自業自得記録地獄

主にACミランとセリエAに関する備忘録。

22-23セリエA第21節 vs インテル(A) 付け焼き刃

 

 公式戦6試合未勝利、3失点、4失点、5失点の公式戦3連敗で2位から5位まで転落したミラン。ベナセルが負傷し、即戦力の補強もなく、最悪の状態で2位インテルとのミラノダービーを迎える。

 

 インテルは13勝1分6敗、40得点26失点で2位。1月以降の公式戦は6勝1分1敗。ナポリミランアタランタら上位陣には勝っているが、格下に苦戦する試合が多い。

  • ホームゲーム8勝2敗、21得点5失点。ホームではローマと並び最少失点
  • 得点数2位。セットプレーから7点、FKが2点、PKが2点、OGが1点。前半立ち上がりの15分が最多で8点。シュート決定率12%。途中出場選手の得点数6で4位タイ。
  • ラウタロがリーグ3位の11点。ジェコが7点、バレッラが5点、ディマルコとコレアが3点。
  • バレッラがリーグ6位タイの5アシスト。チャルハノールが4アシスト、ジェコとラウタロが3アシスト、ドゥンフリース、ダルミアン、バストーニが2アシスト。
  • シュート数3位タイ。枠内シュート数3位。枠内シュート数リーグ2位にラウタロ、3位にジェコラウタロが枠外シュート数最多
  • 枠に当てた回数10回で2位タイ
  • クロス成功数2位。CK数2位。
  • 失点数10位タイ。無失点試合6。後半の失点が多く、最後の15分が最多で8失点。
  • セーブ数11位。
  • リカバリー数16位。チャルハノールがリーグ10位
  • タックル成功数18位
  • 1試合平均走行距離リーグ5位。スプリント距離2位。全体の7位にブロゾヴィッチ、11位にバレッラ。スプリントの4位にドゥンフリース。
  • ポゼッションタイム4位。パス成功数4位。ファイナルサードのパス数7位。ロングボール成功数5位
  • キーパス数4位。ディマルコがリーグ3位タイ、チャルハノールが6位タイ
  • ドリブル数最少ラウタロが被ファウル数リーグ6位タイ
  • 過去10シーズンのセリエAの対戦成績はインテルが9勝7分5敗。インテルホームに限るとインテルの5勝3分2敗だが現在はミランが2連勝中。ピオーリvsシモーネはシモーネの8勝4分5敗。

 

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サッスオーロ戦後の6日間

 

 ラゼティッチがオーストリアのアルタッハにローンで移籍。ユングダルが移籍したばかりで監督は名ストライカーのクローゼ。無双してほしい。

 

先発&フォーメーション

 ミランはイブラ、フロレンツィ、メニャン、トモリ、デストが負傷欠場。ベナセルがハムストリングを痛めて欠場。

 インテルホアキン・コレアが負傷欠場。

 

スタッツ&控え

INTER VS MILAN | Statistiche

 

ハイライト


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流れ

 

 ミランは5-3-1-1で自陣に構え、オリギがチャルハノールを背中でマークするのが基本配置。IBのバストーニとシュクリニアルに持たせたところにメシアスとトナーリが出て、ムヒタリアンとバレッラにカルルとガッビアが縦スライドで対応する。インテルは中盤の3人がポジションを入れ替えてボールホルダーに対して顔を出し、ミランの中盤が片方のサイドに寄せられると、逆サイドのIBが中盤のスペースに出てきてパスを受けたり、IHがサイドに降りてミランのIBが付いてこないとフリーでパスを受け、食いつけばライン間に降りるCFに縦パスを入れたり、相手を見て各々がポジションを取ってボールを動かしゴールに迫る。

 ミランのビルドアップの形は3-1-4-2。インテルは5-3-2でチャルハノールかムヒタリアンがクルニッチへのパスを狙いながら、2トップがサイドに誘導して狭いエリアに追い込む。ミランはほぼ2トップへのロングボールで、たまにトナーリが下がって受けたり、メシアスがサイドに開いて受けたりする。

 

 5分、メシアスに対してバストーニと左に開いたチャルハノールが数的優位を作り、チャルハノールがライン間で浮いているムヒタリアンに横パス。ムヒタリアンがワンタッチでラウタロにラストパスを送り、ラウタロが左足で撃つがタタルシャヌが右手一本で弾き出す。

 9分、中盤の3人が自在にポジションを変えてボールを動かし、トナーリが中央に寄って空いたスペースに出てきたシュクリニアルのアーリークロスをケアーの前に入ったラウタロが頭で合わせるが枠の左に外れる。

 33分、インテルの左CK。チャルハノールのインスイングのボールをラウタロが下がりながら頭で合わせると、ケアーに少し当たってネットを揺らしインテルが先制。1-0

 1-0で前半終了。

 ミランは後半からブラヒムがトップ下の3-4-1-2に変更し、ブラヒムがチャルハノールを見ながらアチェルビにプレスをかけ、2トップがIBを追いかけて高い位置からボールを奪いに行く。保持でもブラヒムが中央から右に開いてムヒタリアンの背後でカルルからパスを引き出す。

 54分、ダルミアンのスローインを右サイドコーナーフラッグでキープしたジェコがゴール前に折り返し、ラウタロが走り込んで右足でシュートを撃つがタタルシャヌがセーブ。

 75分、自陣PA手前で上がってきたシュクリニアルからトナーリがボールを奪い、ブラヒムがシュクリニアルがいないスペースに動いたレオンにパス。レオンが運び、ジルーにラストパスを出すが、ジルーのトラップが大きくなりシュートを撃てない。

