自業自得記録地獄

主にACミランとセリエAに関する備忘録。

23-24セリエA第2節 vs トリノ(H) 連動して完勝

 

 開幕戦はアウェイでボローニャを新戦力が活躍して2-0で下し、幸先の良いスタートを切ったミラン。7万人以上が観戦に訪れるホーム開幕戦で連勝を狙う。

 

 トリノは主力の退団はシンゴのみで、後釜にベッラノーヴァを獲得。スフールスとリッチの引き抜きに怯えているだろうが、ローンだったヴラシッチ、ラドニッチ、ラザロも買い取り、ヴェローナから監督の教え子のタメゼも獲得し、継続性もある充実したスカッドが組めている今季こそECL争いに食い込んでいきたいはず。しかし、開幕節はホームで昇格組のカリアリを崩しきれずにスコアレスドロー。今季も得点力不足解消の目処が立たないのか。

 

 過去10シーズンのセリエAの対戦成績はミラノ8勝9分3敗。サン・シーロでは7勝3分。ピオーリはトリノ戦通算20勝9分7敗。ユリッチはミラン戦通算3勝4分6敗。ピオーリvsユリッチは4勝3分3敗。

 

ボローニャ戦後の4日間

 

 8月22日、イタリア市民権を持つ21歳のアルゼンチン人左利きCBペッレグリーノをプラテンセから28年6月末までの契約で獲得。報道によると、移籍金は€3.5m+ボーナス€2m。将来の移籍金の10%がプラテンセに支払われる。 

 

 8月23日、南ヨーロッパを代表する不動産ポータルサイトidealistaと2023/2024年シーズンから両ブランドを結びつける新たな複数年パートナーシップを締結したことを発表。

 

 8月24日、ラゼティッチがフォルトゥナ・シッタードに1年ローンで移籍。

 

先発&フォーメーション

 ミランはベナセルが負傷欠場。サレマーケルス、オリギ、バロ=トゥーレ、カルダーラ、チャカ・トラオレ、バルテザーギが招集外。

 トリノはジジとデンバ・セックが負傷欠場。

 

スタッツ&控え

MILAN VS TORINO

 

ハイライト


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流れ

 

 1分にミランは敵陣でCBが外のWGに出さずに中央でボールを動かし、ジルーが中央から移動して空いたスペースにレオンが斜めに走り込んでチャウからパスを受け、走り込んだラインデルスにヒールパスを出す。繋がらなかったがこの試合の狙いがいきなり見られた。

 4分、トリノが人を捕まえてプレス。ラインデルスがDFラインまで降り、テオが中盤に入り、サナブリアの背後を取り左サイドを上がっていったトモリにメニャンからパスが通りプレス回避。クルニッチが拍手。

 9分、左サイドのヴォイヴォダから裏のスペースにパス。リッチがラインデルスの背後を取って3列目から飛び出すが、クルニッチに受け渡し、メニャンも飛び出して対応。

 

 ミランカラブリアとテオが内側に入る2-3-2-3のような形でビルドアップ。トリノは3-4-1-2でヴラシッチがクルニッチ、ブオンジョルノがジルーをマンツーマン。イリッチ、ヴォイヴォダ、リカルド・ロドリゲスは状況に応じてカラブリア、ロフタス=チーク、プリシッチを受け渡してマーク。逆サイドも同様。押し込まれるとシャドーの2人も下がってくる。ミランはメニャンやフリーになったCBがボールを持ち、CBからCFまで全体がポジションレスに動き、マンツーマンの相手を動かしてスペースを作り、スペースを見つけた選手がそこに動くことを繰り返す。

 トリノはGKのロングボールだけではなく、低い位置のWBからもビルドアップ。ミランは3バックに3トップ、WBにSB、ラインデルスがリッチ、ロフタス=チークがイリッチ、クルニッチがヴラシッチをマークし、逆サイドのWGとSBが絞ってプレス。トリノはWBが低い位置でSBを引き出し、SBの裏のスペースやライン間にCFとシャドーが動く。

 

 17分、カラブリアがフリーで内側に入ってミドルシュートを撃つが、ヴォイヴォダがこぼれ球を拾って繋ぎ、リッチが左サイドのラドニッチに展開してカウンター。ファーでトモリがサナブリアとヴラシッチを見なければいけない状況だったが精度を欠く。

 18分、クルニッチが左サイドに降り、ラインデルスが右サイド側に寄って空いた中央のスペースをチャウが持ち上がって前進。

 21分、サナブリアが負傷交代。

 32分、トリノ右サイドのスローインをクルニッチが奪い、中央に入ってきたプリシッチと外を回ったロフタス=チークでカウンター。ロフタス=チークの急加速からの折り返しをジルーがスフールスをニアに引っ張って空いたスペースでプリシッチが流し込んで先制。1-0

 35分、トモリが厳し目のファウルを取られ、トリノはFKから左サイドへ展開しクロスを上げる。ミランは跳ね返したが、ラインを上げきれず、ボールウォッチャーにもなり、リッチの当たり損ねのミドルシュートをスフールスが巧みにコースを変えてネットを揺らす。1-1

 38分、PA内にスペースがあるためジルーが動き直してブオンジョルノの背後に回り、チャウから良いアーリークロスが入るが、ヴァニャも良い飛び出しで弾く。こぼれ球をレオンが拾い、クロスを上げると、ジルーが頭を下げてフリックしたボールがブオンジョルノの手に当たる。VARが進言し、OFRの末、PKの判定。

