自業自得記録地獄

主にACミランとセリエAに関する備忘録。

23-24セリエA第1節 vs ボローニャ(A) アメリカン・スナイパー

 

 ディフェンディングチャンピオンとして迎えた昨季は4位でCL出場権を獲得したが、実質5位だった成績から巻き返しを図るべく、今季はトナーリに涙の別れを告げて得た大金を元手にピオーリが求める大量の即戦力補強を敢行。責任がより重くなったピオーリは言い訳ができないシーズンが始まる。

 

 昨季は途中就任のチアゴ・モッタが選手の特徴を引き出して11-12シーズン以来の9位で終えたボローニャ。今季はアルナウトヴィッチとシャウテンが移籍し、メデル、ソリアーノ、サンソーネが契約満了、カンビアーゾがローンバックと主力級に退団が多く、先週のコッパ・イタリアはバロウ、オルソリーニの両WGも不在だったが、流動的で距離の近いパスワークでサイドから攻め込み、意識の高さを感じるネガティブトランジション、4-4-2の鋭いプレッシングでボールを奪い、チェゼーナに2-0で完勝。プリマヴェーラ出身で19歳の右利きLSBコラッザ、AZから新加入のCBベウケマ、USGから新加入のエル・アズジら今季も楽しみな若手が多く、チアゴ・モッタ2季目のチームから目が離せない。

 

 過去10シーズンのセリエAの対戦成績はミラノ15勝4分1敗。ピオーリもボローニャ戦通算14勝5分2敗と相性が良い。チアゴ・モッタvsピオーリミランは1勝1分1敗。

 

ノヴァーラ戦後の7日間

 

 8月16日、デ・ケテラーレがアタランタに買い取りオプション付きローンで移籍。報道によると、€3mの有償ローン、買い取り金額は€22~23m+ボーナス4mで、将来の移籍金の10%を受け取る契約。

 

 8月17日、サードユニフォームを発表。

 

先発&フォーメーション

 ミランはベナセルが負傷欠場。ムサが出場停止。サレマーケルス、オリギ、バロ=トゥーレ、カルダーラ、ラゼティッチ、ナヴァが招集外。バルテザーギとゼローリがベンチ入り。

 ボローニャはバロウとスマオロが負傷欠場。

 

スタッツ&控え

BOLOGNA VS MILAN

 

ハイライト


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流れ

 

 開始20秒でボローニャが右サイドでプレスをかわしてサイドチェンジを受けたリコヤニスのミドルシュートがバーに当たる。

 ミランはクルニッチがアンカー、カラブリアが中央に入る形でビルドアップ。ボローニャは4-4-2でミドルゾーンに構えたところから、ジルクゼーとモロでCB、カラブリアにルイス・ファーガソン、クルニッチにドミンゲス、ラインデルスにエビシャー、ロフタス=チークにルクミがマンツーマン気味に捕まえてプレスに行く。ミランはメニャンからジルーやレオンへのロングボールを蹴ったり、開いたCBからジルーに縦パスを入れたり、テオが中央に入ったり、レオンとラインデルスがポジションを入れ替えたり、ロフタス=チークが右サイドに開いて受け手になる。

 ボローニャもGKからビルドアップ。ミランはラインデルスがベウケマにプレスをかけに行き、クルニッチがエビシャー、ロフタス=チークがドミンゲスをマークして4-4-2でハイプレスか、ジルーがボローニャの左サイドに誘導し、ラインデルスがドミンゲスをマークする形でプレスをかける。10分あたりからボローニャはジルクゼーとモロが同サイドで縦関係を組むことでモロがフリーでレオン、クルニッチ、テオ、トモリの間に降りたり、ジルクゼーが中盤のスペースに斜めに降りてビルドアップの出口として機能する。

 ミランは10分にボローニャに上述の形でモロにハイプレスをかわされて攻められた後のカウンターの二次攻撃から、プリシッチの左足インスイングクロスをラインデルスがポッシュの背後を取って折り返し、ボールウォッチャーになったベウケマからフリーになったジルーが押し込んでミランが先制する。

 ボローニャはその後カウンターやジルクゼーのポストプレーからゴールに近づくが、ミランは20分に右サイドでプレスを受けたチャウからミドルロブパスを受けたジルーがロフタス=チークに落とし、プリシッチがハーフスペースを運び、ジルーとのワンツーから見事なミドルシュートを決めて追加点を奪う。

 24分から2分間クーリングブレイク。

 27分にトモリのパスからジルーの落としをラインデルスが外から内に入って受けて中央から右サイドに展開し、プリシッチのクロスにファーでフリーのジルーがボレーで合わせるがスコルプスキがセーブ。

 ボローニャは28分からエビシャーが右サイドに降り、ポッシュが高い位置、エンドイェがジルクゼーと2トップ気味になり、トップ下のモロがフリーマンとしてライン間でフリーでボールを受け始める。以降はボローニャがボール保持で押し込み、ミランが遠い位置からカウンターという構図になる。

 前半は0-2で終了。

 

 ハーフタイムはアウェイ側のロッカールームのエアコンが故障しているため、ミランはベンチで過ごした

 

 後半からボローニャはモロに替わってオルソリーニが投入され、2列目は右からオルソリーニ、ルイス・ファーガソン、エンドイェの並びになる。プレスも変化し、トップ下のルイス・ファーガソンがクルニッチをマークし、ジルクゼーが遠い時はエンドイェがチャウにプレス、ドミンゲスがカラブリアとロフタス=チークのどちらにも対応できるようなポジションを取るようになる。

