自業自得記録地獄

主にACミランとセリエAに関する備忘録。

23-24セリエA第6節 vs カリアリ(A) 中央の余裕とサイドの連係

 

 ダービーに大敗し、CLでは勝ちきれなかったが、SB不足で3バックを採用した前節は辛勝し、5試合を終えて2位につけるミラン。しかし、公式戦全試合でフル出場していたクルニッチがハムストリングを負傷してしまったのでディフェンシブミッドフィルダーがいなくなった。

 

 カリアリは昨季71歳のラニエリ監督の途中就任から盛り返し、セリエB5位から昇格プレーオフを勝ち抜いて降格から1シーズンでの昇格を決めた。アウジェッロ、ヤンクト、ショムロドフ、ペターニャら堅守速攻の戦術にハマりそうなセリエA経験者を獲得して残留を目指す。

 ここまでは2分3敗、1得点6失点の19位。4-4-2のミドルプレスを基本形とし、片方のSHが下がって5-3-2にも可変する。プレス時はCBの裏を狙われ、ブロック時は出ていくSBとステイするCBの間が空きやすい印象がある。ビルドアップにはこだわらず、ルヴンボのスピードを活かしたカウンターや優秀なクロッサーを活かすシンプルなサイドアタックが目立つ。リカバリー数はリーグ最多。プレス強度指数は最下位だが、敵陣でボールを奪った回数は5位タイ。

 

 

エラス・ヴェローナ戦後の3日間

 

 新スタジアム案が前進。サン・ドナート・ミラネーゼ市議会に「サン・フランチェスコ」地区の都市開発案を提出し、将来的に完全なプロジェクト計画を提出する可能性を視野に入れた正式な第一歩を踏み出した。

 

先発&フォーメーション

 ミランはベナセル、クルニッチ、カルル、カルダーラが負傷欠場。メニャンとヨヴィッチはコンディション調整で欠場。バルテザーギとナヴァがベンチ入り。

 カリアリはラパドゥーラ、ヤンクト、ログ、マンコーズ、カプラドッシ、デゾグスが負傷欠場。ガストン・ペレイロが招集外。

 

スタッツ&控え

CAGLIARI VS MILAN

 

ハイライト


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流れ

 

 カリアリは5-2-3でミドルゾーンにセットして自陣に侵入されると5-4-1で撤退。ミランは両SBがアンカーの脇に立つ2-3-5でビルドアップ。中盤の横に降りるロフタス=チークやラインデルスにはIBが出ていかずにボランチが対応する。ボールを奪うと一気にWBとボランチも押し上げてカウンターを狙う。

 カリアリはビルドアップ時にドッセーナがアンカー気味の4-1-2-3になったり、マクンブが左に降りてWBを押し出そうとする。ミランはチュクウェゼがアウジェッロ、ロフタス=チークがマクンブ、オカフォーがハツィディアコスとドッセーナにプレス。カリアリはナンデスとスレマナが顔を出して左から右のルヴンボへの展開を狙う。

 

 8分、ハーフウェイラインのアドリからヴィエテスカの裏へ走り込んだラインデルスにロングパス。ラインデルスの折返しをオカフォーが頭で合わせるが枠の上に外れる。

 11分、右サイドで3vs3。チュクウェゼが2人を引き付け、ハツィディアコスが前のフロレンツィに気を取られている隙に背後を取ったロフタス=チークにパスを出すが、ロフタス=チークはトラップが足元に入りすぎてシュートを撃てない。

 25分、カリアリゴールキック。ロフタス=チークがハツィディアコスに付き、アドリが前に出てマクンブを見る。オカフォーがドッセーナに寄せてからパスが出たザッパまでプレス。ザッパからペターニャへのパスにチャウが寄せてノーファウルで奪う。フロレンツィが内側のテオにパス。テオが外のプリシッチとワンツーで突破し、マイナスの折り返しにロフタス=チークが左足で合わせるがハツィディアコスがブロック。

 27分、フロレンツィのアーリークロスのクリアボールをアドリが拾い、中央のラインデルスにパス。ラインデルスの落としをオカフォーが左足で撃つがラドゥノヴィッチがキャッチ。

 28分、カリアリが左サイド高い位置でスローイン。ルヴンボがPA内で受け、アドリと競り合っていたところをナンデスが掻っ攫い、深い位置からフリーになったルヴンボに返し、ルヴンボが左足でニアハイに強烈なシュートをブチ込んでカリアリが先制。1-0

 39分、カリアリの攻撃後、アドリからラインデルスにパス。ラインデルスが飛び込んできたヴィエテスカをかわしてプリシッチにパス。プリシッチがザッパを縦にかわして左足でグラウンダーで折り返すと、ラドゥノヴィッチが弾いたボールをオカフォーが拾うと右足裏のボールロールから左足で冷静に流し込みミランが同点にする。1-1

 44分、プリシッチが左サイドから仕掛けて抜ききらずに折り返す。こぼれ球をPA内で拾ったテオがシュートを撃つがラドゥノヴィッチが指先で弾き出すファインセーブ。

 右CK。アドリがハーフスペースに走り込んだラインデルスにパス。ラインデルスが深い位置から折り返すと、ラドゥノヴィッチが触ったボールをゴール前でトモリが押し込みミランが逆転。1-2

