自業自得記録地獄

主にACミランとセリエAに関する備忘録。

23-24CLGS第1節 vs ニューカッスル(H) 取りこぼし

 

 3連勝の勢いのままに真っ向勝負を挑み、捻り潰されたダービーの大敗から中2日。7連戦の2試合目は今季のCL初戦。サン・シーロにトナーリを擁するニューカッスルを迎え撃つ。

 

 昨季はポット1に入ったこともあり、比較的楽な組に入ってグループを突破し、決勝トーナメントはトッテナムと不調対決を制し、国内で無双していたナポリを倒して望外の準決勝まで進出して賞金を稼いだ。しかし、ポット3の今季はPSG(両軍守護神古巣対決、リュカ・テオのエルナンデス兄弟対決)、ドルトムント(プリシッチ古巣対決)、ニューカッスル(トナーリと早すぎる再会)とエピソードがある難敵しかいない組に振り分けられた。

 ニューカッスルは昨季プレミアリーグ4位に食い込んで21シーズンぶりのCL出場権を獲得した。今季は5試合を終えて2勝3敗。開幕戦は昨季7位のアストン・ヴィラに5-1で新戦力も躍動して快勝、2節は盤石のマンチェスター・シティに1-0で惜敗、3節はリヴァプールにホームで数的優位の状況から1-2の逆転負け、4節は絶好調のブライトンに決めきれずに決めきられて3-1で敗北。土曜日の5節は今季無敗だったブレントフォードに1-0で勝利して連敗を止めた。

 イタリアで発生している嵐の影響で予定時刻より2時間20分遅れて空港を出発した。

 ミランニューカッスルは初対戦。

 

インテル戦後の2日間

 

 ニューカッスル戦前日にイブラがミラネッロを訪問。カルディナーレとも会談し、ニューカッスル戦を観戦。

 

先発&フォーメーション

 ミランはカルル、カルダーラが負傷欠場。ベナセル、ルカ・ロメロ、ペッレグリーノは登録外。バルテザーギがベンチ入り。

 ニューカッスルはジョエリントン、ジョー・ウィロック、クラフト、マンキージョが負傷欠場。

 

スタッツ&控え&ハイライト

Milan-Newcastle | UEFA Champions League 2023/24 | UEFA.com

 

流れ

 

 ミランは4-1-2-3でビルドアップ。ニューカッスルは4-5-1で前線からプレス。ゴードンがカラブリアを切りながらチャウにプレス。ギマランイスはクルニッチ、マーフィーはテオ、中央のロフタス=チークにはボトマンが付き、カラブリアやサイドに流れたロフタス=チークにはトナーリがスライドする。ミランはメニャン、2CB、クルニッチで相手の3トップやギマランイスを引き出し、メニャンからSBへのフィードで展開、ジルー、レオン、ポベガ、ロフタス=チークへのロングボールで逃げる。

 ニューカッスルはロングスタッフがギマランイスとダブルボランチ気味になり、マーフィーとトナーリが内側でトリッピアーとゴードンが幅を取る3-4-2-1に自然と可変するビルドアップ。ミランはロフタス=チークがギマランイス、ポベガがロングスタッフ、クルニッチがトナーリに付き、ジルーがCBの間からプレスに行く。

 

 4分、フリーのマーフィーが中央に降りてギマランイスから受けてプレスを突破。トリッピアー、イサク、ゴードン、トリッピアーと左右に揺さぶり、最後はトリッピアーからニューカッスルが数的優位のファーにクロスが上がるがトモリがクリア。

 5分、ミランゴールキックニューカッスルが同数ハイプレス。メニャンにイサク、トモリにマーフィーが行って奪いかける。

 6分、ミランゴールキック。メニャンから受けたテオがロングスタッフを内側にかわして中央を持ち上がりプレス回避。

 8分、ニューカッスルは配置通りの4-1-2-3ビルドアップも見せる。シェアからゴードンへのフィードが目立つ。

 12分、ゴードンからバーンへのバックパスミスをボトマンがクリア。クルニッチがこぼれ球を拾い、ポベガがミドルシュート。ポープが弾いたこぼれ球をサイドで拾ったレオンの右足クロスをファーでチュクウェゼが頭で合わせるがポープがブロック。

 押し込んだミラン。4-5-1ゾーンで構えるニューカッスル。左サイドからの展開を受けたチャウがトナーリとゴードンの間を通してロフタス=チークに縦パス。ロフタス=チークがPA内に持ち込んで折り返すが精度を欠く。

