自業自得記録地獄

主にACミランとセリエAに関する備忘録。

22-23セリエA第26節 vs サレルニターナ(H) サボリ

 

 前節は4連勝と連続無失点が途切れて順位も3位から5位に落ちたが、ミッドウィークのCLでは切り替えて無失点でベスト8進出を決めたミラン。マンデーナイトに7万人が集まった。

 

 サレルニターナは6勝7分12敗、28得点44失点で16位。降格圏とは7ポイント差。2月中旬にダヴィデ・ニコラを解任してパウロ・ソウザを招聘。初戦はラツィオに0-2で敗れたが、2試合目は好調のモンツァを強度の高いプレーで苦しめて3-0の勝利を収めた。前節は最下位のサンプドリアとアウェイでスコアレスドローだったが、ピンチや失点の多かったチームにとって2試合連続無失点は悪くない結果だった。中盤でラサナ・クリバリとクルニゴイが強度高く戦い、ピョンテクが最前線で泥臭く身体を張り、カンドレーヴァがシャドーで自由を得て生き生きしている。

  • ホームゲーム2勝4分6敗、11得点26失点。
  • 得点数13位。セットプレーから2点、PKが1点、OGが1点。シュート決定率10%。後半に得点が多く、後半最初の15分に最多の8点。
  • ディアが8点、カンドレーヴァ、ピョンテク、ヴィリェナが3点。ラサナ・クリバリ、マッゾッキ、ボナッツォーリが2点、1点が4人。
  • ディアが4アシスト、カンドレーヴァ、ラサナ・クリバリ、マッゾッキ、ピョンテクが2アシスト。
  • シュート数18位。枠内シュート数16位。枠内シュート数、枠外シュート数ともにピョンテクがチームトップ。
  • 枠に当てた回数3回で最少タイ
  • クロス成功数19位CK数19位
  • オフサイド数5位にピョンテク。
  • PK獲得回数1回、献上回数10回で最多
  • 失点数19位。無失点試合5。前半最後の15分に12失点、後半最初と最後の15分に9失点ずつ。
  • セーブ数2位
  • リカバリー数15位。ラサナ・クリバリがリーグ15位。
  • インターセプト数8位タイ。タックル成功数16位。クリア数6位。
  • 1試合平均走行距離リーグ6位。ジョグ距離3位、スプリント距離16位。チームトップはカヴィーリア。スプリント距離リーグ最長はカンドレーヴァ
  • ポゼッションタイム16位。パス成功数15位。ファイナルサードのパス数16位。ロングボール成功数14位。
  • キーパス数最少カンドレーヴァが15位タイ。
  • ドリブル数18位。被ファウル数チームトップはピョンテク、1回差でディア、ボナッツォーリ、ラサナ・クリバリ。
  • セリエA過去10シーズンの対戦成績はミランの2勝1分。
  • ピオーリはサレルニターナ戦通算6勝2分1敗。パウロ・ソウザミラン戦通算1勝1分2敗。ピオーリvsパウロ・ソウザはピオーリの2勝1敗。

 

incursore.hatenablog.com

 

トッテナム戦後の4日間

 

 今年もアカデミー賞に合わせて映画ポスターもじり画像を投稿。トップマ(ガ)ンマ(ーベ)リック。

 

先発&フォーメーション

 ミランはメシアスが大腿の負傷で欠場。デストとバスケスが招集外。カラブリア、ケアー、ジルー、レビッチが累積リーチ。

 セリエAの試合でミランの先発にイタリア人がいないのは勝ち点3制になってから初めて。

 サレルニターナはトルースト=エコングが負傷欠場。ファシオが招集外。

 

スタッツ&控え

MILAN VS SALERNITANA | Statistiche

 

ハイライト


www.youtube.com

 

流れ

 

 サレルニターナのハイプレスはボールサイドでないシャドーがボランチをマークして中盤を1人を余らせる形で、ミランのシャドーにはIBが後ろから強く寄せる。ミランはカルルとトモリが開いたり、ボランチが降りたり、メニャンを使いながらサレルニターナの前線の守備の基準点をずらしてフリーな選手を作り、相手ボランチの脇のスペースでシャドーがパスを受けて前進を狙う。ミドルゾーンではカルルが開いて4バック気味に。サレルニターナは5-2-3でブロックを組み、押し込まれるとコンパクトな5-4-1でディアもプレスバック。

