自業自得記録地獄

主にACミランとセリエAに関する備忘録。

20-21 ACミラン総括

 ロックダウンによる3か月もの中断の影響で、終了が大幅に遅れた19-20シーズンを終わらせるための強引な連戦から1か月経たずして始動した20-21シーズン。目標はCL出場権獲得。昨季からほぼ地続きの始まりというのは再開後無敗で主力の退団もないチームにとっては悪いことではなさそうだった。

 契約満了のボナベントゥーラ、ビリア、イタリアが肌に合わなかったパケタらが退団した一方で、若手主体の補強方針を今季も継続。トナーリ、ブラヒム、カルル、ハウゲ、ダロトを少額の投資で獲得し、ベゴビッチが退団した2ndGKにはセリエAでの経験も豊富なタタルシャヌを獲得。セリエAで最も若いスカッドを組み上げ新シーズンに挑む。

 

今季の変遷

 20-21シーズンは昨季のしわ寄せを受けて序盤からEL予選とセリエAが交互に行われる6連戦で開幕。昨季から負傷離脱中のロマニョーリやムサッキオやコンティに加えてレビッチやレオンも負傷したり、イブラヒモヴィッチがCovid-19に感染するなど早速苦しい台所事情に。それでも再開後のチームを牽引しているケシエ、ケアー、チャルハノールを中心に、代わって出場するガッビアやカラブリアもハイパフォーマンスで応えて6戦全勝。カンピオナートは無失点。

 この6連戦での最大の難所かつシーズンを左右するゲームになったのはELプレーオフリオ・アヴェ戦。もしEL本戦に出れなかったら収入が減っていたが、コンディショニングが簡単になりスクデットも夢ではなかった?

 

 10月のインターナショナルマッチウィークを経て今度はインテルセルティック、ローマ、スパルタ・プラハウディネーゼ、リール、エラス・ヴェローナという難敵揃いの7連戦。ドンナルンマのCovid-19感染があったが、イブラヒモヴィッチロマニョーリが復帰。リールに242日ぶりの敗戦となる完敗を喫し、公式戦連続無敗が24試合でストップするも、まだネガティブな空気は生まれず。この7連戦で輝いたのはカンピオナート4試合連続ゴールのイブラヒモヴィッチと左サイドからの突破でチャンスを演出したレオン。ミラノダービーでの勝利は勢いだけではない実力を示す結果になった。

f:id:incursore:20210607120026p:plain


 11月のインターナショナルマッチウィークを経て今度はクリスマス休暇までの10連戦。代表戦でレオンが負傷し、ピオーリと右腕のムレッリがCovid-19に感染するなかで、初戦の苦手とするサン・パオロでのナポリ戦に勝利するがイブラヒモヴィッチまで負傷してしまう。更に昨季からの蓄積疲労が顕著だったケアー、べナセルも離脱し、ケアーの穴を埋めていたガッビアさえも負傷。ただレビッチが調子を上げ、トナーリもチームに馴染み始め、CBに抜擢されたカルルが奮闘することでカンピオナートの無敗を維持。この期間のMVPは8試合にフル出場しパルマ戦、ラツィオ戦で劇的かつ貴重な得点を挙げたテオ。

内容的にも展開的にも負け試合だったが得た勝ち点1。

イブラ、ケアー、べナセル怪我&ケシエ出場停止という緊急事態で得た勝ち点3。

f:id:incursore:20210607124305p:plain

 

  2020年はカンピオナート35試合23W10D2Lで年間獲得勝ち点1位になったミラン。束の間のクリスマス休暇を経て、年始からすぐに再開。ケアーが復帰した初戦のベネヴェント戦はトナーリの退場で防戦一方になるdがなんとか逃げきり、勝利で2021年の幕を開ける。しかし、イブラ、べナセル、サレマ、トナーリ、レビッチ、クルニッチを欠いた次戦のユヴェントス戦で今季初黒星を喫する。更にチャルハノールやテオまでCovid-19に感染。

 積極的に動く移籍市場では余剰戦力となったドゥアルテ、コンティを放出し、足りなかったDHにメイテ、第3のCBとしてトモリ、欠場が多いイブラの控えにマンジュキッチを獲得。チーム力のベースアップとコストカットを図るが、19節の天敵アタランタ戦で完敗。コッパ・イタリアでのミラノダービーにも敗れ、今季初の連敗となるが、その後はレオンのトップ下起用がハマって一旦持ち直し、2連勝で首位を維持したまま地獄の11連戦に臨むことになる。