 13分、上記の流れからカラブリアのクロスをポープが弾き、こぼれ球をロフタス=チークが競り、ジルーがボトマンと競ったこぼれ球を撃つがポープがブロックしCK。クルニッチのアウトスイングのボールをニアでロフタス=チークが逸らし、ファーでレオンが反応するが折り返すのが精一杯。

 15分、ニューカッスルはイサクの降りる動きにシャドーが裏に抜ける動きを重ね、ミランはレオンがシェア、テオがトリッピアーに出ていくようになる。

 17分、ミランのビルドアップ。中央でフリーのクルニッチが内側でトナーリの脇を取ったカラブリアにパス。チュクウェゼのクロスをトリッピアーが頭でクリアしたこぼれ球をクルニッチがミドルシュートを撃つとポープが弾き出してCK。

 18分、クルニッチが中央後方にライナー性のボールを蹴り込むと、テオがフリーで飛び込んで頭で合わせるがポープが弾き出す。

 19分、ニューカッスルがマーフィーを裏に走らせるがミランが奪い、ニューカッスルはカウンタープレス。左サイドでテオ、ポベガ、レオン、テオと繋いで、ライン間中央のロフタス=チークに入ってカウンター。ロフタス=チークが運んでミドルシュートを撃つが枠の上に外れる。

 20分、トナーリが大外、ゴードンが内側に立つ場面が見られ始める。

 30分、シェアが中央を持ち上がり、ミランを押し込む。右サイドでトリッピアーとマーフィー、ポベガとテオの2vs2を作り、広がったハーフスペースにロングスタッフがレオンの背後を取って走り込んでトリッピアーからパスを受け、レオンに後ろから倒されるがノーファウル。ミランはカウンター。レオンが運び、大外を駆け上がったテオにスルーパス。テオがグラウンダーで折り返し、ジルーがニアに飛び込むが枠に飛ばせない。

 33分、ニューカッスルのロングFKをメニャンがパンチング。チュクウェゼが拾い、カラブリアが前線のレオンにロブパス。レオン、ポベガ、テオと繋ぎ、テオがレオンにスルーパス。レオンがPA内でロングスタッフとボトマンをかわしヒールで撃とうとするが失敗。チュクウェゼがこぼれ球を拾い、ポベガが撃つがゴールカバーに入っていたマーフィーがクリア。

 36分、ボトマンの持ち上がりから中央でマーフィー、ゴードンと繋ぎ、チャウが足を滑らせるがトモリとクルニッチがカバーしてメニャンがキャッチ。すぐにテオに渡してカウンター。テオが運んで中央を経由してチュクウェゼへ。チュクウェゼがファーのレオンにクロスを上げ、レオンが頭で折り返すがジルーに合わない。

 40分、大外のトリッピアーにテオが寄せる。マーフィーが降りてトモリを釣り出し、その背後のハーフスペースにロングスタッフが飛び出す。イサクが降りて寄って受けてチャウを釣り出し、中央に入ってきたマーフィーが左足でミドルシュートを撃つが枠の左に外れる。

 45分、ATなし。0-0で前半終了。

 

 後半からミランイエローカードを貰ったカラブリアに替えてフロレンツィを投入。

 47分、ゴードンが右ハーフスペースに抜け出す動きにフロレンツィが付いていく。

 51分、ミドルゾーンでクルニッチからライン間中央に斜めに侵入したフロレンツィへ縦パス。そのまま運んで左足でミドルシュートを撃つが枠の右に外れる。

 60分、ミランが2人交代。

 62分、ニューカッスルはLWGにイサク、CFにウィルソンが入る。

 63分、クルニッチからライン間のラインデルスに縦パス。運んでシェアをかわして右足で撃つがポープがキャッチ。

 72分、ハムストリングを痛めたロフタス=チークが交代。ニューカッスルはトナーリが交代しミラニスタから拍手。

 レオンとテオがシェア→ロングスタッフ→トリッピアーのパス回しへの対応で言い合い。テオに出てきてほしいレオンとアルミロンがいるので行けないテオ。

 73分、ラインデルスからパスを受けたチャウが運んでイサクとアンダーソンを引き付けてフロレンツィにパス。フロレンツィのアーリークロスにシェアとトリッピアーの間に走り込んだレオンが頭で合わせるが僅かに枠の上に外れる。