 後半立ち上がりはミランが両サイドともに崩しかけるが、53分にボローニャは右のエビシャー、左のルイス・ファーガソンに引っ張られたクルニッチとロフタス=チークの間に降りるジルクゼーのポストプレーから右サイドに展開し、再びジルクゼーを経由して左サイドでカラブリアに対してエンドイェと数的優位の状況を作ったルイス・ファーガソンがシュートを撃つ。

 その後は互いに攻めきれないガチャガチャした時間帯を経てボローニャが決定機を作る。59分にロフタス=チークからボールを奪ったエンドイェがカラブリアをかわしてPA内に持ち込み、横のオルソリーニに出せば決定機の場面でシュートを撃つがポスト。60分には右サイドのポッシュから斜めの楔をジルクゼーが受けて、トモリとチャウの間に3列目から飛び出したエビシャーにスルーパスが出るが、ラインデルスが付いていく粘りの守備とメニャンのセーブで凌ぐ。

 60分台、ミランの虚無ポゼッションタイム。

 70分、クーリングブレイクと選手交代。ミランはラインデルスがプレスに行かずに4-5-1気味に構え始める。

 ボローニャはサイドからコンビネーションで突破を図るがゴール前までは運べず、ミランは89分にカウンターからレオンがシュートを撃つがポストに弾かれる。

 0-2で試合終了。

 

ミラン

 

 マンツーマン気味に来るのでロングボールで飛ばすのは悪くない選択だと思うがチャンスには繋げられなかった。

 カラブリアが中央に入る形は連動性が乏しく、マンツーマン気味に付かれていたので効果的な局面が少なかった。さらに、カラブリアとクルニッチはターンをしてほしい場面でしてくれないのがもどかしい。ブライトンやサッリのチームのように少ないタッチでポンポンとCBとボランチで出し入れするテンポの良いビルドアップを目指しているわけではなく、相手を引き出して敵陣にスペースがあるうちに運んで攻め込みたいだけだと思うので、保持のことだけを考えればボランチの位置には自力で前を向いて運べて展開もできるラインデルスを置きたいし、テオが中央に入ってくる方がカラブリアよりも厄介なのは明らか。

 

 昨季の4バック相手のプレッシングは中盤を噛み合わせて、レオンをRSBとRCBの間に立たせてプレスに行かせ、背後をトナーリがカバーしていたが、レオンのプレスは強度も精度も低く、ボランチ経由でSBに繋がれるのがほとんどで、トナーリのカバーエリアが膨大になってしまっていた。今季はトナーリが退団したのでラインデルスがレオンの尻拭いをすることになるかと思われた。

 しかし、今節はレオンはSBに付いていき、判断が速いラインデルスがジルーとプレスを先導する形を採った。ベウケマにラインデルスが寄せると中盤がマンツーマンではなくなり、エビシャーが降りてクルニッチが引き出されるとライン間に大きなスペースを与えてしまい、トップ下のモロやファーガソンがフリーになってプレスをかわされる場面は多かった。レオンの戻りが遅れたり、クロスへの寄せが甘い場面もあり、成功したとは言い難い。

 一方で、ボローニャの左サイドからのビルドアップはジルーがCBの横パスを切り、中盤のマッチアップが明確になっていたおかげでほとんど前進させなかったと思う。

 CBがリスクを背負って前で勝負するか、ジルーに頑張ってもらって中盤の関係性を崩さずにDFを余らせて引き込むか。昨季からのCBの状態を考えれば後者一択だと思う。

 

 60分と似た場面が76分にもあったが、ジルクゼーのコントロールミスで繋がらなかった。ポベガはエビシャーに付いて行けていたし、トモリもカバーに行ける状況ではあったが、ミランのCBが余らず、アンカーが中央から離れてしまう状況を作られた際の対応は昨季からの課題なので解決してほしい。あとサイドチェンジも。

 

 ラインデルスが攻守に走りまくり12.8km走破。テオ、レオンとのレーンチェンジ、PAへの走り込み、右ハーフスペースへの飛び出し、プレス、自陣PA周辺でのプレスバック。ボックストゥボックスで攻守にアクションを起こし続けてくれるのが助かる。パス成功率も100%。最高。

 プリシッチはまだ24歳。PSMから期待以上にやってくれている。このまま行こう。

 ジルーはポストプレーが絶好調。ミランでは初の右足ゴール。今季も攻守に頼みます。

 レオンの守備意識が上がった模様。立つ位置が良くなり、戻る意識が上がっているように見える。プレシーズンから兆候は見られたが、強敵相手だけだと思っていた。スマン。

 メニャン様、今季は怪我なくお願いします。

 

 次は土曜日にホーム開幕戦となるトリノ戦。3-4-2-1の相手にどのようにプレスをかけるか。

 

ボローニャ

 

 負けたが悲観する内容ではなく、まだ補強もあり、若いチームなので伸びしろしかない。

 ルイス・ファーガソンの運動量もハンパじゃなかった。

 ジルクゼーは降りる前にしっかり背後を取るフェイクを入れているのが効いていた。

 ポッシュは引き抜かれないのか。

 契約最終年のニコラス・ドミンゲスはやる気がなさそう。フロイラーが来るなら楽しみ。

 カールソンはどんだけやるのか。バロウは移籍なのか。

 

主審 Luca Pairetto VAR Valerio Marini

 

 後半のファウルの基準は謎だった。