自業自得記録地獄

主にACミランとセリエAに関する備忘録。

22-23セリエA第30節 vs ボローニャ(A) 気概は示したが質不足

 

 ナポリに完勝を収めても、エンポリに取りこぼすお馴染みの展開で4位に転落したミラン。ミッドウィークのCLに挟まれる中2日3連戦の2試合目ということで、思い切ってメニャン以外総入れ替えでボローニャに乗り込む。

 

 ボローニャは12勝7分10敗、38得点36失点で8位。開幕5試合で勝利がなかったミハイロヴィッチの後任として7節のエンポリ戦からチアゴ・モッタが就任。就任後4試合は1分3敗だったが、その後の2022年内の5試合を4勝1敗で立て直し、2023年もここまで7勝3分4敗の好成績で6位アタランタを5ポイント差で追っている。ミランとも9ポイント差しかない。4-1-4-1を基本システムに、降りる選手に対して飛び出す選手が必ず存在し、ポジションを問わずボールを受ける意識と前への意識が高く、スペースの認知が早い。

  • ホームゲーム7勝5分3敗、20得点10失点。ホームに限ると7位。
  • 得点数9位。セットプレーから6点。シュート決定率10%。後半に得点が多く、45~60分の10点が最多。
  • オルソリーニとアルナウトヴィッチが8点でチームトップ。RSBのポッシュが5点、ルイス・ファーガソンが4点、バロウが3点、サンソーネとリコヤニスが2点、1点が5人。
  • バロウが5アシストでチームトップ。オルソリーニ、ソリアーノ、モロ、キリアコプーロスが3アシスト。
  • シュート数、枠内シュート数11位。オルソリーニが枠内シュート数、枠外シュート数いずれもチームトップ。
  • 枠に当てた回数11回。ルイス・ファーガソンが3回。
  • クロス成功数14位。CK数19位
  • オフサイド数3位
  • PK獲得回数4回、献上回数7回で3位
  • 失点数10位タイ。無失点試合は7回。セットプレーからの失点は7。後半に失点が多く、45~60分の11失点が最多だが、最少は75~90分の3失点。
  • セーブ数7位。失点期待値に対して実際の失点数が少なく、その差が最大なのがスコルプスキ
  • リカバリー数4位。リーグ11位タイにシャウテン、22位タイにルクミ。
  • インターセプト数6位。タックル成功数5位。クリア数10位。
  • 敵陣でボールを奪う回数は多くないが、奪ってからシュートで終わった回数とゴールが決まった数は多い。
  • 1試合平均走行距離リーグ11位。スプリント距離10位。リーグ7位にルイス・ファーガソン
  • ポゼッションタイム8位。パス成功数5位ファイナルサードのパス数11位。ロングボール成功数8位。10本以上パスを繋いだ攻撃回数リーグ5位
  • キーパス数11位。チームトップ3はオルソリーニ、バロウ、ドミンゲス。
  • ドリブル数14位タイ。被ファウル数チームトップはオルソリーニとソリアーノ
  • セリエA過去10シーズンの対戦成績はミランの15勝3分1敗。ピオーリ就任後はミランが6勝1分。最後にボローニャが勝ったのは15-16シーズンのサン・シーロでの試合。
  • ピオーリはボローニャ戦通算14勝4分2敗。チアゴ・モッタはピオーリのミラン戦通算1勝1敗。

 

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ナポリ戦後の2日間

 特になし。

 

先発&フォーメーション

 ミランはイブラが負傷欠場。ケアーは完全休養で、デスト、バスケスとともに招集外。トモリ、カルル、カラブリア、ケアー、レビッチが累積リーチ。

 ボローニャはアルナウトヴィッチ、ソリアーノ、カンビアーゾが負傷欠場。オルソリーニが出場停止。

 

スタッツ&控え

BOLOGNA VS MILAN | Statistiche

 

ハイライト


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流れ

 

 ボローニャのキックオフで試合開始。すぐにミランがプレスをかけに行くが、フロレンツィがバロウから奪いきれずにバロウが運んで前進。詰まって右サイドに展開する。ポッシュからエビシャーへのパスにバロ=トゥーレが身体を入れるが取り切れず、ポッシュがこぼれ球を拾って深い位置からグラウンダーで折り返すと、クロスを防ぎに行ったチャウとカルルの間の大きなスペースに入り込んだサンソーネが押し込んでボローニャが先制。1-0

 

 ボローニャはミドルゾーンに4-5-1でセット。ミランエンポリ戦同様、ポベガが左に降り、両SBが上がる。3バック化したミランボローニャはCFとWGで3バックにプレスし、ヴランクスはドミンゲスかシャウテンがマーク。ミランの2列目の3人はSBの裏、DFのギャップ、アンカー脇を狙う。

