自業自得記録地獄

主にACミランとセリエAに関する備忘録。

20-21セリエA第38節 vs アタランタ(A)

 シーズンラストゲームとなる今季53試合目の公式戦はCL出場権が懸かった超重要試合。3位ミランは勝てばCL出場権獲得。それ以外はナポリユヴェントスの結果次第。そんなビッグゲームの相手はピオーリの就任後唯一勝てていない天敵の2位アタランタアタランタは5連戦でミッドウィークにはコッパ・イタリア決勝で敗北。連敗でシーズンを終えたくはないだろうし、過去最高成績の2位を目指すだろう。ミランは今季のアウェイでの強さを大一番でも発揮できるか。

 アタランタはここまで23勝9分5敗90得点45失点。後半戦18試合は13勝3分2敗。カンピオナート11試合負けなし中。

  • ホーム成績6位。アウェイ成績3位。獲得勝ち点は同じ。
  • 得点数最多。シュート数2位。枠内シュート数最多。
  • 失点5位。セーブ数最少。
  • クロス成功数11位、失敗数最少。
  • オフサイド数17位タイ。1列目の選手がラインを留めて2、3列目の選手が飛び出してくる。
  • トータルプレイングタイム最短。
  • ポゼッションタイム7位。自陣18位。敵陣最長。自陣より敵陣の方が長いのはアタランタだけ。

 

先発&フォーメーション

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 ミランイブラヒモヴィッチ、レビッチ、ガッビアが負傷欠場だが全員帯同でベルガモへ。

 アタランタはハテブール、コヴァレンコが負傷欠場。

 

スタッツ&控え

Match Report | 2020-21 | 38ª Match Day | Lega Serie A

 

ハイライト


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流れ

 アタランタは図のようにプレッシング。ミランはレオンへのロングボールが多く、リスク回避を最優先。前線は流動的に動きマークを撹乱。ポジトラもレオンを裏に走らせる。

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 アタランタの保持とミランのブロックは下図のような形。

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 アタランタは左はサパタのポストプレーに人を集めてコンビネーションで突破を図り、右はメーレやトロイがフリーランを繰り返しマリノフスキーに時間とスペースを与える。そして、不意に前線に現れるロメロ。

 ミランはサレマーケルスが下がってほぼ5バックで対応。トモリはマリノフスキーを厳しく監視。ケシエがトモリが空けたスペースをカバー。基本的には撤退守備だがゴールキックの繋ぎにはハイプレス。

 

 3分、ドンナルンマからレオンへロングボール。レオンがロメロに競り勝ち、サレマーケルスへ頭で繋ぐ。サレマーケルスがミドルシュートを撃つが枠の上。

 12分、メーレがスペースへ運び、テオの背後を取ったマリノフスキーへ。マリノフスキーがフリーで左足を振るが、大きく枠の上に外れる。

 39分、ケシエが左サイドにドリブルで逃げ、中央のチャルハノールへ。チャルハノールはワンタッチでメーレの背後を取ったテオへスルーパス。更にテオは中央に入ってきたサレマーケルスとワンツーでPAに侵入しメーレに倒されてPKを獲得。これをケシエがしっかり決めてミランが先制。

 0-1で前半終了。

 アタランタは後半からペッシーナに替えてムリエルを投入。サパタを中央、左ハーフスペースにムリエルを配置。

 56分、アタランタは左でのパス回しからデ・ローンを経由しトロイへ。トロイはミラン中盤脇に降りたマリノフスキーへ渡し上がっていく。マリノフスキーはキックフェイントでレオンをかわしPA内のサパタへパス。サパタが反転してシュートを撃つが僅かに枠の左に外れる。

 65分、アタランタは右でのパス回しからロメロ経由でフロイラーへ。フロイラーはムリエルとのワンツーでメイテをかわしPA手前でマリノフスキーへ横パス。マリノフスキーがワンタッチでシュートを撃つがドンナルンマの正面。

