自業自得記録地獄

主にACミランとセリエAに関する備忘録。

22-23セリエA第20節 vs サッスオーロ(H) 崩壊

 

 公式戦5試合未勝利の泥沼に嵌り、6位アタランタに3ポイント差まで詰められた2位のミラン。後半戦最初の試合でリスタートを期す。

 

 サッスオーロは4勝5分10敗、18得点29失点でギリギリ残留圏の17位。中断前から2分6敗で8試合未勝利。決して酷い内容の試合を繰り返しているわけではないが、決定力不足と単純なミスからのもったいない失点が足を引っ張っている。

  • アウェイゲーム1勝3分6敗、6得点18失点。
  • 得点数14位タイ。セットプレーから2点、PKが3点。前半最後の15分が最多で5点。シュート決定率7%。
  • フラッテージが4点、ピナモンティとベラルディが3点、ロリアンテが2点、1点が6人。
  • ロリアンテが3アシスト、ハメド・トラオレとロジェリオが2アシスト。
  • シュート数9位。枠内シュート数8位。フラッテージが枠内シュート数リーグ5位ベラルディが枠外シュート数リーグ3位
  • 枠に当てた回数3回で17位タイ。
  • オフサイド数最少
  • 失点数14位。無失点試合5。最後の15分最多で7失点。
  • セーブ数最少。
  • リカバリー数最少。トリャン、マクシム・ロペス、フラッテージ、ロジェリオが近い回数でチームトップ4。
  • インターセプト数18位。タックル成功数最少。
  • ファウル数18位(少)。
  • 1試合平均走行距離リーグ最短。14位にマクシム・ロペス。
  • ポゼッションタイム11位。パス成功数11位。ファイナルサードのパス数7位。ロングボール成功数2位
  • キーパス数4位。ロリアンテがリーグ3位タイ
  • ドリブル数4位。フラッテージが被ファウル数リーグ8位。
  • ボールロスト数3位タイにピナモンティ、8位タイにロリアンテ。
  • 過去10シーズンのセリエAの対戦成績はミランが10勝3分6敗。サン・シーロに限るとミランの4勝2分3敗だが現在はサッスオーロが2連勝中。ピオーリvsディオニージは1勝1分1敗。

 

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ラツィオ戦後の4日間

 

 特になし。

 

先発&フォーメーション

 ミランはイブラ、フロレンツィ、メニャン、トモリが負傷欠場。ベナセルが出場停止。デストが筋肉疲労で欠場。テオとバロ=トゥーレが復帰。バカヨコが招集外。

 カラブリアミランでの公式戦200試合目。

 サッスオーロはピナモンティ、トリャン、ミュルデュルが負傷欠場。

 

スタッツ&控え

MILAN VS SASSUOLO | Statistiche

 

ハイライト


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流れ

 

 ミランのビルドアップはSBを上げ、WGが中に入り、2CBとダブルボランチでビルドアップ。クルニッチは中央からあまり動かないでポジションをキープする一方、トナーリがCB脇、CB間、さらには右まで移動することもある。右サイドにボールがある場合はジルーも右に流れ、レビッチが中央でCFのようになる。サッスオーロは基本4-4-2でタタルシャヌには持たせる形でプレッシング。ミランのビルドアップ隊4人に対して、2トップに加えてボランチの片方やベラルディが加勢する。ラインが高くコンパクトな陣形をキープ。ミランはサイドを縦に速く攻め込む意識が序盤から見受けられる。

 サッスオーロのビルドアップはオビアングとフラッテージがミランの中盤を引き出してライン間のトラオレを活かすイメージ。ミランのプレッシングは基本的にはジルーがトレッソルディをマークしたところからエルリッチやコンシーリにプレス。デ・ケテラーレがオビアング、トナーリがフラッテージを見て、クルニッチと2CBでトラオレとデフレルを見る。ジルーがエルリッチから遠い場合はレビッチがエルリッチに外切りプレスか、デ・ケテラーレかトナーリがボランチのマークからエルリッチにプレスする。

 

