自業自得記録地獄

主にACミランとセリエAに関する備忘録。

22-23セリエA第24節 vs アタランタ(H) 神々の帰還

 

 公式戦ウノゼロ3連勝でCL出場圏内に復帰したミランミランと勝ち点差3で6位のアタランタと重要な直接対決を迎える。

 

 アタランタは12勝5分6敗、42得点26失点で6位。ハマった時は恐ろしいほどの得点力を発揮するが、堅く守っていた序盤戦に比べると失点が増えていることもあり、印象ほど勝点を伸ばせていない現実。直近の公式戦5試合も2勝3敗で3点以上奪った試合もない。

  • アウェイゲーム7勝3分2敗、20得点11失点。アウェイに限れば2位
  • 得点数3位。セットプレーから5点、PKが6点、OGが1点。シュート決定率13%。後半立ち上がりの45~60分に最多の13点で、前半立ち上がりの15分は2点のみ。
  • ルックマンが12点(PK3)でリーグ3位。ホイルンドとコープマイネルスが6点、パシャリッチ、スカルヴィーニ、メーレが2点。1点が11人もいる。
  • ボガが5アシスト、ルックマンが4アシスト、コープマイネルスとソッピーが3アシスト。
  • シュート数7位。枠内シュート数4位枠内シュート数5位タイにルックマン、8位タイにコープマイネルス、14位タイにホイルンド
  • 枠に当てた回数8回で7位タイ。ルックマンが3回で3位タイ。
  • オフサイド数18位(少)
  • PK獲得回数8回で最多献上回数1回
  • 失点数6位タイ。無失点試合8。時間別失点数にほとんど差がない。
  • セーブ数10位タイ。
  • リカバリー数2位。12位にトロイ、16位タイにコープマイネルス。ファウル数5位タイにスカルヴィーニ
  • インターセプト数最多
  • 1試合平均走行距離リーグ3位。スプリント距離は4位。個人では3位にコープマイネル、14位にデ・ローン。
  • ポゼッションタイム7位。パス成功数9位。ファイナルサードのパス数3位。ロングボール成功数12位。
  • キーパス数5位。10位タイにコープマイネル
  • ドリブル数3位。被ファウル数チームトップはルックマン。ボールロスト数2位にルックマン
  • セリエA過去21試合の対戦成績は7勝7分7敗の五分。サン・シーロではアタランタが4勝4分2敗
  • ピオーリvsガスペリーニピオーリの10勝6分7敗

 

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モンツァ戦後の7日間

 

 昨季に引き続き、今季もKochéとコラボした4thキットを発表。昨季の大不評から今季は大人気。私もメニャンを買いました。

 

先発&フォーメーション

 ミランはベナセル、カラブリア、フロレンツィ、デストが負傷欠場。メニャンが復帰。ピオーリはセリエA通算800試合目の指揮。

 アタランタはハテブール、パシャリッチ、サパタが負傷欠場。デミラルが出場停止。

 

スタッツ&控え 

MILAN VS ATALANTA | Statistiche

 

ハイライト


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流れ

 

 ミランはクルニッチがカルルとチャウの間に降り、1-4-1-4-1のような形でビルドアップ。アタランタはエデルソンがトナーリを見て、デ・ローンとコープマイネルスがカルルとクルニッチを状況に応じて入れ替わりながらマークする。ミランはプレスを引き出してジルーにショート、ロング問わずパスを入れ、落としを2列目の4人がマークから逃れやすいように横や斜めに動きながら受けてアタッキングサードに運ぶ。また、右サイドではブラヒムが降りて、メシアスが中に入り、カルルが高い位置に上がるポジションチェンジも見受けられる。

 アタランタはボールサイドのボランチがDFラインに近づいてミランの中盤を引き出し、ホイルンドが前に張ってライン間にスペースを作る。ミランはブラヒムがデ・ローンを見ながらスカルヴィーニにプレスに行く。トップ下のコープマイネルスを中央ではボールサイドでないボランチが、サイドに流れればIBが捕まえる。

 

