自業自得記録地獄

主にACミランとセリエAに関する備忘録。

23-24セリエA第8節 vs ジェノア(A) 守護神ジルー爆誕

 

 ダービーの大敗から始まった7連戦のその後を3勝2分、1失点と悪くない結果で進め、最後は消耗の激しい試合から中2日のアウェイ連戦でジェノアと戦う。

 

 昨季セリエB2位で1年でセリエAに帰ってきたジェノア。ここまで2勝2分3敗、10得点11失点の14位。ラツィオ、ローマを破り、ナポリに引き分けている。基本的に5-3-2でカウンターを狙う戦い方で、中盤3枚とWBの強度の高い縦横のスライドとポジティブトランジションが鍵。その中でレテギが前線でキープして時間を作り、グドムンドソンが切れ味鋭いドリブルで守備網を打開していく。最近の失点はクロスをファーに上げられてCBとWBの間に入り込まれたもの。

  • シュート数最少、得点数9位。
  • セットプレーからのシュートのゴール期待値4位。
  • パス数、キーパス数、アタッキングサードのパス数最少。
  • オープンプレーではシュートを撃たせない守備ができて失点期待値も低いが、オープンプレーの失点数はワースト4位タイ。
  • リカバリー数18位。
  • PPDA、敵陣でボールを奪った回数19位だが、敵陣でボールを奪ってからの得点3は最多タイ。
  • 過去10シーズンのセリエAの対戦成績はミランの10勝3分5敗。ミランが3連勝中。マラッシでは5勝1分3敗。
  • メシアスがミラン時代にジェノアから3得点。
  • ピオーリはジェノア戦通算11勝8分7敗。ジラルディーノは監督2年目で初対戦。

 

ドルトムント戦後の2日間

 

 特になし。

 

先発&フォーメーション

 ミランはベナセル、クルニッチ、ロフタス=チーク、カルル、カルダーラが負傷欠場。バルテザーギがベンチ入り。ナヴァが招集外。

 ジェノアはレテギ、メシアス、バデリ、ストロートマンが負傷欠場。

 

スタッツ&控え

GENOA VS MILAN

 

ハイライト


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流れ

 

 ジェノアは4-5-1で自陣に構えたところからグドムンドソンがアドリを見て、IHがCBにプレス。ミランはSBが内側に入って2-3-5でビルドアップ。CBは余裕がある。ミランのSBの動きにジェノアのSHが付いていき、IHがプレスに行くとライン間のムサとラインデルスはフリーになる。

 ジェノアのビルドアップはマリノフスキーがフレンドルップとダブルボランチ気味でトルスビーがグドムンドソンと2トップ気味の4-4-2。ミランはハイプレスではなくミドルゾーンに構える。ムサがマリノフスキーに付いていき、ヨヴィッチがフレンドルップを見ながらCBにプレスに行く。ヨヴィッチから離れたフレンドルップにはアドリが前に出て捕まえに行く。

 

 1分、チャウからマリノフスキーとハプスの間を通してムサに縦パス。

 2分、アドリの縦パスのミスからショートカウンターを受けかけるが、トルスビーのミスでミランがカウンター。オカフォーから受けたチュクウェゼが運んでカットインからバーニとデ・ヴィンテルの間に走り込んだオカフォーにパスを出すが少し長くオカフォーが撃てず。

 7分、中央でラインデルスとテオがワンツーで突破を試みるが奪われてカウンター。右サイドを駆け上がるサベッリにパスが出るが、オカフォーがスプリントで戻って遅らせる。

 8分、バーニから左ハーフスペースで受けたマリノフスキーが大外からチュクウェゼの背後を取ったバスケスにスルーパスPA内でカバーに入ったフロレンツィと接触して倒れるがノーファウル。

 ミランはラインデルスがバーニに出ていくようになる。ダブルボランチが作るライン間のスペースに降りるグドムンドソンにはチャウが付いていく。

 15分、GKのマルティネスから中盤に降りたグドムンドソンにパス。低い位置で受けようとしていたフレンドルップがマーカーのアドリの先手を取って前に走って落としを受けて運ぶがパスミス