 85分、ミランはサレマがRSB、レビッチがRWGの4-2-3-1に変更。

 88分、ハーフウェイラインからインテルのFK。バストーニのロングボールをサレマがヘディング。こぼれ球をガリアルディーニが頭で前へ。ルカクが頭で中央のラウタロに繋ぎ、チャウの背後から前に入ったラウタロが左足で流し込んでネットを揺らすが、ラウタロがほんの少し前に出ておりオフサイドで取り消し。

 94分、オナナからのパスをゴセンスがワンタッチで前線に入れ、ルカクとチャウが競り合い、チャウが確保しかけたところにゴセンスが詰めて、こぼれ球をルカクがワンタッチで右足コントロールシュートを狙うがタタルシャヌが弾き出す。

 1-0で試合終了。

 

ミラン

 

 止まらない失点を減らすために、スクデットを獲得した「奪う」カルチョを一度棚に上げて、重心を低くゴール前のスペースを小さくする戦い方に変更して挑んだが、ボールの奪い方は定まっておらず、インテルにボールを動かされ続ける。相手のミスでマイボールになっても、ボールもチームも全く前進させることができない。なんとか無失点を維持して奇跡的なワンチャンやインテルの攻め疲れを期待するしかないと一縷の望みにかけていたが、前節と何ら変わらないCKからの失点で意気消沈。後半はプレッシングが改善されて前半よりマシになったが、ジルーがミスした場面以外は決定機を作れず、枠内シュート0本で完敗。公式戦7試合未勝利でとうとう6位に転落した。

 公式戦4連敗は16-17シーズンのモンテッラ体制以来。

 

 5-3-2ブロックを採用して良かったのはゴール前の人数が多いぶん、スペースやシュートコースを狭めて、カバーに回れる選手がいたので流れのなかでは失点をせずに済んだこと。つまり、ピンチは少なくなかったとは言え、失点を減らしたいという最大の狙いは効果を発揮したとも言える。

 悪かったのはボールを奪うプランが曖昧でカウンターを機能させられなかったこと。まず、オリギに動きまくるインテルの中盤の1人を背中で見るという難題を課すのは酷だった。そして、IBにIHがプレスに出ていく時が奪いに行くスイッチになるはずだったと思うが、インテルの中盤が捕まらないポジションを知っており、CFとIBも相手の組織が動いたタイミングでギャップを突くことを狙っている。おまけにラウタロが絶好調でボールを奪うことは不可能だった。インテルにとっては何度も経験しているシチュエーションであり、付け焼き刃の守備で敵う相手ではなかった。

 カウンターの起点になるべき2トップだったが、そもそもジルーは味方が上がる時間を作ることができる選手ではなく、孤立させると役に立たないのでロングカウンター狙いにはあまり向いていない。機能させるにはオリギと攻守両面でリンクできていないといけなかったが、インテルのボールと人の動きによって分断させられた。ロングカウンター狙いなら最前線はオリギかレオンで、ブラヒムかメシアスかデ・ケテラーレを相棒にするべきだったと思う。

 30分の攻撃は前半の保持で唯一狙いと可能性を感じた場面だった。インテルのプレスを裏返すようにカルルからのパスを後ろ向きのカラブリアが左足ワンタッチでDFラインの背後に蹴り、オリギがPA付近でキープし、メシアスが大外のテオを狙ったクロス。

 後半は2トップ+トップ下へのシステム変更で3バック+チャルハノールを追いかけることができるようになったことで後ろがインターセプトの狙いを付けやすくなった。確実に前半よりも狙い通りにボールを奪う場面が増え、75分の絶好機をジルーが決めていれば昨季のように空気が変わる可能性もあっただけに本当に悔やまれるミスだった。

 ピオーリが3バック継続宣言をしたが、今後も3バックの相手が4試合続くので当然と言えば当然。どんな人選とプレスラインで臨むのか、攻撃の形を構築できるのか。今は新たな取り組みを注視していくことしかできない。キーマンはレオン。レオンの守備意識と強度が計算できるようになれば、自身のキャリアだけでなく、チーム戦術にも幅が生まれる。現状は攻撃の得意なエリアではしてほしい守備の質と量が不足している一方で、最低限CBの側に立っているだけでもいい守備のエリアだと攻撃で良さが発揮しにくいジレンマに陥っていることがピオーリを悩ませているが、守備を免除させてきたのはピオーリ自身であり、長所を伸ばしてMVPにまで成長させたのもまたピオーリなのである。2人の成長なくして来季のCLも2人の未来もミランにはない。

 

 次は金曜日に今季2敗を喫しているトリノとホームで対戦。個人的に悔しいのは暗黒期時代のネガティブなメンタルを取り戻してしまっていること。またトリノに負けたら再び棲みつき始めそう。ロングボール対策にチャウの先発がありそう。

 

インテル

 

 降格圏の相手と戦っている感覚だったろうに違いない。オナナはトイレ休憩でも帰宅しても問題なかった。

 キレキレのラウタロはトリプレッタも狙えた。

 チャルハノールは絶賛せざるを得ない。

 ルカクが復調気味。

 ディマルコの頭頂部が禿げかけている。ミラニスタ的には個で仕掛けられるペリシッチがいたらカラブリアが蹂躙されていたはずなので救われた。

 

主審 Davide Massa VAR Paolo Silvio Mazzoleni

 

 ファウルのジャッジには概ね納得だが、カードは減らせたような気がする。インテルが2度PKをアピールする場面があったが、フットボールコンタクトと判定。ガッビアがジェコを両手で横から押したのは人によってはPKになりそう。