 67分、中央をケアー、クルニッチ、サレマーケルスと繋ぎ、右サイドで受けたカラブリアがゴッリーニの位置を見て意表を突くシュートを狙うが枠に飛ばせず。

 67分、フロイラーから中央のムリエルへ縦パス。ムリエルのフリックはケアーがブロック。こぼれ球を拾ったメイテがドリブルで中央を割っていく。デ・ローンもなぎ倒しロメロの裏を取ったレオンへスルーパス。レオンがチップシュートで狙うが左ポストに嫌われる。

 71分、ミランの中盤手前で受けたムリエルがメイテをかわしてミドルシュートを撃つが僅かに枠の右に外れる。

 91分、FKをケアーから右に開いたダロトへ。ダロトはパシャリッチを縦に突破しゴール前に折り返す。チャルハノールがトラップしシュートを撃つとパロミーノがブロックしたボールがちょうどゴセンスの腕に当たりミランが2本目のPKを獲得。更にデ・ローンがクルニッチに何かをしてレッドカード。そして、2本目のPKもケシエがしっかり決めてミランに追加点。

 0-2で試合終了。ポゼッション32%ながら全員で守り、枠内シュートを1本に抑え5試合連続無失点。更に数少ない攻撃機会でPKを獲得し勝利。天敵アタランタを倒し、大一番を制したミランが8シーズンぶりのCL出場権獲得、9シーズンぶりの2位でシーズンを終えた。

 

ミラン

 アウェイ16勝でセリエA記録を更新。5大リーグでも最多タイの記録。

 

 攻撃機会は本当に少なかったが、ブラヒムのドリブルは可能性を感じさせてくれた。1つ目のPK獲得場面の連携は見事だった。ピオーリ的にはもう少しレオンでカウンターできる計算だったのかは気になる。

 撤退する時間が長かったが、終盤の元気な途中出場組のプレスに後ろも連動していたのが良かった。引くだけじゃなく出ていく姿勢を所々出すことは大事だと思う。

 守備で気になったのは、サイドが変わったときにスライドが間に合ってないのに飛び込んでかわされて中央に入られてしまう場面。65分のマリノフスキーのシュートは危なかった。

 とはいえ、こんなに長い時間を守り倒したのは昨季のロックダウン明け最初のコッパ・イタリアユヴェントス戦以来か?レビッチが早々に退場したが10人で守り切り、その後の快進撃の礎となった試合。あの試合が今に通じていると考えると感慨深い。

 走行距離はアタランタよりも4km多い。今季の平均と比較しても多く走った。ケシエは言わずもがな、チャルハノールも上がっていくトロイについていったりよく走った。サレマーケルスもゴセンスへの対応だけじゃなく、保持時はポジションチェンジで中へ入ってマークをズラそうとするなど頑張った。

 

 ケシエは年俸倍増でも心情的には全く問題ない。マジで最強。

 ケアーもいつものように冷静かつクレバーにサパタに対応し完封。最高。

 ダロトは超便利だし、右サイドを縦に突破できるのが今のチームでは価値があるので買い取ってほしい。この動画も最高。

 

アタランタ

 終盤戦、プレッシャーがかかった試合の連戦による疲労を隠しきれず、質も量も欠き、得点を奪うことができなかった。特にサパタが隠れてしまったり、3人目の動きが少なかったり、タイミングが合わなかった。

 絶好調だったマリノフスキーも精彩を欠いた。イリチッチが好調なら交代しただろうが、コッパ・イタリアのパフォーマンスを見ても全くそう思わなかったのでガスペリーニも動けなかった。

 メーレにポテンシャルがあるのは知っているが、ハテブールやカスターニュと比較されてしまうと物足りなさが目立つ。

 

主審 Maurizio Mariani

 VARはアウレリアーノ。

 37分のレオンが抜け出しかけてロメロに倒された場面はレッドカードのチェックはなかったのか?

 1つ目のPKはテオが先に転んでいるようにも見えるのでガスペリーニが怒るのもわかる。と思っていたが、よく見たらしっかりメーレと接触があった。

 2つ目のは手前でコースが急激に変わって防ぎようがない気がするし、腕が大きく広がっていたわけではないのでかわいそう。明確に肩より下だったら取り消されたかな?