自業自得記録地獄

主にACミランとセリエAに関する備忘録。

22-23 CL Round16 1st leg vs トッテナム(H) 復活したチームスピリット

 

 金曜日の勝利で公式戦7試合未勝利、4連敗の沼から一旦抜け出すことに成功したミランが、大観衆のサポートを受けて苦手なプレミアリーグ勢に挑む。

 

 トッテナムは12勝3分8敗、42得点35失点で試合数にばらつきがあるなかで5位。得点数はリーグ3位だが、コンテらしからぬ失点の多さ。前の週はマンチェスター・シティにウノゼロで勝利したが、土曜日のレスター戦では先制しながら4失点の逆転負け。移動込みの中2日で守護神ロリス、ホイビュアとベンタンクールのレギュラーボランチコンビが揃って欠場と状態は良くなさそう。

 過去の対戦成績はトッテナムの2勝2分。コンテもミラン戦通算14試合で10勝3分1敗、vsピオーリは7勝3分1敗と相性が良い。

 

トリノ戦後の3日間

 

 特になし。

 

先発&フォーメーション

 ミランはフロレンツィ、メニャン、ベナセル、トモリが負傷欠場。イブラ、デスト、ヴランクス、アドリ、バカヨコ、バスケスが登録外。復帰が期待されたベナセルとトモリは間に合わず。第3GKとしてナヴァがベンチ入り。

 トッテナムはロリス、ベンタンクール、ビスマ、セセニョンが負傷欠場。ホイビュアが出場停止。

 

スタッツ&控え&ハイライト

Milan-Tottenham | Stats | UEFA Champions League 2022/23 | UEFA.com

 

流れ

 

 3-4-2-1同士で噛み合う形。互いにGKからのビルドアップにはマンツーマンハイプレスに行くが、ミドルゾーンより後方ではトッテナムは5-4-1ゾーンで構えたところから下げさせてプレスに行き、ミランは5-2-3でボールサイドの人を捕まえてタックルやインターセプトでのボール奪取を狙う。

 ミランのビルドアップはサレマが上がって4-2-3-1に近い形で行う。ボランチ同士の距離を近くしてサポートを増やすことで後方での保持は安定する。前進の手段はジルーを主とした前線へのロングボールか、サレマが押し込んだペリシッチとカルルが引き付けるソン・フンミンの間にブラヒムが降りて受けるか。

 トッテナムのビルドアップは3バックとダブルボランチでライン間に降りるスペースを作り、ケインかクルセフスキへの楔を打つことが生命線。彼らが収められればソン・フンミンとWBが飛び出して一気にゴールへ急襲。ゴールキック時はダイアーがアンカー気味に4バックを形成。

 

 6分、ミドルゾーンで保持するミラン。チャウからレオンとポジションチェンジで高い位置を取ったテオにロングボール。テオがロメロに競り勝ちシュートを撃つ。フォースターが胸で弾いたボールにブラヒムが詰め、フォースターに一度は防がれるものの自ら頭でこぼれ球を押し込みミランが先制。1-0

 41分、ダイアーから縦パスを受けたクルセフスキをチャウが潰すが、奪い返したエメルソンがトナーリに倒されながらも右サイドを突き進み、スペースのあるゴール前に走り込むソン・フンミンアーリークロスを上げるが、絞ったサレマーケルスがクリア。

 44分、低い位置からラングレ、スキップ、クルセフスキと繋ぎ、クルセフスキが中央裏に抜け出したソン・フンミンにスルーパスソン・フンミンのシュートはタタルシャヌがセーブし、こぼれ球にケインが詰めるが、ケアーに当たったボールはバーに弾かれる。しかし、ソン・フンミンの時点でオフサイド

 45+1分、押し込んで攻撃を続けるトッテナムペリシッチのインスイングクロスをファーでエメルソンがテオに競り勝って折り返す。ケインがオーバーヘッド気味に狙うが当てられず、こぼれ球をエメルソンがクルセフスキに繋ぎ、ペナルティスポットからクルセフスキが撃とうとするがチャウとカルルでブロック。しかし、ケインの後のエメルソンがオフサイド