 

f:id:incursore:20210607163221p:plain


 11連戦の初戦で昇格組のスペツィアに完敗を喫し首位陥落。ELレッドスター戦はなんとか勝ち上がったが、インテルとの天王山に力負け。ウディネーゼにはラッキーなPKで運良く引き分け。内容も結果も悪く、チャルハノール、テオ、カラブリアと負傷者も続出するなか、マンチェスター・ユナイテッドにはプライドを懸けて善戦するが勝ち上がれず。無敗で首位だった面影はもはや無いがCL出場は流石に大丈夫だろうという雰囲気でカンピオナート最後の10試合に突入。

f:id:incursore:20210607171447p:plain

 

 3月のインターナショナルマッチウィークを経て再開。サンプドリアパルマジェノア相手には勝ち点7を奪うが、サッスオーロラツィオに連敗。加入以降獅子奮迅の活躍を見せていたトモリだったが、疲労からか出足や判断が遅れ、失点に絡む場面が頻発。べナセルも全くコンディションが上がらず、チームは2位から暫定5位まで急落。冬の王者がCL出場権を得られないという前代未聞の出来事が起こるかもしれない。そんなネガティブな空気が生まれてしまった。

4-4-2で挑んだサッスオーロ戦の逆転負けは非常にもったいなかった。

f:id:incursore:20210607175126p:plain


 暗雲立ち込めるなか、最後の5試合でようやく主力が勢揃いし、2020年最強だったチームが意地を見せる。残留争い中のベネヴェントを一蹴し連敗を止めると、ユヴェントスとの直接対決にも完勝。再びイブラが負傷離脱してしまうが、トリノには7得点を奪う爆発ぶり。この勢いのままカリアリに勝ってCL出場権を得ると思われたが、決定機を作らせてもらえずに引き分けてしまう。運命の最終節の相手はアタランタ。今季のミランらしくPKで得点を奪い、らしくない割り切った撤退守備で守り切り、最後5試合を無失点で終えて2位でCL出場権を獲得。非常に難しいシーズンだったが見事に目標達成。

ブラヒム抜擢の奇策と3-2ビルドアップが成功したユヴェントス戦。


www.youtube.com

5バックで守り倒したアタランタ戦。

f:id:incursore:20210607183008p:plain

 

個人評価

AC Milan - Squad statistics (Detailed view) | Transfermarkt

Player Statistics - MILAN | Lega Serie A

 

GK

 #99 Gianluigi Donnarumma

 納得の今季セリエA最優秀GK。今まで多くのビッグセーブをありがとう。結局、名声より金よ。

 

 #1 Ciprian Tatarusanu

 怪我無く全試合に帯同。ドンナルンマがCovid-19に感染したことで出番を得たローマ戦ではミスが多く、勝てなかった原因になってしまったが、コッパ・イタリアとELでは安定していた。来季もお願いします。

 

 #90 Antonio Donnarumma

 出番なし。招集外も多々あり、存在感を示したのはベンチでイエローカードをもらったコッパ・イタリアと雪のミラネッロ。弟ともにさよなら。

 

CB 

 #13 Alessio Romagnoli

 昨季からの怪我で出遅れたが前半戦は主力としてプレーも、トモリ加入後は第3CBに降格したカピターノ。長所と言われるのは左利きを生かしたビルドアップと予測によるカバーリングだと思うが、長所と言っていい程のレベルなのか疑問がある。来季限りで契約満了かつ代理人がライオラ。昇給の要求は呑まないだろうから、コストカットと移籍金を得るために今夏の売却を支持します。もっと安くて良い選手は絶対にいる。

 

 #22 Mateo Musacchio

 昨季からの長期離脱から復帰しても出番は2試合だけで1月末に契約解除でラツィオへ移籍。移籍後も散々な出来。

 

 #24 Simon Kjaer

 何度か負傷離脱があったが、今季もDFリーダー、精神的支柱として不可欠な存在だった。PA内のシュートブロックやクロスブロックは熟練で、対角や裏に蹴り分けられるロングフィードの質はチーム随一。オールド・トラフォードでの同点弾は興奮した。意外にも負傷欠場した試合は負けなし。

 

 #43 Léo Duarte

 先発は大規模ターンオーバーしたEL6節のみ。結局ミランでは1年半で9試合の出場に留まり、トルコへ移籍。トルコでは試合に出れていたようだが、ローンなので帰ってきて再び移籍先を探すことになるかもしれない。

