自業自得記録地獄

主にACミランとセリエAに関する備忘録。

21-22セリエA第26節 vs サレルニターナ(A) ありがとうサッスオーロ

 暫定首位に立ったミランは1ヶ月以上ぶりにサン・シーロから離れての試合。今節と次節はコッパ・イタリアのダービー、28節ナポリ戦に向けての調整と勝利の両立が求められる。

 

 サレルニターナはここまで2試合未消化で3勝4分16敗の最下位。冬の移籍市場では1月中旬にテクニカルダイレクターに就任したサバティーニが迅速に動き、ヴェルディ、ファシオ、ラドヴァノヴィッチ、ペロッティ、セペらセリエA経験者を中心に10人以上も補強。しかし、前節は19位ジェノアとの裏天王山に勝てず、10月末から指揮を執っていたコラントゥオーノを解任し、残留請負人のダヴィデ・ニコラを招聘。前半戦とは完全に別チームになった。

 以下の順位はすべて暫定。

  • 今季ホームゲーム1勝2分8敗、7得点26失点。最下位。
  • 17得点はリーグ最下位。セットプレーから3点、FKで3点、PKが2点、OGが1点。
  • ボナッツォーリが5点でチームトップ。スコアラーが7人しかいない。
  • シュート数19位。枠内シュート数最少タイ。ボナッツォーリが最多で、カスタノスとジュリッチが2位タイ並ぶ。
  • 枠に当てた回数8回で6位タイ。ディ・タッキオが2回。
  • 53失点はリーグ最下位。15-30分だけ5失点で、その他の時間帯は9or10失点。
  • 枠に助けられた回数9回で8位タイ。
  • クロス成功数11位タイ。
  • オフサイド数最少。
  • セーブ数5位。
  • イエローカード数19位(少)。
  • 1試合平均走行距離16位。
  • アクチュアルプレイングタイム18位(短)。
  • ポゼッションタイム最短。自陣最下位。敵陣17位。
  • リベリーがアシストとキーパスのチームトップ。2アシストとキーパス23本。キーパスの2位はカスタノスで19本。
  • ボナッツォーリが被ファウル数リーグ10位タイ。
  • リカバリー数チームトップはギョンベール。

 

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サンプドリア戦後の5日間

 ダービー当日の様子とベンチの映像が公開。


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先発&フォーメーション

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 ミランはケアー、イブラが負傷欠場。ラゼティッチがコンディション不良。テオ、ブラヒム、べナセルは累積リーチ。

 サレルニターナヴェルディ、ギョンベール、ママドゥ・クリバリ、スキアヴォーネ、ルッジェーリが負傷欠場。ストランドベリ、カペッツィ、デッリ・カーリ、ヴェルガーニ、グエリエリ、フィオリッロが招集外。

 

スタッツ&控え

Match Report | 2021-22 | 26ª Match Day | Lega Serie A

 

ハイライト


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流れ

 サレルニターナはMFとDFの間を狭めた縦も横もコンパクトなハイラインの4-4-2でミドルゾーン高い位置からプレスをかけようとする。自分の担当ゾーンに入ってきた選手についていく意識とインターセプトの意識が高い。

 ミランのビルドアップはべナセルがCB間に入り両SBが上がる3-1、両SBが上がる2-2、テオが残る3-2を使い分け。

 サレルニターナのビルドアップは間で受ける技術がある2列目の3人への縦パスかジュリッチへのロングボール。

 ミランはジルーがファシオを消しながらプレス。レオンがマッゾッキとドラグシンの中間で牽制しマッゾッキの攻撃参加にはほとんど戻らず前残り気味。ブラヒムとボランチの片方でボランチをマーク。ボランチの片方は余ってロングボールのセカンドボールを狙う。

 

 4分、テオが左サイドから内側に運び、ブラヒムがドラグシンを前に釣り出したスペースにジルーが走ってファシオを釣り出し、ファシオとラニエリの間を突いたメシアスにスルーパス。フリーのメシアスがきっちり左に決めてミランが先制。