 1-0で前半終了。

 77分、レオンのシンプルなクロスをジルーが頭で落とし、ダイアーの背後を取ったデ・ケテラーレがヘディングで狙うが枠から外れる。ペリシッチが触ってCK 。

 78分、上述のCKの流れから、レオンが左サイドライン際からから右足インスイングのクロスを上げると、ファーでチャウが頭で合わせるが僅かに枠の右に外れる。

 81分、トッテナムの左CK。ペリシッチのアウトスイングのボールを中央でフリーのダイアーが頭で合わせるが、叩きつけすぎるミス。

 1-0で試合終了。

 

ミラン

 

 序盤のゴリ押し先制点で試合を優位に進める権利と特別なエネルギーを得ると、トッテナムの単調な攻撃を3CBのタイトなマーク、WBとダブルボランチのハードワーク、3トップのプレスバックで抑え込み、交代選手もフォア・ザ・チームの精神で運動量を担保した。チーム全体が活気のある動きを取り戻し、大量失点の4連敗からウノゼロの連勝を達成。10年ぶりのCL決勝トーナメントでの勝利となった。

 

 システムは変わっても、前で勝負することは変わらない。3バックに変更し、各々のマッチアップが明確になったメリットがトリノ戦以上に発揮され、高い個のクオリティを持つ相手に対して1vs1の勝負に臆せず挑むことができた。決して状態が良いわけではないケアーが世界最高峰のポストプレイヤーであるケインに自由を与えず、CLデビューのチャウがクルセフスキとリシャルリソンを完璧に捻じ伏せた。しかし、トッテナムトリノのようなサイドのポジションチェンジをしなかったのも対応しやすかった要因であり、次節のモンツァの方が個で劣っても保持の組織の連係と積極性は上なので、次節が3-4-2-1ミラーゲームの試金石になりそうだ。

 保持は4-2-3-1気味に可変することで安定感が増したのは前の2試合に比べれば良かった。右サイドに流れるブラヒムを中心とした繋ぎから左への展開ができればさらに良いが、それは開幕から変わらない課題で、スムーズにそれができればレオンは中に入らずに外で待っていられるのではないかと考えている。

 28分の場面はミランが押し込む一方で、ネガティブトランジションに備えた予防的マーキングをトナーリとチャウが行っているところが見られる。

 

 久々に溌剌とプレーするトナーリを発見し、カルルは完全に復調。レオンはやる気を出し、トリノ戦からさらに復調気味のテオ。ブラヒムとジルーは攻守にハードワークを絶やさず、サレマとクルニッチが守備に穴を空けない真面目さで信頼を掴む。チーム全体の改善に自身のパフォーマンスが比例するタタルシャヌと、大一番で相手エースを抑えた老獪なケアーが不安を払拭。そして、苦境に現れたヒーロー、“正真正銘の巨漢”チャウが次々と相手アタッカーをノックアウトしゴールに近寄らせない。なんとしてもベスト8に行きたい!

 

 次は中3日で土曜日にセリエAで唯一2023年無敗のモンツァとのアウェイゲーム。

 

トッテナム

 

 全体的に低調でミランからすると読みやすい攻撃ばかりだった。解説の野口氏がHTに仰っていたWBが斜めに飛び出してくるような動きをされたら本当に嫌だったと思う。先制点もロメロの競り負け方がらしくない。

 ホイビュアが戻ってくるセカンドレグはもう少しマシになるのか。かつてのエリクセンのように攻撃に色をつけてくれる存在がいればと思うがいない様子。

 

主審 Sandro Schärer (SUI) VAR Marco Fritz (GER)

 

 ロメロのトナーリへの足裏タックルはトナーリが咄嗟に避けたから良かったものの、まともに当たれば重症になり得るのでレッドカードが出されるべきだった。