自業自得記録地獄

主にACミランとセリエAに関する備忘録。

23-24セリエA第13節 vs フィオレンティーナ(H) 毎度お馴染み、後半の劣勢

 

 カンピオナートで4試合勝利がない3位のミラン。インターナショナルマッチウィークで新たにオカフォーが負傷し、CFがヨヴィッチしかいないため、15歳の神童カマルダがベンチに入った。

 また、今節は毎年恒例となった女性への暴力反対キャンペーンが行われる。

 

 フィオレンティーナは6勝2分4敗、20得点16失点でミランと3ポイント差の6位。前節までカンピオナートは無得点で3連敗中だった。ユヴェントス戦は保持率68%でシュートを25本も撃ったが、被シュート4本で敗れた。直近3試合は本職のRSBが不在で、全体的に保持時の質に苦しんでいる印象。

 今季も積極的なハイプレスと幅を広く使った攻撃が基本戦術。ライン間で躍動するボナベントゥーラがキーマン。サイドチェンジに揺さぶられないようにしながら、偽CB気味に上がってくるマルティネス・クアルタにも警戒が必要。

  • ゴール期待値12.7で20得点。セットプレーシュート数16位タイ、得点数2位タイ。
  • ポゼッションタイム4位。パス数8位、キーパス数7位、ファイナルサードのパス数2位。
  • クロス成功数16位。成功率19位。
  • ニコラス・ゴンサレスが枠内シュート数5位タイ、枠外シュート数2位。
  • パリージが被ファウル数3位。エンゾラがオフサイド数2位タイ。
  • セットプレー被シュート数最少、失点期待値最少、失点数1。
  • セーブ数6位タイ。
  • リカバリー数4位。インターセプト数18位。タックル成功数3位。
  • プレス強度指数2位。敵陣でボールを奪った回数2位。
  • PK献上回数4回で最多タイ。
  • 過去10シーズンのセリエAの対戦成績はミランの9勝4分7敗。サン・シーロだと6勝1分3敗。
  • ピオーリはフィオレンティーナ戦通算11勝1分9敗。ピオーリvsイタリアーノは3勝3敗。

 

レッチェ戦後の2週間

 

 ドバイにカーザミランがオープンする。

 

 女子チームの監督が交代。2勝3分3敗で10チーム中6位だった。

 

先発&フォーメーション

 ミランはジルーが2試合出場停止の1試合目。ベナセル、カルル、レオン、ケアー、オカフォー、スポルティエッロ、ペッレグリーノ、カルダーラが負傷欠場。プリマヴェーラからナヴァ、バルテザーギ、シミッチ、チャカ・トラオレ、カマルダがベンチ入り。

 フィオレンティーナはドド、カストロヴィッリ、カヨーデが負傷欠場。ラニエリが出場停止。

 

スタッツ&控え 

MILAN VS FIORENTINA

 

ハイライト


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流れ

 

 ミランは4-4-2でミドルゾーンに構えて、ヨヴィッチとムサがCBからアンカーのアルトゥールへのパスコースを消す。どちらかがCBにプレスに行くと、ポベガがアルトゥールを捕まえられるように前に出る。フィオレンティーナは右サイドはパリージが高い位置を取り、ニコラス・ゴンサレスはパリージが大外ならフリーマン気味、内側なら外に張る。左サイドはビラーギが下がり目でソッティルが幅を取り、ダンカンが内側の3-1-6のような形で保持。CBが中盤に上がったり、ボナベントゥーラが降りてアルトゥールが右に開いたり、マークを撹乱するポジションチェンジが多い。

 フィオレンティーナは前から人を捕まえる同数ハイプレスと4-4-2のブロックを使い分ける。ミランは低い位置ではテオを上げる3-2-5、ミドルゾーンでは両SBを上げて2CBと2DHで組み立て、ポベガが左に降りる形が多い。フィオレンティーナはベルトランがプレスもプレスバックも献身的。ハイプレス時にはCBが降りるシャドーを積極的に潰しに行く。ミランはメニャンがプラスワンになってボールを動かし、ポベガが動いて相手の中盤を動かしたスペースにプリシッチが降りて受ける場面が目立つ。