 16分、カラブリアと挟んでリベリーからボールを奪ったべナセルが裏に走ったレオンへすかさずパス。レオンが倒されて得たFKをべナセルが直接狙うがセペがファインセーブ。

 22分、敵陣でべナセルから右に開いたカラブリアにパス。ラニエリが対応に行くのでメシアスがチャンネルランを狙うとボランチのエデルソンが下がる。カラブリアは空いた中央に持ち出しレオンとワンツーでチャンネルを突破しようとするがエデルソンがブロック。こぼれ球をジルーが拾いヒールでレオンにパス。レオンが左足でシュートを撃つがドラグシンがブロック。

 28分、カラブリアのクロスが少し流れてレオンが収める。レオンがゴール前に折り返そうとするがマッゾッキに当たり、こぼれ球をドラグシンがボナッツォーリにパス。ボナッツォーリの落としを受けたリベリーが右サイドを駆け上がるマッゾッキにパス。マッゾッキが運び、ジュリッチにハイクロスを上げる。メニャンが飛び出すがジュリッチが競り勝ち、ゴール前にこぼれたボールをボナッツォーリがバイシクルシュート。ゴールカバーに入ったテオも防ぎきれずサレルニターナが同点にする。

 40分、レオンがテオとのワンツーで左ハーフスペースを突破しニアのメシアスに折り返すがセペが先に触りシュートを撃たせない。

 42分、セペのミスキックをレオンが触り、こぼれ球をトナーリ、ブラヒムと繋ぎ、ジルーからレオンにラストパスが出るが、コントロールに時間がかかりシュートを撃てない。

 1-1で前半終了。

 ミランは後半から4-4-2でマンツーマンプレスに変更。ビルドアップはトナーリが右に降りてカラブリアを押し出し、メシアスが内側の型が増加。

 サレルニターナは高い位置を取るミランのSBに対しては6バックも辞さないようになる。

 46分、中盤でエデルソンのミスパスを拾ったメシアスが中央にドリブルしジルーに縦パス。ジルーがファシオの裏に抜け出したブラヒムにパスを出すが流れてしまう。ブラヒムが下げたボールをトナーリがファーのレオンにクロスを上げる。レオンがバイシクルシュートを撃つが僅かに枠の右に外れる。

 53分、FKのこぼれ球をテオが拾い、左サイドのトモリにパス。トモリが中央のレオンに繋ぎ、レオンが右サイドのケシエに繋ぐ。ケシエのクロスをロマニョーリが頭で折り返し、ジルーが頭で押し込もうとするが枠の左に外れる。

 59分、右サイド内側のメシアスがトナーリに下げ、トナーリが右外高い位置のカラブリアにパス。カラブリアから内側のメシアスが受けると、ファシオの裏に抜け出したジルーにスルーパス。ジルーがセペとの1vs1を迎えるがセペがシュートを弾き出す。

 65分、カラブリアからメニャンへのバックパスにボナッツォーリがプレス。メニャンはかわそうとするがボナッツォーリがボールを奪う。ボナッツォーリがそのままシュートを撃つがロマニョーリが頭でブロック。

 70分、FKのリスタートの縦パスを受けたボナッツォーリがワンタッチで左サイドのペロッティに展開。ペロッティがラニエリの上がりを促してエデルソンにパス。エデルソンは中央のボナッツォーリに速いパス。ボナッツォーリはスルーし、オビが受けてジュリッチにパス。ジュリッチがボナッツォーリに落とし、ボナッツォーリは上がってきたマッゾッキにパス。マッゾッキのクロスはケシエを超えてジュリッチがヘディングシュート。これが決まってサレルニターナが逆転。

 76分、左から運ぼうとするロマニョーリから裏を狙うジルーにロングボール。ジルーの落としを受けたレビッチがミドルシュートを撃つと、少しドラグシンの足に当たったボールがネットに吸い込まれミランが同点にする。

