自業自得記録地獄

主にACミランとセリエAに関する備忘録。

23-24セリエA第5節 vs エラス・ヴェローナ(H) 変更の理由と成果

 

 3位のミランはミッドウィークのCLでは多くの決定機を決めきれずに勝てなかったものの、先週のダービー大敗のショックから立ち直った姿はミラニスタに見せることができた。

 

 昨季は残留プレーオフに勝利して薄氷を踏む思いで残留を決めたエラス・ヴェローナは、レッチェをアグレッシブなプレスと速攻で残留に導いたバローニを新監督に迎え入れた。絶対的な主力の退団はタメゼだけで、冬加入で残留の立役者となったンゴンジュ、マンツーマンのチームに大人気だったヒエンが残留。

 開幕4試合は2勝1分1敗、4得点4失点の9位と悪くない成績。ローマ戦はカウンターから少ない決定機を決めきって勝利した一方、サッスオーロ戦はチャンスを決めきれずに失点を重ねて敗れた。高い位置からマンツーマンで捕まえに行く積極的で強度の高い守備、ジュリッチやフォロルンショへのロングボールからサイドに展開し、WBのクロスやンゴンジュの左足でチャンスを作る。

 

 

ニューカッスル戦後の3日間

 

 ユース部門全体の責任者に、フィオレンティーナとローマでプロフェッショナルな仕事をしてきたヴィンチェンツォ・ヴェルジネが就任。

 今季からチームマネージャーに就任したマランゴンといい、ピオーリのフィオレンティーナ時代の同僚が集まっている。

 

 100%イタリア産のハードセルツァードリンクBOEMがミランのオフィシャルハードセルツァードリンクに。

 

先発&フォーメーション

 ミランは負傷中のベナセル、カルル、メニャン、カルダーラに加えて、カラブリアとテオも軽い筋肉トラブルで欠場。バルテザーギとナヴァがベンチ入り。

 ケアーがミランでの公式戦100試合出場。

 

 エラス・ヴェローナはドイグ、トマ・アンリ、ブラーフが負傷欠場。ギュンター、ヤヤ・カロン、フルスティッチ、チャッチョア、パタネ、シセが招集外。

 

スタッツ&控え

MILAN VS HELLAS VERONA

 

ハイライト


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流れ

 

 雹が降るなど嵐の影響でキックオフが25分遅れる。

 

 配置上は3-4-2-1のミラーゲーム。しかし、ミランはフロレンツィがボランチに入り、レオンが外、ラインデルスが内側の3-2-5でビルドアップ。ヴェローナは基本はマンツーで捕まえる。ミドルゾーンではラゾヴィッチとンゴンジュが2トップになってボランチへのパスコースに立ち、ファラオーニ、ホングラ、ドゥダが前のめりでボランチとIBを監視し、バックラインはマニャーニ、フォロルンショ、ヒエン、ダヴィドヴィツ、テラッチャーノの5-3-2気味になる。

 ヴェローナのビルドアップは3-4-2-1。ミランは噛み合う形のままマークに付いてプレス。

 

 6分、ヴェローナはファラオーニがフロレンツィを引き出した背後にンゴンジュが動き、トモリとケアーの間に飛び出すフォロルンショで前進しCKを獲得。フロレンツィのマークを外したファラオーニがチャンスを得るがミスヒット

 7分、ミランゴールキック時のビルドアップはチャウがRSBで4枚とアンカー。ラインデルスが左に開き、レオンとムサが裏を狙うがフロレンツィからジルーへのロングパスは距離が足りずにホングラがカット。フォロルンショからダヴィドヴィツへのパスをプリシッチが引っ掛け、こぼれ球を奪ったヒエンにプリシッチとジルーが寄せてジルーがボールを前に突くと、レオンが独走して流し込みミランが先制。1-0

 9分、ドゥダが中盤に降りる。ケアーはついて行かずにクルニッチが寄せる。

 10分、ラインデルスがサイドに開き、トモリから内側を通してジルーに縦パス。レオンが内側に旋回して落としを受ける。

 15分、ヴェローナのビルドアップ。左サイドから右利きで内向きのテラッチャーノ、降りるドゥダ、開くラゾヴィッチでプレス回避を狙う。

 19分、6分と同様の形でフォロルンショが抜け出してアタッキングサードに運ぶ。左ハーフスペースのテラッチャーノに預け、テラッチャーノのアウトサイドクロスをケアーの前に入って頭で合わせるがスポルティエッロがファインセーブ。

 24分、ファラオーニからドゥダが降りて受け、落としを受けたマニャーニから、ドゥダにケアーが付いていった背後をフォロルンショとファラオーニが狙うが、繋がらずにミランのカウンターになる。

 45+2分、1-0で前半終了。

 