 9分、メニャンからSB裏のカラブリアへロングパスで一気に前進。

 22分、メニャンからソッティルの裏を取ったカラブリアへのロングパスで前進し、プリシッチがシュート。

 29分、プリシッチが降りて受けて前を向き、ムサとの横ワンツーで中盤をブレイク。ラインデルスが中央を持ち上がり、ソッティルの背後を取ったカラブリアがスルーパスを受けるが、折り返さずにニアに撃って止められる。

 ミランアタッキングサードまでは行くが…という場面が多くなる。

 39分、カラブリアのパスをマルティネス・クアルタがインターセプト。マルティネス・クアルタが前に行って縦パスを受けてトモリを釣り出し、ダンカンが落としを受けて、ニコラス・ゴンサレスがコントロールミドルシュートを撃つが枠を捉えられない。

 41分、ムサが右サイドに開いて受け、マルティネス・クアルタとビラーギの受け渡しミスからハーフスペースをフリーで抜け出したチュクウェゼが折り返すがミレンコヴィッチがブロック。

 43分、ミランの右CK。プリシッチのアウトスイングのボールをニアでポベガが頭で合わせるがテラッチャーノがセーブ。

 45分、トモリからムサが中央で受ける。食いついてきたマルティネス・クアルタをかわし、ダンカンと交錯したこぼれ球がライン間のヨヴィッチに転がり、ミレンコヴィッチとパリージの間に走り込んだテオがスルーパスを受けてPA内でパリージに倒されてPKを獲得。

 45+1分、テオがテラッチャーノを見ながら完全に逆を突いて決める。1-0

 45+3分、1-0で前半終了。

 

 後半からフィオレンティーナはビルドアップに絡めず、プレスでもポベガに動かされていたアンカーのアルトゥールを交代する。

 48分、ラインデルスが中央でプレスをいなし、ライン間で縦パスを受けたムサが左に展開。テオのクロスをヨヴィッチの背中に隠れたチュクウェゼが頭で合わせるがテラッチャーノがセーブ。

 右に降りたマクシム・ロペスから内側でテオの背後を取って抜け出したニコラス・ゴンサレスにロングスルーパス。チャウがカバーに行ってフリーになったベルトランがメニャンと1vs1になるがコントロールミスを逃さずにメニャンが飛び出して防ぐ。

 50分、チャウが右サイドを持ち上がり、カラブリアがワンタッチで内側を抜け出したチュクウェゼにパス。さらに内側を抜け出したカラブリアがチュクウェゼから受けて折り返すが合わない。フィオレンティーナのカウンターになるが、ソッティルのドリブルをカバーに入っていたムサが止める。

 51分、トモリからの縦パスをムサがスルーしてヨヴィッチが受け、右のチュクウェゼに展開するがクロスが合わずにカウンターを受けるが、ニコラス・ゴンサレスをトモリが突破させず、ミランが逆カウンター。プリシッチが左サイドを突破して折り返すがブロックされてまたフィオレンティーナのカウンター。ニコラス・ゴンサレスからベルトランへのスルーパスカラブリアがカバー。

 53分、メニャンからラインデルスへのパスをダンカンが奪う。

 ミランはビルドアップのミスが続き、フィオレンティーナがペースを掴み始める。

 60分、ドルトムント戦を見据えて、負傷明け同士のプリシッチとロフタス=チークを交代。ムサがLWGに入る。

 フィオレンティーナはマクシム・ロペスとボナベントゥーラが右に開き、パリージが中央の高い位置へ。ボナベントゥーラがテオを引き付けてトモリの裏に走り込んだベルトランにロングパス。ニコラス・ゴンサレスの折り返しがトモリに当たって左ポストに当たる。

 71分、ボナベントゥーラが右に開き、トモリの裏にエンゾラが走って受けて起点を作って押し込む。ミランは押し込まれても集中して対処しているが嫌な流れになっている。

 74分、スローインから右サイド深い位置でロフタス=チークが粘ったところから、セカンドボールを回収し、テオのスルーパスに抜け出したヨヴィッチが撃つがテラッチャーノがファインセーブ。