 16分、チャウから受けたチュクウェゼがサベッリとドラグシンの間に走り込んだムサにスルーパス。ムサの折り返しにラインデルスが合わせるがマルティネスがセーブ。しかし、ムサがオフサイド

 24分、マルティネスからグドムンドソンにパス。グドムンドソンがアドリをかわしてバスケスにパス。バスケスが飛び込んできたチュクウェゼをかわして中央に運び、トモリもかわして右足で撃つがフロレンツィがブロック。

 45+1分、0-0で前半終了。

 

 後半からミランは両WGを交代し、チャウをトルスビーサイドにしてグドムンドソンにトモリが対応する。ビルドアップではジェノアの最終ラインの裏に左サイドの面々が走り込んで、CB、SBからロングパスを入れる場面が増える。

 56分、サイドチェンジのこぼれ球を拾ったレオンがドリブルに警戒して外に寄ったデ・ヴィンテルとバーニの間のラインデルスにパス。ラインデルスがシュートを狙うがブロックに遭う。

 64分、ラインデルスがPA中央のムサに入れるが奪われてカウンターを受けるが自陣PA手前で止めて逆カウンター。フロレンツィ、プリシッチが繋いでムサが運び、フロレンツィがハーフスペース深い位置からハイクロスをファーに上げると、レオンが頭で合わせるがマルティネスがセーブ。

 66分、ミランは4-2-4。

 68分、ジェノアはデ・ヴィンテル、ドラグシン、バーニ、バスケス、ハプスの5バック、エクバンとグドムンドソンの2トップで5-3-2に変更。

 75分、右サイドでのパス回しからドラグシンがカットインして左足でミドルシュートを撃つと、ラインデルスに当たったボールが枠内左下隅に転がるがメニャンがなんとか左腕を咄嗟に伸ばして触って防ぐ。

 76分、ドラグシンからPA内深い位置でスローインを受けたグドムンドソンが中に折り返しエクバンが頭で合わせるが枠の上に外れる。

 80分、チャウがジルーにパス。ジルーが前のヨヴィッチに入れ、ヨヴィッチがレオンに展開。レオンのクロスにプリシッチが飛び込んだこぼれ球をヨヴィッチが撃つがバスケスがブロック。そのこぼれ球をプリシッチも撃つがドラグシンがブロック。

 86分、デ・ヴィンテルの背後を取ったレオンがテオからスルーパスを受けて折り返す。流れたボールをプリシッチが拾い、カラブリアから右に開いて受けたムサがクロスを上げると、プリシッチが右足トラップから左足ボレーを流し込みミランが先制。0-1

 90分、ジェノアはエクバンとプスカシュの2トップでトップ下にグドムンドソンの4-3-1-2のような形。

 90+2分、ミランはバルテザーギがLIBに入って5-2-3。

 90+5分、ミランのロングボールを跳ね返し、バスケスが裏にロングボールを入れるとメニャンが前に出てエクバンと競り合う。こぼれ球もグドムンドソンと競り合い、ピンチを防ぐ。OFRの結果、メニャンの膝がエクバンの顔に入っておりDOGSOで退場。ジルーがGKを担当する。

 90+9分、上述のFK。グドムンドソンのシュートがディフレクトしバーに当たり、こぼれ球をエクバンが頭で合わせるがトモリがクリア。

 90+12分、CKで上がっていたマルティネスがムサのクリアに足を出して2枚目のイエローカードで退場。デ・ヴィンテルに替わってレアーリが入る。

 90+13分、ミランのロングボールを跳ね返し、プスカシュ、グドムンドソン、エクバンと中央をワンタッチで繋ぎ、エクバンのパスにプスカシュがカラブリアを追い越して撃とうとするがジルーが飛び出してボールをはたき落として防ぐ。

 90+14分、0-1で試合終了。

 

ミラン

 

 塩試合から終盤に先制して一気に馬鹿試合になったが逃げ切って首位浮上。

 

