ進化。ハードワークと球際の激しさはそのままに、ビルドアップのサポートやサイドのローテーションなどの連携プレーの向上、ラストパスを筆頭にアタッキングサードのクオリティが改善され、とりわけボールロストが大きく減少した印象がある。終盤戦では腕章も巻いた。来季で契約満了。

 31試合3G2A。90分あたりのタックル成功数5位イエローカード10枚

 

 Matteo Pessina (MON)

 アタランタから生まれ育ったモンツァに買い取りオプション付きローンで復帰すると、カピターノを任され、バンディエラへの道を歩み始めた。ダブルボランチか右シャドーとして開幕3試合と出場停止の1試合を除く34試合に先発。序盤は右シャドーで起点作り、ビルドアップのサポート、危険なスペースに戻るプレスバックで貢献し、中盤戦以降はボランチでの出場が多くなると、ビルドアップ時に降りたり、サイドに開いたりして、相手を動かし、味方のポジションチェンジを促してモンツァのゲームモデルの中心を担った。

 35試合5G3A。リカバリー数8位。90分あたりのパス成功数30位。1試合平均走行距離2位。FP出場時間20位。

 

 Davide Frattesi(SAS

 昨季はダブルボランチが多かったが、今季は右インサイドハーフで右ハーフスペースをドリブルとスプリントで激しく上下動。PA内にフリーで侵入してフィニッシャーになる場面が多く、ヘディングのゴールが印象的。今夏の移籍市場の大人気銘柄になっており、本人もステップアップに乗り気だが、サッスオーロの要求額が高いうえにオークションを避けたいクラブが二の足を踏んでいる。

 36試合7G枠内シュート数16位タイ被ファウル数11位。FP出場時間24位。

 

 Lassana Coulibaly (SAL)

 加入1季目の昨季も主力として残留に貢献したものの、プレーの幅が狭かった印象があったが、今季は”エラス・ヴェローナ時代のアムラバトのように”は言い過ぎだが、ボックストゥボックスの働きだけでなく、プレスをはすしてボールを落ち着かせたり、展開することもできるようになった。自分が中堅クラブの強化担当だったら真っ先に獲得しに行く。

 35試合3G3A。リカバリー数9位。90分あたりのタックル成功数19位、ドリブル成功数44位。イエローカード12枚。FP出場時間23位。

 

OM

 Piotr Zielinski (NAP)

 8シーズン連続で35試合以上出場し続ける隠れた鉄人。今季はマリオ・ルイとクヴァラツヘリアとの連携で左サイドからチャンスを量産した。独力で打開していくようなわかりやすい特徴がない分、メディアから過小評価されている印象だが、味方とリンクし続け、両足で器用にボールを扱い、ミドルシュートのパンチ力も有しているのは、失って初めて分かるありがたみがありそう。来季で契約満了でサッリのラツィオが狙っているが、ジエリンスキは残留しか考えていない模様。

 37試合3G8Aアシスト数2位タイアシスト期待値7.5(1位)チャンスメイク数84(1位)ビッグチャンスを作った回数12回(5位タイ)

 

 Brahim Díaz (MIL)

 

 Lorenzo Pellegrini(ROM)

 今季もカピターノとしてシャドー、トップ下、インサイドハーフボランチと、相手やチーム状況によって異なるポジションで、攻撃だけでなく守備にも力を使ってチームを引っ張った。ただ、ゴールもアシストも印象より数字が伸びず、過去2シーズンを下回った。

 32試合4G(PK2)5A。ゴール期待値8.17アシスト期待値6.19(6位)チャンスメイク数70(3位タイ)被ファウル数12位タイ。1試合平均走行距離16位。

 

 Giacomo Bonaventura (FIO)

 フィオレンティーナ3季目の今季は33歳かつ過密日程の影響で最も出場時間が短く、昨季よりゴール関与数も多くないが、ライン間の絶妙なポジショニング、ドリブルでの密集抜け出しなど嫌らしさは過去一だった。

 30試合5G1A。

 

 Lewis Ferguson (BOL)

