自業自得記録地獄

主にACミランとセリエAに関する備忘録。

22-23 CL 準決勝 1st leg vs インテル(H) 不安的中

 

 7連戦の4試合目。互いに最後に優勝したシーズン以来の準決勝進出を果たして迎えるユーロダービー。インテルは公式戦5連勝中、1失点のみの絶好調。今季3度の対戦ではミランの絶不調期に2度勝ったインテルの2勝1敗。過去のCLでの対戦成績はミランが2勝2分で2回とも勝ち上がった。そのうち1勝はルイ・コスタマテラッツィの伝説の写真が撮影された没収試合

 

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ラツィオ戦後の3日間

 

 特になし。

 

先発&フォーメーション

 ミランはレオンとフロレンツィが負傷欠場。イブラ、デスト、ヴランクス、アドリ、バカヨコ、タタルシャヌ、バスケスが登録外。ナヴァがベンチ入り。

 インテルはシュクリニアルが負傷欠場。

 

スタッツ&控え&ハイライト

Milan-Inter | UEFA Champions League 2022/23 | UEFA.com

 

流れ

 

 ミランは噛み合う配置のまま高い位置からボールサイドでは対面の相手を捕まえる。インテルはオナナで数的優位を作り、2トップへの中長距離の縦パスにWBと中盤が追い越しをかける。アチェルビが右に開いてドゥンフリースを高い位置に押し出したり、アチェルビが一列上がったり、3バックの配置のままの状態は少ない。

 ミランのビルドアップは基本は4-2だが、ベナセルは左寄りで、トナーリは右サイドにボールがあるときはIHのような振る舞いを見せるため4-1-2-3のようにもなる。インテルは2トップがCBから縦のパスコースを切り、SBには通常はIH、ゴールキック時はWBが出て、全体がボールサイドにスライドする。ミランはSBがスライドしたインテルの中盤の脇でボールを受けようとする。

 

 7分、バストーニのロングパスを受けたジェコがトモリとの接触で倒れてFK。FKからインテルの左CK。チャルハノールがゾーンの外を巻くインスイングのボールを入れるとジェコが左足インサイドで合わせてインテルが先制。0-1

 10分、メニャンからのロングボールをジルーがトナーリに落とすが繋がらずにバレッラがセカンドボールを回収。バレッラがカラブリアの背後を取ったディマルコにパスを出し、ディマルコはPA手前で中央に折り返すと、ラウタロががスルーして走り込んだムヒタリアンがガラ空きのゴール前中央に侵入して右足を振り抜いてネットを揺らす。0-2

 15分、べナセルが治療でミランは10人で構える。降りたバレッラから裏を狙ったディマルコにロングパス。カラブリアのクリアのセカンドボールをラウタロが拾い、ムヒタリアンへパス。ムヒタリアンが横に流したボールをチャルハノールがワンタッチでミドルシュートを撃つと右ポストに直撃。こぼれ球を左サイドでラウタロが拾ってクロス。ジェコが逸らしたボールをバレッラが折り返し、フリーのムヒタリアンが撃つがメニャンがセーブ。

 17分、べナセルが右膝を痛めて交代。ブラヒムがトップ下、メシアスがRWGに入る。

 29分、メニャンのロングボールをジルーが収めて前進。右サイドでカラブリア、トナーリ、ブラヒムで回し、メシアスの折り返しにカラブリアがヒールで合わせるが枠の右に外れる。

 30分、ドゥンフリースのスローインにケアーとラウタロが入れ替わり、ラウタロがカバーに来たトモリにPA内で倒されてPKを獲得するが、VARが介入しノーファウルでPKは取り消し。

 33分、テオからブラヒムへの縦パスが入るが、ブラヒムのコントロールミスをチャルハノールが奪い、ジェコが運んでカウンター。ディマルコのシュートをカラブリアがブロックし、こぼれ球を拾ったラウタロミドルシュートを撃つが枠の上に外れる。

 ゴールキックにプレスをかけてロングボールをダルミアンがカット。ドゥンフリース、ジェコ、バレッラ、ディマルコと繋ぎ、ディマルコのシュートがカラブリアに当たってコースが変わったボールにドゥンフリースが足を伸ばすが枠を捉えられない。

 45+4分、0-2で前半終了。

 

 後半のミランはブラヒムが左右どちらにも顔を出し、トナーリだけでなく、クルニッチも前に絡んで行くことが増える。

 50分、スローインのセカンドボールをトモリが前線に蹴り、メシアスがカラブリアに落とし、カラブリアからセンターサークルで受けたトナーリがムヒタリアンをかわして運び、ディマルコの背後を取ったメシアスにスルーパス。メシアスがコントロールシュートを狙うが枠の左に外れる。

 52分、テオのパスミスからインテルがカウンターを仕掛けて2次攻撃。フリーのバストーニが中央を運び、トモリから離れたジェコにラストパス。ジェコのシュートは飛び出したメニャンが足で防ぐ。

