自業自得記録地獄

主にACミランとセリエAに関する備忘録。

20-21セリエA第35節 vs ユヴェントス(A)

 勝点で並ぶ3位ユヴェントスとのCLを賭けた決戦。ミランは3点差以上の勝利か4点以上奪ったうえでの2点差勝利で直接対決の結果で上回ることができるが、アリアンツ・スタジアムではカンピオナート9連敗中で1度も勝ったことがない。

 ユヴェントスはここまで20勝9分5敗67得点31失点。

  • ホーム成績は2位。アウェイ成績は5位。
  • 得点4位。シュート数3位。
  • 失点2位。セーブ数16位(少ない)。
  • 3月3日が最後の無失点試合。以降11試合連続失点中。
  • クロス成功数2位。CK獲得数1位。
  • オフサイド数2位。
  • アクチュアルプレイングタイム3位。
  • ポゼッションタイム最長。自陣2位。敵陣1位。

 

先発&フォーメーション

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 ミランはカスティジェホが出場停止。ダニエル・マルディーニが負傷。アントニオ・ドンナルンマがベンチ外。

 ユヴェントスは欠場者なし。

 

スタッツ&控え

Match Report | 2020-21 | 35ª Match Day | Lega Serie A

 

ハイライト


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流れ

 ユヴェントスはCBとダブルボランチでビルドアップ。クアドラードは逆のアレックス・サンドロよりも少し高い位置を取る。ミランは4-4-2ハイプレスと4-4-1-1ブロックの併用。イブラは基本的にキエッリーニとデート。ブラヒムがボランチの片方を気にしながらデ・リフトへアプローチ、もう片方をべナセルかケシエが前に出て監視。余った方は中に入ってくるマッケニーかキエーザを監視。SHはまず対面のSBを気にしつつも、後ろのSBと連携して中央のカバーやベンタンクールが降りて3バック化したデ・リフトへのアプローチにも回る。

 ミランカラブリアが上がらずに3-2ビルドアップ。ビルドアップの段階ではサレマは大外でアレックス・サンドロを釣り出す役割。チャルハノール、ブラヒム、イブラがライン間で受けたりSB裏に飛び出す。前進に成功するとサレマも流動的にブラヒムとポジションチェンジを行う。ユヴェントスは基本は4-4-2のミドルゾーンブロック。たまにハイプレス。2トップ間や脇から簡単に前進。プレスバックも気まぐれで頻度も低い。ベンタンクールはかなりケシエを意識して前に出てくる。デ・リフトとキエッリーニの潰しの能力に依存。

 

 3分、ユヴェントスの右サイドからFK。クアドラードが入れたボールをトモリがクリア。ファーに流れたボールをデ・リフトがシュートを撃つがテオがブロック。

 7分、左サイドで受けたキエーザカラブリアをかわしてカットインからテオの裏を狙うマッケニーへクロスを入れるがケアーが僅かに触り防ぐ。

 13分、自陣中央でブラヒムがドリブルでカウンターを狙うがデ・リフトが出てきて奪いユヴェントスの攻撃。ラビオからアレックス・サンドロ、アレックス・サンドロから受けたロナウドがワンタッチでモラタへ。モラタがスルーしたボールをラビオが拾い、PA内に持ち込みシュートを撃つがトモリがブロック。

 20分、カラブリアからイブラへ縦パス。イブラは中央のケシエに戻し、ケシエが寄せてくるベンタンクールを物ともせずテオへ展開。ブラヒムが受けに来るがテオは中へドリブルし、ラビオを引きつけてブラヒムへパス。前を向いたブラヒムがミドルシュートを撃つがシュチェスニーの正面。

 29分、ユヴェントスのCK。クアドラードのインスイングのファーへのボールをドンナルンマが目測を見誤って触れずにキエッリーニがヘディングシュートも枠外へ。

 36分、トモリからベンタンクールが空けたスペースに降りてきたチャルハノールへ縦パス。クアドラードがついてきたのでチャルハノールはワンタッチでテオへスルーパス。抜け出したテオがイブラへクロスを入れるがアレックス・サンドロが間一髪でクリア。

 45分、ミランの右サイドからFK。チャルハノールがファーのイブラを狙うがシュチェスニーがパンチング。これをブラヒムが収め、寄せてきたクアドラードをかわして右足コントロールシュートを撃つと、ゴールカバーに入っていたキエッリーニの頭上、ゴール右上隅に決まりミランが先制。

 0-1で前半終了。後半からクアドラードのポジションがより高くなった気がする。

 45分、右サイドで受けたクアドラードから裏に抜けるマッケニーを囮にPA内のモラタへ斜めの楔。モラタのワンタッチの落としにベンタンクールが走り込み、ワンタッチでシュートを撃つがドンナルンマがセーブ。

 55分、べナセルから右サイドでパスを受けたブラヒムがドリブルで中央へ運び、ベンタンクールとキエーザの間のスペースに侵入し、裏を狙ったテオへスルーパスを出すがクアドラードがブロック。しかし、こぼれ球もブラヒムが拾いシュートを撃つとキエッリーニの開いた腕に当たり、OFRの結果PKに。しかし、ケシエが撃ったシュートは蹴る直前に逆へ動いたシュチェスニーが弾き出す。

 65分、イブラが左膝を痛めてレビッチと交代。

 69分、足を攣った(?)ブラヒムがクルニッチと交代。

 70分、ドンナルンマからサレマーケルスの裏に抜けたクルニッチへパス。キエッリーニを釣り出したクルニッチが頭でサレマーケルスに落とし、サレマーケルスはワンタッチで中央のチャルハノールへ。チャルハノールはべナセルに下げて広がったCB間へ走る。べナセルから受けたレビッチからチャルハノールへパスが出るがシュチェスニーが飛び出して防ぐ。