 スコットランドアバディーンから加入した得点力の高いMF。10節から先発に定着すると、オフ・ザ・ボールのアクションを絶やさず、受け手にもスペースメイカーにもなり、チャンスのトリガーを引き続け、ゴール前ではコントロール重視のシュートでネットを揺らした。トップ下やインサイドハーフの位置からプレスのスイッチを入れることもでき、全局面で豊富な運動量をチームに還元した。

 32試合7G枠に当てた回数3回(6位タイ)1試合平均走行距離11位

 

RWG

 Riccardo Orsolini (BOL)

 序盤のミハイロヴィッチの下では3-5-2の2トップに入り、チアゴ・モッタの就任で4バックに変わってからは本職のRWGで定着。12節と13節に途中出場から価値ある得点を奪い、中断明けはコンスタントに数字を残した。左で作って右に展開する傾向があるボローニャにおいて、カットインだけでなく縦にも行ける強引なドリブル、強烈なシュートは直撃すると痛いヘヴィウェポンとなった。出場しなかった6試合は3分3敗。

 32(先発21)試合11(PK3)G4A。枠外シュート数3位。90分あたりのシュート数7位。5m以上ドリブルで運んでシュートを撃った回数2位、チャンスを作った回数5位オフサイド数9位。レッドカード2枚

 

 Patrick Ciurria (MON)

 今季28歳でセリエAデビューを果たしたWB兼シャドー、攻撃的に行く場合はSBまで務めた左利きのウインガー。2シーズン前にセリエBで9G11Aを記録した実績があり、ストロッパの下では前線の控えだったが、パッラディーノが就任すると初戦からRWBに抜擢されてレギュラーの座を掴み、シャドー、ボランチインサイドバックとの連携から精度の高いインスイングクロスを供給し、コントロールシュートを流し込んだ。

 36試合6G5A。ビッグチャンスを作った回数9回(17位タイ)。

 

 Domenico Berardi(SAS

 背番号を25から10に変更した今季は大腿の筋肉トラブルに悩まされ、出場時間は1900分に満たなかった。ワールドカップ中断までは1Gのみで、コンディションが上がった中断明けの16節以降にゴールとアシストを量産した。右サイドで時間を作り、フラッテージやトリャンが追い越し、シュートもラストパスもロリアンテへのサイドチェンジも選べるのは強い。

 26(先発22)試合12(PK7)G7A。90分あたりのゴール期待値+アシスト期待値0.83(1位)、シュート数4位、ロングボール成功数26位(WGでは最多)枠に当てた回数4回(2位タイ)。PK獲得回数2回。

 

 Antonio Candreva(SAL)

 2シーズン過ごしたサンプドリアからサレルニターナに移籍し、4季連続30試合以上出場を果たした36歳。主に3-4-2-1のRWBかシャドーを務め、36歳でも衰えぬ運動量とキックの質に、経験のなせる業も駆使して相手にストレスを与えて残留に貢献した。

 35試合7G4A。チャンスメイク数12位。1試合平均走行距離27位、スプリント距離1位

 

LWG

 Khvicha Kvaratskhelia (NAP)

 カピターノだったインシーニェの後釜としてナポリに加入した無名のジョージア人が、1シーズンでセリエAはおろか、世界トップのWGへ名乗りを上げた。深い切り返しと一瞬の加速で対面の相手を抜き去ってチャンスを作り、何れも質が高いシュート、クロス、ラストパスから的確な判断を下してゴールを生み出す。急に右ハーフスペースに現れる不意打ちも効果的だった。近年は劣化が否めなかったインシーニェのままでは優勝できなかったはずなので、帳簿上でも、ピッチ上でも大成功の移籍だった。チームが調子を落とした4月以降はゴールもアシストもなく、ダブルチームで抑え込まれる場面が増えてきたので、来季は対策を超えていけるか注目。

 34(先発30)試合12(PK2)G10Aアシスト数1位ビッグチャンスを作った回数2位5m以上ドリブルで運んでチャンスを作った回数2位PK獲得回数4回(1位)

 

その他

 Mattia Zaccagni (LAZ)

 加入2季目の今季は左の切り込み隊長として不動の地位を築いた。大外で受けてからのヌルヌルドリブルだけでなく、間に入って受けたり、裏に走り込んだり、クロスに飛び込んだり、プレーのバリエーションを増やして、初の2桁得点を記録するなどキャリアハイのシーズンを過ごした。マンチーニと確執があってアッズーリに招集されないのは残念極まりない。