 サレルニターナの保持はロングボールでこぼれ球を拾ったり、ファウルをもらったり、スローインにしたり、ブロックを組んで守る時以外は敵陣でプレーをする狙い。とにかく前にボールを入れて押し込むラグビースタイル。ただ、後方から始めないというだけで、ミドルサードで保持した時はボールサイドに人を集めてショートパスで繋ごうとする。ミランは5-2-3で基本的に対面の選手にプレスをかけて前進を阻む。ミドルサードでも、アタッキングサードでもカンドレーヴァがボールサイドに寄ってくるが、ミランはべナセルやカルルがついていき、カンドレーヴァと入れ替わる選手がいたら受け渡して対応する。

 

 22分、クルニッチからラサナ・クリバリとカンドレーヴァの間を通してブラヒムにパス。中央にポジションを取り、ピローラの背後を狙ったテオにブラヒムがスルーパスを出すがギョンベールがスライディングでクリア。クリアボールをカルルが拾いシンプルにクロスを上げ、ギョンベールが後方にクリアしたボールをレオンが拾い、左足でシュート性のクロスを入れるがジルーとブラヒムが触れずに流れる。

 27分、サレルニターナが何を血迷ったかゴールキックからショートパスで繋ごうとしてミランのハイプレスを受け、ボヒネンからのパスをトモリがカットしミランがCKを獲得。ベナセルのアウトスイングのボールにジルーがバイシクルで合わせるが枠の上に外れる。

 32分、左サイドに流れたボヒネンからベナセルがボールを奪うが、油断したところをブラダリッチが寄せ、ベナセルは焦ってメニャンに戻すが、そこにはディアが寄せてメニャンがクリアしきれず、こぼれ球を拾ったボヒネンからゴール前でパスを受けたカスタノスがシュートを撃つが戻ったクルニッチの足をかすめたボールは枠の右に外れる。

 36分、押し込むミラン。チャウが中央のジルーに縦パス。落としをブラヒムが横移動で受け、左のレオンにパス。レオンが巻いてシュートを撃つがギョンベールが頭で弾いてコースを変える。

 41分、レオンの強引なキックがブロックされ高く跳ねたボールをチャウが頭で後方にコントロールしたところをディアが掻っ攫って独走するが、PAから飛び出したメニャンがドリブルを読んでボールを奪う。

 45分、ミランの右CK。ベナセルのインスイングのボールをゴールエリア内のギョンベールとボヒネンの前でジルーが頭で合わせてミランが先制。1-0

 1-0で前半終了。

 51分、DFラインに降りたクルニッチがカルルに展開。カルルが内側に運び、テオが中央に入ってボランチを押し下げた手前のスペースでベナセルにパス。ベナセルは左斜め前にドリブルしPA内に持ち込んで低いボールを入れるが、レオンのシュートは枠の左に外れる。

 55分、サレルニターナはピョンテクをCFに投入し、ディアを左シャドー、カンドレーヴァを右シャドーに変更。

 60分、右サイドでマッゾッキとカンドレーヴァがパス交換してミランをサイドに集め、ボヒネンがセンターサークルでフリーのラサナ・クリバリに繋いで、クリバリが左のブラダリッチに展開。ブラダリッチの低いクロスにフリーのディアが合わせてサレルニターナが同点にする。1-1

 失点後にミランは前線3人を総入れ替え。

 63分、ミドルゾーンで保持するミラン。クルニッチがDFラインから中央をドリブルし、左ハーフスペースのテオにパス。テオが食いついたダニリウクと入れ替わってPA内に持ち込み、クリバリと接触して倒れるがノーファウルの判定。

 64分、マッゾッキからテオが奪い、オリギが運んで、マッゾッキの中途半端なクリアを拾ったベナセルがミドルシュートを撃つが枠の上に外れる。

 69分、クルニッチから降りて受けたオリギが貯めて、トモリがクルニッチに渡し、クルニッチが中央のデ・ケテラーレに縦パス。デ・ケテラーレがターンをして上がってきたベナセルにパスを出すと、ベナセルがブラダリッチに倒されて主審がPKの判定をする。しかし、VARが介入しOFRで取り消し。

 75分、サレマが左足でインスイングクロスを入れると、イブラが頭で触り後方に流れたボールをオリギが胸で押し込もうとするがオチョアがギリギリで掻き出す。

 81分、マッゾッキがボナッツォーリとのパス交換から、ボナッツォーリが開けた斜めのパスコースを使ってライン間のディアに通し、最後はピョンテクがミドルシュートを撃つがメニャンがセーブ。

