自業自得記録地獄

主にACミランとセリエAに関する備忘録。

21-22セリエA第12節 vs インテル(H) 総力戦の経験値

 7連戦の最後は3位インテルとのミラノダービー。最大収容人数の75%である57,000人が集結した今回のテーマは #ACMilanIsEverything

 

 今季からシモーネ・インザーギが就任したインテルはここまで7勝3分1敗の3位。レアル・マドリーアタランタラツィオユヴェントスといったチームには勝てていない。スクデットを獲得した昨季からコンテ監督、ルカク、ハキミが去り、エリクセンが起用できなくなってしまい、個で違いを生み出すことはできなくなったが、ジェコ、コレア、ディマルコが上積みになり全体としての選手層自体は厚くなっているように感じる。インテルも7連戦中で中3日。

  • 28得点はリーグ1位。開始15分以内に5点、後半は時間帯問わず17点を取っている。
  • 12失点はリーグ4位タイ。前半も後半も6失点ずつだが、最後の15分の失点が最多で4失点。無失点は3回で5位タイ。
  • シュート数2位。枠内シュート数は1位。
  • ヘディングゴール数1位。8点中、ジェコが3点、シュクリニアルが2点。
  • クロス成功数1位。失敗数11位。
  • CK数3位。
  • オフサイド数16位タイ。
  • セーブ数5位タイ。
  • 1試合平均走行距離2位。ミランより約6kmも多い。
  • アクチュアルプレイングタイム3位。
  • ポゼッションタイム3位。自陣4位。敵陣3位。
  • ジェコがリーグ4位の7得点。ラウタロが5点、コレアが4点で続く。チーム全体で12人のスコアラーがいるのは最多。
  • バレッラがリーグトップの5アシスト。キーパス数は2位の9本。チームトップの被ファウル数。リーグ11位の平均走行距離。チームのFP最長の出場時間。
  • ブロゾヴィッチは平均走行距離リーグ2位。
  • セリエAにおけるダービー直近10試合はインテルの6勝3分1敗。

 

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ポルト戦後の3日間

 ピオーリが10月の月間最優秀監督を受賞。

 ブラヒムがスペイン代表に招集。

 カラブリア、トナーリ、ポベガがアッズーリに招集。

 シェフチェンコジェノアの監督に就任。

 

先発&フォーメーション

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 ミランはレビッチ、バロ=トゥーレ、フロレンツィ、ペッレグリが復帰したが、ロマニョーリが内転筋の炎症で欠場。テオが出場停止。メニャン、メシアス、サムカス、プリッツァーリが欠場。コンティが招集外。

 ブラヒムはミランでの公式戦50試合出場。

 インテルはコルダズとサトリアーノが招集外。

 

スタッツ&控え

Match Report | 2021-22 | 12ª Match Day | Lega Serie A

 

ハイライト


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流れ

 ミランはCBとボランチの4人でビルドアップ。自陣深くではケシエが降りることが多く、ミドルゾーンでは降りずにインテルの2トップの間に立つことが多い。SBが上がり、WGはハーフスペース。WGはライン間だけではなく、中盤に降りてドリブルでの打開も試みる。インテルは5-3-2で構えながら2トップとIHで外に追い出し、WBがSBに寄せる。

 ミランの人を掴むプレスに対してインテルハンダノヴィッチを使って数的優位を作りつつ、さらにジェコかラウタロがトップ下のように中盤に降りることで、CBがついてくればミランの最終ラインが薄くなり、ボランチにとっては中盤で数的優位を作られてしまうという状況を生み出し、判断に迷いを生じさせる。

 7分、ケアーからパスを受けたカラブリアがワンタッチでタッチライン沿いに開いたイブラへパス。カラブリアが前に行きイブラのリターンを受け、もう一度イブラに戻す。イブラからブロゾヴィッチの背後を取ったクルニッチへ斜めのパス。クルニッチから落としを受けたカラブリアがクロスを入れようとするがバストーニがブロック。イブラがプレスをかけに行くがデ・フライからペリシッチへのパスで回避。ペリシッチはすぐに右サイドを駆け上がるダルミアンへ展開。ダルミアンから受けたジェコがラウタロへパスを出すがケシエがカット。ケシエが運ぼうとするがジェコとチャルハノールですぐにプレスをかけると、PA内でケシエとチャルハノールがもつれて転倒。笛がなってPKの判定。これをチャルハノールが決めてインテルが先制。