 チュクウェゼの戻りが遅れてフィオレンティーナが右から左へのサイドチェンジが増える。防戦一方な展開に。

 80分、フィオレンティーナはイコネとマンドラゴラを投入。

 83分、ミランはクルニッチをDFラインの中央、カマルダとチュクウェゼの2トップで5-3-2に変更。

 89分、フィオレンティーナの左CKからエンゾラとマクシム・ロペスに撃たれるがブロックし、マクシム・ロペスのコントロールシュートは枠の左に外れる。

 90+5分、フィオレンティーナの左CK。ニアでトモリに当たったボールをファーでマンドラゴラが詰めるがメニャンが顔面ブロック。

 90+7分、1-0で試合終了。

 

ミラン

 

 4試合未勝利から修正しなければいけないのに、前線とCBが人員不足という状況で、ピオーリはゴールキック以外はプレスを控えてコンパクトにブロックを組む守り方を選択。これはミラン側の事情よりも、フィオレンティーナが持たされる試合で崩しきれない試合が続いていることが理由だと思うが、プリシッチとチュクウェゼがSHに入って、レオンでは見ることのできないコンパクトな4-4のラインを形成し、ポベガがDFラインに入ってクロスを跳ね返したり、ムサがプレスとプレスバックを繰り返すことができるため、前半は持たれても安定した守備ができていた。

 保持ではフィオレンティーナの攻撃的なハイプレスに対して、メニャンがボールを持って時間を作り、その間にFPが動いてパスコースを作ることができた。一度キックをブロックされ、一度インターセプトされるミスもあったものの、繋げないGKだったら蹴らされて回収されて攻め込まれる無限ループにハマっていた可能性があるので、メニャンの存在は大きかった。メニャンからカラブリアへのロングパスのように一気に前進する形と、中盤をズラしたスペースにプリシッチが降りて受けて前を向いてライン間に侵入していく形で、手前と裏を使ってフィオレンティーナの陣形を間延びさせてアタッキングサードに運ぶまでは何度もできた。しかし、そこからシュート、ゴールに繋げられる質がなく、カラブリア、チュクウェゼ、ポベガはもったいないミスが散見された。

 後半は序盤こそミランは前半のように運ぶことができていたが、メニャンやテオのミスが続き、フィオレンティーナが右サイドにマクシム・ロペス、ボナベントゥーラ、ニコラス・ゴンサレス、パリージ、ベルトランと人数をかけて深い位置を取りに行くことでCBを釣り出すことと押し込むことを両立させてきた。ミランはコンパクトさを失ってはいないが、前半よりもラインが下がってしまってPA付近での守備が多くなり、自ずと失点の可能性が高まる状況を作られてしまった。2トップの守備はもはや意味がなく、75分以降は完全に押し込まれ、いつ失点しても不思議ではなかったが、メニャンのスーパーセーブとお互い様な質不足に助けられた。

 足が無さそうなチュクウェゼをフロレンツィと交代させるかと思ったが、カマルダと2トップで残し、クルニッチを5バックの中央に入れる奇策。フロレンツィが下がってカラブリアを中央で競らせるよりはクルニッチの方がフィジカルの安心感はあった。ただ、終盤のチュクウェゼは本当に見ていられなかったのでアドリかルカ・ロメロを入れないのは謎だった。

 失点が続いていたCKだったが、11本をなんとか耐えた。死にかけたけど。

 プレスに出てくる4バックの相手に対して、3試合連続で前半の優勢を後半に修正されて苦しんでいる。

 

 ポベガはオン・ザ・ボールで物足りない部分が多いが、攻守ともにボールのないところではできること、やってほしいことをしっかりやっていたと思う。約13kmで走行距離はチームトップだった。

 カマルダが15歳260日でのデビューでセリエA史上最年少出場記録を更新。天才ストライカーになってくれ。

 

 次は中2日でホームのドルトムント戦。元気なジルーに任せた。

 

フィオレンティーナ

 

 攻めても点が取れない、PKで失点と、こちらも同じような展開の試合が続いている。

 ハイプレスからのショートカウンターとセットプレーを極めるしかなさそう。

 

主審 Marco Di Bello VAR Paolo Silvio Mazzoleni

 

 判断が難しそうな場面が多かったが、正しそうなジャッジが多かった。主審よりも副審のサイドラインの判断の方が気になった。チュクウェゼのは出てない気がする。