 83分、ボナッツォーリからブラダリッチへのサイドチェンジをフロレンツィがインターセプトしようとするがヘディングを失敗し、ブラダリッチがこぼれ球を拾って運び、最後はマイナスの折り返しを受けたディアがPA外からシュートを撃つがチャウがブロック。

 86分、デ・ケテラーレが右サイドを突破して深い位置を取り、下げたボールをカルルがワンタッチでクロスを上げる。合わずに流れたボールをテオが拾いふんわりクロスを上げると、オチョアが弾き出したボールがフロレンツィに当たってゴール方向に飛ぶが、ゴールカバーに入ったギョンベールに当たり、最後はゴールライン上に倒れていたカルルの腕に当たってオチョアが確保。

 90分、クルニッチのボール奪取からトナーリがデ・ケテラーレに縦パス。デ・ケテラーレが左にターンし中央のオリギにパス。オリギは撃てずにイブラに繋ぎ、イブラが撃つがオチョアがセーブ。

 ミランはチャウを前線に上げて放り込む。

 1-1で試合終了。

 

ミラン

 

 悪くない試合の進め方をして前半の内にセットプレーから先制できたが、集中力を欠いた対応で失点をしてしまう。最後までブロックを崩しきれず、パワープレーも実らず、1点の重みに泣いて引き分け。2位争いのライバルたちが揃って勝ち点を取りこぼすなか、ミランもお付き合いしてしまい、ローマを上回って4位には上がったものの、2位インテルに並ぶチャンスを逃した。

 

 プレスに対するビルドアップの狙いと出口に設定したポイントは良かったが、その先の精度を欠いて攻めきれない場面が少なくなかった。ブロック攻略はほぼ右サイドからで、カルル、RWB、右シャドーの3人にベナセルが絡んで、サイドの突破やアーリークロス、中央に戻してシュートなどのバリエーションが見受けられた。カウンターを受ける場面もほとんどなかった。左サイドはテオとレオンの良くも悪くも曖昧なポジショニングに絡む選手がいない。2人でどうにかなるという計算なのかもしれないが、内側や後ろ向きのレオンは窮屈なので周囲のサポートが必要。となると、やはりトモリのような右利きの純CBではなくSBもできる左利きを置いてサイド攻撃のサポートに行かせたい。ユヴェントスのレギュラーCBのブラジル人3人構成はその点で理想的。

 ハイプレスをする機会はほぼなかったが、ミドルゾーンでの保持に対してGKまで下げさせる場面を何回か作っていたように、近い距離感で人数を集め、降りる人も飛び出す人もいるサレルニターナの保持に基本的には対応できていた。

 しかし、失点場面はサイドを変えられて、トモリがカンドレーヴァを放置したせいでカルルとチャウが2人で3人に対応する必要が生じ、その状況に気づいていなかったカルルが捨てたディアがドフリーになって決められた。レオンではなく守備意識が高くプレスバックを狙っているFWだったらボヒネンがターンできなかったかもしれないし、ブラヒムが中盤を埋めていればディレイで対応できたかもしれないが、ボールウォッチャーになってボーッとジョギングしていたトモリのあまりにも軽率なミスで勝ち点2を失ったと言っても過言ではない。サイドチェンジから崩される場面は3(5)バックに変更してから格段に減少したが、CBがサボったら3(5)バックの意味がない。

 イブラは相変わらずの強さと巧さを発揮し、存在だけで相手DFの意識を自身に引き寄せることができる。オリギはレオンよりテオとの位置関係は良く、デ・ケテラーレは右と中央でよく顔を出すなど悪くない動きだったが、運にも恵まれず、結果には結びつかなかった。

 

 次は中4日で土曜日にウディネーゼとのアウェイゲーム。IMW前最後の試合。ジルーが出場停止でCFは誰になるのか。

 

サレルニターナ

 

 ミランの隙を逃さず、懸命に守って貴重な勝点1を獲得。

 今季13ゴールに関与しているディアが活躍していなかったらと考えると…今季のベストバイの1人で間違いない。

 ラサナ・クリバリのようなボックストゥボックスで機動力と推進力があるボランチは欲しい。フラッテージのように。

 

主審 Federico La Pennna VAR Luca Banti

 

 特になし。