自業自得記録地獄

主にACミランとセリエAに関する備忘録。

22-23 CL Round16 2nd leg vs トッテナム(A) 11年ぶりのベスト8

 

 フィオレンティーナ戦は全ての面で質と量が不足して敗れ、公式戦の連勝と連続無失点が4で止まったミラン。気を引き締め直し、敗戦から切り替えてロンドンに乗り込む。

 

 トッテナムは1stレグ後の4試合はホームでウエストハムチェルシーに2-0で連勝した後、アウェイでシェフィールド・ユナイテッドウォルヴァーハンプトンに0-1で連敗。胆嚢炎の手術の経過観察で1stレグ後からイタリアで自宅療養していたコンテがこの試合から復帰する。

 

incursore.hatenablog.com

 

フィオレンティーナ戦後の3日間

 

 特になし。

 

先発&フォーメーション

 ミランはイブラ、デスト、ヴランクス、アドリ、バカヨコ、タタルシャヌ、バスケスが登録外。第3GKとしてナヴァがベンチ入り。

 トッテナムはロリス、ベンタンクール、ビスマ、セセニョンが負傷欠場。ダイアーが出場停止。

 

スタッツ&控え&ハイライト

Tottenham-Milan | Stats | UEFA Champions League 2022/23 | UEFA.com

 

流れ

 

 ミランのビルドアップはメシアスが上がって4-2-3-1に近い形で行い、左サイドではクルニッチは中央に留まり、トナーリが広い範囲で動きをつける。また、右サイドではクルニッチがチャウとカルルの間に降りて3-3-3-1にも変化する。そこから前線3人に縦パスやロングボールを入れて一気に縦に加速していく狙い。トッテナムボランチの1人とボールサイドではないシャドーでミランのダブルボランチにプレスをかけるが深追いはせず5-4-1のゾーンでミドルゾーンにセットし、縦パスに対してCBが食いついて潰す。

 トッテナムのビルドアップは3-2-5で右はクルセフスキ、左はペリシッチミランのWBを押し込み、右はエメルソンをフリーにし、左はベン・デイビスペリシッチの間のスペースにソン・フンミンやケインが降りてボールを引き出す。ミランはチーム全体の重心が高い時はハイプレス。それ以外は5-2-3でセットし、ブラヒムは中盤に近い位置で守り、ジルーはボランチへのプレスバックを頑張り、フリーになりやすいエメルソンにはトナーリかトモリが出ていく。レオンは前残り気味。

 

 10分、ミランがハイプレス。レオンがラングレとフォースターを二度追いし、ジルーがロメロに行き、エメルソンへのパスをテオがカットするが、その後の繋ぎでクルニッチのコントロールミスからトッテナムのカウンター。ホイビュアが奪い、ケイン、クルセフスキで運んで6vs5の数的優位を作り、最後はエメルソンがPA外から左足でシュートを撃つがトモリがブロック。

 13分、トナーリが左前に動いてスキップを動かし、テオの横パスをクルニッチが右足アウトでレオンに縦パス。レオンがワンタッチでブラヒムに落とし、ブラヒムからロメロが空けたスペースに走り込んだテオにスルーパス。テオの折り返しはラングレがブロック。

 17分、レオンがロメロに倒されてFKを得る。ジルーが動かしたボールをトナーリが右のメシアスに繋ぎ、メシアスが右足でシュートを撃つが枠の左に外れる。

 34分、ホイビュアから内側のエメルソンにパス。トモリを引き付けて右のクルセフスキにパス。エメルソンがさらに中央に入ってクルセフスキから受けて右ハーフスペースに開いたケインにパス。ケインのワンタッチの折り返しは寄せたチャウに当たり、ゴール方向に飛んでいくがメニャンが足で弾き出す。

 0-0で前半終了。

 後半からトッテナムは前線からマンツーマンでハイプレスの優先度を上げ、保持ではソン・フンミンが右にも流れるようになる。

 50分、クルセフスキがサイドから横にドリブルし斜めに裏を狙ったソン・フンミンにパスを出すが、チャウとカルルでボールを奪い、クルセフスキに付いていたテオからカウンター。ブラヒム、メシアス、ブラヒムと繋ぎ、ブラヒムが二度シュートを撃つが、二度目をフォースターがセーブ。クリアボールをテオが拾って撃ち、ブロックされたこぼれ球をレオンが撃つが枠の右に外れる。

 52分、トッテナムはペドロ・ポーロがRWBに入り、エメルソンがLWBに回る。

 63分、ペドロ・ポーロのサイドチェンジからソン・フンミンのクロスはブロックされるが、ジルーにラングレが寄せて奪い返しトッテナムが二次攻撃。クルセフスキからPA内でパスを受けたケインのシュートはトモリがブロックし、こぼれ球を拾ったホイビュアがPA内に持ち込みシュートを撃つがメニャンがセーブ。