 2-2で試合終了。

 

ミラン

 序盤からサレルニターナのハイラインの裏を狙った攻撃で先制するものの、追加点を奪えずにいるとカウンターから失点。勝ち越しもできずにいると、後半に見事にボールを動かされて逆転を許す。時間はかからずに追いつくがその後はチャンスを作れず、無念の引き分け。絶対に勝たなければいけない試合を落としてしまった。インテルに勝ったサッスオーロに感謝するしかない。

 緊張感があった先週から約1週間空いてリフレッシュできたかと思いきや、逆に緊張感を欠いたのか、首位の重圧なのか、緩慢なネガティブトランジションアタッキングサードのクオリティ不足、パスのタイミングや意図のズレ、全体的な判断ミスが目立った。交代選手の期待感の薄さも苦しいものがあった。そして、メニャン、トモリ、トナーリ、レオン、ジルーというこれまで頼ってきた選手たちのミスが多かったのがこの試合を象徴しているのかもしれない。

 ロングボールで裏を狙うラインブレイクは試合を通して何度も見られたが2点止まり。1分のべナセルからテオに出たパスが中央を抜け出したレオンへ出れば決定機だった場面や11分のトモリからブラヒムなど惜しい場面は挙げればきりがない。

 終盤は焦りで攻め急ぎ、ロングボール放り込みの稚拙な攻撃が続いたが、試合を見返してみるとサレルニターナは最後まで撤退で凌ごうという姿勢ではなかったので、攻め急がなければスペースを作って攻撃をできたはずだと感じた。

 守備ではボナッツォーリとカスタノス(交代したオビも)を捕まえられなかった。1失点目と似た場面が1分50秒にある。前線でボールを失い、中央でカスタノスとボナッツォーリがワンツーでプレスを剥がしサイドに展開。オーバーラップしたSBからクロス。ボナッツォーリの落としをリベリーが空振りして助けられた場面。どちらも中央でのカウンタープレスの強度が低いので簡単にパスを繋がれて展開されてしまった。

 2失点目は完全に中盤でボールを振り回されて陣形が崩れ、クロスを上げたマッゾッキにも寄せられず楽にクロスを上げさせてしまった。どちらもサレルニターナを称えるべき良い得点というのは置いといて、最終的な局面では1失点目はメニャン、2失点目はトモリに責任があるが、クロスを上げさせる前に止めるべきだった。

 

 メニャンはこれまでも危なっかしい判断をする場面があったが遂に失点に直結した。迷いながらではなく自信があるからこその決断を常にしているように見えるのでドンマイ。

 レオンは再三チャンスになる場面でボールを受けたが、尽くコントロールが決まらず良い状態でシュートを撃てなかった。オフの動きは悪くなかっただけにもったいなかった。

 レビッチは貴重な得点を決めさえしたが、それ以外は酷かった。

 

 次は金曜日にホームウディネーゼ戦。

 

サレルニターナ

 コンパクトな布陣を敷くなかでハイラインの裏を何度も狙われるが、懸命に戻ってなんとか守る。走行距離も今季の平均より多く、ニコラらしい熱いチームになっていた。残り試合数も多いので残留も夢ではない。

 ボールホルダーがフリーなのにラインが止まっている危険な場面が序盤は多かった。2失点目はクリバリがケシエに行き、SHはSBに意識があり、中盤がエデルソン1人でガラ空きになってしまった。

 カスタノス、リベリー、ボナッツォーリが中盤の隙間で受けてSBが勢いよくオーバーラップする攻撃はクロスのターゲットになるジュリッチがいることや2列目の選手のキャラクター的にも理に適っている。SBの上がる判断もミランのWGが戻るよりも早いので効果的だった。

 やっぱりボナッツォーリ好き。下位チームでたらい回ししないでほしい。

 

主審 Michael Fabbri VAR Aleandro Di Paolo

 特になし。