自業自得記録地獄

主にACミランとセリエAに関する備忘録。

23-24セリエA第12節 vs レッチェ(A) デジャヴ

 

 公式戦4試合未勝利で迎えたミッドウィークのPSG戦ではチーム一丸となって逆転勝利を掴んだ3位のミラン。PSG戦とは全く異なるシチュエーションの試合でもやるべきことをやれるのかに注目。

 

 レッチェは3勝4分4敗、11得点14失点で13位。新監督ダヴェルサの下、新加入選手が躍動し、開幕5試合を3勝2分のスタートダッシュを決めたが、その後は公式戦7試合未勝利で3連敗中。0-4のナポリ戦以外は僅差の接戦を勝ちきれない試合が続いており、前節のローマ戦はATに2失点して逆転負けを喫する悲劇に見舞われた。

 CFのクルストヴィッチは身体が強く、ヘディングが上手い。WGは速いのでカウンターに注意。 SBがビルドアップから積極的に攻撃に関わり、守備でも前に詰めてくる。ヒュルマンの後釜ラマダニも前任者同様にカバーエリアが広く、SBとCBの間をカバー。今季もファルコーネが神。

  • 途中出場選手の得点数5点、3位タイ。
  • ドリブル数4位。
  • オープンプレー失点期待値18位。セットプレー失点期待値4位。
  • リカバリー数6位。
  • プレス強度指数3位。
  • ラマダニがリカバリー数リーグ最多。1試合平均走行距離3位。
  • 過去10シーズンのセリエAの対戦成績はミランの2勝2分。ミランはいずれの試合も2得点以上記録している。
  • ピオーリはウディネーゼ戦通算3勝7分1敗。ダヴェルサはミラン戦通算1分5敗。ピオーリvsダヴェルサはピオーリの4勝1敗。

 

PSG戦後の3日間

 

 特になし。

 

先発&フォーメーション

 ミランはベナセル、カルル、プリシッチ、ケアー、スポルティエッロ、ペッレグリーノ、カルダーラが負傷欠場。プリマヴェーラからナヴァ、バルテザーギがベンチ入り。

 ジルーがミランでの公式戦100試合出場。

 

 レッチェはアルムクヴィスト、コルフィッツェンが負傷欠場。

 

スタッツ&控え 

LECCE VS MILAN

 

ハイライト


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流れ

 

 ミランの保持は4-1-2-3、レッチェの被保持は4-5-1で左サイドはマンツーマン。右はストレフェッザがテオとトモリ、カバがポベガとテオ、ポングラチッチがポベガかジルーか余って柔軟に対応し、ラマダニはクルニッチをマークしつつ中盤全域をカバー。ミランの右サイドにボールがある時はストレフェッザが中央寄りでカウンターの起点になろうとする。

 レッチェの保持は4-1-2-3か4-2-3-1、ミランの被保持はラインデルスがトップ下の4-2-3-1か保持と同じ4-1-4-1で中盤とサイドをマンツーマンで対応し、ジルーがCBの間からプレスに行く。

 序盤は両チームともにCBからのビルドアップに苦戦。

 9分、レオンが負傷交代。ピオーリは中盤3人に指示を与える。

 12分、レッチェはカバが降りて右サイドをローテ。テオの背後を取ったジャンドレイのクロスをメニャンがキャッチしてミランが速攻。マークのズレを利用して運び、オカフォーからポベガがシュート。

 21分、ジャンドレイのスローインはファウルスローっぽい。

 チャウの持ち上がり、ラフィアの背後を取るラインデルス、ポベガの下手なトラップが目立つ。

 27分、トモリからクルニッチへのパスにラマダニが反応してレッチェのプレスラインが上がる。チュクウェゼが右サイドでキープして中央のスペースに入ったテオにパス。オカフォーとのワンツーでハーフスペースから折り返すがブロックされてスローイン。テオがオカフォーとのワンツーでジャンドレイの背後を取り、折り返しをジルーが身体で押し込んでミランが先制。0-1

 34分、ゴールキックから。チャウが持ち上がってラフィアを引き付け、チュクウェゼから中央に浮いたラインデルスが受けてポベガへのパスを狙いながら運び、ジルーが作った道に入ってシュートを撃つと待望の初ゴールが生まれる。0-2

 37分、ミランのビルドアップにレッチェがハイプレス。カラブリアからジルーへロングボール。ジルーが頭で落として走り込んだラインデルスが運んでシュートを撃つが右ポストに嫌われる。

 38分、ラフィアからカバが受けてテオの背後を取ったジャンドレイにスルーパス。ジャンドレイの折り返しにバンダが合わせるがメニャンがファインセーブ。

 レッチェはプレス時にラフィアがクルニッチ、ラマダニがラインデルスをマークし始める。

 45+2分、0-2で前半終了。

 

 後半からミランはムサがRSBに入る。レッチェはラフィアとラマダニのマークを戻す。

 45分、レッチェのカウンター。バンダからアンダーラップしたドルグがPA内でラインデルスに倒されるがファウルなし。

 51分、チャウが運んで左に展開。オカフォーのクロスが右サイドに流れる。チュクウェゼから右ハーフスペースを抜け出したラインデルスが折り返すが合わない。

 54分、ラインデルスが降りて受けてラフィアを食いつかせる。チャウに下げてラフィアの背後でリターンを受けて運ぶ。

 56分、レッチェは低パフォーマンスだったラフィアを交代する。

 62分、レッチェが3枚替え。ホアン・ゴンサレスがRIH、ブランがLIH、サンソーネがLWG、バンダがRWG。

 トモリが持つと、ポベガが寄り、ジルーが外に開きながら降りて受け、オカフォーが左サイドを突破して撃つがファルコーネがセーブ。

 66分、レッチェの右CK。バンダのハイボールをブランがクルニッチに競り勝って逸らし、ファーでムサの背後を取ったサンソーネが押し込む。1-2

 68分、テオが倒れている。ムサにピッコリがプレス。前に持ち出すが、タッチが大きくなりサンソーネが奪ってカウンター。左からピッコリPA内に運んで中央のサンソーネに渡し、サンソーネから受けたバンダが左足で流し込む。2-2