 62分、メニャンのクリアボールがオリギに繋がり、ハーフスペースに抜け出したブラヒムの折り返しをジルーが落とし、トナーリが右足でシュートを撃つが左ポストに嫌われる。

 70分、インテルはダルミアンがLWBデ・フライがRIB。

 90+1分、トモリのフィードをオリギが逸らし、トナーリの落としをポベガがボレーで撃つがオナナの正面。

 90+4分、0-2で試合終了。

 

ミラン

 

 インテル相手に4-2-3-1でマンツー気味に行くのは危険かもしれないとローマ戦後に危惧していた通り、インテルが狙い通りの試合を展開し、ミランはボロが出て完敗。セットプレーで先制点を献上してしまったのは致し方ないとしても、直後の2失点目がインテルに余裕を与えてしまったのは2ndレグを踏まえると痛かった。

 

 クルニッチとトナーリの位置が通常と逆だったのは、ラツィオ戦のクルニッチアンカー、べナセルが左に流れてサレマとテオと絡む形が良かったからだと思われる。しかし、今回はインテルが2トップとコンパクトにした中盤でクルニッチをほとんど経由させず、SBからの展開を強いられた。テオから間で受けようとするベナセルやブラヒムはダルミアンに捕まり、サレマはドゥンフリースを振り切れず、テオは運ぶスペースがあまりなかった。結局上手く運べないのでGKやCBからジルーへのロングボールが多くなり、それが2失点目に繋がることになった。

 バレッラ、ドゥンフリース、ダルミアンを前に出させることはできているので彼らの背後にCFが流れて起点を作るプレーがあれば、アチェルビを中央から退かしてDFラインにギャップを作ることができる。テオから左裏に流れたジルーにパスを出し、アチェルビとバストーニの間をトップ下が抜け出してジルーからパスを受け、ゴール前にトナーリやカラブリアが入っていく形はおもしろそう。

 被保持は全体的にはいつものインテル戦らしく2トップへのロングボールの対応が多かった。前向きでカウンターに行けるような上手い奪い方ができたのはチャウに1回あっただけだと思う。プレッシングはIBとWBをWGが中間ポジションを取りながら対応し、IBにWGが行けばSBがWBに行く形だったが、アチェルビが右に開いて4バックの左CBのようなポジションになるバストーニへの対応に苦労した。

 5-3-2や5-2-1-2のように3バック、2トップのシステムのミドルプレスなら後方に余る選手を作れるが、4-2-3-1では2トップに2CBが対応して余らない。ナポリ戦やラツィオ戦はCBが1人余ることが、中盤3人のハードワークと並んで守備の安定を生む要因になっていたので、基本システムは3バックと4バックのどちらが良いかという単純な議論ではなく、強敵と対峙する際に今のミランが採るべきなのは中盤を噛み合わせてCBを1人余らせる配置でミドルプレスからカウンターを狙う戦い方なのだと思う。

 1失点目は高身長のクルニッチとジルーがストーン、ケアーとテオがゾーンでゴール前を固めて、トナーリがアチェルビ、カラブリアがジェコ、トモリがドゥンフリースをマークする形だったが、ゾーンを避けられ、動く3人がニア、ファー、中央にバラけてスペースを作られ、ジェコとカラブリアのミスマッチを生かされた。残っているのはサレマ、ベナセル、ブラヒムだが、何れもミスマッチでどうしようもなかった。結果論だが、クルニッチかテオがマークに付き、カラブリアがテオの位置に入るのが最善策だったかもしれない。本来はレオンがジルーとストーンを担うが、レオンの代わりがレビッチやオリギではなくサレマではストーンに入れないので、一人高くない選手が入っただけでセットプレーの守り方が変わる難しさを痛感した。

 2失点目はカウンターだが、カラブリアがディマルコに、トナーリがムヒタリアンに先手を取られ、トモリがゴールから離れたジェコについていって中央をガラ空きにするというマンツーマンの弱点が露呈した。

 2ndレグはレオンが戻ってきたとしても、インテルが前に出てくる必要がない状況になってしまったのが崩しの手段が少ないミランには痛いが、過去の経験から推測すると1点を返せればインテルはバタつくはず。如何にしてインテルのブロックを崩すのか、人選も含めて再考しなければならない。

 

 次は中2日で土曜日にアウェイでスペツィアと対戦。今度こそターンオーバー組任せた。

 

インテル

 

 攻守にロングボールのセカンドボールへの意識が高かったことが試合の主導権を握る要因の一つになっていた。絶好調。強度と前線のパワーを強化する交代で試合をクローズして2ndレグに向けて小さくないアドバンテージを得た。

 

主審 Jesús Gil Manzano (ESP) VAR Juan Martínez Munuera (ESP)

 

 ファウルの基準というよりも、見えているか見えていないかで判定に差があった印象だが、19分のトナーリとドゥンフリース、37分のブラヒムとムヒタリアンはファウルを取ってほしかった。ただ、クルニッチのバストーニへの腹パンはPK&レッドカードレビューにならなくて助かったのでミラン的には収支はプラス。