 6分、クルニッチからジルーへ縦パス。落としを受けたブラヒムが左のテオに展開し、テオのクロスはジムシティがクリアするが、テオが拾い、トナーリがキープし、レオンの鋭いインスイングのクロスをジルーがボレーで合わせるが枠の右上に外れる。

 24分、右サイドでパスを回し、カルルから左寄りに流れたジルーへロングボール。ジルーの頭での落としをテオが直接ミドルシュートを撃つと、左ポストに当たったボールがムッソの背中に当たりゴールに吸い込まれてミランが先制。1-0

 32分、主審が邪魔になってボールを失ったことでミランがカウンターを受けるが、クルニッチがルックマンを止め、トナーリが大きく前線に蹴り出す。それをジルーがバウンド際を足裏で落とし、レオンが右に回り込んでシュートまで持っていくが枠の右に外れる。

 36分、カルルからブラヒムに斜めのパス。ブラヒムがトナーリに落とし、トナーリがワンタッチでジルーに縦パス。ジルーが横に落とし、ブラヒムが運び、テオが中央へのランニングで相手を引き付け、レオンがブラヒムからのラストパスをワンタッチでコントロールシュートを狙うが大きく枠の上に外れる。

 アタランタはコープマイネルスを右シャドー、ルックマンを左シャドーの3-4-2-1に変更。

 1-0で前半終了。

 後半序盤はアタランタがCBの出足が良くなりミドルゾーンで保持する局面が増える。ミランは縦にコンパクトで中央に入られてもボールホルダーを前後左右から囲い込む。ミランのビルドアップはテオが前半よりも低い位置で4バック気味になる。

 59分、アタランタがサイドチェンジからスカルヴィーニの攻撃参加でPA手前に侵攻し、コープマイネルスがミドルシュートを撃つがトナーリがブロックしてミランがボールを奪う。トナーリがキープし、中央で受けたチャウが冷静なターンからカルルに展開。カルルから大外でパスを受けたメシアスが中央のブラヒムにパスを出し、ブラヒムのフリックをゴール前でフリーで受けたジルーが左足で流し込もうとするがムッソが膝でセーブ。

 60分、テオからレオンに斜めの楔。レオンがスルーし、後ろのジルーがワンタッチで左サイドのスペースにスルーパス。レオンが拾ってカットインからシュートを撃つがムッソがセーブ。

 62分、アタランタはボガが左シャドー、ルックマンが右シャドー、コープマイネルスが左ボランチに入る。

 68分、クルニッチがムリエルからボールを奪いジルーにパス。ジルーの落としを受けたトナーリがワンタッチで中央に動くレオンにパス。レオンがブラヒムに落とし、ブラヒムがワンタッチで左前のトナーリにパス。トナーリがゴール前のレオンに折り返すがレオンは触れず。

 70分、メニャンからロブパスを受けたテオがレオンとのワンツーで左サイドを運ぶ。ザッパコスタが身体を入れゴールライン手前でサイドラインに蹴り出そうとするが、テオに当たったボールがザッパコスタに当たりテオにこぼれる。テオがレオンに繋ぎ、レオンが右でフリーのメシアスにラストパスを出すが、メシアスの右足シュートは枠を捉えられない。

 83分、アタランタはボガ、ムリエル、ヴォルリッキーを2列目に並べる3-1-5-1のような形。

 85分、アタランタのクロスをデ・ケテラーレがクリア。レオンが拾い、前のイブラにパス。イブラがキープして、デ・ケテラーレ、メシアス、クルニッチと中央で繋ぐ。クルニッチがセンターサークルに降りてきたレオンに入れると、レオンはワンタッチで中央を抜け出したメシアスにスルーパス。メシアスが冷静に浮かせてゴールに流し込みミランが追加点を奪う。2-0

 2-0で試合終了。

 

ミラン

 

 守護神メニャンの復帰が攻守のグレードアップに繋がり、ライバルたちに完全復活を印象付ける文句なしの完勝。公式戦4連勝。4試合連続無失点。2位インテルと同勝ち点の3位に浮上した。クリード3が公開されることをピッチ周りの電子公告看板で知る余裕があった。