 

 #46 Matteo Gabbia

 ロマニョーリ離脱中に開幕スタートダッシュに貢献し、今季は安定した出場機会を得られるかと期待したが、Covid-19と負傷でチャンスをフイにしてしまった。トモリ加入後の先発は1試合のみ。地味に怪我が多いのは計算しづらい。

 

 #23 Fikayo Tomori

 1月に出場機会を求めてチェルシーから買取オプション付きローンで加入したベッカム以来のイングランド人。ケアーの負傷で早速出番を得たコッパ・イタリアミラノダービールカク相手に堂々としたパフォーマンスを見せて能力の高さを証明すると、26節からは全試合フル出場。調子を落とした時期もあったが、これまでのCBにはなかったスピードで不可欠な存在になり買取確実。ユヴェントス戦でのスーパーハイジャンプヘッドは衝撃的。

 

RSB

 #2 Davide Calabria

 開幕前は放出の噂もあったが残留すると、昨季終盤から感じさせていた進化の予感を完全解放。不得手だった対人守備が目覚ましい進化を遂げ、安定感を手に入れると、攻撃の起点になる配球も冴え渡り、攻守にハイレベルなSBに成長。今季序盤のスローガン#ReadyToUnleashを体現した一人。終盤はヘルニアを患いながら戦っていたようでシーズン終了後に手術を受けた。来季はカピターノバンドを巻く姿も見られそうだ。

 

 #5 Diogo Dalot

 夏市場終盤にマンチェスター・ユナイテッドからドライローンで加入。RSB、LSB、RWGをこなすユーティリティー性と怪我せず全試合に帯同するタフさは離脱者が多いチームにとって非常に助けられた。守備は良くはないが、縦突破できるドリブルは魅力的。残留希望だが、€20mと言われる価格設定は絶妙に悩まされる。

 

 #14 Andrea Conti

 昨季はピオーリ就任後にレギュラーを奪ったが終盤に負傷。そこでチャンスを得たカラブリアが急成長したことで今季は先発は1試合のみで1月にパルマへ移籍。パルマが残留すれば買取義務が発生したが、降格してしまったのでローンバック。

 

 #20 Pierre Kalulu

 リヨンBから獲得した身体能力が高い若手DF。初のトップリーグでのプレーだが、本職のRSBだけじゃなくCBとしてもプレーし、有望な選手であることを示した。SBとしてはクロス、CBとしてはマーキングの改善に期待。

 

LSB

 #19 Theo Hernández

 不動のLSBとしてFPではケシエに次ぐ出場時間を記録し、セリエAでは2回のドッピエッタなど7G5Aを記録。守備はLWGにチャルハノールやクルニッチを置くことでサポートを得られて悪目立ちすることは少なくなった。むしろ調子が悪い時に目立ったのはドリブルやパスの判断ミス。無理して突っ込んで奪われてカウンターという場面は少なくなかったが、その運びや突進に助けられる場面の方が圧倒的に多いのも事実。レアル・マドリーのメンディが負傷でも、枠が26人でも選ばれなかったことからもフランス代表はまだ遠そう。

 

DM

 #4 Ismaël Bennacer

 序盤戦は昨季からのケシエとのコンビでゲームを支配したが、中盤戦は度重なる筋肉トラブルで負傷離脱。終盤戦に復帰するが、結局負傷前のパフォーマンスには戻れず。相手のマークが厳しくなってきており、なかなか前を向いてプレーさせてもらえなかった。来季の1月にはアフリカネーションズカップもあるので今夏はしっかり休んでほしい。

 

 #8 Sandro Tonali

 高い期待を背負って加入したが、今季のパフォーマンスは本人含め誰も満足していないだろう。序盤はELを中心に戦い、戦術理解に努めた。ネガトラ対応は良かったが攻撃の貢献度が低い。刈り取る守備と局面を変えるパスやドリブルを身につけてほしい。

 

 #79 Franck Kessié

 今季も怪我無く53試合中52試合に帯同し50試合に出場した鉄人。FP出場時間リーグ4位。平均走行距離リーグ8位(実質6位)。何れもチームトップ。PK11本とはいえ13G。文句なしのチームMVP。覚醒した昨季から引き続きピッチ全体を支配した。印象的だったのは試合終盤にピッチ角で見せる鬼キープ。来季アフリカネーションズカップで離脱する時期が心配。来季のカピターノ候補筆頭プレジデント。

