自業自得記録地獄

主にACミランとセリエAに関する備忘録。

23-24セリエA第4節 vs インテル(A) 相性と実力の5失点

 

 新戦力と新戦術が機能して開幕3連勝を飾った2位のミラン。実力通りの強さで無失点3連勝を飾った首位のインテル。インターナショナルマッチウィークを経て、7連戦の初戦に雨天のダービーで相見える

 

 昨季3位のインテルハンダノヴィッチ、オナナ、シュクリニアル、ブロゾヴィッチ、ジェコ、ルカクら中心選手が退団したが、ゾマー、パヴァール、カルロス・アウグスト、クアドラード、フラッテージ、マルクステュラム、アルナウトヴィッチら国内外の実力者を獲得し、質も量も落とすことなく、一定のレベルを維持することができたと思われる。

 開幕3試合はカウンター、中盤のスペースメイクとラウタロがスペースに降りて展開する形、ワンツーを活かしたサイドアタックからゴールに迫り、被保持ではプレスとブロックを使い分けて攻守に安定したパフォーマンスを発揮して無失点で3連勝。特に前節のフィオレンティーナ戦はECL予選の影響で動きの重かった相手を蹂躙して快勝を収めた。新戦力を勝利している後半途中から投入する余裕も見られる。

 

  •  過去10シーズンのセリエAの対戦成績はインテルの9勝6分5敗。昨季はスーペルコッパとCLを含めて5試合対戦し、5節にミランが勝利した以降は4連敗中。
  • ピオーリはインテル戦通算7勝6分15敗。シモーネはミラン戦通算9勝6分8敗。ピオーリvsシモーネはシモーネの11勝4分5敗。

 

ローマ戦後の2週間

 

 CLの登録メンバーが決定。ペッレグリーノ、ルカ・ロメロ、来年まで復帰できないベナセルが登録から外れた。

https://x.com/AntoVitiello/status/1699005003023953967?s=20

 

先発&フォーメーション

 ミランはトモリが出場停止。ベナセル、カルル、カルダーラが負傷欠場。チャカ・トラオレが招集外。バルテザーギがベンチ入り。

 インテルは欠場者なし。

 

スタッツ&控え

INTER VS MILAN

 

ハイライト


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流れ

 

 ミランカラブリアが中盤に入る3-2-2-3のような形でビルドアップ。インテルは5-3-2でミドルプレス。2トップと3人の中盤で中央を締め、テオにバレッラが出ていき、WGにWBが付き、ロフタス=チークとラインデルスにはバストーニとダルミアンが潰しに行く構えを見せる。

 

 2分、ミランはクルニッチが中央に降りてテオがボランチに入って変形。

 ロフタス=チークが右に流れて逃げ場を作り、ラインデルスがトップ下のような位置に入る。

 4分、インテルが最初のボール保持。3-5-2でビルドアップ。ミランは3バックに3トップ、WBにSB、ラインデルスがバレッラ、ロフタス=チークがチャルハノール、クルニッチがムヒタリアンをマークし、ボールサイドと逆のWGとSBが絞ってプレス。インテルはWBが低い位置でSBを引き出し、中盤も低い位置でミランの中盤を引き出し、2トップにスペースを与える。

 ミランがプレスに出ていき、ドゥンフリースからテュラムへ斜めの楔。テュラムがスペースのある右サイドに運び、身体を入れきれずにバランスを崩したチャウを置いて深い位置から折り返す。ディマルコのシュートを中央でムヒタリアンがコースを変えてインテルが先制。1-0

 7分、バストーニから中央のスペースのテュラムへのロングパスでインテルが敵陣侵入。

 10分、インテルスローインからラウタロがキープし、チャルハノールが左サイド裏に抜け出したディマルコにスルーパス。ディマルコのクロスをムヒタリアンがフリーで頭で合わせるが枠の右に外れる。

 11分、テオにドゥンフリースが出てくる。ラインデルスが左に流れ、中央のクルニッチ経由でパスを受け、中央のロフタス=チークに繋ぎ敵陣侵入。

 23分、ダルミアンがラインデルスに付いて行き、テオからドゥンフリースとアチェルビの間のスペースに走り込んだレオンにパスが出るがシュートは撃てず。

 インテルのビルドアップ。バレッラがDFラインに降り、アチェルビが中盤右に流れてフリーでダルミアンからパスを受けてテュラムに縦パスを入れる。前に出たバレッラが落としを受け、ラウタロから右サイドの裏に走ったテュラムへスルーパス。チャウがスライディングでカットしようとするがファウルでイエローカード

 29分、インテルのビルドアップ。アチェルビからテュラムへのロングパスをクルニッチがカット。

 30分、テオから左ハーフスペースに流れたジルーに縦パス。ジルーから内側を駆け上がったテオが落としを受けてPA内に猛進し、バランスを崩しながらシュートを撃つが僅かに枠の右に外れる。

 31分、インテルのビルドアップ。バストーニからテュラムへロングパス。ラウタロが左から中央に来て落としを受けて右サイドへ展開。

 37分、インテルのカウンター。テオからジルーへの縦パスをアチェルビがクリア。クルニッチが拾うが、トラップが大きくなったところを拾ったムヒタリアンからラウタロが下がりながら受けてワンタッチで前線のドゥンフリースにパス。ドゥンフリースが早めにテュラムにパスを出すが左サイド奥に流れる。テュラムが拾い、少しズラしてシュートコースを作ってPA角から右足を振り抜くとゴール右上隅に強烈なシュートが突き刺さりインテルが追加点を奪う。2-0

 45+2分、2-0で前半終了。

 