 15分、ハンダノヴィッチからブロゾヴィッチへスローイング。トナーリがすぐに寄せてハンダノヴィッチにバックパス。ハンダノヴィッチからシュクリニアルへパスを出すがレオンが寄せてハンダノヴィッチに戻す。そこにクルニッチがスプリントでプレス。再びシュクリニアルが受けてタッチライン際に降りたバレッラへパス。バレッラのリターンがミスになったところをケシエが拾いファウルを受ける。このFKをトナーリがトモリをターゲットにボールを入れると、シュクリニアルとぶつかったデ・フライのヘディングがゴールに吸い込まれ、オウンゴールミランが同点に追いつく。

 22分、ブロゾヴィッチからハンダノヴィッチへのバックパスにイブラがプレス。ハンダノヴィッチはライン間のラウタロへロングパス。フリーのラウタロのバックヘッドをジェコがラウタロへリターン。ラウタロは右から斜めに走ったダルミアンへパス。バロ=トゥーレがボールから目線を切ってしまいダルミアンがそのままPA内に侵入したところをバロ=トゥーレが倒してインテルに2本目のPKが与えられる。しかし、ラウタロのシュートをタタルシャヌがストップ。

 36分、インテルのビルドアップにプレスをかけて、バストーニからペリシッチへのパスにカラブリアがプレス。ペリシッチが中へ運ぼうとするがクルニッチも挟みに行くとペリシッチからブロゾヴィッチへのパスがズレてイブラが拾う。イブラがブロゾヴィッチとデ・フライをブロックし中央を上がってきたカラブリアへ。カラブリアはワンタッチでクルニッチに繋ぎ、クルニッチが左ハーフスペースのレオンへパス。レオンが左足でシュートを撃つがハンダノヴィッチがセーブ。こぼれ球も自分で撃つがミートできず大きく枠を外す。

 43分、ハンダノヴィッチから左に開いたブロゾヴィッチへ。ブロゾヴィッチはチャルハノールとワンツーで中に持ち出し、右に開いたバレッラへパス。バレッラは急がず、中央まで上がってきたブロゾヴィッチへパス。バストーニがブロゾヴィッチから横パスを受けるとペリシッチに預けてハーフスペースを走る。そこにペリシッチからリターンが来ると出てきたケアーをかわして折り返す。これをバレッラがシュートを撃つがバロ=トゥーレがライン上でクリア。

 44分、上述の流れでミランを押し込むインテルペリシッチが縦に仕掛けてクロスを上げるとダルミアンが頭で折り返したボールをジェコが落としてラウタロがシュートを撃つが僅かに枠の右に外れる。

 1-1で前半終了。

 後半からミランはバロ=トゥーレに替えてカルルを投入。

 54分、レオンをダルミアンの裏に走らせるロングパスが出るがハンダノヴィッチがキャッチしバレッラへスローイング。カルルが前に出るがダルミアンが追い越したのでそちらについていくとバレッラはフリーになりラウタロへパス。トモリがインターセプトを狙うが失敗し入れ替わってしまう。そのままラウタロが運びシュートを撃つがケシエに当たりCK。

 チャルハノールのCKはケシエが弾き返すが、ダルミアンが拾い、ブロゾヴィッチ、ペリシッチと繋ぎ、ペリシッチファーサイドへ緩いクロスを入れると、フリーのチャルハノールがボレーシュート。ジェコもラウタロも押し込めず枠の左に外れる。

 56分、ハンダノヴィッチからペリシッチへロブパス。ペリシッチは頭で前のジェコにパス。ケアーが収めさせずボールは下がりジェコはバストーニにバックパス。バストーニは前に運びジェコへパスを出し前線へ走る。ジェコは前線のラウタロへパス。ラウタロがバストーニに落とし、バストーニがクロスを入れようとするがトモリがブロック。

 68分、ミランの左CK。トナーリのボールをシュクリニアルがクリア。サレマがダルミアンに蹴り出させずこぼれたボールをイブラがカーブをかけて左足で狙うが枠の左に外れる。

 71分、インテルの左サイドでスローインペリシッチが縦に動くチャルハノールへ投げる。チャルハノールがヘディングでジェコに戻し、ジェコからのリターンをペリシッチにバックパスしようとするとサレマに当たりケアーの背後にボールが流れる。このボールをジェコがケアーに身体をぶつけてマイボールにしてゴール前へ折り返すとヴィダルがシュート。しかし、カルルがブロック。こぼれ球もヴィダルがシュートを撃つが再びカルルがブロック。

 88分、インテルゴールキックハンダノヴィッチはラインを上げてドゥムフリースへロングボール。ドゥムフリースが頭で前線へ繋いだボールはトモリがワンタッチでサレマへ縦パス。ブロゾヴィッチのタックルをかわして運んだサレマがミドルシュートを撃つと左ポストに直撃。こぼれ球をケシエが詰めるが枠の右に外してしまう。