 45+2分、カリアリプレス。アドリから広がったライン間でロフタス=チークが受ける。チュクウェゼに渡し、チュクウェゼがアウジェッロとハツィディアコスを引き付けた背後のスペースにロフタス=チークが走り込んでチュクウェゼからスルーパスを受けるが合わせられず。

 45+3分、1-2で前半終了。ミランは74%の保持率。

 

 後半からカリアリはCBのヴィエテスカに替えてアタッカーのオリスターニオを投入し、RSHにオリスターニオ、ミドルゾーンではルヴンボがアドリ番の4-4-2(1-1)に変更。SHが下がってWGに対応したり、CBかSBがIHを捕まえに前に出たりする。

 55分、ナンデスが中盤内側に降りて受け、中央に運んでオリスターニオへ展開。ザッパがオーバーラップしてテオを寄せさせず、オリスターニオのインスイングクロスをペターニャが胸で落とし、ルヴンボがボレーで合わせるがアドリがブロック。

 57分、ミランゴールキックカリアリがハイプレス。トモリから中央で受けたロフタス=チークにハツィディアコスとマクンブが前後から寄せ、タッチが大きくなったところをオリスターニオが奪う。

 58分、ミランは2枚替え。ムサがアンカーに入る。

 カリアリは再びハイプレスをかけスポルティエッロのミスキックで得たスローインからオリスターニオが突破し折り返すがルヴンボに合わない。

 59分、上記の流れから左サイドの裏にプリシッチを走らせる。プリシッチのクロスは一度ブロックされ、プリシッチは中央のロフタス=チークに下げると、ロフタス=チークが左下隅にミドルシュートを決める。1-3

 70分頃から、カリアリはダブルボランチの左右を入れ替える。

 79分、ナンデスがプレスに行き、ムサの後頭部を殴るがお咎めなし。

 87分、カリアリのカウンター。ヴィオラが前線のショムロドフにパス。流れてトモリが回収しかけるが、持ち出しが大きくなったところをルヴンボが奪い、ルヴンボが足を攣りながらファーにクロスを上げると、オリスターニオが右足トラップから反転左足ボレーを撃つがスポルティエッロが弾く。

 90+5分、1-3で試合終了。

 

ミラン

 

 ターンオーバー成功、デザインされたセットプレーから得点、逆転。良い意味でミランらしくない試合ををして勝ち点3を得た。嫌な流れになりかけていたところの3点目は大きかった。

 

 ビルドアップは前半はカリアリがプレスに来なかったのでほぼ敵陣でプレー。アドリ、チャウ、フロレンツィらボールホルダーがフリーなら前線の5人が裏を狙う場面も多かった。中央でアドリが簡単にボールを受けてターンして展開できるので、サイドでSB、IH、WGで連携して崩すこともPA内に人数をかけることも容易だった。どちらのサイドもスムーズな連携を披露し、プリシッチとチュクウェゼが中にも縦にも行けるドリブルで相手の視線を集め、ハーフスペースに飛び出すロフタス=チークとテオにスルーパスを出してチャンスを作った。そして、縦に突破して折り返しが得点に繋がった。結果的に3点とも低いクロスが得点を呼び込んだ。

 後半はカリアリが一転して仕掛けてきたハイプレスに苦戦。フロレンツィが中央に入ってきて少しだけ楽になったが、ロングボールも活用できず、効果的なプレス回避ができなかった。降りてきた選手の足元に出す場面が多いので狙われやすく、降りた選手に対して3人目や4人目が出てくる場面が少なかった。

 

 プレスは高い位置を取るアウジェッロと内側に降りるナンデスに対してチュクウェゼとフロレンツィはマンツーマンなのか受け渡すのかが曖昧でナンデスが少し浮いてしまう場面が何度か見受けられた。

 ネガトラの意識も高い方の試合だったと思う。

 

 アドリは失点に絡んだが対人守備も想像していたよりは悪くなく、保持時もプレシーズンの時は動きすぎな印象もあったが、今回は必要最低限程度でバランスを取れていた。やはり配球力はクルニッチとは段違いで高く、ベナセル復帰までの繋ぎだけに留まらない可能性を秘めているかもしれない。ラインデルスが欲しいところでアドリから受けられていたのでとてもやりやすそうだった。CKキッカーとしても期待。

 ムサのアンカーも悪くなかった。ボールスキルとフィジカルが高いのでプレス耐性が高く、守備でもフィジカルがあるので潰しに行ける。ムサの不安な点は状況判断のミスだが、本職のIHに、前節のWBとハイパフォーマンスが続いているので今季のワイルドカードになりそう。

 プレシーズンでも感じたがプリシッチは選択肢の多い左の方が良さそう。WGの2人はカットインから逆サイドに繋いだ後に中に入ってクロスに飛び込むことでカリアリのCBが引っ張られてラインデルスが空くことが何度かあったのも良かった。

 オカフォーは初先発で初得点を奪えたのは一安心。前半は崩しに関わる必要がなく、中央でフィニッシュに専念。レッドブル出身らしくプレスは速く、二度追いもプレスバックも厭わない。ジルーが休養できたのも大きい。

 

 次は中2日でホームのラツィオ戦。メニャンが復帰予定。

 

カリアリ

 

 今節までルヴンボは左寄りの印象が強かったがトモリサイドにぶつけてくれたのは決められたとはいえ助かったと思う。

 

主審 Federico La Penna VAR Massimiliano Irrati

 

 ナンデスのは悪意しか感じないバイオレンスで退場でしょ。