 56分、ゾマーからテュラムへロングパスが出るが、テュラムのコントロールミスをラインデルスが拾い、テオに落とす。テオはスペースがあるライン間のジルーに縦パス。ジルーがダルミアンの背後を取ったレオンにスルーパス。レオンが流し込んでミランが1点を返す。2-1

 58分、【閲覧注意】雨でびしょびしょで透け透けのシモーネ・インザーギ

 64分、インテルは3人交代。

 65分、ゾマーからアルナウトヴィッチへロングボール。チャウに押されながらもムヒタリアンに落とし、中央をラウタロ、フラッテージ、ムヒタリアンで突破し、カルロス・アウグストが右足でミドルシュートを撃つがメニャンがセーブ。

 68分、メニャンからレオンへロングボール。レオンが中央を上がったテオに頭で繋ごうとするがチャルハノールがインターセプト。ダルミアン、フラッテージと繋いで右サイドに出たチャルハノールが左裏に流れたラウタロにロングパス。ラウタロがケアーとカラブリアを引き付け、中央から上がってきたムヒタリアンがシュートを撃つとブロックに行ったチャウに当たってコースが変わりネットを揺らす。3-1

 77分、ミランが3人交代。被保持はオカフォーがトップ下でアンカーをマークする4-2-3-1に変更。

 交代直後、インテルPA内にスローインを投げ込む。チャウが触ったこぼれ球に反応したテオが先に触ったラウタロの足先を蹴ってしまいPK。

 78分、チャルハノールが中央に蹴り込む。4-1

 90+2分、チュクウェゼをカルロス・アウグストとムヒタリアンで挟んでボールを奪いインテルのカウンター。左からムヒタリアンがフリーで運び、アルナウトヴィッチが斜めに動いてチャウを左に動かし、テオとの間に走り込んだフラッテージがムヒタリアンからのスルーパスをワンタッチで流し込む。5-1

 90+5分、5-1で試合終了。

 

ミラン

 

 自分たちの土俵に引きずり込めず、動じない相手に完敗しダービー5連敗。現段階の自分たちのサッカーで勝てるレベルの相手ではなかった。インテルは序盤からバレッラがかました強度の高いプレーでこの試合にかける重要度を感じられた一方で、ミランは相手の最初のビルドアッププレーで失点し、追いかける状況でプレーしなければいけなくなった。

 

 保持ではゾーンで対応してきたインテルの3-2の間、中央を使えず、外回しで展開することしかできないのでインテルの中盤はスライドが容易だった。WGをフリーにすることができなかったし、WGでWBをピン留めした手前のスペースを活かすこともほとんどできなかった。さらなる進化を見せたかった右サイドだったが、ケアーは前節までのチャウほど広がらず、前に関わる様子がなく、ロフタス=チークは降りるだけ、プリシッチは幅を取るだけで動きもボールタッチも少なく、ジルーは左サイドに比べて右サイドでは頂点になる動きが少なかったような気がする。広がったケアーからバストーニをサイドや手前に釣りだしたロフタス=チークを超えてジルーに縦パスを入れ、プリシッチがサイドから横に動いて落としを受けてダルミアンとアチェルビの間を突破して決定機という形を妄想していた。終盤の90分辺りにフロレンツィが普通にRSBの位置でメニャンから受けて、ヨヴィッチが縦パスを受けたり、ムサが飛び出したり、チュクウェゼが内側に入ったりしてPA内に運べたので、3-2にこだわらず、4バックのままビルドアップする場面がもう少しあっても良かったのではないかと感じた。

 

 被保持はいきなり打ち砕かれた。簡単にテュラムにパスを通され、スペースを個人技で蹂躙され、最後はボールの行方を追うだけ。ミランのわかりやすいプレッシングの出方、マンツーマン意識の高さと相反する強度の低さインテルはやりたい放題だった。前線と中盤でデュエルを仕掛けた場面はほとんどなかった気がするし、簡単に自陣に運ばれてシュートを撃たれ、ロングカウンターのチャンスすらも与えてもらえなかったのがこの試合が最も苦しくなった要因だと思う。

 テュラムの強さは想定外だったのかもしれないが、クルニッチを中盤中央に残し、CFへの楔にスクリーンをかけ、入れられてもCBと挟み込めるようにしておいたほうが良かった。収めて運べる怪物相手にはマンツーマンよりも楔や展開のパスコースの制限と挟み込みが大事。後はなかなか中継カメラでは見えづらいし、タイミング次第で致命的な場面になるところだが、CBも後ろから付くだけでなく、先にラインを上げるような駆け引きを仕掛ける必要もあるかもしれない。

 シュートブロックはギリギリの対応なので正面からブロックに行けず、身体を反らしているのでゴール方向に飛んでいく。

 進歩しないカウンター対応。チャウは身体が重そうだった。3-2の作り方こそ違うが、同じ3-2でビルドアップしていた昨季のシティ(今季は知らない)は4バックに全員CBを起用して誰でも守れるようにしていたが、ミランには残念ながらそこまで攻守において対応力の高い選手が揃っていないし、テオを外すことも考えられない。

 

 開幕3試合の走行距離は114km→111km→107km(退場あり)と多めだったが、今節は101km。代表の疲労や持たされたこともあり走行距離が少なく、走りの強度も低かった。

 

 次は中2日でCLが開幕。火曜日にニューカッスルとのホームゲーム。トナーリの帰還を歓迎している場合ではなさそう。

 

インテル

 

 やはり強い。前線にスペースを与えたらお終い。

 ムヒタリアンは攻守にフル稼働でスーペルな活躍。テュラムとともに勝利に導いた。なんか毎回ムヒタリアンすごいと言っている気がする。フラッテージにも毎回やられる。

 

主審 Simone Sozza VAR Aleandro Di Paolo

 

 特になし。