 74分、クルニッチが右に開いたムサにパス。ムサがアンダーソンをかわし、バーンを引き付けてPA内のプリシッチにパス。プリシッチの折り返しをジルーがファーに流し、テオが走り込むがアルミロンが先にクリア。

 80分、メニャンが負傷交代。スポルティエッロがミランデビュー。

 70分頃からミランのターンが永遠に続いているがゴール前でのミスが相次ぐ。

 90+4分、チャウからテオへ展開。テオが運ぼうとするが、ロングスタッフとトリッピアーでボールを奪いカウンター。アルミロンがカットインし、左のアンダーソンが溜めて、中央のロングスタッフがペナルティアークからシュートを撃つがスポルティエッロが弾き出す。

 90+6分、0-0で試合終了。

 

ミラン

 

 ダービーから中2日で先発3人を変更。チュクウェゼが初先発。SBの中盤化を封印してシンプルな4-1-2-3でビルドアップ。相手の可変ビルドアップに序盤は対処できない場面があったが徐々に慣れる。12分の相手のミスをきっかけに作った決定機からペースを掴むが決めきれない。ニューカッスルが少し押し始めるがミランがカウンターで決定機を作ってオープンな展開に。後半は疲労が隠せないニューカッスルのプレスラインが徐々に下がってミランが押し込む展開になり、フロレンツィとムサがギャップに入ってチャンスを作るが決めきれない。嫌な流れで最後にピンチを迎えるがスポルティエッロが仕事をしてスコアレスドロー。シュート25本を放ったものの、大事なホームでの初戦で勝ち点2を取りこぼした。

 

 ビルドアップはまずまず。メニャンからSBへ安定してプレス回避のパスを供給できたり、ミドルゾーンでは相手のゾーンの間のIHやSBに縦パスを通すことができていた。クルニッチはミスもあったが、ラインをブレイクするパスを何度も通した。ロフタス=チークとムサは、ギマランイス、トナーリ、ゴードンの間や背後でよく受け、フロレンツィはカラブリアよりも積極的かつ柔軟に受けられるポジションに動いて撹乱した。チャウは右の方がビルドアップの貢献度が高いのでやっぱり左利きCBは欲しい。ペッレグリーノとバルテザーギは頑張れ。

 アタッキングサードのプレーではファー狙いのクロスが一定の効果を見せていた。

 チュクウェゼは相手の逆を突いてかわしていくタイプに見えるのでスピードの割に攻撃が加速しない。

 

 プレスは機能していたとは言い難いが、ピンチは少なく、ボールを運ばれてもDFラインが落ち着いてやるべきことをやっていた。フリーになれるレオンの背後、中盤のマンツーマンを利用したスペースメイクとそれに連動したライン間でのポストプレーは完全に狙われていた。ただ、ダービーほど全体が前のめりにさせられていなかったので一気に突破される心配はなかった。トナーリとゴードンをクルニッチとRSB、マーフィーをテオとトモリ、イサクをチャウとトモリで監視でき、トナーリにチャウ、イサクにトモリが付く状況ではクルニッチもDFラインに入ってカバーに回った。他にも、中盤で入れ替わりそうになったところを早めのファウルで止めたり、チュクウェゼがゾーンで守ってニューカッスルの右サイドからの攻撃を中央でカバーしたり、全体的に危機管理意識は高かった。

 

 ダービーでは鳴りを潜めたピオーリのチームの最大の得点源であるカウンターアタックが炸裂したものの得点できず。

 

 次は中3日でホームのエラス・ヴェローナ戦。強度の高いマンツーマン守備をしてくる相手だが、ジルー、レオン、テオ、クルニッチらの休養、検査で異常はなかったメニャンとロフタス=チークの温存は優先的に進めていきたい。

 

ニューカッスル

 

 全体的にお疲れ感が強かった。ライン間はかなりスペースがあったがいつもそうなのか?

 ポープが冷静。動じずに正面で体に当てる。

 シェア、ボトマン、ギマランイスのビルドアップ能力がすごい。特にシェアはドリブルでの持ち運び、組み立てるパス、ロングフィードと選択肢が豊富。

 左の袖が黄色いので全員キャプテンマークを巻いているように見えた。

 

主審 José María Sánchez (ESP) VAR Alejandro Hernández (ESP)

 

 特になかったような、何かあったような。レオンが後ろから押したのは、ロングスタッフがPKを貰いに行った感が強かったから取らなかったのか、フットボールコンタクトにしてくれたのか。どちらにせよ助かった。