 65分、トモリから中央のジルーに縦パス。ジルーのフリックをレオンがエメルソンより先に触り、ブラヒムが回収し運ぶ。ブラヒムからPA手前でパスを受けたレオンがシュートを撃つがロメロがブロック。

 66分、メニャンのロングボールをジルーとロメロが競ったこぼれ球をテオが拾い、レオンと3回パス交換してレオンがPA内に持ち込み折り返す。フリーで受けたブラヒムだがトラップしたことで詰まり、なんとかシュートを撃ち、ベン・デイビスに当たったこぼれ球をジルーがボレーで撃つがフォースターがセーブ。

 67分、フリーのペドロ・ポーロのアーリークロスにチャウの前に入ったケインがダイビングヘッドで合わせるが枠の右に外れる。

 69分、トッテナムソン・フンミンが保持時はLWBに入る。非保持は4-4-2?

 70分、ペドロ・ポーロからケインへの斜めの楔をチャウがカットし、左から中央に飛び出したレオンにロングパス。レオンがPA内に持ち込むがシュートは大きく枠を外れる。

 76分、メニャンのフィードを受けて左サイドを抜け出したテオにロメロがスライディング。ロメロが2枚目のイエローカードで退場。トッテナムは3-4-2で戦う。

 82分、トッテナムはダビンソン・サンチェスを投入し4-2-3に変更。

 83分、レオンが左サイドを独力で運び、ソン・フンミンとスキップをかわし、ゴール前にこぼれたボールをトナーリが拾ってシュートを撃つがペドロ・ポーロがブロック。

 90+2分、トッテナムがゴール前中央からFK。ソン・フンミンのボールをブロックの手前でケインが頭で合わせるがメニャンが弾き出す。こぼれ球を拾ったテオが右サイドから運び、サンチェスに倒されるがトナーリがこぼれ球を拾い、テオが走ってトナーリからパスを受ける。テオは中央のオリギに渡し、オリギが左足でシュートを撃つが右ポストに当たり、跳ね返りをフォースターがキャッチ。

 0-0で試合終了。2試合合計1-0でミランが準々決勝に進出

 

ミラン

 

 何度も決定機を無駄にしながらも、要所を抑えた守備で1stレグのリードを守りきり、今季の目標の一つであった11年ぶりのベスト8進出を決めた。

 

 スパーズが1stレグから保持時の立ち位置を変えてきたが、冷静にトナーリとトモリが対応し、トナーリが出ていった中盤にプレスバックするジルーの献身性は見事だった。スパーズはフィオレンティーナ戦を観て、テオをWGでピン留めするプランを考えたのかもしれないが、フィオレンティーナと異なるのはボナベントゥーラのようにライン間でプレーする選手がいなかったこと。トナーリがサイドに釣り出されてもスキップはほとんど上がってこないし、後半にソン・フンミンが右サイドにも顔を出すようになったが最初の数プレーだけだったのは助かったように、2試合通してポジションを守るプレーが多く、ミランが嫌がるプレーが少なかった。

 ビルドアップでクルニッチが何度か危ないボールロストをやらかしていたが、ダブルボランチがポジションを動かして前線へのパスコースを作る狙いは良かった。しかし、トランジション局面も含めてジルーとレオンがあまりキープできなかった。今回のように0-0でも良い試合なら割り切れば良いが、リーグ戦でこれだとしんどい。レオンは攻め残るなら背負って受けるプレーは上手くなってほしい。ジルーは縦パスやロングボールを受けても3人目の受け手がいないことが少なくなかったので可哀想な面もある。オリギは酷い…

 

 正直、攻守で不可欠なベンタンクールの負傷、ハリー・ケインとソン・フンミンの不調、フィットしていないリシャルリソンなど問題を多く抱えている相手との対戦はとても運が良かったと思う。それでも、歴史的に相性が悪く、資金力に大きな差があるプレミアリーグ勢相手に無失点で勝ち上がったのは誇らしい。何より、昨季は8年ぶりにCLに復帰し、今季は復帰2年目で11年ぶりのベスト8まで帰ってくることができて本当に嬉しい。次はナポリインテルチェルシー以外ならどこでも楽しみ。マドリー、バイエルン、シティは未知との遭遇

 

 次は中4日で月曜日にホームでサレルニターナと対戦。集中。

 

トッテナム

 

 1stレグから保持を改善させるが、決定打までは至らず。リシャルリソンを投入して4トップ気味にしてもゴリ押すことはできなかった。

 ダビンソン・サンチェスの投入は4バックにするだけでなくセットプレーなどのパワープレー要員という面もあった。

 

主審 Clement Turpin (FRA) VAR Alejandro Hernández (ESP)

 

 83分のテオとダビンソン・サンチェスの微妙な接触は主審がPKの判定をしていてもVARは介入しない気がするので吹かないでくれて助かった。