 

 #18 Soualiho Meïté

 1月にトリノから買取オプション付き半年ローンで獲得。戦術理解に多少時間はかかったが、フィジカルコンタクトの強さと奇妙な攻撃センスで終盤戦の序列はトナーリを上回った。気が抜ける瞬間が1試合に1回はあったり、何を考えてるのかわからない表情にネタキャラ感を感じて好きだったが買い取られない模様。

 

OM

 #10 Hakan Calhanoglu

 シーズン全体を考えると良かったと言えるのかは微妙だが、ハイプレスのスイッチ、プレスバック、献身的にスペースを埋める守備をしながら、6位タイの9アシスト、キーパス数4位というのは称賛されるべき数字。シュート数も多いがあまり決まらない。契約延長交渉がどうなるかわからないが、ブラヒム、サレマとのトリプルシャドウシステムのポテンシャルに期待。テオとの関係という面でも格上相手には左サイド起用が増えていきそう。

 

 #21 Brahim Díaz

 レアル・マドリーからドライローンでやってきたスペインの若き至宝。守備者の間でボールを受けるセンスと技術はチーム随一でスペシャリティがあった。プレッシングやフィジカルコンタクトの強度も向上中。そして、かわいい。ユヴェントス戦でピオーリに抱き付く姿やCL出場権獲得を喜ぶ姿に全米がキュン死したとかしてないとか。フル出場が1試合だけだったのでスタミナが課題と言えばそうなのかもしれないが、5人交代できるうちは問題ないと思っている。ただ、少しでもクオリティを維持できるようになるなら、それに越したことはない。買取オプション付きのローン延長を希望。

 

 #27 Daniel Maldini

 CFがいない時期にCFをやらされていたが残念ながら記憶にない。アパレルモデル化しているのでそろそろ旅をさせた方が良いのでは?

 

 #33 Rade Krunic

 特別なモノは持っていないが、そこそこのフィジカル、そこそこのテクニック、そこそこのインテリジェンスを持っており、離脱もCovid-19のみで、中盤のターンオーバー要員、クローザーとして欠かせなかった。離脱者多数、疲労もピークだったエラス・ヴェローナ戦でのFKは忘れられない。一部メディアでは売却候補に含まれているがどうなるか。

 

RWG

 #7 Samu Castillejo

 昨季までは筋肉トラブルが多かったイメージだが今季はケシエに次ぐ50試合に帯同。CFも務めるなど前線の離脱者が多いチームに於いて貴重な存在ではあった。しかし献身的だがクオリティ不足という評価は今季も変わらず、来季は売却候補に。

 

 #56 Alexis Saelemaekers

 攻守に動き回ってチームを助ける献身性は立派な才能。個人技のレベルは高くなく、アタッキングサードでのクオリティも物足りないが、狭いスペースをコンビネーションで崩すプレーは得意。今月22歳の誕生日を迎える若手だと考えると、まだまだポテンシャルを秘めていそう。全然関係ないけど、極度のSかMで、女体盛りとか緊縛とか金的とかいろいろなプレイを楽しんでそうというイメージ。

 

LWG

 #12 Ante Rebic

 怪我やCovid-19などで離脱を繰り返し、コンディションも安定しなかったがセリエAでは11G4Aとそれなりの結果を残した。CFでハイプレスの急先鋒を担う方がLWGで前残り気味になり周囲を使われるより好き。

 

 #15 Jens Petter Hauge

 EL予選でミラン相手に活躍した1週間後に地元クラブのボデ・グリムトから加入したシンデレラボーイ。序盤戦は出場機会も多く、プレー内容もポジティブだったが、徐々に自信を失ったような消極的なプレーが多くなってしまった。それでも29節のサンプドリア戦で貴重な同点ゴールを奪ったのに、その後全く起用されなかったのはかわいそうだった。現在は、取引の一部に含まれるんじゃないかとかローンとかいろいろな噂があるがこのまま終わってほしくはない。

 

CF

 #11 Zlatan Ibrahimovic

 PKが決まらなくなったり、言ってもないことで退場させられたり、ルカクと怪獣映画さながらの喧嘩をしたり、今季も話題に事欠かなかった神。しかし、神の体も老いには勝てず負傷離脱を繰り返し、終いには膝を痛め、代表復帰も虚しくEUROを欠場することになってしまった。それでも出場時の存在感は別格で、セリエA19試合で15G2Aを記録。信頼は揺るがないが、ファーストチョイスにもなり得るCFの補強は必至。