 ミランはデ・ケテラーレがシャウテンからスマオロ、ヴランクスがドミンゲスからシャウテンにスライドしてハイプレス。ドミンゲスはサレマが絞って対応。ボローニャはSBから前線にパスを通して疑似カウンターを狙う。

 

 5分、デ・ケテラーレとオリギが右サイドのスペースに流れてルクミとスマオロを中央からズラし、スマオロとポッシュの間のスペースに走り込んだレビッチにカルルからロングパスが通る。レビッチはコントロールが上手くいかず、PA内でスマオロに足を踏まれたがノーファウル。

 19分、敵陣右サイドでのプレッシングからスローインをクイックリスタート。フロレンツィの柔らかいクロスにレビッチがスマオロの後ろから飛んで頭で合わせるがスコルプスキがキャッチ。

 21分、ボローニャゴールキックにハイプレスをかけてボールを奪い、ポベガが倒されてPA手前でFKを獲得する。フロレンツィの巻いたシュートはスコルプスキが横っ飛びでセーブ。

 23分、ヴランクスがCB間、デ・ケテラーレが中盤に降りて、ボローニャの中盤にスペースを作ると、スルスルとライン間に上がってきたポベガにカルルからロブパスが通る。ポベガはオリギへのラストパスを狙うがポッシュがカット。

 24分、レビッチが素晴らしいスピードでポッシュに寄せてボール奪取。

 ミランはビルドアップ時にポベガがあまり降りなくなる。

 32分、バロ=トゥーレのサポートに寄ったデ・ケテラーレの奥に上がったポベガにバロ=トゥーレからパスが通る。ポベガが左サイドの裏にオリギを走らせ、オリギの折り返しがレビッチの下に転がるが空振り。オリギの抜け出しがオフサイド

 39分、ミランが押し込み、ポベガの展開を受けたバロ=トゥーレのクロスのクリアボールを左ハーフスペースでサレマが拾い、ペナルティアークでレビッチが受けてターンからシュートを狙う。当たり損ねのシュートをシャウテンが掻き出したボールをポベガが直接ミドルシュートを撃つと、左ポストに当たってネットを揺らしミランが同点にする。1-1

 ボローニャは失点後にギアを上げて敵陣でのプレータイムを増やす。

 45分、ATなし。1-1で前半終了。

 

 後半序盤は前半終盤の流れでボローニャが保持する時間が長い。キリアコプーロスを上げて、バロウが内側に入り、ドミンゲスとシャウテンが横と後ろをサポートする。ミランはサイドと中盤をマンツーマンで対応。ビルドアップはポベガとデ・ケテラーレがIHの2-3-2-3に変更。それに伴い、ボローニャの被保持はドミンゲスがトップ下の4-2-3-1に変更。

 56分、ボローニャはジルクゼーの投入でロングボールの選択肢が生まれ、ミランは中盤が間延びし始めると、デ・ケテラーレとオリギの運動量も低下し、ボローニャがバックラインから安定的に縦パスを入れ始める。

 69分、ミランはレビッチがCF、レオンがLWGに変更。バロ=トゥーレが低めで、ライン間にメシアス、ブラヒム、ポベガ。カラブリアとレオンが幅を取る。

 72分、ボローニャはキリアコプーロスを1列上げ、ルイス・ファーガソンがRWG、モロがRIH、リコヤニスがLSBに入る。

 73分、ボローニャのCKをメニャンが捕球してカウンター。カルルが運び、カラブリアから右サイドに流れたメシアスがドミンゲスを振り切り、ゴール前に折り返すがレビッチが合わせられない。

 74分、ロングボールをチャウが跳ね返し、セカンドボールの奪い合いをポベガが制して運び、左サイド裏に抜け出したレオンにスルーパス。レオンのマイナスの折り返しをポベガが撃つがリコヤニスがブロック。

 83分、レオンがカウンターからメシアスとのワンツーで運び、PA手前で折り返しを受けたブラヒムが右足コントロールシュートを狙うが枠を捉えられない。

 88分、ミランがハイプレスでヴランクスがメデルへのパスをカットし、ブラヒムがこぼれ球を拾い、レオンがPA内のヴランクスにパスを通し、ヴランクスがターンしたところでボールが跳ねてルクミの腕に当たるが笛は鳴らない。

 89分、ブラヒムが中盤に降りて受けてメデルをかわして中央を運んで左のレオンに展開し、レオンの平行の折り返しがブラヒムの下に転がるが合わせられない。

 90+3分、1-1で試合終了。

 