 メニャンの復帰により、ハイラインを維持しやすくなり積極的なハイプレスが復活し、クロスに対してゴールラインにへばり付かずに前に出てマイボールにすることでDFのクリアによって2次攻撃を受ける確率を下げ、なにより、3バック導入後の課題だったビルドアップが劇的に改善された。ジルーの頭に飛ばすことも、左右に振り分けることも、裏に飛ばすこともできるメニャンが前に出てビルドアップに参加することで、ミランは相手のプレスを分散させ全体の重心を前に置くことができる。GKへのバックパスも躊躇なく選択できるので、プレスが来なければ全体のポジションを整える時間を作り、新たに構築し直すことも可能になった。

 後方からの配球が安定したことで前線が活性化。カルルの攻撃参加が多く見られた右サイドの4人による連係が確立され、ジルーが完璧なポストワークでボールを繋ぎ、ビルドアップの縛りから解放されたテオとレオンが神出鬼没な動きでゴールに迫った。高い位置でボールを失った際のネガティブトランジションアタランタのポジトラを圧倒し、カウンターを許さないだけでなく、そのままハイプレスに移行して奪い切ることも少なくなかった。

 非保持は3-4-3のハイプレス、5-2-3のミドルプレス、ブロックを状況に応じて使い分けてアタランタの攻撃を完全封鎖。どの局面でも全体のコンパクトさを維持し、迷いなく目の前の相手に向かっていく迫力で相手に圧をかけてミスを誘うことができていた。それができるのも、対人に強く、速さでカバーもできる3バックに最後の砦としてメニャンがいるという安心感が攻撃的な守備を取り戻させているのだと思う。

 賢さと献身性が身についたブラヒムはハイプレスではプレッシングのキーマンになり、ミドルゾーンでは中盤のスペースを埋める判断も見せる。ジルーは相手ボランチへの献身的なプレスバックを厭わず、レオンは不器用ながらもトロイの攻撃参加には必死に追走した。WBとボランチはボールサイドでは対面の相手を潰し、逆サイドでは絞って中央をカバーする意識を持つ。特にクルニッチはこぼれ球の回収やタックルで何度もリカバリーした。

 ハイパフォーマンスの連続で復調の立役者となっているチャウはスピードとパワーを兼備する新進気鋭のホイルンドにも身体能力で劣らず、身体を当てて相手を止め、長い脚でボールを掻き出すなどいとも簡単に完封し、SB的な役割も兼任することで水を得た魚のようなカルルとともに整理されたビルドアップのなかでしっかりと前にパスを付ける姿も見せた。復帰2戦目のトモリは十八番の爆速カバーと足が伸びるタックルが完全復活。67分のルックマンがシュートを撃とうとした場面でトラップが大きくなった僅かな瞬間を見逃さずにブロックではなくタックルに行ったのは痺れた。

 そして、イブラがミランの最年長出場記録を更新し約20分間出場。アルゼンチン代表のメッシのようにイブラがいると、試合終盤ながら他の選手たちの強度が上がったように感じた。インテリジェンス、テクニック、オーラは全く変わらないので普通に点を取ってくれそう。

 

 次は土曜日にフィオレンティーナとのアウェイゲーム。レオンとクルニッチが出場停止。レオンの代役はレビッチが優勢ながらオリギの可能性もある。何れにせよ、レオンである必要性が3バック導入以前と比較すると落ちているのでチャンス。クルニッチの代役はベナセルが間に合いそう。ミッドウィークにCLが控えていることを踏まえて他にも変更はあるのか。

 

アタランタ

 

 体調不良かと疑うほど動きにキレがないメンバーが多く、技術的なミスも判断ミスも頻発し、04-05シーズン以来初めての前半シュート0本。後半も3本のみでPA内では1本も撃てず。

 

主審 Maurizio Mariani VAR Marco Guida

 

 トロイのハンドはプレーの印象的にはレオンのようにレッドカードをアピールしたくなるが、DOGSOではないのでイエロー。主審がボールと被ったことでミランがボールを失いカウンターを受ける場面が2回もあった。失点せずに助かった。