 35試合10(PK1)G6A。被ファウル数1位(2位と39回差)

 

 Rafael Leao(MIL)

 

 Armand Laurienté (SAS)

 ロリアンから夏の移籍市場終盤に加入。ベラルディとハメド・トラオレの離脱ですぐに出番を得ると、低重心で馬力を感じるドリブルでボールを運び、コンパクトな振りから放たれるパンチ力のあるシュートやクロスで脅威を与えた。セットプレーのキッカーも担当し、直接FKを決めるなど、数字以上にプレーのインパクトが大きく、常に何かを起こしそうな存在だった。

 28試合7(PK1)G6A。チャンスメイク数9位。90分あたりのドリブル成功数12位。5m以上ドリブルで運んでチャンスを作った回数3位ボールロスト数53回(8位)

 

ST

 Ademola Lookman (ATA)

 ライプツィヒから完全移籍で加入し、デビュー戦で途中出場から初ゴールを記録してチーム同様に幸先の良いスタートを切ると、エリアを問わずシュートコースを巧みに見つけ、威力十分のシュートを撃ち込んでコンスタントに結果を残した。しかし後半戦はコンディションを落としてベンチスタートが増え、大腿の怪我による離脱もあり、消化不良な終盤戦になった。

 31(先発20)試合13(PK3)G6A。枠に当てた回数3回(6位タイ)90分あたりのゴール数5位ゴール期待値+アシスト期待値0.73(4位)

 

 Paulo Dybala (ROM)

 今季ユヴェントスを退団し、フリーでローマに加入。慎重に起用されながら今季も負傷に悩まされたが、ピッチに立てば別格の技術で決定的な働きを毎試合のように見せてロマニスタ歓喜をもたらした。モウリーニョが求めるコンパクトな守備陣形の構築にも手を抜かず、戻るべきところはしっかり戻っていた。22得点を挙げた17-18シーズン以来最多の12得点。

 25試合12(PK5)G6A。枠に当てた回数3回(6位タイ)。チャンスメイク数17位。ビッグチャンスを作った回数12回(5位タイ)。90分あたりのゴール期待値+アシスト期待値0.71(5位)被ファウル数14位。PK獲得回数2回。

 

 Nikola Vlasic (TOR)

 2021年の夏はミランも狙うほどだったが、ミランは移籍金を払えずウエストハムに加入するとカップ戦要員に終始し、今季からトリノにローンで移籍。序盤戦から懐にボールを隠してクルクル回る抜群のキープ力で時間を作り、攻撃陣に不可欠な存在になるが、フル稼働していた前半戦の疲労とワールドカップに出場した影響か、中断明けはパフォーマンスレベルを落とし、2月にはハムストリング負傷で離脱する。それでも終盤戦には再びコンディションを上げて勝ち点獲得に貢献した。サナブリアとペッレグリが離脱していた期間はCF、得点が欲しい場面ではボランチとユリッチ監督の信頼が厚かった。本人は残留希望もクラブ間交渉は難航している模様。

 34試合5G6A。チャンスメイク数7位。5m以上ドリブルで運んでチャンスを作った回数7位

 

CF

 Victor Osimhen (NAP) 

 過去2シーズンは負傷の影響で出場時間が限られたが、それでも時間に対して十分な結果を出してきた。今季も6試合を負傷欠場し、序盤戦は決定機を逃している印象があったが、大腿の負傷が癒えた10節からは無双モードに突入。ロングボールに抜け出したり、収めたりして速攻、驚異的な跳躍力で合わせるヘディング、ハイプレスの急先鋒と、固有スキルを最大限に発揮し、17節から24節まで8試合連続ゴールなどコンスタントに結果を出して、アフリカ人史上初のセリエA得点王に輝いた。

 32(先発30)試合26(PK2)G4A枠に当てた回数5回(1位)。ビッグチャンスを逃した回数24回(1位)。シュート数1位。PK獲得回数2回。オフサイド数2位。5m以上ドリブルで運んでチャンスを作った回数14位。

 

その他

 Lautaro Martínez(INT)