 70分、フロレンツィがRSB、ムサがLIHに入る。

 78分、ムサがRWGの4-4-2に変更。

 ロングボールの競り合いからフロレンツィが中央で奪い、ジルーとワンツーを試みるがポングラチッチに奪われて2vs4のカウンターを受けるがピッコリのロングシュートに救われる。

 ミランは攻守に混乱中。

 83分、ホアン・ゴンサレスが左サイドでスローインを受けて簡単に前を向かせてもらい左足でファーサイドにクロス。サンソーネが頭で合わせるが左ポストに嫌われる。

 ミランは3-4-3気味にして放り込むが押し込むわけでもなく、質も低い。

 90+2分、ジルーが主審への暴言で一発退場。

 90+3分、ジルーの退場から再開。ファルコーネのロングボールをピッコリが収めてロングシュートを撃つとゴールに入る。しかし、VARが介入し、ピッコリがチャウの足を踏んでいることが確認されて取り消し。

 90+6分、2-2で試合終了。

 

ミラン

 

 地獄のラスト30分。ラインデルスの初ゴールをみんなで祝福する幸せな時間に戻せ。

 

 どちらも上手く運べない序盤から、レオンの負傷で両チームともに動き出す。チャウが運んだり、ラインデルスが一度降りる動きを入れることでラフィアを前に釣り出してその背後をフリーになるラインデルスが利用することでミランは道が開いた。ジルーへのロングボールにもラインデルスとポベガが前に出てレイオフを受ける形を作れていた。両WGがしっかり幅を取るのでチャンネルへの走り込みも体感的には多かったと思う。

 被保持はジルーとラインデルスで2CBとラマダニを監視して相手の攻撃方向を限定することができていたと思う。オカフォーがレオンよりも中央に絞った位置でポングラチッチにもプレスに行くのでジャンドレイは積極的に高い位置に進出してストレフェッザが内側で降りたりすると、テオとポベガはやりづらそうだった。38分のピンチはオカフォーがポングラチッチへのバックパスを狙うよりもカバに後ろから寄せて前に出させないようにして欲しい。ポングラチッチに戻してジャンドレイに出される方がテオはインターセプトを狙いやすい。

 前半で2点を先行して、後半も中盤のスペースメイクで上回っていたが、ラインデルスに苦戦していたラフィアの交代で潮目が変わりかけ、3枚替えでプレスが激しくなった訳では無いが、各々の守備とトランジションの強度が上がってミランは運べる場面が減少。フレッシュな相手にセカンドボールの争いで敗れてロングボールからの前進も許すようになり、CKとカウンターから立て続けに失点して追いつかれる。ナポリ戦同様、相手の修正、変化に対応できずに一気にリードを失ってしまった。

 CKはミッドウィークのPSG戦と全く同じパターンでやられた。クルニッチは落下点に入れずにブランに簡単にヘディングを許し、ムサはボールもサンソーネも追えずに足を止めてしまった。昨季途中にゾーンからマンツーに変えたが、どうやったって失点する。

 テオが倒れている状況で受ける最悪な形のカウンター。ムサの持ち出す判断は悪くなかったが技術的なミスが起きてしまった。最後はメニャンもトモリもバンダが利き足ではない左足でコントロールシュートを撃つことは想定外だったかもしれない。

 終盤は4-4-2への変更で余計に混乱し、逆転される可能性の方が高いまま終わった。被保持では誰が誰に行くのか理解できておらずバラバラで、保持は立ち位置の柔軟性が乏しく捕まりやすい。最終盤に保持はテオとムサがWBの3-4-3気味になったが、ヨヴィッチよりもチャウを上げて、フロレンツィとテオがジルー、チャウ、オカフォーに放り込むパワープレーの方が効果がありそう。

 これで前回のインターナショナルマッチウィークからカンピオナートは2分2敗で勝点を大量に取りこぼして再びインターナショナルマッチウィークに突入する。2敗は5-3-2ブロックを崩せず、2分は4-3-3相手の2点リードを後半に失う負けに等しい展開。同じ試合を繰り返している厳しい現状。ミランは変わらないだろうが、4位のナポリはリュディ・ガルシアの解任が確実らしい。この決断がどう左右するか。

 

 ここまで観ていると、良くも悪くもチュクウェゼが思っていたのと違う。守備はできるし、ドリブラーよりパサー。相手を引き付けて周りを使えるのでスペースに入るのが上手いラインデルスとの相性が良さそう。

 ムサはやらかしたが、ポジションたらい回しの被害者でもある。

 ポベガとクルニッチは止める蹴るを鍛えてほしい。

 カラブリアは軽症だが久々のアッズーリ招集を辞退し、レオンは1ヶ月ぐらいかかるらしい。

 

 次はインターナショナルマッチウィークを挟んでホームのフィオレンティーナ戦。まずは負傷者を減らさないと話が始まらない。

 

レッチェ

 

 途中出場選手たちに明確な指示を出して改善させたダヴェルサと応えた選手たちはお見事。

 

主審 Rosario Abisso VAR Marco Guida

 

 ムサのカードはその前にドルグのファウルでしょ。ジルーは何を言ったのか知らないがごめんなさい。