 7分、カラブリアのロストからカウンターを受けるが、クロスをガッビアがクリアし、カウンター返しでテオが運び、レビッチのクロスのセカンドボールをデ・ケテラーレが拾い、テオのクロスをジルーが左足アウトサイドで合わせてネットを揺らすが、今節から採用されている半自動オフサイド判定システムにより取り消し。

 17分、サッスオーロが右サイドのスローインからデフレルがキープし、トナーリを振り切ったフラッテージが中央に運びトラオレが左サイドでオープンなロリアンテにパス。ロリアンテがカットインシュートを撃つがタタルシャヌが上手く足を抜いてセーブ。

 18分、右サイドでサレマーケルスがオビアングにボールを突かれ、こぼれ球を拾ったトラオレからサイドチェンジを受けたベラルディがテオの上がった背後のスペースを持ち運び、ゴール前に折り返すとデフレルが押し込んでサッスオーロが先制。0-1

 20分、ガッビアのロングボールを拾ったエルリッチがコンシーリにバックパス。コンシーリからのパスをオビアングがワンタッチでレビッチがエルリッチへのパスを狙った背後のロジェリオに繋ぐ。ロジェリオが中央のフラッテージに繋ぎ、フラッテージはワンタッチでトラオレに預けて前に行く。デフレルとポジションチェンジをしていたベラルディが中央から右に流れながらトラオレからパスを受け、ゴール前に入ってきたフラッテージにパス。フラッテージがガッビアを振り切って豪快にニアを撃ち抜き追加点を奪う。0-2

 23分、右サイドで繋ぎ、大外からカラブリアが上げたクロスをジルーがエルリッチに競り勝ってヘディングシュートを決めて1点を返す。1-2

 29分、サッスオーロの右サイドからCK。トラオレのアウトスイングのボールをふらふらとストーンのトナーリとジルーの間に潜り込んだベラルディが頭で合わせて再び2点差にする。1-3

 サッスオーロはWGの戻りが早くなる。

 32分、サレマの左足クロスを大外でテオが折り返し、レビッチがボレーシュートを撃つがミートできない。

 34分、カラブリアのクロスが流れて左サイドでサレマが拾いクロス。ジルーが頭でフリックしたボールにレビッチが反応するが届かない。

 45分、素早く右サイドを運び、カラブリアのクロスをジルーとエルリッチが競り合って流れたボールをレビッチがボレーで合わせるがコンシーリがセーブ。

 1-3で前半終了。

 ミランは後半からレオンを左サイドに投入しジルーとレビッチが2トップを組む。

 しかし、キックオフからサッスオーロがボールを動かし、ミランが左サイドに圧縮したところでオビアングがキリアコプーロスにサイドチェンジ。キリアコプーロスからライン間で受けたトラオレがカルルを釣り出し、カラブリアの背後を取ったロリアンテにスルーパスPA内に入ったロリアンテがカラブリアに倒されてサッスオーロがPKを得る。ロリアンテが自らインステップで強いシュートを蹴り込み4点目を奪う。1-4

 ミランはボールサイドではないSHの振る舞いが左右で異なり、サレマは絞って相手のボランチを見るが、レオンは絞らない。

 53分、サレマがドリブルでオビアングのファウルを誘い、中央でミランのFK。トナーリが緩いボールを手前のジルーに蹴る。エルリッチが触って流れたボールをレビッチがボレーで蹴り込むが、オフサイドで取り消し。

 56分、ガッビアのロングボールをジルーが落とし、レビッチが中に入ってきたサレマに繋ぎ、サレマが左足でミドルシュートを撃つがコンシーリの正面。

 59分、上がってきたロジェリオからトラオレへのパスをカルルがカット。高く浮いたボールがレオンに繋がり、レオンが左サイドを突破してマイナスの折り返しにレビッチが左足で合わせるが枠の上に外れる。

 70分、ミランが3枚替え。ポベガが左ボランチでクルニッチよりもビルドアップ時に動く。左寄りでプレーしていたレビッチに代わったオリギは右にも顔を出して積極的にボールを呼び込み、ジルーは中央で待ち構える。