 4季連続35試合以上出場、ゴール数もアシスト数もキャリアハイタイ、ゴール関与数はキャリアハイ。ゴールパターンが豊富で、中盤が作ったスペースに降りて捌いたり、万能性が増し、腕章を巻く機会も増えて素晴らしい成績だったが、インテルの12敗のうち、11試合で無得点で、5試合連続無得点が2回もあったので、まだまだチームを勝たせられる可能性がある。

 38(先発27)試合21(PK1)G6A途中出場から6得点(1位)。ゴール数2位。シュート数2位。ビッグチャンスを逃した回数19回(2位)。チャンスメイク数28位(CFでは1位)。ビッグチャンスを作った回数9回(17位タイ)。被ファウル数7位ボールロスト数50回(9位タイ)

 

 Olivier Giroud (MIL)

 

 Rasmus Højlund (ATA)

 シュトゥルム・グラーツから加入した20歳の大型CF。序盤戦から出場機会を得て、デビュー2試合目で初ゴールを奪う順調な滑り出しに成功し、ネクスト・ハーランドと呼ばれるように、大柄な体格からは想像できないスピードを活かして、カウンターでは相手を引き摺りながらボールを運び、PA内では瞬間的に前に入って先に触る。20歳でこれだけできるのでポストプレーが成長すればワールドクラスの仲間入り。

 32(先発20)試合9G2A。PK獲得回数2回。ボールロスト数56回(5位)

 

 Antonio Sanabria (TOR)

 ロングボールを競り合い、スペースを作り、ポストワークをこなし、得点が入らなさそうと思っていたら急に簡単ではないゴールを決める。キャリアハイの活躍だったが、それでもチームは得点力不足。

 33(先発28)試合12(PK1)G4A。

 

 Boulaye Dia (SAL)

 昨夏スタッド・ランスからビジャレアルが1200万ユーロで買い取ったが、内側側副靭帯の負傷に悩まされて消化不良のシーズンを過ごし、今夏サレルニターナに1200万ユーロの買い取りオプション付きローンで移籍すると、序盤戦から精度の高いシュート、広い視野、冷静な判断で得点にチャンスメイクに大活躍。シャドーやLWG、トップ下での出場もあり、攻撃機会が多くないチームのなかでゴール期待値を大きく超える得点を奪い、上位陣からも勝ち点を奪い、サレルニターナを残留に導いた。買い取りオプションを行使し、倍額でのオファーを受け付けているが、後釜が失敗したら降格に繋がりそう。

 33(先発27)試合16(PK1)G6Aゴール期待値8.82(19位)。ゴール数3位。ゴール数+アシスト数4位タイ。90分あたりのゴール期待値+アシスト期待値58位ボールロスト数61回(4位)

 

 M'Bala Nzola (SPE)

 パワーを武器に最前線でロングボールのターゲットになり、サイド裏に流れてスピードを活かしてゴール付近まで持ち込んだり、19敗したチームとはいえ、ゴールかアシストを記録した試合は1敗のみ、欠場した試合は未勝利と存在感は格別だった。個人残留かステップアップは確実だろうが、今のところどのクラブも獲得候補1番手にはしていない模様。

 31(先発29)試合13(PK3)G2A。ゴール数5位タイ。ビッグチャンスを逃した回数13回(5位タイ)。ボールロスト数70回(1位)

 

マルチロール

 Teun Koopmeiners (ATA)

 2季目の今季は3バックならボランチインサイドハーフ、トップ下、シャドー、4バック時はRWGのようなポジションも担当する戦術的柔軟性と運動量を発揮するだけでなく、左足の精度、威力ともに抜群のキックで得点を生み出し、退団したペッシーナとマリノフスキー、2人分の仕事をこなす大活躍だった。ボランチではLIBのスカルヴィーニと入れ替わってマークを撹乱し、トップ下で出場した際に低い位置まで降りてきてビルドアップに絡む様はパプ・ゴメスを思い出した。

 33試合10G(PK2)4Aアシスト期待値6.9(2位)。チャンスメイク数11位。リカバリー数24位。1試合平均走行距離3位

 

その他

 Eljif Elmas(NAP)

 23歳となった今季もインサイドハーフと両WGでたらい回しにされ、昨季より1試合少ないが先発と出場時間が微増し、得点はキャリアハイを記録するなど相変わらずチャンスを嗅ぎ分ける能力と正確な技術を活かして高い得点関与率でスクデットに貢献した。