 43分、ラッキーなPKをジルーが決めてミランが勝ち越し。2-1

 45+1分、トモリのボール奪取、チャウの右サイド持ち上がりで敵陣に運び、クルニッチから左サイドへ展開。ジルーがPA内で押し込んで深さを作り、テオが外からスフールスの背後を取ってレオンからのスルーパスをワンタッチアウトサイドチップで流し込む。3-1

 45+6分、3-1で前半終了。

 

 後半からトリノはイリッチからリネッティに交代。スフールスからヴォイヴォダへロングパスを蹴り始めるが、ロングボールのこぼれ球の回収しかボールを奪う方法がなく、ミランペースなのは変わらない。

 51分、一部のライトが消灯。少し暗い状態でも続行。観客がスマートフォンのライトを点ける。

 55分、メニャンから受けたチャウが運んで右サイドからジルーへ縦パス。ジルーが裏にフリックし、ロフタス=チークがリッチをパワーで剥がしシュートを撃つがヴァニャの正面。

 56分、CKの後、レオンが素早く戻ってインターセプトショートカウンター。中央でプリシッチがジルーとのワンツーからシュートを撃つが枠の上に外れる。

 58分、トリノが選手交代。カラモーがラドニッチよりも右サイドの攻撃時に中に入ってチャウの周辺を狙ったり、中盤まで降りたりする。ダブルボランチの動きも増える。

 60分、ミランが押し込まれるが、クルニッチがヴラシッチからノーファウルで奪い、ロフタス=チークからパスを受けたラインデルスがレオンを走らせてカウンター。レオンがスフールスをかわしてマイナスの折り返しにラインデルスが合わせるが枠の右に外れる。レオンが折り返した際にスフールスに踏まれていたことをVARが進言し、OFRの末にPKの判定。

 64分、ジルーが決める。4-1

 66分、ミランはチュクウェゼが右、プリシッチが左、オカフォーがCFに入る。

 70分以降、ミランはDFラインが疲れてきて、元気な前線が行うプレスに行ききれない。

 90+6分、4-1で試合終了。

 

ミラン

 

 完勝。先発全員が良いパフォーマンスを見せた。

 マンツーマンで付いてくる相手を全員が大胆なポジションチェンジや動き直しを繰り返してスペースを作り、スペースに入り、できるまで焦れずにメニャンで時間を作ってやり直し、パスのタイミングを見極め、前を向いてスペースがあれば運ぶ。大胆かつ冷静に連動してマンツーマンを攻略し、相手の守備プランを破壊した。

 PKが2つあったが、ファウルに至るまでのプレーが良かったのでただの幸運ではない。

 

 縦の攻撃ばかりで横の揺さぶりが少なかったのが守りやすかった。ヴラシッチの動きもCFの動きもわかりやすく、マークがはっきりしていたなかでそれぞれが相手に負けなかった。昨季を通して3バックへの対応に不安があったが、SBがWBに躊躇せず出ていくことでCBも迷いなく潰しに行ける。

 

 今節はトモリ、チャウ、クルニッチが引き寄せた勝利だと思う。保持では丁寧に確実にボールを動かしながら、機を見て前に上がってボールを受けたり、運んだり、前進の起点として貢献し、被保持ではそれぞれがマーカーを抑え込んで前線で相手の攻撃の起点を作らせなかった。さらに、ボール奪取やその後のパス、ドリブルが得点を生み出してもいる。トモリもチャウもPSMから調子が良い感じではなかったので、今節のパフォーマンスは一安心。

 

 ラインデルスは今節も12km超えで走行距離トップ。保持、被保持、トランジション、どの局面でも頼りになる。

 テオはSBの位置から中央に顔を出してボールを受けたり、ベッラノーヴァを釣りだしてトモリが上がるスペースを作ったり、効果的な動きが多く、素晴らしいゴールも決めたが、2試合連続異議でイエローはもったいない。

 レオンは過去2季の特別扱いから、今季は良い意味でチームの歯車の一つになっている感じ。レオンが無双しなくても勝てる。

 ジルーがスペースメイクにポストプレーにPKキッカーと大活躍。

 メニャンが落ち着いてボールをキープして、フリーの選手に配球してくれるのが大きかった。

 ムサがセリエAデビュー。89分のビルドアップの運びは期待通り。

 

 次は金曜日にアウェイでローマ戦。この勢いのまま、開幕3連勝で中断期間に入りたい。

 

トリノ

 

 昨季のインテル戦もボールを持てるGKと中盤の流動的なポジションチェンジに対応できていなかったのが印象的。マンツーマンが目的化してしまっている?

 ロングボールによる押し込みもサイド攻撃も機能せず。昨季は左サイドの4人によるローテーションがよく見られたが、今季は前節含めても少ないと思う。

 ベッラノーヴァはカリアリでは脳筋スタイルがカウンターで活かされたが、インテルでは出場機会が少なく買い取られず、トリノでも2試合続けて良くない。

 

主審 Maurizio Mariani VAR Paolo Valeri

 

 前半にジルーへのファウルが多かったブオンジョルノと、48分のラドニッチを強引に止めたチャウにもカードが出るかと思った。チャウは69分に貰ったので厳しい主審の場合は2枚目になっていた可能性もあったので助かった。