 73分、左サイドで受けたキエーザカラブリアとサレマーケルスに囲まれ、近くのマッケニーへ。マッケニーはワンタッチでアレックス・サンドロに戻し、アレックス・サンドロもワンタッチでキエッリーニに戻す。キエッリーニのワンタッチの縦パスに油断していたカラブリアよりも早く反応したキエーザPA外からミドルシュートを撃つがケアーがブロック。

 77分、ケシエのミドルシュートのこぼれ球をカラブリアが拾う。ケシエを経由し、べナセルへ。キエッリーニがクルニッチに気を取られた裏をチャルハノールがダイアゴナルに狙い、デ・リフトを引きつけてレビッチにスペースを与えると、べナセルからレビッチへ縦パス。レビッチがターンしてPA外から右足インサイドでシュートを撃つと、ボールは不規則な回転をしながらゴール右上隅に吸い込まれミランが追加点を奪う。

 81分、ミランのFK。チャルハノールのボールをトモリが高い打点のヘディングシュート。これが決まってミランが3点のリードを奪う。

 90分、内側のクアドラードからディバラへ縦パス。ディバラがカットインしてミドルシュートを撃つが僅かに枠の左に外れる。

 91分、右サイドのクアドラードから斜めにディバラへパスを出すがメイテが足を出す。こぼれ球をチャルハノールとクルセフスキが奪い合い、そのこぼれをディバラがキエッリーニに繋ぐ。キエッリーニが右に開いたモラタへ浮き球で繋ぎ、折り返しをクルセフスキがヘディングシュートも枠の上に外れる。

 92分、ユヴェントスのCK。クアドラードのアウトスイングのボールがストーンのチャルハノールとレビッチの間でアレックス・サンドロがフリックするがレビッチの足に当たりファーに繋がらない。

 0-3で試合終了。ミランアリアンツ・スタジアムで初勝利で3位浮上。ユヴェントスは5位に転落。ミランは直接対決の成績でも優位に立ち、残り3試合で2勝すればCL出場権を獲得可能になった。

 

ミラン 

 これ以上ない最高の結果。この1戦に懸ける思いを全員から感じた。

 後半立ち上がりのユヴェントスの決定機、PK失敗、イブラ、ブラヒムの交代。試合の流れを変え得るターニングポイントになりそうな場面でも流れを渡さずに2点目、3点目を奪い、最後までブレずに戦いきった。

 レビッチではなくブラヒム先発というピオーリの賭けは大当たり。元々ブラヒムは間受けや狭いスペースでのプレーはチーム内でも優れている方だったが、挟み込む守備が徹底されている相手には潰されたり、試合から消えてしまうという問題があった。今回、ピオーリはユヴェントスの4-4-2に対して、久しぶりに後ろ3枚でのビルドアップを採用。ビルドアップからチーム全体の立ち位置を調整し、自然と位置的優位を取れるようにデザインした。緩慢なユヴェントス2トップの守備もあり、容易に前進と保持を繰り返すことができた。

 ブラヒムをトップ下で起用することはチャルハノールを左サイドの守備に回せることにも繋がっていた。両CBの活躍が注目されがちだが、MF4人の集中力も素晴らしかった。チャルハノールの仕事はおそらくレビッチ、レオン、ハウゲのように中盤の感覚を持ってない選手にはできなかった。

 交代策もハマった。レビッチもクルニッチもボールを受ける動きをし続けて、自分たちの時間を作るのに大きく貢献した。もし、イブラが負傷しなかったら、ブラヒムと交代するのはレビッチだったのか?というのは気になる。レビッチが中盤を助ける守備がどれくらいできたのか気になる。

 クロス、シュートをブロックしまくったケアー&トモリ。キエーザ&ロナウドをほぼ抑え込んだカラブリア。シンプルに好調なテオ。

 守備では前後にこまめにポジション修正、攻撃ではユヴェントスの守備が緩いぶん、かなり楽に捌けたべナセル。PK失敗後も動じないメンタリティで中盤に君臨し続けたケシエ。圧倒的な運動量で攻守に味方をサポートし、相手の邪魔をしたサレマ。攻守によく走り、全得点に絡んだチャルハノール。

 ピオーリの抜擢に結果で応え、プレッシングも頑張ったブラヒム。自身にチャンスはなかったが、相手にとって無視できない存在という意味があったイブラ。

 契約問題で注目の的だったドンナルンマは1つミスがあったが、後半立ち上がりのベンタンクールのシュートを止めて流れを渡さなかった。

 

 次節は中2日でアウェイトリノ戦。サレマが出場停止。イブラも欠場。好調なトリノは残留できそうな雰囲気が出てきているがまだまだ確定していない。ビッグゲームの後で難しい試合になるのは間違いないが、一戦必勝で臨みたい。

 

ユヴェントス

 インテルに負けた後は守備が4-4-1-1で整理されて、その好循環が攻撃にも還元されていた印象だったんだが、元通り。前節は運良く勝ったとはいえ内容は酷かった。

 判断ミス以上に技術的なミスが多い。

 ミランのビルドアップすら止められないなら次節サッスオーロ戦も苦しい試合になるのは明白。

 選手層は厚いと思っていたが、実際はスカッドのバランスが悪いのか。いや、ピルロの用兵術が下手すぎるだけか。アッレグリならやれちゃうな。

 

主審 Paolo Valeri

 VARはカルヴァレーゼ

 ミランにレッドカードが多いということで色々言われていたが、テンションが高い試合でも荒れさせなかったのは良かったと思う。

 終盤戦になってどの試合も球際の激しさが一層増しているので主審も大変だなと思う。