 まず、ジェノアが4バックで4-4-2でビルドアップしてきたことに序盤は対応できなかった。始めは疲労を考慮してプレスに行かない選択だと思ったが、10分くらいからラインデルスを前に出してマンツーでハメに行ったので、単純にプレスに行けていなかっただけだった。マンツーにしたは良いものの、2CBとフレンドルップとマリノフスキーに中盤を引き出されてGKから広大なライン間を動き回るグドムンドソンにパスが通り、切れのある動きと柔らかいボールタッチにチャウが苦戦。なんとかファウルで止める場面も少なくなく、イエローカードを貰わずに終えたのは幸運だった。さらに、ドルトムント戦でRWGが中に絞るSHへの縦パスを警戒するあまり、LSBのベンセバイニに高い位置への進出を許したように、今節もLSBのバスケスに空いた大外レーンを抜け出されてピンチになった。後半はプリシッチがバスケスに付いて行って下がっていたが、完全にドルトムント戦と同じ構造だったので中断期間に対策を考えなければいけない。

 後半はトモリとチャウを入れ替えて、グドムンドソンを機動力で対抗できそうなトモリがマークし、ロングボールのターゲットのトルスビーにチャウが付く。これでグドムンドソンは前半ほどの存在感はなくなり、トルスビーへのロングボールも増えるが、それにも対応できるようになった。ただミランが4トップに変え、ジェノアが5-3-2に変更したあたりからジェノアが縦の勢いを取り戻し、スコアが動いた後はプスカシュを投入して、なりふり構わないロングボールで押し込まれてしまった。最後はバーとジルーのおかげでなんとか守りきった。

 

 ビルドアップはフロレンツィが自分が受けるためだけでなく、ハプスを引き連れて内側に移動してチャウやアドリからチュクウェゼに出せるように立ち位置を取って指示を出して自分が受けずにボールを運ばせていた。そこで受けたチュクウェゼがバスケスを大外に引っ張り出してSBとCBの間にムサが飛び出す形は多く作れていた。しかし、ムサがドラグシンのフィジカルコンタクトに苦しんだのは誤算かもしれない。

 一方の左サイドはオカフォーが大外での仕事に慣れていなさそうだった。交代するよりも、オカフォーを中でヨヴィッチと2トップ気味にプレーさせて、大外は空けといてテオとラインデルスが使うのを見たかった。アドリとムサのダブルボランチが縦関係の4-1-3-2に変化し、内側に入ったラインデルスがSBを引き付けて中央でのパス交換から大外をテオが追い越し、中には2トップとチュクウェゼとボランチのどちらかが入る。おもしろそう。

 決勝点はレオンの裏抜けがきっかけになった。レオンは得点場面の前にもデ・ヴィンテルの背後を取っており、2連続で裏への動きが成功した。そして、カオスになりそうなジルーとヨヴィッチの間に入って、素晴らしいトラップと身のこなしから冷静なボレーを決めたプリシッチの得点能力が見事だった。

 

 GKがハイボールをキャッチする時に自分を守るために膝を上げるのは普通だが、キャッチじゃない状況だったし、あの当たり方になってしまったらファウルで退場になるのは仕方ないのでアンラッキーとしか言いようがない。飛び出さなければ失点していたかもしれないしメニャンは責められない。その後のグドムンドソンとの競り合いの着地で膝を外に捻っているように見えるのが心配。

 プリシッチも志願したらしいが身長とポジションでGKに選ばれたのはジルー。最後に本職顔負けの飛び出しと素早くこぼれ球も抑える反応でチームの危機を救った。

 

 ムサとラインデルスは厳しい中2日の連戦をフル出場で12km超え。本当にお疲れ様でした。ムサの爆速プレスバックはかなりチームを助けている。

 

 次は2週間後にホームでユヴェントス戦。メニャンとテオが出場停止なのは苦しいが、カルル、クルニッチ、ロフタス=チークは復帰が見込まれるのは朗報。インターナショナルマッチウィークに新たな負傷者が出ないことを祈る。

 

ジェノア

 

 レテギ不在のなかでよく練られたビルドアップを見せた。フレンドルップとマリノフスキーを掴めきれない。グドムンドソンはブライトンに行こう。

 トルスビーとフレンドルップは流石の12km超え。

 

主審 Marco Piccinini VAR Aleandro Di Paolo

 

 カードは多かったが不満はない。