 36(先発14)試合6(PK1)G3A

 

 Felipe Anderson (LAZ)

 基本はRWGでの出場だったが、インモービレ欠場時に務めたCFでのパフォーマンスが印象的だった。パスを受けに来るタイミングが良く、捌いた後にしっかりゴール前に入っていき、プレスでも足が止まらない。

 38試合9G2A。チャンスメイク数25位。1試合平均走行距離28位、スプリント距離8位。FP出場時間15位。

 

 Christian Kouamé (FIO)

 アンデルレヒトへのローンから復帰すると、過密日程のなかで本職のCFだけでなく、ニコラス・ゴンサレスのコンディション不良やソッティルの負傷により両WGとしてもプレーし、高い身体能力と攻守に献身的な働きでチームを支えた。19-20シーズンにジェノアで大怪我を負うまでは将来を嘱望される選手だっただけに、25歳で便利屋扱いなのは少し虚しいので一花咲かせてほしい。

 28(先発22)試合4G4A。被ファウル数15位

 

 Roberto Pereyra (UDI)

 今季はカピターノを務め、2節まではインサイドハーフで出場していたが、3節からナウエル・モリーナとソッピーの移籍で空いた穴を埋められていなかったRWBで出場すると、中に入ってデウロフェウらと近い距離で少ないタッチで絡む捕まえづらい攻撃を武器に6連勝を達成し序盤戦を掻き乱す。デウロフェウの離脱もあって勢いが落ちると、デウロフェウの代役や本職のインサイドハーフに戻った。今季で契約満了で、CLに参加できるクラブからのオファーを待っている模様。

 34試合5G7A。アシスト数7位。チャンスメイク数19位。FP出場時間28位。

 

監督

 Raffaele Palladino (MON) 4月月間最優秀監督

 最後の所属クラブとなったモンツァプリマヴェーラで昨季から指導者キャリアを始めると、1年強でストロッパの後任として7節から初めてセリエAで指揮を執ることになった。すぐに3-5-2から3-4-2-1にシステム変更を施し、ビルドアップでは相手を引き付けて前線にスペースを作り、後方から追い越していき、プレスはスペースを与えすぎないように深追いはしないがマンツーマン気味に牽制するミドルプレスで攻守にメリハリのあるスタイルを構築した。就任後の期間内成績は6位を記録し、昇格チームを19位から11位へ導いた。

 

 Luciano Spalletti(NAP) 10・1月月間最優秀監督/年間最優秀監督

 2季目は3位の昨季から主力が何人か入れ替わったが、若くて優秀な選手たちを手に入れると、主力を固定し積極的で破壊的な攻守の勢いで相手を飲み込んでいき4月までに大量リードをつけて、疲労が溜まり迫力が落ちた4月以降の不調でも余裕の優勝に導いた。常に積極的で痛快なカルチョを追求し続け、64歳での初スクデットは史上最年長記録となった。おめでとうございます。

 

 Thiago Motta (BOL) 2月月間最優秀監督

 一昨季はジェノアで途中就任途中解任、昨季はスペツィアを1シーズン率いて補強禁止処分もありながら試行錯誤を繰り返して16位で残留を果たす。今季は7節からミハイロヴィッチの後任としてボローニャの監督に就任すると、4バックに変更して流動性のあるポゼッションフットボールを展開し、多くの選手の才能を解放させて11-12シーズン以来の9位に導いた。

 

 Marco Baroni (LEC)

 昨季はレッチェを就任1年目で優勝に導き、今季はシエナ、ベネヴェント、フロジノーネに続く自身4度目のセリエAでの指揮に挑むと、4-3-3のアグレッシブなプレスとカウンター、素早くサイドのスペースを突いていく攻撃をやり続けて、16位で残留を掴み取った。来季は02-03シーズンにマレザーニの下でアシスタントコーチを務めたエラス・ヴェローナの監督に就任する。開幕を心待ちにしております。

 

 

 約2万文字の駄文をお読みくださった方々、誠にありがとうございました。

 今後ともセリエA並びにカルチョへの応援をよろしくお願いいたします。