 1-1で試合終了。

 

ミラン

 完璧な内容でも結果でもなかったが、不格好でも勝ち点を積み重ねることが継続できている。結果的に開幕12試合10勝2分で32ポイントを獲得しクラブ新記録を更新した。離脱者の多さと過密日程を考えると4ポイントしか落としていないのは凄いことだ。この試合でインテルはバレッラ、ジェコ、ダルミアンが交代してチーム力が落ちた感じが否めなかったが、ミランは9月、10月の総力戦で得た経験値がチーム力に繋がっていることが終盤の攻勢によく表れていたと思う。おまけに昨季の上位7チームのうち今季未対戦なのは首位のナポリだけで、逆にナポリインテルラツィオアタランタとも未対戦。カンピオナートに限れば非常にポジティブな流れになっている。

 

 ビルドアップからのチャンスメイクは少なかった。3-1-5-1のような立ち位置の場面が多く、右サイドはカラブリア、ブラヒム、イブラの連携、左はレオンの個人技で突破を狙ったが、インテルにしてみれば人が揃っているエリアに突っ込んでくるのは守りやすかったと思う。4-3-3でWGがWBをピン留めしてSBがIHを釣り出して、中盤か、CBが迎撃した裏にスペースを作る方が良さそうに見えた。その場合、右はカラブリアに起点としての役割を任せられるが、左はFBTにその役割を期待できない。そういう部分でもテオの不在は影響した。

 一方でプレッシングは一定の効果を見せて得点にも繋がった。1分と4分にはミドルゾーンでパスを繋ぐインテルに対して、パスコースを切りながら前に詰めてバックパスをさせてボールを奪ったり、GKまで下げさせてロングボールを蹴らせて回収したり序盤から良いプレーが多かった。クルニッチがブロゾヴィッチを徹底的にマークし、イブラもデ・フライハンダノヴィッチへのニ度追いも辞さなかった。難しかったのはCFが降りた時にCBがどこまでついていくかということ。タタルシャヌが止めたPKも起点はラウタロとジェコへのマーキングが曖昧になって受けさせてしまったところ。最終的なFBTの対応の拙さに目が行きがちだがその前に止めたかった。

 インテルのCBの攻撃参加はそれほど多くなかったが、上がってきた時はWGがつききれないので大体チャンスになっている。

 両チームともポジティブトランジションに対する意識が高かった。そのぶん逆カウンターのようになる場面もあった。

 走行距離はお互いに今季の平均よりも8km程少なく、7連戦のラストで両チーム疲労困憊ということがよくわかる。

 

 ヒーローはタタルシャヌ。安定のカラブリア、ケアー、トモリ、トナーリ。プレスを頑張ったクルニッチとイブラ。クルニッチはアタッキングサードのプレーの質が高ければ最高なのだが。

 タタルシャヌ、FBT、カルルの決定機ブロック集。

 

 ケシエはPK献上と最後の決定機逸以外は悪くなかった。バカヨコ投入後はトップ下で起点にもなっていた。ピオーリは重宝しているがミラニスタはトナーリ、べナセルにしてくれという想いが強まっていそう。

 バカヨコの投入は不安だったが、今季最高のプレーで終盤の攻勢に貢献。繋ぎのミスがなく球離れも早く良い判断ができていた。ここから頼むぞ〜。

 レオンを酷使せざるを得なかったのでレビッチの復帰が大きい。レオンよりもプレスの迫力があるし、タイプの違うアタッカーが出てくるのは相手にとって嫌なはず。

 チャルハノールにブチ切れるフロレンツィアツぃ。

 

 IMW明けはアウェイフィオレンティーナ戦から三度目の7連戦。フィオレンティーナは主力CB2人が出場停止だが、監督は昨季完敗したスペツィアのイタリアーノなので全く油断できない。

 

インテル

 ダルミアンはアッズーリに呼んでいいレベルのいぶし銀のパフォーマンスだが、カラブリアとディ・ロレンツォも素晴らしいという贅沢な悩み。

 バレッラは重症ではなさそうだが、大一番を控えるアッズーリにとってかなり痛い。

 ジェコの相方はラウタロよりコレアの方がハマる気がする。

 

主審 Daniele Doveri VAR Massimiliano Irrati

 ファウルなのかそうじゃないのか基準が全然わからなかった。ただ、カードをバロ=トゥーレの1枚だけに抑えたのは良かった。