 後半からヴェローナはRWBにテラッチャーノ、LWBにラゾヴィッチ、CFにボナッツォーリが入る。前半途中から増えてきたハイプレスを継続。

 ミランはクルニッチがDFラインの間に降りたり、プリシッチが中盤に降りる場面が増える。被保持では左から攻めれた時はプリシッチがトップ下のような位置で中央をカバー。

 55分、左サイドをロングボールで前進し、ライン際でのンゴンジュのキープからドゥダがファーへクロスを上げる。テラッチャーノの折り返しをボナッツォーリが右足ボレーで合わせるがミートしきれずスポルティエッロがキャッチする。

 61分、ラゾヴィッチのクロスをスポルティエッロがキャッチして、フロレンツィに渡し、レオンへスルーパスでカウンター。レオンがPAに入り、カットインからシュートを狙うがマニャーニがブロック。

 65分、クルニッチが右腿裏を痛めて交代。ビルドアップ時はラインデルスがアンカーでロフタス=チークが高い位置を取り、左寄りにもプリシッチが現れる。

 67分、左サイドで受けたフロレンツィ。ヨヴィッチが降りてヒエンを釣りだした中央に斜めに動いたレオンにロングパスで前進。

 70分頃から、ロフタス=チークが左、ラインデルスが右に入れ替わる。

 71分、ロフタス=チークが自陣でフォロルンショからボールを奪い、運んでからプリシッチにスルーパス。プリシッチがダヴィドヴィツをかわして左足で撃つがモンティポがセーブ。

 74分、バルテザーギがトップチームデビュー。

 79分、ミランはポベガが左ボランチ、ロフタス=チークが右シャドーに入る。

 85分、ミランのビルドアップにヴェローナがハイプレス。スポルティエッロがボナッツォーリをかわし、ケアーからヨヴィッチに縦パス。ヨヴィッチはボールが右に流れながら収めて、内側を抜け出したムサにスルーパス。ムサが運んでシュートを撃つがモンティポがセーブ。

 ムサが足を攣って動けないのでロフタス=チークとポジションを入れ替える。

 89分、ジュリッチがボナッツォーリと2トップ、サポナーラがトップ下、ススロフがボランチ、フォロルンショがRWBに。

 90+6分、1-0で試合終了。

 

ミラン

 

 ビルドアップからチャンスを作るヴェローナとカウンターから決定機を得たミラン。想定外の展開の試合をミランが制した。

 今回の急な3バックは被保持で相手に合わせるというよりもカラブリア、テオ、カルルの欠場が重なって起用可能で信頼できるSBがフロレンツィしかいなかったことによる消極的な選択だったと思う。昨季1月の絶不調期の3(5)バックは守備を固める明確な狙いがあったが、今回はいつもどおりにCBを動かされていた。

 

 ビルドアップでは今季多くの試合で採用してきた3-2-5を採用。配置どおりではなくフロレンツィがボランチに入ることでズレを作ろうとしたが、マニャーニのレオンへの厳しい対応やフォロルンショが想定以上の守備貢献を見せたこともあって大きな成果には繋がらなかった。ハイプレスを受けるとロングボールを蹴らされて収まらずにボールを失うことも多かった。

 

 被保持は4バックの時と原則が変わらないので、「サイドのDFを引き出す→CBを横に動かす→空いたDFラインのギャップに飛び出す」で5バックでも危険な場面を作られた。ヴェローナも明らかに狙いを共有していた。4バックでSBが前に行けなかったり距離が遠く寄せが遅れるのは仕方ないところもあるが、WB同士ならそもそも受けられない、前を向かせないぐらいの距離にいて良いと思う。昨季から強度不足でハイプレスはほとんど機能していない。

 

 スポルティエッロが殊勲のファインセーブ。ビルドアップは不安だが良いプレーもあった。

 ムサは素晴らしい推進力で好印象を残し続ける。

 ニューカッスル戦で筋肉を痛めて交代したロフタス=チークは元気で、プリシッチが釣りだしたダヴィドヴィツの裏など良い飛び出しが多かった。

 カウンターで存在感を見せたオカフォーと顔を出し続けたヨヴィッチも悪くない。

 バルテザーギデビューおめでとう。ポベガに次ぐメガネ男子。

 

 次は中3日でアウェイのカリアリ戦。その後は中2日ラツィオ、中3日アウェイドルトムントと大事な試合が続く。

 

エラス・ヴェローナ

 

 ロングボールに頼らずに相手を動かしてチャンスを作り、可変ビルドアップへの対応もバッチリで攻守に意図を共有して進めた試合だったが惜敗。

 開幕節で謎の存在として認知したフォロルンショが試合を観るごとに欠かせない選手になっている。前線で体を張っていると思ったら、今節はボックストゥボックスで大活躍。今季の一押し候補。ナポリが19年から保有権を持っているのが意外。

 

主審 Fabio Maresca VAR Valerio Marini

 

 Matteo Marchettiから主審が変更。特になし。