自業自得記録地獄

主にACミランとセリエAに関する備忘録。

22-23PSM1戦目 vs レアル・マドリー

ルメッツァーネ戦後の流れ 

 7月21日、渡米。レビッチ、オリギ、バロ=トゥーレ、ラゼティッチ、カルダーラが招集外。

 

 7月22日、ザルツブルクからオカフォーを28年6月末までの契約で獲得。報道によると、移籍金は€13m+ボーナス€1~2mで、年俸は€2m。

 

 7月23日、PSM初戦。早速ブラヒムと再会。DAZNで配信あり。

 

先発&フォーメーション

 

ハイライト


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感想

 

 ルメッツァーネ戦のハイライトでも確認できた通り、保持時はクルニッチがアンカーで、ボールサイドではないSBがクルニッチの横に入る3-2-5の形を練習中。マドリーは2トップが外に誘導し、クルニッチをベリンガムがマーク。SBにIHが出ていき、空いたIHはクロースかCBがスライド。

前半のフロレンツィとカラブリアは積極的に中央に入って、サイドに張るWGへのパスコース創出、WGの横サポート、IHの押し出して両サイドで3人の関係性を作ることができていた。2点目はプリシッチがSBを引き付け、ポベガがSBとCBの間に走ってフロレンツィからパスを引き出し、ミリトンを釣り出したところから。コロンボからロフタス=チークへのパスは繋がらなかったが、前線へのパスをクルニッチがカットしてルカ・ロメロがゴラッソを決めた。アタッキングサードの崩し、被カウンター対応の両面で新たな試みが結果に繋がった。

被保持は高い位置で4-2-2-2のようにセットしたところから、WGが外切りでCBにプレス。横パスやバックパスにはコロンボが追いかけてサイドに誘導し、ロフタス=チークがクロースをマーク。左サイドに出ると、ポベガがバルベルデ、クルニッチがベリンガムをマークし、右サイドに出ると、クルニッチがカマヴィンガ、ポベガがベリンガムをマーク。逆サイドのWGはロフタス=チークと同じラインで中央に絞り、ボランチとの間を通されそうになるとプレスバック。カラブリアがメンディまで寄せたり、CB陣も前で勝負する意識が高く、縦横コンパクトにインテンシティが高いプレッシングを志向していることは読み取れた。マドリーはSBが高い位置を取り、ベリンガムが左右や間のスペースに顔を出して中央のマーカーを引っ張り出し、2トップの片方が空いたスペースで縦パスを受けようとする。

 前半に中央を割られたのはブラヒムからベリンガムにフリックされたのと、ライン間をコンパクトにできずにシミッチがベリンガムをフリーにしてしまった場面くらいで、バルベルデとクロースのミドルシュートは怖かったが、押し込まれても4-4-2で基本的に中央を厚く守ることができていた。26分のトモリのインターセプトからロフタス=チークが運んで、メシアスが撃ったカウンターの形は手応えあり。42分のプレッシングはプリシッチがミリトンに外切り、ルカ・ロメロがメンディ、コロンボがナチョに寄せて詰まらせて、メンディからGKにバックパスが出るとロフタス=チークがスプリントで追ってラフなボールを蹴らせ、ポベガのヘディングパスが繋がればショートカウンターという場面を作った。

 1点目は自陣右ハーフスペースでロフタス=チークがカマヴィンガからボール奪取したところから運んでFK、CKに繋がり、プリシッチのインスイングのボールをトモリがナチョの背後から前に入ってミリトンとナチョの間で合わせた。CKの守備はコロンボとクルニッチがストーンで残りはマンツーマン。FKの守備は深めのゾーン。