 

 #17 Rafael Leão

 昨季は全試合に帯同したが、今季はCovid-19と筋肉トラブルで度々離脱。セリエAで6G6Aという数字は悪くはないが、誰もが感じる特大なポテンシャルを安定的に発揮できるようになれば10G10Aも決して難しいことじゃないと思ってしまう。だから風間さんも言い続けてるし。それでもまだ22歳になったばかり。根気強く見守りたい。

 

 #29 Lorenzo Colombo

 イタリアU-20代表に選出されている19歳。ボデ・グリムト戦でプロ初ゴールを記録するが、試合経験を積むために1月にセリエBクレモネーゼにローン。クレモネーゼでは試合には出場しているが先発はなく1得点のみ。来季もBへのローンが濃厚。

 

 #9💀 Mario Mandzukic

 離脱を繰り返すイブラのバックアップとして、文句なしの実績と経験を持つ本職CFを1月にフリーで獲得。しかし、個人でトレーニングを続けていたとは言え、長く無職だった影響は大きく、試合に出場できるコンディションを作るのにすら苦労。出場すればトレードマークであるハードワークを見せたが得点の気配は感じさせず退団。負傷欠場していた期間の給与を寄付したという噂はらしい漢気。

 

監督

 Stefano Pioli

 常に離脱者がいるなかで次々に試合がやってくる難しいシーズンだったが、起用可能な選手でなんとかやりくりした。4月までは内容を追究するような時間もほとんどなかったと思われる。今季もハイプレスとカウンターの基本戦術をベースにしていたが、疲労でスプリントを繰り返せなくなってくると、4-4-1-1のミドルプレスやGKからのビルドアップの整備にも取り組み、一定の成果を上げた。

 アタランタ戦のメイテのトップ下起用という奇策やサンプドリア戦のサレマーケルスのSB起用などは失敗したが、ユヴェントス戦でのブラヒム抜擢と3-2ビルドアップや最終節の5バックなど重要な試合での戦術変更に成功。9シーズンぶりのセリエA2位、8シーズンぶりのCL出場権獲得は素晴らしい成績で、公式戦24試合連続無敗、セリエA27試合連続無敗、セリエAアウェイ16勝、セリエA38試合連続得点、セリエA17試合連続複数得点と数々の記録も打ち立てた。ミラン復権の道は名将への道。

 選手との関係は素晴らしく、「Pioli on fire!」と、ビッグゲームに勝利後の帰りのバスや飛行機で選手たちが歌うのはもはや定番化。限られた予算と戦力で結果を出したことで経営陣からも厚い信頼を寄せられている。良い意味で戦術的なこだわりを持たずに縛られない点と、居る選手で戦えるチームを作り上げる点は、大金を費やして補強することのできない今のミランには最適だろう。

 

 

来季の展望

 コストカットと現実的な補強で赤字は着々と減少しており、CL出場により収入が増える来季は補強予算も増額されるだろう。まずはケシエ、チャルハノール、カラブリアの契約延長、トモリの買取やブラヒムのローン延長交渉など主力の引き留めが最優先。次に両SBの控え、ケシエを休ませられるDM、決定的な仕事ができるRWG、イブラの控えにもファーストチョイスにもなれるCFの補強となる。余剰戦力の放出で如何ほどの資金を捻出できるかがスカッド強化の鍵になりそうだ。既にドンナルンマを切り、メニャンを確保した有能なマルディーニ&マッサーラのことだから良いスカッドにしてくれるはずだ。

 CLはポット4に振り分けられたため厳しい組に入ることを覚悟しなければならないし、グループステージを突破するにはELのようなターンオーバーもできない。今季のように離脱者が続出するとセリエAともども難しい状況になってしまう。更に1月にはアフリカネーションズカップでチームの心臓であるケシエとべナセルが1か月離脱する。したがって来季の現実的な目標はCL出場権獲得・CLグループステージ突破・コッパ・イタリア優勝かな。

 

 

 最後はセリエAのゴール集でお別れです。読んでくださった方、ありがとうございました。お疲れ様でした。来季も現実的な戦いをしつつ、久々のCLを楽しみましょう。


www.youtube.com

 

 

                                    Forza Milan!!