ミラン

 

 大方の予想通り、ターンオーバーで良い結果は得られなかったが、インテルの不調のおかげでなんとか4位を維持している。

 勝利はできなかったが、内容は想定していたほど酷いものではなく、ほとんどの選手が求められているプレーを懸命に遂行しているように見受けられ、厳しい日程の中でチームの力になろうという気概を感じたので勝ってほしかった。

 保持では相手を動かして空けさせたスペースに入っていく狙いが随所に見られた。3バック化し、上がったSBにボローニャのSBがプレスに来ると、そのSBの背後のスペースに前線の1人が飛び出し、その動きによってCBの間や中盤にスペースができれば他の選手が入ってくる連動性は良かった。配置が変わった後半でも、デ・ケテラーレが一度降りてきたところから前に走って中盤にスペース作り、そこにサレマが横から入ってきてカルルから縦パスを受ける場面があった。そのようにしてスペースを作ってロングボールで一気にゴールに向かったり、サイドに展開してからのクロスなどアタッキングサードでのプレーに繋げたが、クロスの質は高いとは言えず、入るタイミングも合わず、良いボールが入っても空振りとミスが頻発した。

 ハイプレスはデ・ケテラーレがシャウテンとスマオロ、ヴランクスがドミンゲスとシャウテンに状況に応じて対応し、SBにはレビッチとサレマが良い角度とスピードで寄せて選択肢を削った。前半の終盤から後半はミドルゾーンでの守備が増えたが、サイドと中盤のポジションチェンジにもほぼマンツーマンで対応し、縦パスに対するサポートでポストマンに寄る相手にもしっかり付いていき、危ない場面はほとんど作らせなかった。それだけに開始直後の失点は悔やみきれない。フロレンツィとバロ=トゥーレのどちらかが奪いきれれば良かったが、これも言ってしまえば守備者としての個人の質。少なくともテオなら奪いきっていたと思う。

 

 ポベガは前節に続いて供給役を担い、自身の縦パスと展開から素晴らしい同点ミドルシュートを決めた。デ・ケテラーレのスペースメイクとの相性も良い。思うような出場機会を得られていなかったが、ここに来て賢さを発揮して計算できる戦力に成長した。

 腕章を巻きフル出場したレビッチは1点決めてほしかったがようやく復調の兆しが見られる溌剌としたプレーだった。終盤戦頼みます。

 ヴランクスはミスもあったが、全体的には本当に良くも悪くも普通で真面目にやっていた。リスクを冒すべき役割ではなかったので悪い結果ではない。

 デ・ケテラーレは保持の話で触れたようにフリーランでスペースメイクをしまくり、プレッシングも頑張ったのに、オン・ザ・ボールでのインパクトが皆無なために低評価なのは悲しい。右足を使えないことがはっきりしてきているが、左サイドならサイドライン向きでボールを受けてもボールを隠すのが上手く、相手から遠い足でボールを触れるので背負いながら前にプレーの選択肢を持てる。ナポリのジエリンスキのポジションや、ラツィオのセルゲイワークを左でやったらおもしろそう。なんとかミランで報われてほしい。

 バロ=トゥーレは身体能力以外の物足りなさは相変わらずだが、スピードとスタミナを武器に何度も攻撃参加をして愚直に頑張っていた。

 オリギ?わからんよ、そんなん。おーん。

 

 次は中2日で火曜日にナポリとアウェイでCL準々決勝の2ndレグ。今節はナポリもターンオーバーで挑んだがヴェローナスコアレスドロー。それでもオシムヘンが試運転し、負傷明けでも十分な脅威になることを見せつけた。ベスト4に行ってきます。

 

ボローニャ

 

 早い時間に先制したことで前半はアグレッシブさが出なかったのか、出せなかったのか、抑えたのか。同点後は見慣れた姿に変貌したが、試合を通してミランのハイプレスを掻い潜ったり、プレッシングから速攻を仕掛ける場面はほぼなかった。これまでCFはサンソーネでも上手くWGやIHがサポートしてロングボールからのポストプレーと速攻が成立していたが、今日はアルナウトヴィッチのパワーが必要だった。

 

主審 Davide Massa VAR Marco Di Bello

 

 ファウルの基準に納得できない場面はあったがブレはなかった。PK疑惑の2場面だが、5分の方はスマオロがボールも蹴っていたらPKにはならなさそうで、88分の方はルクミの体に当たってから跳ねたのが腕の方向に飛んで当たったのでPKなしに異論はない。