 後半はマドリーが8人交代でフレッシュなワールドクラスが登場する。ビルドアップ時はモドリッチがチュアメニとダブルボランチ気味になり、前線でバルベルデ、ベリンガム、ロドリゴ、ヴィニシウスが絡む。その4人に引っ張られてミランは2CBとダブルボランチが中央から出ていけなくなり、コロンボとロフタス=チークが下がって4-4-2で構えるようになると、今度はフリーになるアラバとリュディガーから裏に蹴って押し込まれる。ビルドアップにも前半より速いプレスをかけられてSBからコロンボや手前のロフタス=チークとポベガへ蹴るが、リュディガーに競り負けたり、落としが繋がらず運ぶことができなかった。プリシッチに対するカルバハルの寄せとバルベルデのカバーも速くなり、前半のように両サイドを起点とした崩しはほとんど見られなかった。

 立て続けの2失点はカウンター。1失点目は右サイドのスローインをフロレンツィが寄って受けて逆サイドのプリシッチに展開しようとしたところを奪われ、バルベルデミドルシュートがトモリに少しだけ当たりスポルティエッロが弾き出せず。2失点目はシンプルなパスミス。プレシーズンでもトモリとクルニッチが気を抜いていたところを見逃さないバルベルデの狡猾さと確実に仕留めるシュート精度は見事。

 70分からはミランが10人替えを行い、サレマがRSB、アドリがアンカーに入る。デ・ケテラーレがモドリッチ、ラインデルスがチュアメニ、アドリがニコ・パスをマークし、レオンがリュディガー、ジルーがアラバにプレスに行くが、すぐに失速した。サレマはカラブリア、フロレンツィ、テオと比較すると大胆に中央に入ってくることがなく、ハーフスペース止まりなうえに、内側で受けたのにロメロを使わなさすぎ、中央に入れすぎでボールを失う場面が目立った。ラインデルスとデ・ケテラーレはライン間から降りてくることが多かった。レオンはインスイングアーリークロスとドリブルで決定機を2回創出したが、立ち位置が低く、足下で受けたいのがバレバレ。クロスに合わせるのにも先に中に入りすぎなので、ファーで待ってSBとの身長差を活かすようなことも考えてほしい。終いにはドリブルで密集に突っ込んでボールを失い3失点目の起点になった。ケアーもバウンドに合わせられずにヴィニシウスに掻っ攫われてしまった。

 

 ルメッツァーネ戦のハイライトでは目立っていなかったロフタス=チークだったが、この試合ではトップ下兼右インサイドハーフのレギュラーにすっぽりと収まりそうな予感を感じさせるプレーだった。期待通りの推進力だけでなく、味方と繋がる能力もありそうで、おまけにロングボールのターゲットとしても使えそう。ボランチ経験者なのでトップ下の位置からバイタルエリアのカバーが必要な瞬間に気付いて戻れるのも頼もしい。連携を高めてアタッキングサードで質を発揮してくれると文句なし。

 合流間もないラインデルスはレオンとテオに挟まれる難しいポジションで迷いながらのプレーだったと思う。相手DF-MFのライン間に常駐して飛び出すようなプレースタイルではないと思うのでアンカーか、テオと柔軟にポジションチェンジする形で見たい。

 プリシッチとルカ・ロメロは保持も被保持も立ち位置が好印象。プリシッチはドルトムントチェルシーで多くの名監督、戦術家の下でプレーしてきただけあって、攻守ともに戦術の意図を理解しているプレーぶりは信頼できる。右サイドだとどうなるのか見てみたい。ルカ・ロメロは若いが、サッリの下で2シーズン練習してきたのは伊達ではないゾーンディフェンスの理解度で、間を通させない位置を取り、前進されても中盤のラインとともに下がってPA内のこぼれ球を処理していた。ウインガータイプではなさそうだが、あのシュートセンスは才能なので、長い目で見て昨季のブラヒムや久保建英のようにフィジカルとスプリント力が強化されれば大化けし得る。

 ガッビアの移籍内定で急遽先発したヤン・カルロ・シミッチはファイタータイプ。デミラルのような雰囲気。よくやった。

 メシアスの負傷は売却候補なので困る。

 アドリのアンカーは構想外だから空いている位置に入れたのか?堅実な繋ぎのクルニッチとは全く異なる攻撃的なプレー選択はおもしろかった。

 次は日本時間28日の午前11時にユヴェントス戦。