 76分、サッスオーロが3枚替え。トラオレが左サイドに回り、4-5-1で構える。

 78分、左サイド敵陣高い位置でベラルディがテオからボールを奪い、マイナスの折り返しをマテウス・エンヒキが左足で蹴り込んで5点目。1-5

 80分、オリギが左に流れてガッビアからロングボールを受けて起点を作り、アタッキングサードでパスを回し、中央のメシアスから左ハーフスペースでパスを受けたオリギがゴール右上隅に滞空時間の長いミドルシュートを決めて1点を返す。2-5

 84分、サッスオーロは5-3-2に変更。

 2-5で試合終了。

 

ミラン

 

 前節からどれぐらい立ち直れているのかを楽しみに試合を見始めたが、キックオフ直後にカルルのミスキックからカウンターを浴びたのを見て冒頭から不安にさせられた。ただ、不格好でもスピーディーな縦への攻撃と前で勝負しようとする守備や球際で戦っているレビッチを見ると後に退かない姿勢を感じることができた。しかし、ミスから先制されると連続失点。せっかく1点を返してもすぐにCKから失点して勢いを削がれる。リスタートを図った後半開始早々にも出鼻をくじかれ、際どいオフサイドに得点を阻まれるというツキの無さも足を引っ張り、5失点目で帰宅者が続出。オリギのゴラッソも後の祭り。

 前節の4失点を良薬にせず、ホームで屈辱の5失点。ガゼッタに名付けられた蔑称「ゴールの自動販売機」が売上を伸ばす。首位ナポリとは15ポイント差で連覇の夢が現実的に潰えただけでなく、インテルラツィオアタランタに抜かれて5位に転落し、昨季の王者は完全に崩壊した。

 ホームでの5失点以上は1997年以来。

 ジャンパオロ体制時の2019年9月以来の公式戦3連敗。

 

 守備≒攻撃のミランにおいて守備の崩壊はアイデンティの崩壊を意味する。チームとしてだけでなく、個人で守れるコンディションの良い選手もいないので根本から守り方を変える必要性を誰もが感じているだろう。強度が低く、連動できず、ハイラインをキープできないなら傷口が開きやすいハイプレスは棚に上げて、全員が責任を持ち、ゴールを守る意識を高めてプレーしてほしい。 

 保持では両SBを上げて前線に人数を多めに割き、サイドからゴールに迫ろうという意図があったと思うが、クロスの入れ方には工夫を感じなかった。ほとんどがジルーをシンプルに狙ったものだが、それでも1点は取れて他にもチャンスはあったので悪くなかったのかもしれない。ただ、相手の4バックに対して同数以上で攻めることができているのでファーが空きやすいにもかかわらず、ファーへのボールが少ないのは残念だった。

 

 オリギは足元の収まりが良く、自分で起点を作った流れでゴラッソも決めた。良いパフォーマンスだったが、ワントップで先発出場してあれだけ動くのは厳しそう。

 デ・ケテラーレは2分と46分に上手いプレス回避があっただけだが、この2場面は過去にも似たような場面を見たことがあるので得意なプレーだと思われ、相手が奪いに来ると相手の逆を突いてかわすことができるのだと思う。これを活かせそうなのはレオンと2トップの5-3-2でブロックを組み、セカンドボールを拾ってプレスをかわし、レオンと上がってくるテオを走らせるカウンター。押し込む局面では中盤かWGの方が効くと思う。

 

 次は日曜日に背水のミラノダービー。前節も今節も最後まで声援を送り続けたクルヴァ・スッドに応えてほしい。

 

サッスオーロ

 

 ミランの弱みにつけこみ、記憶に残るゴールラッシュで8試合未勝利から脱出。

 フラッテージもトラオレもロリアンテも好き。フラッテージとロリアンテは数字以上にインパクトを与えている。トラオレは遂にセリエAを卒業してプレミアに挑戦。頑張れ。

 ベラルディは近年は割と大人しかったが、ミランの不調に乗じて1G3Aを記録しミランキラーであることを再証明。

 

主審 Antonio Giua VAR Luca Banti

 

 両チームとも勝利がない状況と試合展開のせいで感情的になりやすい試合で難しかったと思うが、小さなファウルの判断一つ一つがストレスになっていったように感じる。

 48分のレビッチとロジェリオの競り合いはロジェリオのファウルを取って、お互いにイエローカードにはできなかったのか?